9月24日@『KANA-BOON ヨイサヨイサのただいまつり!2018 in 堺』 photo by gentahisada

9月24日@『KANA-BOON ヨイサヨイサのただいまつり!2018 in 堺』 photo by gentahisada

KANA-BOON、
地元大阪・堺での野外ワンマン
『ただいまつり!』が大盛況にて終幕

板東さえか(FM802 DJ)
レポート

今年メジャーデビュー5周年を迎え、5シーズンにわたり、5リリース、5イベントを企画しているKANA-BOON。そのシーズン3 として開催された地元凱旋ライヴ「ヨイサヨイサのただいまつり!2018 in 堺」。メジャーシーンへと飛び立った彼らが2014年泉大津フェニックスで行った「ただいまつり!」以来の開催となる。あれから4年、今やバンドシーンにおいて要となる存在に成長し、大きくなって帰ってくる彼らを出迎えようと、大浜公園には子供から大人まで数多くのファンが集まった。

〝せっかく堺に来てくれるのだから長い時間この町で楽しんでもらいたい〟フリーエリアとして解放したお祭りエリアは11時からオープン。ここではメンバーそれぞれが特製ソースを監修した“ケバブーン"や“ラババーンすくい"に毎度おなじみの“めしだ美術館"、KANA-BOONの過去のライブツアー『格付けされるバンドマンツアー2016』で登場したルーレットがただいまつり!仕様になって登場するなど遊べるブースが出揃い、やぐらステージでは地元大阪のラジオ局FM802のDJによるクイズタイムやDJタイムが繰り広げられた。オリジナル堺スタンプラリーマップを配布したりとさすがは堺親善アーティスト、地元愛も十分に伝わる企画で来場者を大いに楽しませた。

KANA-BOONがデビュー前から深い関わりのある大阪のDJイベントonion nightの仲間たちがライブスタートまでの時間を盛り上げ、いよいよ迎えた15時。登場が待ちきれないと言わんばかりに拍手が起こるなか、ソーラン節が鳴り響き4年前のただいまつりを思い出す。温かい視線が集まるステージにメンバーが駆け込んで登場し、〝A.oh!!〟から勢いよくライブスタート!〝タイムアウト〟〝1.2. step to you〟と疾走感あるライブ定番曲が次々に披露された。珍しく(Vo.Gt)谷口が歌詞を飛ばすシーンが見受けられるも、“任せてー!"と応えるようにオーディエンスは合わせて歌った。「楽しすぎて歌詞飛ばしちゃった、リラックスしてます」とこぼした通り肩の力を抜いたパフォーマンス、緑に囲まれた公園を実に彼ららしくKANA-BOONカラーに染めていく。

「熱を帯びて」と会場の温度を上げていくように披露された〝レピドシレン〟から〝バカ〟〝Ride on Natsu〟とソリッドなナンバーがたたみかけられ、(Gt.)古賀のギターソロがさらに観客を沸かせた。つづいて(Dr)小泉の軽快なドラムイン、印象的なイントロでオーディエンスは「あの曲だ!」と嬉しそうに顔を合わせた〝結晶星〟。息ぴったりな手拍子、ますます一体感が生まれた。

〝アスター〟〝街色〟〝夏蝉の音〟とこの夏に届けられた新曲や、名曲が彩っていく。『僕らは軌道線上でぐるぐる回っている』と歌う〝街色〟は谷口のハイトーンが際立ったセンチメンタルなナンバー。ただいまつりで披露されたこの曲では彼らが変わらない理由が歌われているような気がした。

事前リクエストを募っていた曲として3rdアルバム『Origin』Disc2に収録されている〝Construct Connect〟を披露。これはかなりレア…!!ファンの期待に応える特別な時間となった。

