【レポート】五木ひろし、新曲披露&
なかにし礼も登場するメモリアルコン
サートを開催

8月27日、東京・東京国際フォーラム・ホールAにて<五木ひろしメモリアルコンサート~70years さらなる挑戦~>が開催された。3月14日に70歳を迎えた五木。同日、70歳記念として『70years 70songs』というアルバムをリリースしている。この日のコンサートは、『70years 70songs』の収録曲を中心に、1部は昭和の歌、2部は平成の歌を特集するという構成である。

蝉時雨が会場中に鳴り響いた後、五木がグレーのスーツ姿で登場。5,000人の観客が「待ってました」とばかりに大きな拍手で五木を迎え、1979年に発売された「蝉時雨」で幕を上げた。「ようこそ。お暑い中、五木ひろしコンサートへお越しくださいました。本当にありがとうございます」と挨拶。「私は昭和を40年、平成を30年生き抜いて参りました」というトークから、五木が生まれた1948年のヒット曲「憧れのハワイ航路」(岡晴夫)、「湯の町エレジー」(近江俊郎)を披露。続いて、五木が5歳のころに初めて歌った歌謡曲「リンゴ追分」(美空ひばり)、大好きでよく口ずさんだという「ふるさとの燈台」(田端義夫)、最も好きな歌手の代表作「古城」(三橋美智也)、「上を向いて歩こう」(坂本九)、「ああ上野駅」(井沢八郎)、「夜霧よ今夜も有難う」(石原裕次郎)に魂を込めて歌い上げた。多くの世代の耳に馴染んだ多くのヒット曲が、五木の歌唱により新たな感動をもって聴くことができることに興奮させられる。

「そして昭和46年、この歌と出会って、五木ひろしが誕生しました」という語りから「よこはま・たそがれ」が始まると、ひときわ大きな拍手が五木に贈られた。47年前に五木の名を世に知らしめた名曲を、今もなお、圧倒的な歌唱力で歌い続けていることに驚かされる。続いて、五木がギターを弾きながら歌ったのは、フォークソングの「神田川」(かぐやひめ)と、「精霊流し」(グレープ)に、五木の「千曲川」と70年代の名曲が続く。五木は1975年、第26回「NHK紅白歌合戦」にて初めて白組のトリに選ばれ、「千曲川」を歌唱。同曲は1997年の第48回「NHK紅白歌合戦」の大トリでも歌っている。ちなみに、その時の対戦相手は「CAN YOU CELEBRATE?」を歌った安室奈美恵であった。

五木と同じ年齢で、歌手としては1年先輩だという都はるみの歌からは「北の宿から」、1980年のヒット曲の「恋人よ」(五輪真弓)という女性歌手の歌も、五木節で見事に歌い上げた。昭和終盤の曲から選ばれたのは、1984年に発売された「長良川艶歌」。同年の日本レコード大賞を受賞(1973年の「夜空」に続いて2度目の受賞)した、五木の代表曲である。さらに、「人生いろいろ」(島倉千代子)、「乾杯」(長渕剛)で第1部は終了した。
第2部は情熱的な赤のスーツ姿で登場。まずは平成の始まりである1989年にヒットした、「川の流れのように」(美空ひばり)、「酒よ」(吉幾三)、五木の「暖簾」、意外な選曲では、「LOVE LOVE LOVE」(DREAMS COME TRUE)に、「糸」(中島みゆき)と続く。2000年の曲では、五木が第51回「NHK紅白歌合戦」で歌唱した「山河」を披露。同曲は五木が10回目の白組のトリを務めることとなった記念すべき曲である。2004年、「アテネオリンピック中継」の公式テーマソング「栄光の架橋」(ゆず)では、ギターを弾きながら歌い、五木のオリジナル曲とは違った魅力を発揮した。作詞を作家の五木寛之が、作曲を五木が手掛けて2005年に発売された「ふりむけば日本海」などの名曲が畳みかけるように届けられ、会場は熱気に包まれた。2012年に発売された、五木による愛媛県松山市のご当地ソング「夜明けのブルース」では、「♪ここは松山 二番町の店」という歌詞を「♪ここは東京 国際フォーラム」と歌い、観客達を喜ばせた。

