L→R 小林 勝(Ba)、甲本ヒロト(Vo)、真島昌利(Gu)、桐田勝治(Dr)

L→R 小林 勝(Ba)、甲本ヒロト(Vo)、真島昌利(Gu)、桐田勝治(Dr)

【ザ・クロマニヨンズ
インタビュー】
“レインボーサンダー!”って叫ぶと
技の名前みたいだよね(笑)

12枚目のアルバムは『レインボーサンダー』。“虹”と“稲妻”という対照的なものが合体したタイトルは、ポップさと攻撃性、カラフルとモノトーン、平和と戦争…など、両極にあるものを想起させる。このアルバムの内容もまさしくそんなイメージであり、親しみやすさと尖ったサウンド、メロディアスで爽快なロックンロールに彩られた極上のナンバーが揃っている。

“君、もうちょっとソロ弾いたら?”
って周りの人から
ずっと言われてて(笑)

アルバムも12枚目になりますけど、今回はいつ頃から制作に取り掛かったんですか?

真島
前回のツアーのあと、1カ月ぐらい休んだんです。そのあとから始めました。
甲本
今回は結構、休んだよね。何もしてなかったし、どこにも行かなかった。
真島
1カ月も何もしないと、本当に嫌になっちゃうんですよ(笑)。バンドで音を出すのが楽しくてやってるわけだから、あまり期間が空いちゃうと余計なことを考えてしまって。“俺、大丈夫かな?”とか(笑)。
甲本
飲みすぎた次の日の朝の嫌悪感みたいな。
真島
そうそう(笑)。あと、思いがけずレコードを買いすぎてお金を使っちゃった時、“ヤバいな、俺”って。別にヤバくないんだけどね(笑)。

休み明け、もとの感覚を取り戻すのが大変とか?

真島
最初はね、久しぶりにメンバーに会うとちょっと照れたりして、何も喋らないです。慣れるまで恥ずかしくて(笑)。
甲本
不思議だよね、ツアー中はずっと一緒にいて濃密なわけでしょ? それが1カ月会わなくて…そのあとは、ただ会うだけじゃなくて自分の“持ち曲”を聴かせるわけじゃないですか。やっぱり緊張する。自分ではいいなと思っていても不安になるんですよ。駄作なんじゃないかと思って。

休み明けの最初の曲は緊張します?

甲本
緊張しますよ。だから、なるべくすんなりいきそうな曲を持って行って、課題がありそうな曲は置いとく(笑)。2分ぐらいの、1回聴いたらすぐ覚えられる曲にしておく(笑)。
真島
2~3曲目までは恥ずかしいから大声で歌ってごまかす、みたいな(笑)。

今回、マーシーさんの曲はAメロにリズムが特徴的な曲が多いですよね。「ミシシッピ」「ファズトーン」とかそうですけど、最初からリズムパターンの決まったギターありきで曲ができているんですか?

真島
「ファズトーン」は最初に作った時から適当にスカのリズムをギターで弾いてて、そうしたらいつの間にかできていた感じでした。

「ミシシッピ」はギターソロがしっかり入って、そのあとハープのソロがカッコ良いですけど、最初からイメージしていたんですか?

真島
うん、“君、もうちょっとソロ弾いたら?”って周りの人からずっと言われてて(笑)。
甲本
俺もよく言われる。
真島
ヒロト、ソロがないとずっと歌ってるわけだから(笑)。
甲本
大変なんです。例えば1時間半のライヴでソロがなかったらずっと歌ってるんです(笑)。マーシーが酷いのはさ、自分の曲にギターソロをあまり入れないで、“ここはハーモニカソロを入れよう”って言うんだよ。そうしたら俺は歌ってすぐハーモニカ吹いて、酸欠になりそうで(笑)。みなさん、「ナンバーワン野郎!」をハーモニカ吹きながら歌ってみてください(笑)。

「サンダーボルト」は今回の中ではわりとゆったりした曲ですね。

甲本
何年も前からあった曲で駄作だと思っていたけど、ちょっといじればバンドに持って行けるという気配が急に来たんですよ。そうしたら、ほとんどいじらないで駄作のまま持って行くことになり(笑)、こんな感じになりました。

あと、「恋のハイパーメタモルフォーゼ」はコーラスが強烈ですね。“かかってこい!”って入っていて。

甲本
あれはひとりで曲を作っている時から入っていたんですよ。みんなに曲を聴かせる時からやっていて、“何をやってるんだろう?”って思っていたと思う。でも、みんなでやると楽しかったですね。本気でかかってこられたら困りますけど(笑)。

「モノレール」のコーラスも印象的でした。

甲本
4人でひとつのマイクに向かってワーッと歌ってる時、何とも言えない楽しい打ち上げ感があるんです。メロディーがあっても、ただワーッとシャウトするだけでも、4人で肩組んでやってる感じがいいんですよ。男の世界。

演奏とは違う意味での高ぶる感じなんですか?

甲本
演奏はそれぞれの役目があって、それぞれのことをやってるでしょ? でも、コーラスは全員が同じことをやる、それが部活感があって楽しいんですよ。

「東京フリーザー」の“オイオイオイ”っていうのも今となっては新鮮ですね。

真島
あれはベースのコビーくん(小林 勝の愛称)が、ここは“オイオイオイ”でしょって言い出して。“あ、そうなの? じゃあ、やってみよう”ってやったら楽しかったから採用。
甲本
みんな何かやりたいんだよ。ウキウキでやってるもん。

ライヴでお客さんも参加しやすいですからね。

甲本
なるべく難しいことはやらず、ユニゾンでやってます。

最後の「GIGS(宇宙で一番スゲエ夜)」はまるでバンドの原点を思わせるような曲ですね。昔のライヴハウスの景色が浮かんできて。

真島
そうですね、昔の渋谷のセンター街にあった屋根裏とかね。あそこ、下の階がキャバレーだったよね。
甲本
ビルの4階にあるのにエレベーターがないから、アンプを運ぶのが大変だった。“ツインリバーブってこんなに重いんだ!?”って思った。

当時の気持ちを思い出して書かれたんですか?

真島
そんなたいそうなものでもないんだよね。

“GIGS”というタイトルにしたのは?

真島
70年代の終わり頃にパンクが出てきた時、パンクの人たちってライヴのことを“ギグ”って言ってて。たぶん、ほとんどの日本人が初めてライヴすることを“ギグする”って聞いたんじゃないかな。
甲本
バンドが集まるイベントは“何とかギグ”って言ってたよね。
真島
イギリスにはあったみたいですけどね。“ギグ”って言葉。

OKMusic編集部

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