X JAPANが尽きぬ夢を示し、HYDE、オ
ーラルらの躍動に完全燃焼! テレビ
朝日ドリームフェスティバル 2018・
1日目

■テレビ朝日ドリームフェスティバル 2018・DAY1 2018.9.15 幕張メッセ
THE ORAL CIGARETTES (c)テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平
トップバッターはTHE ORAL CIGARETTES。恒例の4本打ちにて「まるで僕にとっても夢のフェスティバル!」と声を弾ませる山中拓也(Vo/Gt)は、どうやらかなり昂ぶっているよう。それもそのはず、後にMCで触れたように、この日共演したX JAPANHYDEは彼にとって、音楽を始めるきっかけとなった存在なのだ。
THE ORAL CIGARETTES (c)テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平
しかし、憧れに目を輝かせるためにここへやってきたわけではない。そんな彼らなりの気概が十分に伝わってきた。まず冒頭には、今年リリースのアルバム『Kisses and Kills』収録曲を続け、最新モードを提示。フロント3名が一気に花道へ躍り出るなど動きも付けつつ、開放感抜群のサウンドで大会場を席巻する。中盤には、先輩バンドへの敬意を示しつつ「黄金期を創ったバンドのようにみんなをワクワクさせたい。その先頭を引っ張るバンドになれるよう俺らも頑張っていきたい」と宣言。その想いを「Flower」に託した。また、内省的でドロッとした一面を覗かせることも忘れない。「マナーモード」では、ミステリアスなバンドサウンドだけでなく、山中の動作・禍々しい映像・極彩色の照明など、視覚的要素も汲み込んでみせる。この日披露した数曲の奥に潜む、よりディープな世界の片鱗をうかがわせたのだった。
THE ORAL CIGARETTES (c)テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平
ラストには、日本各地で災害が続く昨今の状況に触れ、「ReI」を捧げた。全体としてこの日の彼らは、THE ORAL CIGARETTESというバンドおよび自分たちの世代がやるべきことと、真正面から向き合うようにライブをしていた印象。「BKW」(番狂わせ)を掲げる彼らが何故それを有言実行できるのか、その理由が垣間見ることができた。
GLIM SPANKY (c)テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平
オリエンタルなSE(「Gower Wassail」)が流れ出すと場内がすっと静まる。歪んだギターが静寂を断ち、炸裂する重厚なバンドサウンド。GLIM SPANKYのライブは「愚か者たち」から始まり、スケールの大きなコーラスが導く新曲「ハートが冷める前に」、「闇に目を凝らせば」などヘヴィな楽曲が続く。松尾レミ(Vo/Gt)と亀本寛貴(Gt)の2人にサポートメンバーを加えた5人の布陣、互いの距離感は普段とほとんど変わらず、派手な演出や特効もほぼ無かったが、松尾の歌声からはいつにも増して安定感とキレを感じたし、亀本はフレーズも音色も自在な演奏で熱い視線を集めていく。
GLIM SPANKY (c)テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平
音の凄みやリフで押す曲が並んだ前半を終え、一転してGLIM SPANKYの楽曲が持つメロディセンスの秀逸さに触れることができた「All Of Us」では、優しさや温かみを増して聴こえる松尾の歌声がアリーナを満たす。「好きなものを好きと言えるままでいたい、と思って作った曲」という松尾の紹介から、彼女の私小説的な曲でありライブには欠かせない「大人になったら」へ。ドリフェス然りフジロック然り武道館ワンマン然り、この1年で一段と大きなステージに立つことの増えたGLIM SPANKYだが、好きなものを好きと言い、好きな音を鳴らし、好きに楽しんでくれと言う、そのやり方はずっと変わっていない。
GLIM SPANKY (c)テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平
広大なアリーナに向けてロックンロールが高らかに打ち鳴らされた40分間ののち、いつものように「ありがとう、GLIM SPANKYでした!」とギターを軽く掲げ、颯爽とステージを後にした。
ゴールデンボンバー (c)テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平
ゴールデンボンバーのライブは「僕クエスト」でスタート。多展開のサビ、忙しなく変わるメンバーの振り付けが目を惹く「欲望の歌」では、鬼龍院 翔(Vo-karu)が観客に対し「ついてこれなくても大丈夫だからね!」と呼びかけた。彼はMCでも「自由に楽しんでほしい」と伝えていたが、そのメッセージは、型破りなパフォーマンスをする彼らが言うからこそ説得力が宿るものだ。
ゴールデンボンバー (c)テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平
MCでは歌広場 淳(Be-su)がコール&レスポンスで盛り上げたほか、喜矢武 豊(Gita-)がX JAPAN・YOSHIKIの伝説的なエピソード「シャワーが熱くて帰った」などを紹介し、「きっと高級車で帰っていったんだろうなあ」と漏らす。また樽美酒 研二(Doramu)は、スケルトンのドラムに対する憧れを語った。彼らのライブの場合、この何でもなさそうなトークが次の展開の布石になっているから油断ならない。ということで「抱きしめてシュヴァルツ」が始まると、スクリーンには、楽屋で火花のシャワーを浴びる喜屋武の姿が。そして樽美酒は全身透け透けの衣装にチェンジ。その格好はあまりにも際どく、もしも『MUSIC STATION ウルトラFES 2018』の生中継が入るのが今日だったとしたら、さぞかし大変な事態になっていたことだろう。自動車型のおもちゃを運転してアリーナを走る喜屋武は、同曲が終わってもなお戻らない。しかし構わず次の曲を始める鬼龍院はマジで容赦がないし、それができるのはエアバンドだからこそだ。
ゴールデンボンバー (c)テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平
樽美酒歌唱曲「タツオ…嫁を俺にくれ」などを経て、ラストは「女々しくて」をみんなで踊って大団円。強引に、だけど確実にみんなを笑顔にしてしまう彼らの腕っぷしはやはりすごかった。
凛として時雨 (c)テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平
次に登場するのが凛として時雨であることを告げるVTRに場内が沸き立つも、暗転したまましばらくジーッというノイズだけが響き、それはやがて唸りをあげるTKのギターフレーズに変わった。赤く染まったステージに淡々と刻まれるスクエアなビートとベース、テクニカルなギターフレーズが踊る。「DIE meets HARD」から「abnormalize」へ。Xファンを公言するピエール中野(Dr)が胸元に“YOSHIKI”と入ったTシャツを着ていたが、特に言及は無し。途中でTKが自己紹介した以外、ひたすら演奏を続ける。
凛として時雨 (c)テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平
今更言うまでもないが、圧倒的なスキルと手数が実現する、3ピースが出しているとは到底思えないサウンド、TKと345(Vo/Ba)のツインボーカルが繰り出す超ハイトーンの応酬、どこを切り取っても時雨にしか出し得ない音は、瞬く間に会場を制圧する。「おお……かっこいい……」と、曲が終わった瞬間に感嘆の声をこぼした観客がいたが、全くの同感だ。
凛として時雨 (c)テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平
レーザーが乱れ飛ぶ中、サビの掛け合いが鮮やかだった「Who What Who What」、音の隙間を活かしてノせる「I was music」、幾度となくビートを変化させ疾走する「nakano kill you」……あっという間のラストナンバーは「Missing ling」だった。じっくりとした展開を見せるバラードだが、途中から豹変、獰猛なサウンドが牙を剥く。TKが何度も刹那的にシャウトしたあと、囁くように<ねえ 残ってる>とラストフレーズを歌い終えたところで、暗転。そのまま終演。幕間のコーナーのためアナウンサーが出てきて初めて、ライブが終わったことに気づいた人も多かったようだが、そこまで含めて最高だった。