日射しも落ち着き、涼しくなりはじめたライブエリア。暑さに体力を奪われていないか観客の体調に気を配りつつ、ライブはお決まりのコール&レスポンスのお時間に。(Gt.)古賀の天然炸裂(!?)ユーモア溢れる絶妙な呼びかけにオーディエンスはなんとか応え(笑)うまく行けば曲が始まるというKANA-BOONワンマンライヴの名物。この日は古賀の「いけるかー?!」に対し、オーディエンスは「いけるよ~~~!!!」とライブエリア後方からスタンディング最前列までウェーブを送るという仕上がりに。なかなかにシュール、笑わせてくれた。そして4カウントで鳴り響き始めた“彷徨う日々とファンファーレ"にハンズアップして観客は楽しんだ。“羽虫と自販機"“パレード"とつづき、エモーショナルなメロディーに胸を締めつけられていると、「まだ体力残ってますか!?」とバンドはここからさらにギアを上げて“シルエット"に!涙腺崩壊!続けて披露された“フルドライブ"では子供も口ずさみながら芝生を駆け回る景色が…会場のボルテージは最高潮に達したまま“バトンロード"へと繋いだ。

こんなにも幅広い世代に届く音楽を彼らは何曲も何曲も生んできたのか、と感慨深い気持ちになった。ステージからの景色はどんな風に見えているのだろうか。最後に披露されたのは“眠れぬ森の君のため"だった。4年前泉大津フェニックスで開催された「ただいまつり!」のラストを飾った曲だ。フェスに出たい、CDを出したい、すごい景色をみせてやる、と夢を追いかけていた〝僕〟はほんの数年前のこと。めまぐるしく変わった5年間、あっという間だった5年間、でもすごく濃い日々の連続だったと以前番組のインタビューで彼らは答えてくれた。まだまだこれからもっと叶えたい夢があって、その景色を一緒に見届けてほしい、そんな想いが強く込められていたように思う。ちょうど雲間からステージに向かって陽が射して、みんなに見守られながら大切に曲を届ける彼らがとてもたくましく見えた。

アンコールではリリースされたばかりのB面集第2弾『KBB vol.2』に収録された和アレンジの〝盛者必衰の理、お断り (和和和 version)〟をなんと和楽器演奏者とコラボレーション!大迫力のステージだった!そしてこの曲をやらずして終われまいと披露された〝ないものねだり〟。こっちもこの曲を聞かずして帰れまい!としっかりと「おかえりーー!」を伝えることができた。

ただいまつり!に向けてひた走ってきたKANA-BOON。「僕たち4人の歌から、それぞれの人生に寄り添う曲になってくれたら」とただいまつり!を思い浮かべて生まれた〝夜の窓辺から〟で締めくくった。来月からは47都道府県ツアーがスタートする。今日のこのライブはその0公演目。もらったエネルギーを力に替えて、全国へと届けにゆく。

『ただいま!』と元気に帰ってきたと思ったら、すぐさま『いってきます!』そんな彼らに『いってらっしゃい!』と送り出した約5000人のファン。つぎに『おかえり!』と言える日にはさらに大きくなって帰ってきてくれるのだろう。叶えたい約束を残してくれた特別な1日だった。

Text by 板東さえか(FM802 DJ)
担当番組:FM802「Poppin'FLAG!!!」WED.25:00-28:00

豊田穂乃花(FM802 DJ)
レポート

メジャーデビューからちょうど5周年を迎える1日前の9月24日、KANA-BOONが野外ワンマンライブ「ヨイサヨイサのただいまつり!2018 in 堺」を開催した。

この【ただいまつり!】とは、デビュー翌年の2014年に開催された彼らの企画ライブで、前回の泉大津フェニックスから場所を地元・堺の大浜公園へと移し、4年ぶりに開催されることとなった。
今回もライブ本編だけでなく、1日を通して楽しめるよう様々な企画が用意され、メンバープロデュースのフードや、金魚すくいならぬ「ラババーンすくい」など、まさにお祭り。ライブスタートが15時にも関わらず、ブースがあるお祭りエリアでは朝の11時から多くのファンで賑わっていた。

