【ライブレポート】<Earliest Memo
ries>、「旧友、そしてファンとの再
会の場でした」

3回目の開催となった<EarliestMemories>が2018年9月15日、渋谷TSUTAYA O-WESTで熱い夜を迎えた。出演者は、初参戦の杉本善徳L'luviaに加えて、wyseJURASSICLAIDの5組だ。
チケットは発売開始から、わずか1分でソールドアウトする異例の事態。当日券の販売を行わないという事前アナウンスにもかかわらず、熱狂的なオーディエンスが会場外にも溢れていた。
▲LAID


トップを飾ったのは、大阪で結成されたロックバンドLAIDだ。RYO(Vo)の「なりふり構わず盛り上っていけよ」の言葉から、「CRY BABY'S HEART」「YES」と疾走感あふれるナンバーを連発。本番前のインタビューでRYOはこう語っていた。

「このイベントは、15年間歩みを止めていたLAIDが再び息を吹き返した場所であり、メンバーを引き合わせてくれた大切な舞台なんです。現在の活動(KING)と単純にリンクさせるのではなく、LAIDのライブを行う度に感じることもあって、KINGに活かしたりしています。自分にとってもファンにとっても大切な時間にしたいです」

そして「WANDERER」で、“この広い世界で巡り会えた二人だから、ただ今は君の幸せ信じたいだけ”と長年応援してくれるファンにメッセージを送った。さらに、定番曲「LOVE&DESIRE」「TRANCE」「シグナル」といったナンバーに会場のボルテージは上がり続ける。ミディアムチューン「butterfly」「星に願いを」では、ステージ上部左右に設置された大型LEDパネルが映し出す数々の映像演出に引き込まれるオーディエンスの姿も。ライブはメッセージ性の強い「smile」、会場が一体化とした「IN THE SKY」で終了した。
▲wyse


2番手に登場したのは同じく大阪で結成、20周年に向けて勢力的な活動を展開中のwyseだ。一曲目に演奏された「Feeling」は、かつてデモテープで販売された楽曲であり、結成当時からライブの定番曲。続いて、今年の再録タイミングで楽曲タイトルを変更した「MORAL」(※前曲名「都合の良いモラル」)、さらに、2017年の再デビューアルバムから「Heart」「Break Off」(2018年発売)と新旧織り交ぜた楽曲で会場を盛り上げていく。

「約16年前くらいかな、自分達が上京するときに制作した楽曲で、このイベントに参加して、昔の顔ぶれと触れ合う度に、強く思い出す。自分達にとって大切な曲です」

そうMCで語られたナンバーが「With...」だ。強いメッセージの中に、解散を経験した上で再び歩み始めた彼らの決意が感じられる。ニューシングル「ヒカリ」(9月26日発売)、「Scribble of child」「終わらない夜のマーメイド」といった彼らの真骨頂から、間髪入れず月森のタイトルコールと共にロック曲「Miss txxx」へ。同曲も“Wyse”表記で活動していた時代からお馴染みのナンバーだ。そしてラストは、畳み掛けるかのように演奏された「BLAST」でステージを後にした。
▲杉本善徳


3番手は同イベント初出演の杉本善徳。期待にオーディエンスが騒わつく中、ステージに現れた杉本は冒頭からMCでスタート、彼にしかできないパフォーマンスで会場を笑いで包み込んだ。そのMCでは、今回のイベント出演依頼を受けたとき、初ライブ以降ずっとサポートベースを務めてきた中村泰造のスケジュールがNGだったため、最初は出演を断っていたという。しかし、事前に音と映像を収録して“泰造mk2”を作成することで出演を実現させるという試みが主催間との話し合いで決定。「今回は特別仕様でステージに上がっている」という説明が行われ、演奏の幕を開けた。

1曲目の「オフホワイト」スタートと同時に、“泰造mk2”がLEDパネルに映し出され、いつものバンドスタイルによるライブ演奏が繰り広げられた。この後のMCではL'luviaの代表曲「約束」を絡めたMCが会場の緊張を解いていく。

「僕、L'luviaのサイン会に参加したこともあるんですよ。今日も会場入りしてから、出演者のなかではKAORUさんとしか喋ってない。僕はL'luvia好きなんで、L’luviaファン……もとい、ジュビっ子は、もっと僕を好きになってください。約束だよ!」

また、「この時期の自分にとって大切な曲」と告げて披露された「彼女の唄」をじっくりと聴かせ、「甘党」などライブ定番曲ではペンライトとジャンプで盛り上げるなど、マイペースに見えて緩急を押さえた展開が彼ならではの世界を構築していく。

終盤、「今日、一番演りたくない」という嘘か誠かわからない前フリがあった「ガーリッシュマインド」、このタイトルコールに会場が沸いた。同曲はソロ始動以前のバンド、Waiveの代表曲であり、今もなお奏で続けられているナンバーだ。さらに「フラクタル」「ILOVE YOU」と続け、最後は壮大なバラード「The END.」でステージを終えた。この日は10ヵ月ぶりのステージであり、対バンイベント出演としては3年以上ぶり。久々のステージでもそのエンターテイメントは異彩を放ち、オーディエンス全体を巻き込む力を持っていることを証明した。
▲L'luvia


4番手も初登場のL'luvia。新潟出身の彼らは'90年代放送のテレビ番組で一躍メジャーシーンに躍り出た4ピースだ。人気アニメの主題歌起用で知名度を広げるなど、一般層からコアファンにまで認知されいた彼らが、バンド解散後、時を経てステージに帰ってきた。今回のステージにはKAORU(Vo)とマースケ(B)を中心に、サポートミュージシャンとしてshuji (Dr / Janne Da Arc)、Kenji (G / ex.CLOSE)、mori (G / wyse)が参加。KAORUは現役引退していたため、公の場に姿を現すのも久しぶりということもあって、期待と緊張感に包まれながらのライブスタートとなった。

