『アジア競技大会』の悔しさをバネに
火の鳥NIPPONが『世界バレー』に挑
む!

日本スポーツ界で女性選手が頑張っている。先月、タイで行われた『アジア競技大会』では、競泳の池江璃花子選手が6種目で金メダルを獲得。レース間隔が短い中で、連戦での疲れを克服し、宣言どおりに大会MVPを獲得したことは見事としか言いようがない。ほかにも、サッカーやソフトボールなどでも金メダルを獲得し、日本の戦う女性たちの強さを世界に見せつけた。
そして何より、日本中を歓喜の渦に巻き込んだ、テニスの大坂なおみを忘れてはならないだろう。日本人では初めて4大メジャー(全米オープン)覇者となった快挙を成し遂げ、世界ランキング1位も視野に入れる。現在、『東レ パン パシフィック オープンテニストーナメント2018』に出場しているが、ここでの優勝にも日本中の期待がかかる。
そんな、世界で戦う日本の女子スポーツの原点と言えば、“東洋の魔女”と言われた女子バレーだ。今から54年前には、ソ連との死闘を制して『1964年東京オリンピック』で金メダルを獲得。その魂は今、“火の鳥NIPPON”に引き継がれている。
女子バレー界ではロシアやアメリカ、中国、ブラジルなど、背が高くパワーのある外国勢の台頭があり、お家芸だった日本は一時期低迷した感もあったが、『2012年ロンドンオリンピック』で念願の銅メダルを獲得。表彰台に登ったのは『1984年ロサンゼルスオリンピック』以来のことで、まさにフェニックス(不死鳥)のように日本女子バレーの復活を印象付けた。
2016年にはそのロス五輪の主力メンバーだった中田久美氏を監督として迎え、『2020年東京オリンピック』を目指して新たな戦いに挑んでいる。その大きな指標となるのが、9月29日(土)から始まる『2018女子世界選手権』(以下、世界バレー)だ。2010年以来、実に8年ぶりの日本での開催となり、その戦いには多くの注目が集まるだろう。
『世界選手権』は世界ランキングを決める「FIVB世界ランキング算出システム」において、オリンピックを超えるポイントが付与されるほど重要な戦い。4年に1度の開催のため、オリンピックを目指すチームにとっては、自身の実力を試すうえで絶好の機会となる。
現在の世界ランキング(2017年8月現在)は以下の通り。
1位:中国(330ポイント)
2位:アメリカ(298ポイント)
3位:セルビア(272ポイント)
4位:ブラジル(230ポイント)
5位:ロシア(206ポイント)
6位:日本(182ポイント)
7位:イタリア(145ポイント)
8位:オランダ(144ポイント)
9位:ドミニカ共和国(121ポイント)
10位:韓国(118ポイント)
日本は6位につけているが、先月の『アジア競技大会』では準決勝で韓国に敗れて4位となり、アジア各国の成長ぶりを見せつけられた結果となっている。第1ラウンドで日本はオランダ(8位)、アルゼンチン(11位)、ドイツ(13位)、カメルーン(18位)、メキシコ(26位)と対戦。とはいえ、現在の世界ランキングは2017年8月時点のため、アジア競技大会の結果などは加味されていない。そのため、実力はランキングどおりには受け取れないところがあるだろう。ただ、『アジア競技大会』で地元タイが準優勝したように、ホームアドバンテージがチームの後押しになること必至。火の鳥NIPPONの躍進を期待したいところだ。
日本は1次ラウンドではPOOL Aに所属しており、2次ラウンドではPOOL AとPOOL Dの上位4チームと対戦。上位3チームが3次ラウンドに進出することになる。両プールには世界ランキング上位のセルビア(3位)、ブラジル(4位)、オランダ(8位)、ドミニカ共和国(9位)などが所属しており、勝ち進むにはかなり厳しい戦いを強いられる。しかし、中田監督はすでに対戦相手の対策を講じているだろう。こう考えると、この世界バレーは、チームの“現在地”を知ることができる貴重な大会となるはずだ。
『アジア競技大会』での韓国戦を振り返って、寺廻太女子強化委員長は「得点チャンスに日本らしい粘りが発揮できず、競り合いをものにできなかった。大会を通してブロックが機能せず、ブレイクポイントを取る能力が上位4チームの中で劣っていた。成果を上げることができず、非常に残念である」とコメント。また、日枝神社で今月3日に行われた必勝祈願では、中田久美監督が「アジア競技大会の負けが本当に悔しい。世界選手権でその思いを晴らす。世界選手権ではさらにバレーに没頭する」と話している。
火の鳥NIPPONが『2020年東京オリンピック』でポディウムの真ん中に立つためには、まずこのホームアドバンテージのある世界バレーで結果を出すことが絶対条件。火の鳥が不死鳥になれるのか、その戦いはもうすぐ始まる。

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