そして迎えたライブ本番。まだ日差しも強く、夏の空気が残る会場に、4年前と同じくオープニングSEの「ソーラン節」が響きわたり、メンバーが登場した。メンバー1人ひとりに大きな拍手と声援が送られる中、1曲目に披露されたのは「A.oh!!」。実は4年前の「ただいまつり!」もこの曲からスタートしており、当時の感動と光景が蘇ってくるようだ。その勢いのまま、「タイムアウト」「1.2. step to you」。Vo.谷口鮪によるMCを挟み、「レピドシレン」「バカ」「Ride on Natsu」とシングルのカップリング曲やアルバム収録曲と普段のフェスなどでは聴けない少しマニアックな楽曲が披露される。イントロが鳴るたびにファンからは歓喜の声があがっていた。そして、KANA-BOON初期から大切にされている楽曲「結晶星」。地元でのライブで緊張していたのか、リラックスしていたのか、歌詞を間違えてしまった谷口が少し照れながら「一緒に歌ってくれ!」とファンにフォローを求めると、まるで5人目のメンバーになったかのような大きな歌声が客席から響き、より一体感が増していく。

続くMCでBa.めしだが先日マッサージに行った時の話をすると、メンバーたちの和気藹々としたツッコミも入り、会場は笑いに包まれる。前半の盛り上がりを少し落ち着かせたその後は「アスター」「街色」「夏蝉の音」と、涼しくなってきた会場に夏の締めくくりにぴったりな楽曲たちを響かせた。

また今回のライブに向けて聴きたい楽曲のリクエストを募っており、その中から選ばれた楽曲は、まだインディーズだった頃に5ヶ月連続リリースしていたシングルの5枚目「僕らはいつまで経ってもさ」に収録されている「Construct Connect」。かなりマニアックではあるが、これもワンマンならではの1曲だろう。長年のファンには当時の感動を、最近好きになったというファンには新しい出会いを届ける、それぞれに楽しめるよう工夫されていた。

さて、お馴染みのGt.古賀隼斗によるコール&レスポンスの時間がやってきた。今回は古賀の「いけるかー!」という声に対して、会場後方から前方にかけて徐々に声を発していくウェーブ方式のコール&レスポンス。「いけるかー!」に対する文言が「いけるよー!」であることに谷口からは「いけるよ、でええんか。」というツッコミが入りながらも、どんどん高まっていくファンの声に応え楽曲が始まった。披露されたのは「彷徨う日々とファンファーレ」。続けて「羽虫と自販機」「パレード」と新旧うまく織り交ぜながら演奏されていく。そして谷口による「今日はマニアックな曲も多かったけど、ここからはみんなが知っている曲やってもいいですか!」という言葉からライブはいよいよ佳境に。「シルエット」「フルドライブ」と大人だけでなく、小さな子どもが飛び跳ねて喜ぶ姿も見え、改めてこの4年での彼らの進化を感じる。凄まじい盛り上がりの中、谷口から「まだまだ」という声が届いたかと思うと、続けて「バトンロード」が披露され、会場の熱気は最高潮へと達した。あっという間に1時間半が経過し、本編ラストを飾ったのは「眠れぬ森の君のため」。4年前の「ただいまつり!」でアンコールを含めたライブの最後に披露された楽曲だ。彼らの始まりの地で、この特別なライブで、このタイミングに演奏される意味がファンにもしっかり伝わっていたのだろう。見守るファンの目には涙もみえた。

本編が終わっても、全く動こうとせず歓声を送るファンに応えてアンコールが始まった。1曲目は先日発売されたB面集第2弾「KBB vor.2」に収録された「盛者必衰の理、お断り (和和和version)」。彼らのメジャーデビュー曲をリアレンジしたこちらは、この日だけのスペシャル和楽器チームを迎えて披露された。そしてお馴染みの''空腹MC''から「ないものねだり」。この2曲で観客をしっかり踊らせたあと、メンバーそれぞれがファンへ向けて感謝の気持ちを伝え、このただいまつり!のために作られた新曲「夜の窓辺から」をラストナンバーに演奏した。先日の西日本豪雨を経て生まれたというこの楽曲は、避けられない悲しみにそっと寄り添い、光をくれるようなあたたかさで、演奏されている間、明日への活力を1人ひとりに手渡してくれているようだった。その後記念撮影が行われ、愛に溢れた空間は幕を閉じた。

Text by 豊田穂乃花(FM802 DJ)
担当番組:FM802「802 Palette」SAT.26:00-29:00

OKMusic編集部

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