L→R 薫(Gu)、Toshiya(Ba)、京(Vo)、Shinya(Dr)、Die(Gu)

L→R 薫(Gu)、Toshiya(Ba)、京(Vo)、Shinya(Dr)、Die(Gu)

【DIR EN GREY インタビュー】
アルバムで完結しない
恐るべき楽曲たち

破壊と構築を繰り返しながら歩みを続けるDIR EN GREY。約4年振りとなる通算10作目のアルバム『The Insulated World』でバンドは再び未踏の領域に踏み込んだ。ツアーの合間を縫って都内に戻ってきたDie(Gu)とShinya(Dr)を直撃した。

2016年から2017年にかけては過去作品をテーマにしたツアーをやっていたわけですが、アルバムに向けての制作というのはその合間を縫って行なっていたんですか?

Die
そうですね。でも、なかなか本腰を入れられずにいて、今年に入ってやっとという感じ。振り返って考えると、「人間を被る」で久しぶりにシングルを作ったことが重要なヒントになっていて。アルバム全体に共通するサウンドのベーシックな部分、構成、シンプルさ、ソリッドさにつながったと思います。以前やってきた、ギターの音を重ねて派手に聴かせるという手法ではなく、いかにベーシックとなるギター2本のサウンドでインパクトを与えられるかを意識しました。いろんなものを削ぎ落としてね。すごく難しい作業でした。

シングルというのはバンドのその時々の状態を表すものであると同時に、アルバムの先行プレビューでもあるわけですよね。

Die
シングルだからと言って必ずしもシングル然としたメロディアスなサビの曲である必要はないし、逆に頭からケツまでシャウトしっぱなしという「Agitated Screams of Maggots」みたいな激しいのだって全然ありだし。シングルにおける課題というのは、“どのようにしたら一般層に今の自分たちの音を聴かせられるか”というところですね。そこを意識したことで、こういうアルバムになったと思うんです。次のアルバムのヒントになり得るか否かを意識しながら作ることで、そこに導かれていった自分たちがいるんです。

サウンドの面で言えばソリッドではあるけど、どの曲も決してメタルではないんですよね。

Die
自分が持ち込んだ「Rubbish Heap」は最初はもう少しメタル色が強い感じでした。今回は自分たちが思うメタル感を排除していこうという流れで作っていたんで、最終形に行き着くまでに数々の変化を遂げましたね。既聴感があるものは避けたいので、自分たちだけの音を求めてギターとベースのフレーズを変えていって。でも、歌だけは最初から変わらないんですよ。うちは基本的に歌が一番早い。まず最初に歌詩とメロディーが決まって、それを聴いて“だったらこうしてみようか”とこちらも変えてみたり。
Shinya
プリプロの段階でヴォーカルから刺激を受けてドラムに反映させることは頻繁にありますね。

京さんのヴォーカルアレンジの凄まじさに舌を巻きました。予測不能なフレーズの連発で。

Die
自分らも毎回驚かされてますよ。薫くんもそう思ってると思うんですけど、曲を作っている時に“一応これがイントロで、ここから歌が入ってくるだろうな”っていうのをある程度考えつつ展開を作っていくんだけど、京くんは想定外の場所に歌を入れてくる面白さがあって。“このリフでよくこういう歌が乗るな”っていう。そこから曲の構成を変えたりしますね。

また、リズムセクションの音像が太くなったことにも気付きました。

Shinya
今回は本当に大きいスタジオばかりで録ったのが大きいですね。なので、ドラム本来の音にこだわった作品に仕上がっていると思います。

では、楽曲について話しましょう。曲順は無視して、まず本作でもっとも長尺の「絶縁体」から。

Shinya
完全に出来上がったのが録りの朝だったので瞬発力で乗り切りました。展開が多いので、その都度違うモードに切り替えて。
Die
以前はイントロからケツまでの起承転結を強く意識しながら作っていたことがあったけど、今回はそこへのこだわりを捨てることで、アルバム全体を大きなひとつのものとしてとらえられるんじゃないかと。これもそんな曲のひとつですね。

展開の多さは他の曲にも言えることですね。それは2〜3分の短い曲でも。

Shinya
「谿壑の欲」ももともとはもっとゆったりだったのがアルバム曲が出揃っていく中でアレンジが変わって、結果どの曲にも速い部分があるという。「Devote My Life」も当初はこんなに速くなかったですね。録る時は譜面を置いているんでいいんですけど、ライヴまでにはしっかり憶えないと(笑)。