■HYDE
HYDE (c)テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平
今年6月にソロ名義では12年半ぶりのシングルをリリース。以降、精力的に活動中のHYDEがドリフェスに参上だ。ステージに現れた彼、そしてサポートバンドの面々は揃って仮面を着用。しかし1曲目「FAKE DIVINE」を終え、銀髪を振り乱しながらヘドバンするHYDEが顔を上げた時には、その仮面は既に外されていた。なんて華麗なオープニングシーンだろう。スクリーンには露わになった瞳が大映しになる。
HYDE (c)テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平
獣が如くバンドサウンドを乗りこなすHYDEの歌声は、時には水の滴るほど甘く、時には光る刃のように鋭い。それに魅せられ圧倒されているうちに、セットリストが進んでいってしまうような感覚だ。しかし一転、曲が止んでいる時の彼はとてもチャーミング。例えば、曲間に観客のシンガロングを煽った際には、その歌声に「かわいい♪」と返す。そしてしまいには、自身の歌をそこに重ね、「HONEY」へと繋げるサプライズも敢行してみせるのだ。もちろんこれにはみんな大喜び。客席からは大きな歓声が上がった。なお、終盤には「みんなも嬉しいでしょ。だってXと一緒だよ?」「ちょっと練習しとこうか」と、みんなでXジャンプをする場面もあった。
HYDE (c)テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平
「AHEAD」「RISE UP」といったVAMPS名義の楽曲はいずれも壮絶の展開を極め、強烈な爪痕を残していった。そしてラストは「MIDNIGHT CELEBRATION II」。観客に対しては「お前たちのスゲーところ見せてくれよ! Xの半分でいいから(笑)」なんて言うのに、自分の方は全身全霊のシャウトをしてみせるなんて、いや、それはズルいでしょう。ヒラヒラと手を振りながら去る姿含め、ぐうの音も出ないカッコよさだった。

