SURVIVE、20周年記念ワンマンを明日
9/17実施「特別な演出や仕掛けも」

結成20周年を迎えた国内メタル・シーンの雄、SURVIVEの最新アルバム『IMMORTAL WARRIORS』が快調な滑り出しをみせている。
今作は同バンドにとって通算7作目となるものだが、去る9月12日の発売以降、バックオーダーが止まらない状況にあるという。名盤との声も高かった前作『HUMAN MISERY』の発表からちょうど3年を経ているわけだが、ファンの飢餓感がどれほど高まっていたかがうかがえる。そして重要なのは、この『IMMORTAL WARRIORS』がその前作をも凌駕する彼らの本領発揮作であり、メンバー自身もそれを確信した状態にあるということだろう。
バンドの中心人物であるフロントマンのNEMO(Vo,G)は「控えめに言っても、最高傑作としか思えない」と言いながら、次のように語っている。

「正直、20年やってきて、これほどの満足感というのは初めてです。どんなに良いものを作れたつもりでいても完成と同時に“もっとこうしておけば”というのが出てくるのがミュージシャンとしては常ですが、今回はそういった感覚というのも皆無。やれることすべてをやったし、この感覚を味わうのに20年かかったか、という気さえするくらいです」
彼にとって長年の相棒的存在であるSINJILOW(B)もまた「これまでいろいろな局面で試してきたさまざまなこと、自分たちが経験してきたことの数々が、ここにきて活きてきたし、トータルな意味で満足感を味わえている」と言い切る。また、前作の制作途中からの参加となったGAKU(G)は、「今回は、自分たちだけでどこまでできるのかという挑戦でもあり、3人で作ったものとしての純度がとても高く、クリエイティヴ面での充実感がものすごくあった」と、制作過程を振り返っている。

少しばかり補足しておくと、バンド内最年少であるGAKUにとって、楽曲アレンジ段階から関わっていた前作『HUMAN MISERY』と同作に伴う世界規模のライヴ活動は、彼自身にとって“SURVIVEの色と流儀”を学ぶプロセスとなり、エンジニアとしてのノウハウも持つ彼は今作において作曲面で3曲を提供しているのみならず、ミックス段階においてもその手腕をいかんなく発揮している。バンドは現在、正式ドラマーを欠いた状態にはあるが、それを少しも痛手とすることなく本作の制作に取り組んできたのだという。
NEMOは、そのGAKUの貢献度の高さを認めながら、「今作は本当の意味でのセルフ・プロデュースによるもの。前作ではサウンド面などで外国人の力を借りたところもあったけども、正直、そういったことの効果がさほど顕著に出たとは思えなかったし、ならば自分たちだけでやってみたかった」と語っている。また、アルバム1枚を通してのドラマティックな壮大さがあった前作に対し、今作は比較的コンパクトで攻撃的な楽曲がぎっしりと詰まった作風になっているが、それについては以下のように述べている。

「自分の大好きなヘヴィ・メタルをやり続けるという意志があると同時に、毎回同じような作風ではありたくないし、常に自分なりに新しい挑戦をしていきたいという気持ちがある。生きているなかで得てきたもの、発見してきたものをどんどん反映させていきたい。実際、今回は曲が形になっていくスピードもすごく早かった。3月のヨーロッパ・ツアー終了後、4月から本格的に曲作りを進めて6月に録るという流れは時間的にはタイトだったけども、山あり谷ありだったヨーロッパ・ツアーでの経験が新鮮なうちに、それをインスピレーションとしてこのアルバムに活かすことができたと思う」

その欧州ツアーは、約1ヵ月間ほぼ毎日ライヴという過密スケジュールで行なわれ、彼らはこの場には書ききれないような修羅場を含む紆余曲折を経てきたが、その日常のなかで味わってきたさまざまな葛藤やフラストレーションから、大好きな音楽をプレイし未知のオーディエンスと熱を分かち合える喜びに至るまでのすべてが、この新作アルバムにとってのエネルギーとなったのだった。
そしてもちろん、彼らの視線は未来に向かっている。NEMOが「今回のアルバムを作るにあたって頭のなかにあったのは“これからの自分たち”。20年やってきて今を生きている自分たちとして、これからさらに世界を目指していく、という気持ちがこの作品に繋がった」と言えば、GAKUはその発言を受けて「SURVIVEとしての過去を持たない自分は、未来しか見ていなかった」と言い、「自分が書いた曲がこの場で起こす化学反応を楽しめた」と語る。そしてSINJILOWは「時間的に余裕はないのに気持ちには余裕があるという不思議な感覚でもあった」と、従来以上にアグレッシヴな今作が、実は意外なほどリラックスした空気のなかで制作されていたことを認めている。それもまた、外部からの雑音をシャットアウトした状態で、集中力をもって彼らが本作に取り組んできたからこそだろう。

そしてSURVIVEは、9月17日(月/祝)、東京・渋谷CLUB ASIAにて、20周年記念のワンマン・ライヴを実施する。NEMOは「このライヴが終わったら、自分が“燃え尽き症候群”になることがわかっている」と笑う。そんな言葉からも意気込みの半端なさがうかがえる。彼はさらに、次のように語っている。

「せっかくのワンマン。普段よりもたっぷり演奏できるから20周年に相応しい全体を網羅した内容にしたいと思うし、当然ながらニュー・アルバムからも演奏する。その日だけの特別な演出や仕掛けも用意しています」

このアニヴァーサリー・ライヴが、ふたつのディケイドを独力で生き抜いてきたSURVIVEならではの屈強さを存分に味わうことのできる機会になることは間違いない。実際、『IMMORTAL WARRIORS』に伴うツアー自体は2019年に入ってからの実施となる予定だとのことなので、まずはこの機会にしか味わえない今現在の“20年を経てきた、2018年のSURVIVE”を存分に堪能したいところである。

取材・文◎増田勇一
撮影◎畔柳ユキ

■<SURVIVE 20th Anniversary ONE MAN LIVE>

9月17日(月/祝) 東京CLUB ASIA
開場18:00 / 開演18:30

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