【ライブレポート】PUSHIM主宰・Gro
ovillage、大盛況のレーベルイベント
で豪華コラボも続々

PUSHIMが主宰するレーベル“Groovillage”のイベント<GROOVE VILLAGE 2018>。多彩なアーティストが出演し、刺激的なセッション、コラボレーションも繰り広げられたこのイベントの模様を早速レポートする。
恵比寿リキッドルームの2Fは「DANCE VILLAGE」、1Fは「LIVE VILLAGE」。2つのスペースで並行して様々な音楽が鳴り響いたこのイベントは、全ての観客にとって夢のような空間だったに違いない。バーカウンターで談笑したり、椅子に座ってくつろいだり、PUSHIMと韻シストの集合写真の顔部分をくり抜いたボードで記念写真を友だち同士で撮りあったりもするなど、皆がマイペースに楽しんでいた会場内は、和やかなムードが隅々にまで漂っていた。1Fの「DANCE VILLAGE」は、高橋マシ/DJ Fencerからスタート。まだ14時だが、フロアは瞬く間に夜のクラブのような雰囲気となった。流れてくる音楽に耳を傾けながら、ドリンクを片手に身体を揺らす人々の姿が実に楽しそう。そんなひと時を経て、ライブのトップバッターを飾ったのはPUSHIM×韻シスト。ステージを覆っていた幕が開き、レーベルメイト同士であるPUSHIMと韻シストのBASI(MC)、サッコン (MC)、TAKU(G)、Shyoudog(B)、TAROW-ONE(Dr)の姿が現れると、観客の間から歓声が上がった。「そんじょそこらのライブショーケースじゃないんで。相当ひねってるから」(BASI)。「最後まで楽しんでいってください。始めようか!」(PUSHIM)──彼らの挨拶の言葉を経て、最初に披露された「TO THE NEXT」。グルーヴィーなバンド演奏、キレ味抜群のラップ、何時間だって耳を傾けていたい歌声が融合する様を目の当たりにした観客は、早くも恍惚の表情を浮かべて踊りだした。続いて「Dreamin’」と「Don’t stop」も披露されて、ますます熱い様相を呈したフロア。BASIは「大阪で同じくらいのキャリアの“韻”と付くグループがいます。紹介していいでしょうか?」と観客に呼びかけた。そして、ステージに登場したのは韻踏合組合。普段の彼らのライブはDJスタイルだが、最初の2曲は韻シストの楽器隊との共演となった。4MCのスリリングなラップが全開で炸裂した「一網打尽」。ポップコーンのようにフロアで跳ね回る人々を続発させた「ポップコーン」──強力なサウンドに彩られた彼らのラップは、実にエネルギッシュだった。
通常のDJスタイルに戻った後は、MCバトルも途中に盛り込みつつ、観客を沸かせていた韻踏合組合。彼らに続いてステージに現れた韻シストは、「On & On」と「PARTY SIX」を披露した後、最初のゲストとしてヒューマンビートボクサーのAFRAを招き入れた。「みんなをレコード部屋に連れていきたいです」と言った彼は、ヒューマンビートボックスで、まるで魔法のように様々な音を我々に聴かせてくれた。レコード部屋のドアを開ける音、レコード針を盤に落とす音、アナログレコードのノイズ、スクラッチ音、ホーンの音……などなど、ものすごい技が次々飛び出して、観客は大喝采。そして、韻シスト×AFRAで「Rapper’s Delight」と「Old school-lovin’」が届けられた後、もう1人のゲストとしてルンヒャンが登場。韻シスト×ルンヒャンで最初に披露されたのは、昨年リリースされた韻シストのアルバム『Another Day』で両者がコラボレーションした曲「Touching The Sky」。機嫌の悪い女性役のルンヒャンを彼氏に扮したTAKUとBASIがなだめる寸劇を経て「不機嫌なガール」でも共演が実現して、観客は大喜びしていた。そして、「踊るtonight」と「Don’t worry」が観客を大いに踊らせた後、韻シストのライブのラストを飾ったのは「Don’t leave me」。観客のハンドクラップも加わり、最高の一体感を生んだこの曲を歌い終わると、「後半戦もまだまだ行けますか!」と観客に呼びかけて、彼らはステージを後にした。
BIG BLAZE WILDERSがヒップホップやレゲエのナンバーをたっぷりとプレイしてフロアを温めた時間を経て、後半戦はMagnum Records所属アーティストのRUDEBWOY FACE、RUEED、AKANE、KILLANAMIによるパフォーマンスからスタート。多彩なレゲエナンバーが情熱的に歌い上げられた。「Magnum Lyrics」では、HOME GROWNがバックバンドを務めて観客は激しく興奮。その直後には、さらなるお楽しみが待っていた。「ASOBITAI」のイントロをHOME GROWNが奏でる中、ステージに合流したのは、なんとPUSHIM! 大喜びした人々が掲げた腕が、フロアの全面で勢いよく揺れる光景が壮観。続いて「COMAGAIN」でもHOME GROWN、PUSHIM、Magnum Recordsの面々との共演が実現して、夢のようなひと時となった。
