【mabanua・山人音楽祭 2018】maban
uaが残してくれた、浮遊感と高揚感入
り混じる余韻

山人音楽祭 2018【妙義ステージ】 mabanua
2日間に渡って様々なアーティストが“妙技”を音に変え、観客へと届けてきた妙義ステージ。その最後を締めくくるのは、音楽プロデューサーでありドラマーのmabanuaだ。プロデューサーとして、これまでに100曲以上の楽曲を手がけ、多数のCM楽曲や映画、ドラマ、アニメの劇伴も担当。また、藤原さくらCharaくるりRHYMESTER森山直太朗ら名だたるアーティストの作品やライブに参加しているだけでなく、海外アーティストとも多数共演している。
そんな彼は、Ovallとしてバンドの顔も持ち、今日はメンバーである関口シンゴをギターに迎えてのステージとなった。入念なリハーサルから、オンステージのまま本編へと突入。1曲目「Fade Away」で一気に空気を自分たちのものにして、涼しい秋風が吹き抜ける心地よさを観客と共に分かち合う。
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さらに、すっかり日が沈み、ステージの灯りやイルミネーションが映える時間帯とマッチした「Blurred」で、より深いところまでどっぷりと潜っていった。形はないけれど確実に感じる、まろやかだけど刺激的な、どうにもこうにも踊りたくなる幸せな時間。これを“分かち合う”と表現すると、アーティストと観客が、となりにいる誰かと、といったふうに別々の誰かと共有する意味になり、それは素晴らしい多幸感が生まれるきっかけのひとつになる。ただmabanuaのステージに関しては、それとはまた違う、なんだかアーティストと観客みんなが、足をつけている芝生だとか、周りを囲む山々だとか、今日の曇天だとか、全てが混ざり合って溶け合い、ひとつになるような、正に“ぼやけた (blurred)”、あいまいな感覚になれる気持ち良さがある。そんな得も言えぬ、包み込まれるような浮遊感を伴った一体感で会場は満たされていた。
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打ち鳴らされていたリズムが止むと、なんともラフなMCへ。群馬県桐生市在住のmabanuaが、地元のFM GUNMAでラジオ番組『mabanuaの50号より愛をこめて』の裏話を語ったり、バンドメンバーの関口を「今日はあんまり喋んないね」とイジったり。桐生のレコード店の話、Charaらが参加したニューアルバム『Blurred』のアナウンスなど、和やかなMCと演奏のループがいつしかヤミつきになった。
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後藤正文 (ASIAN KUNG-FU GENERATION)が作詞を手がけた「Heartbreak At Down」から「talkin’ to you」へと続き、ラストは「Scent」へ。外国人のカップルが手を取り合って踊っていたり、肩ぐるまされた幼い子供が何かを掴もうとステージに手を伸ばしていたり、世代も国籍も問わない、ボーダレスな高揚感がどこまでも広がっていた。グリーンドーム内とはまた違う、自然に囲まれた妙義ステージに似合うライブで、豊かな余韻を残したままステージの幕を閉じた。

文=大西健斗 撮影=タマイシンゴ
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