fox capture plan 強烈なアンサンブ
ルで魅せた『CAPTURISM TOUR -KICK
OFF LIVE-』東京公演をレポート

CAPTURISM TOUR -KICK OFF LIVE-

2018.9.8 渋谷CLUB QUATTRO
7枚目のオリジナルアルバム『CAPTURISM』をリリースしたfox capture plan。先日最終回を迎えたドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』と、10月から放送開始のアニメ『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』の劇中音楽とほぼ同時期に制作にしたというエピソードを、当サイトにて行なったインタビューで話してくれていたが、超多忙ながらも、現在の充実ぶりが伝わる内容の濃い1枚となった。そんな最新作を掲げた本ツアーに先駆け、『KICK OFF LIVE』と題したワンマンライブが、京都磔磔、そして今回レポートに入っている渋谷CLUB QUATTROの2ヵ所で開催された。
ソールドアウトで超満員のフロアから大歓声と大きな拍手が沸き起こる中、岸本 亮、カワイヒデヒロ、井上 司の3人は持ち場につくと「Greatest Blue」でライブをスタートさせた。「現代版ジャズロック」と謳っている彼らの音楽性の中でも、この曲は「ジャズ」をキーワードに制作されたもの。クールかつ軽やかに絡み合う3人の音が次第に熱さを増していき、ラストでは壮絶なまでに圧倒的な熱量で叩きつけると、「We are Confidence Man」へ。さらに、音源よりもBPMをあげ、三位一体となって駆け抜けていった「Kick Up」と、オープニングブロックは最新アルバム『CAPTURISM』からの3連発となった。どの曲もかなりエモーショナルに高鳴らされていて、メモをとるために手元のノートに視線を落とすと、その一瞬のあいだに強烈なフレーズやフィルが聴こえて、急いでステージを観るという、まさに目が離せない瞬間のオンパレードだった。

fox capture plan

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曲を終えると椅子から立ち上がり、フロアを煽る岸本。定位置に戻ると、「いいっすねー! 緊張感もありつつ、みんなで空気を作っていくこの感じ」と、楽しそうに話すと、空気が和らいだ。演奏中は圧巻のスキルでフロアを席巻していく3人だが、MCは「しゃべり出したら笑いが起きる(カワイ談)」というぐらい、かなりマイペースで緩めな空気。そんなところも彼らのライブの醍醐味のひとつといえるだろう。
この日のセットリストは、前述のインタビューでも話していた通り、最新作『CAPTURISM』の楽曲と、今までの代表曲の「ハーフハーフぐらい」で構成されていた。オーディエンスのクラップも巻き起こった「RISING」や、そこから間髪入れずに始まった「衝動の粒子」といった代表曲の連打に、大いに沸くフロア。また、タイトルのごとく、生命や魂が巡りゆく壮大な光景を思い浮かべる「Reincarnation」から一転、「閉ざされた青い空間」では、無機質な空間や、内省的で孤独な心象風景を、暗澹とした雰囲気のアンサンブルで描いていく。
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さらに、エフェクティブなベースから幕を開けた「Liberation」や、「Butterfly Effect」「疾走する閃光」「繰り返される時空のワルツは千の夢を語り」とアッパーに突き進んでいったのだが、とにかくアグレッシブに音をフロアへぶつけていく3人。流麗なメロディーを奏でたかと思えば、超速で鍵盤を叩いたり、時折カオスパッド(エフェクター)を使って飛び道具的な音を出したりと、多様なスタイルで魅せる岸本のピアノも、跳ね感のある心地よいものから人力エレクトロばりに激走していくものまでを叩き分ける井上のドラムも、そんな暴れ回る2人をつなぎ合わせながら、呼吸を図って印象的なフレーズを盛り込んでくるカワイのベースも、その熱量たるやとにかく壮絶だった。後のMCで「「Butterfly Effect」辺りで、寿命を削りながらやっているんじゃないかなっていう気がした」と、岸本が笑いながら話していたが、まさにその印象。尋常じゃないほどのエネルギーがステージから放たれていて、ライブハウス然とした凄まじい熱狂と高揚感が場内に渦巻き続けていた。
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後半戦は「Overdrive」を皮切りに、最新アルバムの楽曲を披露。なかでも、心地よいメロディーを響かせた「Because of you」から、岸本のピアノソロを挟み、そこから「Capturism」へと繋げたところが秀逸だった。「ピアノソロ」と聞くと、優雅で美しいイメージを思い浮かべるかもしれない。もちろんそういった部分もあったのだが、前曲のフレーズを少しずつ壊しながら徐々に激情的になっていき、高速変拍子ナンバーへ突入、そのまま一気に駆け抜けていくという構成はとにかくドラマティックで、胸を熱くさせられた。興奮冷めやらぬまま本編ラストでは「Supersonic」、アンコールでは「エイジアンダンサー」を披露し、大熱狂のまま約2時間に及ぶステージの幕が下りた。
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本ツアーへ向けて好調な滑り出しを見せたfox capture plan。ここから各地イベントへ出演した後、10月5日、札幌cube gardenから全国8ヵ所をまわるワンマンツアーをスタートさせる。この日のセットリストは「ハーフハーフ」ということもあり、披露されなかった『CAPTURISM』収録曲もあった。はたしてその楽曲たちはどんな形で繰り広げられるのか。ツアーファイナルはEX THEATER ROPPONGI。是非とも彼らの強烈なアンサンブルを、現場で感じていただきたい。

文=山口哲生
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