ここで、作詞家のなかにし礼が特別ゲストとして登場。なかにしは、8月28日発売の五木の新曲「VIVA・LA・VIDA!~生きてるっていいね!~」の作詞を担当。2012年に食道がんが見つかるも闘病生活を経て克服。9月2日で80歳を迎えた。約4,000曲を作ったなかにしは、「だいたいの感情の起伏については書いた気がしていたんですけれど、たった一つ、人生そのものに向かって、この命というものの尊さを本当に丸ごと肯定したような歌を書いてみたいと思い始めていたんです」と語った。がんが完治した当時を振り返り、「日本という国、大地、空、宇宙、様々なものに対する感謝の思いがどっとこみあげてきて、人が見ていなかったら大地に口づけをしたい思いだったんです」と明かした。なかにしが愛するメキシコの画家のフリーダ・カーロが亡くなる直前に残した言葉「VIVA・LA・VIDA」(※スペイン語で「生きてるっていいね」という意味)を歌にできないかと思ってできた曲だという。五木の妻との偶然の出会いがきっかけで五木夫妻の仲睦まじさを知り「五木夫妻にこの歌を贈りたい」と感じ、ほぼ同じタイミングで五木がなかにしに作詞を依頼したいと思ったという話も奇跡的である。なかにしがステージ上で見守る中、五木がラテン風のメロディに乗せ、「VIVA・LA・VIDA!~生きてるっていいね!~」を歌うと、会場中が充実したような熱い一体感に包まれた。アップテンポのリズムにも心が踊り、思わず口ずさみたくなるような人生賛歌である。
歌い終えた五木は涙ぐむ顔も見せながら「多くの先輩達が、たくさんの良い歌を歌ってきたからこそ、今の自分、歌手・五木ひろしがあるわけです。常にチャレンジをしたいという思いと同時に、そういった歴史を少しでも今の私の時代に継承していければという思いで、ずっと歌ってきております。今日のコンサートはまさにその思いで懐かしい歌から懐かしい歌まで一生懸命歌って聴いていただきました。ご声援、本当にありがとうございました」と感謝を述べた。最後の曲として、「VIVA・LA・VIDA!~生きてるっていいね!~」が繰り返されると、キャノン砲が打ち上げられ、大きな歓声とともに輝く金色のテープが舞い、華やかな終幕となった。

コンサート後のマスコミ向け取材では、「VIVA・LA・VIDA!~生きてるっていいね!~」について、なかにしは「歌が生まれるというのにタイミングというのはすごく大事だなと思いました。五木さんにはアルバムの一曲は書いたことがありましたが、メインの曲は初めてです。長い間顔も知って仲も良いのに、歌が誕生するきっかけというのは、なかなかないものなんですよ。恋愛が始まるみたいなもので(笑)」、五木は「スペイン語バージョンの詞もありますので、さらにラテン調の編曲をしてレコーディングをもう一度しようと思っています。世界に配信したいです。年内には実現したい。僕もこの年だからこそ歌える歌で、先生もこの年齢だから作れた歌。だから年を取るというのは素敵なことなんです。そういうことを伝えたい。私の宿命だと思います」と語った。

「VIVA・LA・VIDA!~生きてるっていいね!~」のミュージックビデオのメイキングは10月1日(月)に、このコンサートの模様は、10月27日(土)に放送予定。

撮影:五木プロモーション / 歌謡ポップスチャンネル

<五木ひろしメモリアルコンサート~7
0years さらなる挑戦~>

2018年8月27日(月) @東京・東京国際フォーラム・ホールA
[ セットリスト ]
01. 蝉時雨
02. 憧れのハワイ航路
03. 湯の町エレジー
04. リンゴ追分
05. ふるさとの燈台
06. 古城
07. 上を向いて歩こう
08. ああ上野駅
09. 夜霧よ今夜も有難う
10. よこはま・たそがれ
11. 神田川
12. 精霊流し
13. 千曲川
14. 北の宿から
15. 恋人よ
16. 長良川艶歌
17. 人生いろいろ
18. 乾杯
19. 川の流れのように
20. 酒よ
21. 暖簾
22. LOVE LOVE LOVE
23. 糸
24. 山河
25. 栄光の架橋
26. ふりむけば日本海
27. また君に恋してる
28. 吾亦紅
29. 南部蝉しぐれ
30. 夜明けのブルース
31. VIVA・LA・VIDA!~生きてるっていいね!~
32. VIVA・LA・VIDA!~生きてるっていいね!~

五木ひろしミュージックビデオメイキン
グ「VIVA・LA・VIDA!~生きてるってい
いね!~」

放送:10月1日(月) 午後5時30分~
歌謡ポップスチャンネル(WOWOW PLUS)

五木ひろしメモリアルコンサート~70y
ears さらなる挑戦~

放送:10月27日(土) 午後4時~ 
歌謡ポップスチャンネル(WOWOW PLUS)

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