ルーシー・カークウッド『チルドレン
』がいよいよ東京開幕へ、高畑淳子「
心の糧になる芝居を演じたい」

米ブロードウェイ、英ウエストエンドで大反響を呼んだ話題作『チルドレン』が、2018年9月8日(土)彩の国さいたま芸術劇場で日本初演を行い、同月12日(水)には東京で開幕、以降、豊橋・大阪・高知・北九州・富山・宮城へと巡演していく予定だ。出演は、日本を代表する実力派俳優、高畑淳子、鶴見辰吾、若村麻由美。演出は栗山民也が手掛けている。
脚本のルーシー・カークウッドは、1984年生まれのイギリス演劇界期待の若手女流作家だ。彼女が執筆した『チャイメリカ』は、アメリカ人写真家が、1989年に天安門広場で戦車の前に立ちはだかった男の軌跡をたどりながら、現代のアメリカやそこで暮らす外国人が抱える問題をひも解いた意欲作で、2014年ローレンス・オリヴィエ賞最優秀作品賞を受賞した。2019年2月には、やはり栗山の演出による日本上演が予定されている。
そんな注目のカークウッドが英ロイヤル・コート・シアターの招きで書き下ろした本作=『チルドレン』は、ブロードウェイ、ウエストエンドでの上演成功を受けて、今春シドニー・オペラハウスでも上演された。2018年第72回トニー賞では、BEST PLAY(演劇作品賞)と演劇助演女優賞(ヘイゼル役のデボラ・フィンドリー)の 2部門にノミネートされた。なお、カークウッドの作品を上演するのは、日本では本作が初となる。
大地震、津波、原子炉の停止……2011年に福島で起きた原発事故と酷似する内容だが、ユーモアやウィットに富んだ日常の会話を通じて、浮かび上がるのは、普遍にして壮大なテーマだ。多くの過ちを繰り返し、染みだらけになったこの地球で、今を生きる私たちは、生まれ来る未来の子供達の為に何ができるのか、人類の「叡智」が問われる挑発的な問題作となっている。
『チルドレン』 (撮影: 尾嶝 太)

2018年9月12日(水)世田谷パブリックシアター公演の前日には出演者の会見が行われた。以下に紹介する。

高畑 敦子
埼玉公演では、お客様がとてもじっくり観てくださっている暖かい感じがしました。3・11に触発されてイギリス人の劇作家が書いた作品です。災害が続いている「今」だからこそ、この舞台をやる意味があると思います。重苦しい内容だけの作品ではないので、気軽に見に来ていただきたいです。この3人で舞台をやれることに本当に感謝しています。心を込めて、人が生きていく日常を丁寧に演じたいです、生きている全ての方々に、心の糧になるお芝居を演じたいです。
鶴見 辰吾
脚本を読んだ時、難しいテーマだと思いましたが、行き着くところは我々の日常で、どういう風に生きていくかが描かれているのだと感じました。毎日、高畑さんと若村さんのお2人に会うのが嬉しくて、稽古場に行くのが本当に楽しみでした。北海道の震災に対して、自分は直接は何もできず歯がゆい思いをしていますが、俳優として命をかけてこのお芝居をすることが使命だと思っています。普段の生活、日常を送れるということが、どれだけ大事かを考えさせてくれるお話です。ぜひ、劇場でご覧いただきたいです。
若村 麻由美
様々なテーマは内包しつつも、ユーモアにも溢れたお芝居なので、気軽に観に来て頂きたいです。感謝の気持ちを持って、この作品のメッセージをシンプルに伝えられるように3人で頑張りたいです。人類が勇気を振り絞って立ち向かう姿を、次の世代の方へのメッセージとして受け取って頂きたいですね。見所は、いくつもあって、想像を絶するようなスリリングな場面や、なぜ私の演じるローズが高畑さんと鶴見さん演じる夫婦の家に訪ねてきたのかが徐々に明かされるサスペンス的な要素もあり……。何回も観たくなるお芝居だと思います。舞台の中で、海の底から教会の鐘の音が聞こえると言うくだりがあるのですが、それは鎮魂や、そして人類が再生していく力を意味しているように感じます。謹んで捧げて演じたいです。

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