写真家/音楽評論家で“フェス男”、
久保憲司が紹介する『朝霧JAM』の魅

カメラマンやライターをやっている久保憲司と申します。日本で一番最初にロックフェスを紹介した人物と言われたりしてます。あの『フジロック』の日高さんが『グラストンベリー・フェスティバル』に初めて行った時一緒に行きました。そんなフェス男が毎年富士山麓 朝霧アリーナ・ふもとっぱらにて開催される『It’ s a beautiful day~ Camp in 朝霧JAM』略して『朝霧JAM』の魅力をたっぷりと紹介したいと思います。
『朝霧JAM』の一番の魅力は、どこにいても富士山を見られるローケションです。見られるというか富士山に守られながら音楽を聴くという楽しさ、音楽と富士山とともに過ごす二日間、日々の嫌なことをすっかり忘れ、元気になって明日から頑張ろうという気にさせてくれます。
(c)SeijiMatsuzaki
昨年(2017年)は滅多に見ることが出来ないとされるダイヤモンド富士が、なんと二日連続で観れたんですよ。今年もダイヤモンド富士が見れるかも、いや見れなくっても雲と霧と朝日によって青い富士山が赤く染まる赤富士、月明かりに照らされ黒富士など写真でしか見たことのない富士山の姿を生で見ることが……いや、いや何の保証もないですけど、相手は自然ですから、富士山が一切見れなくったって、たくさんの音楽ファンと過ごす時間はかけがいのない思い出になります。
『朝霧JAM』に行った人しか知らないこのフェスの一番の魅力は、すべてのバンドが終わって、静かになった時間が訪れ、友達と火を囲みながら、テントの中で、いろんなことをしゃべりながら、会話が途切れたとき、自分の頭の中に浮かぶ“今年の俺はこんなだったな”“来年はどうするかな、どうなるかな”という思い、自分を見つめ直す瞬間を与えてくれるゆっくりしたフェスなんです。フェスというか、キャンプ・イン・フェスなんです。
しんみりしちゃいましたね。色んなデコレーションもあってインスタグラムにアップする写真もきっとたくさん撮れますよ。フェス飯も美味しいと評判です。お子様連れ、犬連れでもストレスなく楽しめます。日本のキャンプ・イン・フェスの老舗だから誰もが安心して楽しめるように気配りされているのです。
それでも、初めてのキャンプは不安という方もたくさんおられると思いますが、ちゃんと準備を整えていれば、もしあなたが困ったとしても、きっと周りの人たちが助けてくれるでしょう。
朝、テントから出て、ちょっと寒いけど、ほんのりと暖かい日の光を浴びながら、“お腹が空いたな、朝ごはん何食べよう”と思いながら、歯を磨いていると、生きててよかったという気持ちが込み上げてくるんです。そんな気持ちにさせてくれるのが『朝霧JAM』なんです。
昨年は“神の年”と言われたラインナップでしたが、今年も『朝霧JAM』らしい、世界中から色々なジャンルのアーティストが集まっています。メインのRAINBOW STAGEと、MOONSHINE STAGEの二つが徒歩でたった10分ほどの距離なのも嬉しいです。会場が広大な敷地の中にあるので、隣接していても音が干渉しないようなステージを組めて、お客さんはステージを気軽に行き来できるのも『朝霧JAM』ならではの魅力です。
GOGO PENGUIN
YO LA TENGO
BOREDOMS
それでは今年のメンツの目玉を紹介していきましょう。6日(土)のRAINBOW STAGEはエイフェックス・ツィン好きからジャズファンまで満足させる、ピアノを中心としたイギリスのトリオバンド、ゴーゴー・ペンギン(GOGO PENGUIN)。オルタナロックの良心、ヨ・ラ・テンゴ(YO LA TENGO)。ギターが3人になってちょっとロックモードに突入しているんじゃないかと思わせてくれる(当日どんなセットになっているか分からないですが)日本が世界に誇るBOREDOMS、この3組が富士の裾野でどんな化学反応を起こすかは絶対見逃せない組み合わせです。
BIGYUKI
TENNYSON

MOONSHINE STAGEは世界のヒップホップ、R&B、ジャズのシーンでも称賛を浴びる日本人セッションプレイヤー・BIGYUKI、カナダからの天才エレクトリックデュオ兄弟・テニスン(TENNYSON)、海外でも評判のいい“NEOかわいいバンド”CHAIなどなど。
OHN BUTLER TRIO+
Snail Mail
clambon
KNXWLEDGE
そして7日(日)のRAINBOW STAGEで注目しなければならないアーティストは、ブルース、レゲエ、フォークやヒップホップ等を独自に解釈、ファンキーな独特のルーツミュージックをプレイするジョン・バトラー・トリオ+(JOHN BUTLER TRIO+)、しかも今回はいつものトリオに“+”がついていることからも分かるように、5人のスペシャルセットです。90年代オルタナへの憧景を持ちながらも今の音を鳴らすボルチモア出身のスネイル・メール(Snail Mail)。20年以上独自の世界を作りながら、いつも新しいファンを獲得してきたclambon。MOONSHINE STAGEはケンドリック・ラマーの作品にプロデュース参加した、LAをベースに活躍する新世代ビートメーカー/プロデューサー、ノレッジ(KNXWLEDGE)など、ダンス、ベースミュージック系が興味を沸き立たせてくれます。
J.ROCC
Jay Daniel
もちろんこれだけではないですよ、ジェイロック(J.ROCC [DISCO/HOUSE SET])、ジェイ・ダニエル(Jay Daniel)、YOUR SONG IS GOOD、前野健太のバンドセット……全24アーティスト、世界中のありとあらゆる音楽、きっと新しい発見があるでしょう。
『朝霧JAM』に行ったことのない人、久しぶりに行こうかななんて思っている人も、今年は富士の裾野に集結しましょう。
文=久保憲司

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