SEが鳴りKAORU以外のメンバーが登場する中、当時を彷彿させるかのような着ぐるみ2体がステージ上に登場して、場内が一気に和やかな雰囲気に包まれた。そして代表曲「ハッピーカムカム」の演奏が始まった瞬間、KAORUが登場。大きな歓声が上がり、KAORUが照れくさそうな表情を浮かべた。会場に集まったオーディエンスが「ハッピーカムカム」を口ずさむと客席にマイクを向けるKAORU。「SPECIAL I LOVE YOU」へ。着ぐるみ2体がKAORUの後ろで振付を踊るという定番パフォーマンスも微笑ましい。同曲終了後に、着ぐるみの1体にはwyseの月森が入っていたというネタバラが、さらなる笑いを誘った。

「久しぶり! 顔面のコンディションが悪いKAORUです。みんな覚えてくれている? 知らないよね? 今日という日を楽しみにしていました」

その言葉に待ちわびたジュビっ子から「待っていたよ」と声が上がる。KAORUの「約束」というタイトルコールに会場が笑いに包まれたのは、杉本善徳のMCが前振りとして効いていたからだろうか。また、「カラオケに行って(「スキスキマイガール」の)練習をしたけど、どうしても声が出ない部分があるんだよね」と、その部分を歌って笑いを誘う。「この歌えない部分、みんなで歌ってね」と同曲が披露された。

中盤は「So Far Away」から。直後、ドラムインで会場から歓声が上がった。インディーズシーンで活動していた当時からの代表曲「夜空に輝く星を集めて」だ。ファンの大合唱は凄まじく、ライブ後にKAORUが「本当に感動した瞬間でした、みんな覚えてくれてるんですね」と語っていたことも記しておきたい。ラストの「LOVE TRAIN」で、L'luviaの1日限定復活は幕を閉じた。「本当にステージに立って良かった。温かく向かい入れてくれたファンに感謝しかないです」と語ったのは今回の一連の復活を支えたマースケだった。
▲JURASSIC


トリは長崎出身ハードロックバンドのJURASSICだ。2016年から同イベントに一夜限定で参加、今回で3回目の出演となる。当時からのファンはもとより、彼らの音楽に影響を受けた若手ミュージシャンも少なくない。

全員が白い衣装を身にまとって登場した彼らは、1曲目からハードな「One Or Eight」で会場を盛り上げる。続けて「Fuckin'The Truth」「ガッツキまっせ!!!」とアップチューンで会場がヒートアップ。YU+KI (Vo)の茶目っ気たっぷりのMCを挟んで「ZERO」、そして久しぶりに演奏された「ヒポクリティカル ラヴ」など、音楽性の高さを裏打ちする多彩なプレイが続く。「Speed ~Look For Love~」では、メロディアスな一面に彼らの思いが詰まった歌詞が表現されていた。

後半は「Honney」「Go To The Limit」を連発、一夜限定の熱いステージが終した。しかし、その瞬間、巨大スクリーンに映し出された「緊急告知」の文字に場内のどよめきが。結成20周年を迎えたJURASSICが東名阪と地元長崎を廻るツアーの開催を発表したのだ。さらに、名古屋と大阪公演には今回のイベントにも参加したwyseとLAIDの参加による3マン形式でのライブが行われる。

JURASSICのドラマーSHINGOは今回のライブ終了後のインタビューで「ツアーでは新曲を発売します。制作は進んでいて、10月からレコーディングに入りますよ。JURASSICとしては久しぶりの土地に行きます。そして、僕達の故郷(長崎)でもやります。また違った形でJURASSICが表現できると思いますので、楽しみにしておいてください」と自信たっぷりにコメントしてくれた。ツアーもお楽しみに。

5時間を超えるイベントは大盛況のうちに終了した。オーディエンスにとっても出演者にとっても思い出に残る1日になったに違いない。イベント関係者曰く、「来年以降の開催は考えていないが、機会があればイベントの趣旨と沿う形で実施したい」とのこと。また、その時を心待ちにしたい。

撮影◎中田英之

■<Earliest Memories2018>2018年9月15日(土)@TSUTAYA O-WESTセットリスト
【LAID】
01. CRY BABY'S HEART
02. YES
03. WANDERER
04. LOVE&DESIRE
05. TRANCE
06. シグナル
07. butterfly
08. 星に願いを
09. smile
10. IN THE SKY
【wyse】
01. Feeling
02. MORAL
03. Heart
04. Break Off
05. With...
06. ヒカリ
07. Scribble of child
08. 終わらない夜のマーメイド
09. Miss T×××
10. BLAST
【杉本善徳】
01. オフホワイト
02. 浸色
03. 彼女の唄
04. 甘党
05. LIFE
06. ガーリュシュマインド
07. フラクタル
08. ILOVE YOU
09. The END.
【L'luvia】
01. Love&Pork→ハッピーカムカム
02. SPECIAL I LOVE YOU
03. 約束
04. スキスキマイガール
05. So Far Away
06. 夜空に輝く星を集めて
07. LOVE TRAIN
【JURASSIC】
01. One Or Eight
02. Fuckin'The Truth
03. ガッツキまっせ!!!
04. ZERO
05. ヒポクリティカル ラヴ
06. Speed ~Look For Love~
07. Honney
08. Go To The Limit

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