LACCO TOWERホールワンマンツアー初
日をレポート~正直ホールでの彼らの
ライブは想像を超えた素晴らしいショ
ーだった

LACCO TOWER「若葉ノ頃」発売記念ホールツアー2018「五人囃子の新時代」2018.9.8@高崎市文化会館
結成から16年。今や老若男女、幅広い層のファンを持つLACCO TOWER。その層が揃って来やすく楽しめる会場。立ってノッても良し、座って聴き浸っても良しなロケーション。全体をキチンと把握でき、メンバー各人の一挙手一投足を見逃させないシチュエーション。どこからでも観やすく眼前でくり広げられているような臨場感。広いステージを活かした演出や照明とメンバー各位のフォーメーション。ステージ上、外問わず各メンバーが縦横無尽に動けるアクティヴィティ。そして、もともと心に入り込んでくるタイプの楽曲性も手伝っての想像を超えた身近さ…。LACCO TOWER史上初の全国ホールツアー。その初日にして、単独ライヴのワンマンとしても初のホール公演となった、地元・群馬県・高崎市文化会館で行われたライヴは、上述を全て満たした実に満足のいくものであった。と同時にそれは、彼らはホールでも充分に通用することの立証と、それが似合い、映えるバンドでもあったことも実証してくれた一夜でもあった。
LACCO TOWER 「若葉ノ頃」発売記念ホールツアー2018「五人囃子の新時代」 2018.9.8@高崎市文化会館
「LACCO TOWER ホールツアー2018「五人囃子の新時代」」の初日が大成功を飾った。会場の高崎市文化会館は、ベースの塩﨑啓示とキーボードの真一ジェットが高校生時代にライヴを行ったこともある縁&思い入れのある会場。ロックファンの中では、同じ群馬県出身である、あの伝説のロックバンド「BOØWY」の初のライヴ映像作品『BOØWY VIDEO』での会場としても名高い。場内を見渡すと、今回のニューアルバム『若葉ノ頃』にちなみ、緑色を着ている人もちらほらと目にする。また、このツアーでは小学/中高校生は特別に求めやすいチケット価格にて提供。結果、この日は従来のスタンディングで多く目にしてきた客層に加え、上にも下にもそのすそ野を広げていたのも印象深い。
かねてから来たる日を夢想していたのではないだろうか?当日は「ホールならでは」なシーンが次々と展開され、我々はそれらに度々驚かされ、感心し、更にライヴへとのめり込んでいった。
LACCO TOWER 「若葉ノ頃」発売記念ホールツアー2018「五人囃子の新時代」 2018.9.8@高崎市文化会館
この日はオープニングから驚かされた。あえて詳細は避けるが、まさかというスタイルとフォーメーションにいきなり気持ちが高ぶり、ニューアルバム『若葉ノ頃』の世界観へと惹き込まれる自分が居た。
まずは「やってきたぜ高崎~!!」とボーカルの松川ケイスケがシャウト。新時代の幕開けの宣言を放つ。まさにこの日は、『若葉ノ頃』に収録された各曲と会場との光合成が楽しめた一日。楽曲たちが植物やその葉だったとしたら、まさしくお客さんは水や光。各楽曲がそれらと有機的な交合を見せ、葉はより瑞々しさや新鮮さを得、逆に会場は新しい栄養素や新鮮な酸素といった新たなる自身の糧と化させていた。
LACCO TOWER 「若葉ノ頃」発売記念ホールツアー2018「五人囃子の新時代」 2018.9.8@高崎市文化会館
この日は『若葉ノ頃』の楽曲が中心に展開された。「若葉」がライヴを走り出させ、いきなり、「今を共に歩いて行こう」「もう離さないから!」と誓えば、健気さを会場いっぱいに広げていった「非英雄」、「蜜柑」の持つ8ビートがライブを走り出させる。また、雅やかに染み渡っていき、それでいてサビでは疾走感と共に会場を走り出させた「薄荷飴」、背中を押すための歌「雨後晴」では、色々あった負の出来事を吐き出させるように一緒に会場も歌い、その歌を雄々しく響かせた。それら魅せる部分もしっかりと伺えたのもホールならでは。こと真一ジェットのピアノは、より優雅にエレガントに雅やかに叙情的にとホールならではの響き方をし、彼ら特有の「美しさ」をより引き立たせれば、細川大介のギターもアルペジオではより叙情性を帯び、各曲ふんだんに披露されたツインリード感も伴ったギターソロには更なる景色感を伴わさせた。
