【ライヴレポート】
『AIR JAM 2018』
2018年9月9日
at ZOZOマリンスタジアム
2018年9月9日 at ZOZOマリンスタジアム
スタジアムを埋める3万5,000人の観客が、Hi-STANDARDのラストナンバー「MOSH UNDER THE RAINBOW」をともに歌い踊り、空に大きな花火が何発も何発も上がる。ステージ上はこの日の出演者総出演で大騒ぎ。こんな風景、観たことない! こんな歓喜と幸福があふれる場所、他にない! こんな感動、味わったことない! あまりに美しすぎる奇跡みたいな光景に、僕は喜びと興奮と感動で溢れる涙が止まらなかった。
9月9日(日)にZOZOマリンスタジアムで開催された『AIR JAM 2018』。ハイスタが活動を休止した、『AIR JAM 2000』から18年。日本のロック史に大きな足跡を残し、たくさんの人の人生に多大な影響を与えた伝説のフェスが、あの地で再び行なわれた。僕を含めた全ての観客や出演者がいろいろな気持ちを抱き、全国から集結したこの日。フェスの主催者であるハイスタの意を受けて、トップバッターを務めたBRAHMANは鬼気迫る歌と演奏で圧倒し、地震で出演も危ぶまれたSLANGは北海道民の気持ちを背負った渾身のアクトを届ける。
アウェイと言える大舞台で、たったひとりで闘う姿が胸を打ったKOHH。SiMやHEY-SMITHは『AIR JAM』から受けた多大な影響を音楽と言葉で表し、マキシマム ザ ホルモンや10-FEETは『AIR JAM』への熱い想いを歌と演奏に込めて観客と分かち合う。“まさか俺たちが『AIR JAM』に出るとは”と喜びを語ったTHE BIRTHDAY、トリ前という重圧も跳ねのける堂々としたステージで魅せた04 Limited Sazabys。陽もすっかり落ち、『AIR JAM』への愛をしっかり感じる各々のアクトに十分すぎるほど気持ちが高まったところで、ついにHi-STANDARDの登場。
アリーナ、スタンドともに総立ちの大歓声の中、ステージに登場したハイスタ。全ての人に送る「Dear My Friend」で始まる堂々としたステージングで魅了すると、「Summer Of Love」で会場を揺らし、「Starry Night」の大合唱で一体感を生みと、序盤からスタジアムを完全掌握。「My First Kiss」や「MY HEART FEELS SO FREE」といった、たまらない曲が続き、難波章浩(Vo&Ba)のどっしりしたベースとタフで伸びやかな歌声、横山健(Gt&Vo)のザクザク刻むギターと心地良いコーラス、恒岡章(Dr)の突き上げるビート。3人の歌と音が絶妙に絡み合い醸し出す、ハイスタでしかない演奏に酔いしれていると、この時間が一生続けば良いのにとさえ思う。
全ての世代に送る「All Generations」、“俺ら、生きていくんでよろしく”と宣言した「Fighting Fists, Angry Soul」、“何回でもやってやろうじゃねぇか”と熱い想いを込めた「Another Starting Line」と一曲一曲に強いメッセージを込めて楽曲を届けると、ラストは「Brand New Sunset」で美しい風景を描く。アウトロで横山がひとりステージに残り、感傷的なギターでたっぷり余韻を残したまま本編を終えると、会場を温かい拍手が包んだ。
天災や政治不信に苦しむ日本にエールを送る「STAY GOLD」で始まったアンコールでは、“みんながつながっていけば、すげぇパワーになるのを感じてくれた?”と『AIR JAM』を開催した意義を語り、“ものすげぇパワーを証明するわ”と会場中の大合唱で始まった、渾身の「FREE」で完全燃焼し、「MOSH UNDER THE RAINBOW」で奇跡みたいな光景を生み出す。ハイスタに青春を燃やしていた元キッズ、ハイスタに間に合わなかった若い世代、ハイスタの影響で音楽を始めたバンドマン…この日会場に訪れた人それぞれに現在があって、それぞれに日々の生活があって、またこうして集まってつながって、気持ちをひとつにすることができる奇跡と喜び。それぞれが“俺の『AIR JAM』”と思って集ったこの日、僕を含む全ての人がいろんなことを考え、大事なことを思い出す機会になったはず。音楽が生む圧倒的な力を受け取り、こんな奇跡みたいな日が再び訪れることを信じることができれば、僕らはまた明日から頑張れる。この日、この場所に立ち会えて、本当に良かった。
撮影:岸田哲平、本田裕二、TAKASHI KONUMA、半田安政(Showcase)、Kohei Suzuki
取材:フジジュン
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