Dieさんが持ち込んだ「赫」はアルバムの中盤、ターニングポイントとなる曲と言えますね。

Die
ベーシックのリフから作っていく曲が多かった中、これはコードから広げていって。それもあって、この位置に来るんだろうなって。ここからまた世界が変わっていくという。
Shinya
今回自分のプレイで好きなのはこの曲です。

そして、ラストはアルバムのリード曲である「Ranunculus」。

Die
MVの世界観も含めて、すごく深い曲。ライヴでやっていても一番体に染みるというか。曲自体はシンプルだけど奥深くて、まだまだ奥があるなという気がしていて。この曲がアルバムの最後にあることで、いろんな想いが巡らされますね。1曲目からいろいろな道があって、最後にこの曲で救われたのか救われてないのか…それぐらい広い世界観を感じさせます。
Shinya
第一印象はシンプルだけど、同時に新鮮な印象でしたね。
Die
最初はもう少し明るめできれいな印象だったんですよ。イントロのシンセももうちょっとポップで。そこに暗さを足していった感じ。見え方が全然変わりましたね。

そんなアルバムのツアーが来年3月に予定されていますが、どんなものになりそうですか?

Die
バンドのサウンドをもう一度メンバーでしっかりと共有して、ここからどう変えていくかですね。すでにライヴでやっている曲も、まだやっていない曲もさらに化けていくでしょうし。ここからがスタートです。
Shinya
3月までに曲を憶えられるかな…。
Die
憶えてよ(笑)。

取材:金澤隆志

アルバム『The Insulated World』2018年9月26日発売 FIREWALL DIV.
    • 【完全生産限定盤(Blu-spec CD2+特典CD+特典Blu-ray)】
    • SFCD-0229〜31 ¥9,000(税抜)
    • 【完全生産限定盤(Blu-spec CD2+特典CD+特典DVD)】
    • SFCD-0232〜4 ¥8,000(税抜)
    • 【初回生産限定盤(特典CD付)】
    • SFCD-0235〜6 ¥3,400(税抜)
    • 【通常盤】
    • SFCD-0237 ¥3,000(税抜)

『DIR EN GREY TOUR19 The Insulated World』

3/15(金) 神奈川・CLUB CITTA' ※“a knot”only
3/20(水) 東京・Zepp Tokyo
3/29(金) 宮城・東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)
3/31(日) 北海道・Zepp Sapporo
4/04(木) 福岡・Zepp Fukuoka
4/06(土) 愛媛・松山市総合コミュニティセンター
4/12(金) 広島・JMSアステールプラザ 大ホール
4/15(月) 東京・新木場STUDIO COAST
4/16(火) 東京・新木場STUDIO COAST
4/19(金) 愛知・Zepp Nagoya
4/25(木) 大阪・なんばHatch
4/26(金) 大阪・なんばHatch

DIR EN GREY プロフィール

ディル・アン・グレイ:カテゴライズ不能かつ不要なロックバンド。1997年の結成当時から全米デビューを果たした現在に至るまでの間、音楽的にも視覚的にも変化を重ねてきた一方で、徹底的に自分たちのロックを追求しようとする姿勢は変わっていない。いくつものトレンドが生まれては消え、消費されるだけの音楽が存在理由を失っていく中、彼らの創造するものがジャンルや国境の壁を超えながら共鳴を集めている理由は、まさにそこにある。DIR EN GREY オフィシャルHP

L→R 薫(Gu)、Toshiya(Ba)、京(Vo)、Shinya(Dr)、Die(Gu)
京(Vo)
薫(Gu)
Die(Gu)
Toshiya(Ba)
Shinya(Dr)
アルバム『The Insulated World』【完全生産限定盤(Blu-spec CD2+特典CD+特典Blu-ray)】【完全生産限定盤(Blu-spec CD2+特典CD+特典DVD)】
アルバム『The Insulated World』【初回生産限定盤(特典CD付)】
アルバム『The Insulated World』【通常盤】

アルバム『The Insulated World』
トレーラー映像

「Ranunculus」MV
(Promotion Edit Ver.)

OKMusic編集部

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