LACCO TOWER 「若葉ノ頃」発売記念ホールツアー2018「五人囃子の新時代」 2018.9.8@高崎市文化会館
いつもよりもいい意味でゆったりといい時間を過ごせ、まさに各曲をより味わうことが出来た感のある、この日。ベースの塩﨑啓示とドラムの重田雅俊のリズム隊も各曲を、時に支え、時に引っ張るに留まらず、「前面に魅せる」場面も多々用意しており、それらが飛び出す毎に会場からは喝采が起こった。そして、転調が多用され、その感動をより際立たせていたのも印象的な『若葉ノ頃』だったが、その転調は、このようなホールではより映えることも発見。切ない女心が歌われた「切手」では会場中が、その別れのラストシーンを思い浮かべ、その最後と思しき手紙にしたためた想いに気持ちを同化させ、忘れないように心に焼きつけるがごとく歌われた「最果」では、ホールの隅々にまでその愛しすぎて苦しい想いが届けられていく。
LACCO TOWER 「若葉ノ頃」発売記念ホールツアー2018「五人囃子の新時代」 2018.9.8@高崎市文化会館
「自分たちが地元で、しかもホールでライヴが出来るとは思ってもみませんでした。今日この日を迎えるまで色々とキツく、正直しんどくなることや悩むこともあった。だけど、今日このステージに立って、それでも信じて進んできたのは間違いじゃなかったことを改めて確信しました。今後自分たちは、この沢山の自信で、みなさんをどこか遠く、素晴らしい世界まで連れていかなくてはならないと今日心底感じました」とライヴのMCで語った松川。「狂喜乱舞」では、彼らの奇譚性や怪人、魑魅魍魎性が楽しめ、大丈夫と何度もいってくれているように響いた、誰かの愛情が誰かのものになることを信じさせる「愛情」では、満場もハミングをリフレイン。温かい気持ちにさせてくれた。
LACCO TOWER 「若葉ノ頃」発売記念ホールツアー2018「五人囃子の新時代」 2018.9.8@高崎市文化会館
「僕たちは変わらないために変わり続けていかなくちゃいけない。みなさんも何かあったら、どうか我々のことを思い出して下さい。これからも我々は自分たちの音を鳴らし続けていこうとみんなの顔を見て改めて思いました。味方でいてくれてありがとう」(松川)。感謝の気持ちをホールの隅々にまで染み渡らせた6/8のロッカバラードに乗せた「花束」では、この素敵な夜に感謝すらした。
LACCO TOWER 「若葉ノ頃」発売記念ホールツアー2018「五人囃子の新時代」 2018.9.8@高崎市文化会館
彼らはこの日を皮切りに、9月16日愛知県芸術創造センター、9月17日大阪サンケイホールブリーゼ、ファイナルの9月24日の東京は昭和女子大学人見記念講堂まで、このホールツアーを行う。そして、打って変わり10月からは、「LACCO TOWER 「若葉ノ頃」発売記念ライブハウスツアー2018「五人囃子の新時代」」と題したツアーも準備されている。『若葉ノ頃』で新しい葉をつけた、その若葉たちが、この後のホールで、そしてオールスタンディングでの、より近距離での密着戦で、お客さんたちとどのような光合成をなすのか?ホールの初日を終えたばかりでやや気が早いが、今からそれがとても楽しみだ。
ただとにかく、このホールツアーでのLACCO TOWERを是非目撃してもらいたい。
LACCO TOWER 「若葉ノ頃」発売記念ホールツアー2018「五人囃子の新時代」 2018.9.8@高崎市文化会館
取材・文=池田スカオ Photo By 鈴木公平

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