(C)Universal Pictures

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【映画コラム】ジョンソンの存在を際
立たせるためのアイデアの集積が見事
な『スカイスクレイパー』

 “ザ・ロック”ことドウェイン・ジョンソン主演のアクション大作『スカイスクレイパー』が公開された。
 主人公は元FBI人質救出部隊のリーダー、ウィル(ジョンソン)。ある事件の爆発事故で片足が義足となった彼は、今は香港にある世界最高峰のビル「ザ・パール」に家族と共に住み、危機管理コンサルタントとしてビルのセキュリティーを担当していた。そんな中、謎の一団がパールに大火災を発生させる。ウィルはビル内に取り残された家族を救うために孤軍奮闘する。
 本作の基になったのは、監督・脚本のローソン・マーシャル・サーバーの「世界で一番高い建物で火災が起き、主人公の家族は火災現場より上の階に取り残される。しかも主人公はビルの外にいる」というシンプルなアイデアだったという。
 そこに他のスタッフが「主人公は火災の犯人にされてしまう。だから彼は家族を救うためにビルの中に入る方法だけでなく、犯人を捜して火災を食い止め、自らの疑いを晴らし、ビルから脱出する方法も考えなければならない。しかもたった1日の間に…」という具合に、難題を肉付けしていったらしい。
 というわけで、超高層ビルの火災を描いた『タワーリング・インフェルノ』(74)+ビルジャックに巻き込まれた男が主人公の『ダイ・ハード』(88)+無実の罪をきせられた主人公が逃げまくる『逃亡者』(93)を、ジョンソン一人でやってのけるようなストーリーが展開していくのだが、普通の彼なら面白くないとばかりに、さらに義足というハンディキャップまで付けるところがすごい。
 元プロレスラーのジョンソンは、もちろん大変な肉体派ではあるのだが、1980年代に活躍したシルベスター・スタローンやアーノルド・シュワルツェネッガー、それに続いたスティーブン・セガールやジャン=クロード・ヴァン・ダムなどの格闘家系とも違う、独特のキャラクターを持っている。本作では、重要な小道具となる粘着テープや義足も含めて、どうしたらジョンソンの存在を際立たせることができるのか、というアイデアの集積が面白さの源になっている。
 製作は『GODZILLA ゴジラ 』(14)『キングコング:髑髏島の巨神』(17)、『パシフィック・リム』や『ジュラシック・ワールド』シリーズなどを送り出したレジェンダリー・ピクチャーズ。2016年に中国資本に買収されてからは、作る映画は、大作であるにも関わらず、いかがわしさが漂い始めた。その意味では、1980年代に映画業界を席捲(せっけん)したキャノン・フィルムズをほうふつとさせるところもある。
 となると、レジェンダリーの製作なら、肉体を酷使する“偉大なる大ばか者同士”として、イーサン・ハント(トム・クルーズ)対ザ・ロック(ジョンソン)の対決も可能かもしれない。レジェンダリーならやりかねないと期待したりして…。(田中雄二)

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