■X JAPAN
※X JAPANのライブ写真は後日追加となります
『テレビ朝日ドリームフェスティバル2018』初日のトリを飾るに相応しい、まさに“夢”のステージを観た。
開演前から「WE ARE」「X」コールを繰り返しながら待ち受けた観客たちは、その登場に割れんばかりの歓声で応える。「Miracle」をバックに流れるワールドツアーのハイライトシーンが、ドリフェス会場の映像へと繋がり、キャノン砲とともに「Rusty Nail」がライブの始まりを告げた。PATA(Gt)とSUGIZO(Gt/Vn)は初っ端から左右の花道へと進み出て両翼を形成している。豊かな声量でハイトーンを響かせるToshIがマイクを向ければ、アリーナ中からコールが起きる。
セットリストには90年代の代表曲はもちろん、再結成以降の楽曲もバランスよく配されており、「HERO」での瑞々しいバンド感と「BORN TO BE FREE」の王者の風格漂うスタジアムロックぶりの対比など、1時間のライブの中であらゆる表情を見せてくれた。とりわけ、YOSHIKI(Dr/Pf)とToshIの2人で届けた「Forever Love」からの中盤の流れは圧巻。映像内のHIDEがイントロを奏でた「紅(KURENAI)」では、「紅だー!!」のシャウトとともにテープキャノンが発射されるなど、早くも最高潮の様相を呈する中、速射砲のようなYOSHIKIのドラムが会場を撃ち抜き、PATAとSUGIZOのユニゾンソロが炸裂。会場全体は大合唱の渦だ。
MCでコーチェラ・フェスのエピソードを語った後、HIDEやTAIJIも海外進出が夢だった、とこの世を去ったメンバーに言及して、「HIDEとTAIJIの夢も活かし続けるために、これからも頑張っていく」「解散してた時もずっと(ファンが)応援してくれたから、今の自分があると思います。本当に感謝しています」と言葉を詰まらせながら語ったYOSHIKIが、鍵盤に指を置く。曲は「ENDLESS RAIN」だ。
<過ぎ去った日の思い出を 夢に写す/Until I Can’ t forget your love>
ピアノの調べに、歌うようなHEATHのベースが寄り添い、若き日のメンバーやHIDE、TAIJIの姿がスクリーンに流れ、客席では涙を拭う姿も多く見られた。
最後は「X」。万単位のオーディエンスによるXジャンプで幕張メッセが揺れる中、SUGIZOがYOSHIKIの背後まで回って笑いあったり、ToshIがPATAと絡みながら歌ったり。最後はフロアまで降りたYOSHIKIが檄を飛ばしての「WE ARE」「X」の大合唱ののち、限界突破したボルテージのままフィニッシュ。「Say Anything」が流れる中、YOSHIKIとToshIが手をつないで花道を駆け出すと、次いで他のメンバーもセンターステージへと向かい、全員でラインナップ。何度も何度も万歳を繰り返し、久々の日本でのライブを終えた。
フェスとはいえ、まるで短めのワンマンを観たように錯覚するくらい濃密なライブで、圧倒的な力量を見せてくれたX JAPANはやはり、これからもずっと我々に“夢”を抱かせ続ける最強のロックバンドだった。

取材・文=蜂須賀ちなみ(THE ORAL CIGARETTES、ゴールデンボンバー、HYDE)/風間大洋(GLIM SPANKY、凛として時雨、X JAPAN)
撮影=岸田哲平

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