「ここからはレゲエの時間。始めましょうか!」というPUSHIMの紹介で、ステージに登場したPAPA B。スタイリッシュな黒いスーツを身に纏い、ハットを被っている姿がかっこいい。HOME GROWNの演奏で「片手にマイク」「Zero Zero Zero」「Zoot Suits」などを連発し、高速歌唱、ユーモラスなフレーズも交えつつ我々を魅了してくれた彼は、「今日の主人公を紹介したい。昔から一緒にやってる大事なシスター!」と言った。ステージに登場したPUSHIMがPAPA Bと一緒に歌ったのは、2003年にリリースされたPUSHIMのアルバム『Pieces』の収録曲「雨のバンドネオン」。PAPA Bがプロデュースを手掛けたこの曲を、2人が並んで歌っているのを観られるのは、とても贅沢なことだった。続いて披露された「Money Can’t Buy」では、PUSHIMのライブでコーラスを務めているCHINOも加わり、会場全体が温かい昂揚感で包まれていった。
「PAPA Bに大きな拍手を! 今日は来てくれてありがとうございます」と観客に呼びかけて、PUSHIMのライブがスタート。演奏を務めたのはHOME GROWN。オープニングを飾った「In My Village」の神々しい光に溢れていくような歌声には息を呑まされた。続いて「FOREVER」「Light Up Your Fire」「このルートじゃなくてもゴールはある」「ナナメにキメるSTYLE」……曲が披露される毎に、観客の間に幸福感に満ちたムードが広がるのを感じた。「音楽でもっと心を自由にしようよ!」とPUSHIMが言ってスタートし、コール&レスポンスも交えて観客との温かい一体感を生み出した「THE FREEDOM ROCK」。登場したUCHIKO、KIYO、MAIのレゲエダンサーとPUSHIMが一緒に踊った「Feel It」を経て迎えたインターバル。彼女は抱えている想いを語った。「音楽と共に心を自由にして、一生懸命に生きることを私はこれからもやっていきます。音楽の神様、ありがとう。みなさまの幸せも祈っております」という言葉を添えて届けられた「I pray」は、清らかな祈りのように響き渡っていた。そして、ラストを飾ったのは「夕陽」。終盤で観客の大合唱が起こると、彼女はとても優しい笑顔を浮かべて、一際力強く歌声を響かせていた。
「来ていただいてありがとうございます。素晴らしいパフォーマンスに拍手をお願いします!」──自身のライブを終えて挨拶をしたPUSHIM。すると韻シストのメンバーたちがステージ上に登場。『GROOVIN TIME』という名前が付けられていたこのコーナーは、出演者たちによるコラボレーションが連発された。まず披露されたのは、韻シスト×韻踏合組合、通称“韻シスト組合”による「一丁あがり」。途中で、このイベントに遊びに来ていたCOMA-CHIも加わってラップをするというスリリングな展開となった。そして、「もっとやりたい。HOME GROWNの音が聴きたい。もう1曲いきましょう!」とPUSHIMが言ってスタートした「In This Together」は、PUSHIM、RUDEBWOY FACE、RUEED、AKANE、PAPA B、RANKIN TAXI、YUFIが次々と合流して歌うという怒涛の展開に。そして、その後の『ルンヒャンの部屋』と名付けられていたコーナーでは、さらに自由なセッションが連発された。「ここからはゆるいタイムに入ります」とPUSHIMは言っていたが、本当に何も決めていなかったらしい。キーボードを弾きながら「ティッシュマンズ」を歌うことになったルンヒャンに、HOME GROWNのYukky(Dr)、韻シストのShyoudog(B)、コーラスとしてCHINOが合流したのを皮切りに、ZIN(PUSHIMの「THE FREEDOM ROCK」のコーラスで参加したシンガー)、AFRA、韻シストのTAKU(G)、さらには遊びに来ていたラッパーDAIAやNulbarichのJQ(ルンヒャンに頼まれてドラムを叩くことになった)……などなども加わり、何が起こるかわからないセッションが繰り広げられた。

1F「LIVE VILLAGE」でDJ Fencer、2F「DANCE VILLAGE」でBIG BLAZE WILDERSがプレイをして締めくくられた『GROOVE VILLAGE 2018』。9月に突入して、既に通り過ぎかかっていた夏を極上のグルーヴで少し引き止めたかのような、夏の延長線とも言うべき素敵な熱量にあふれたイベントであった。

文◎田中大
撮影◎@_24young_
セットリスト

2018年9月9日(日) 東京・恵比寿リキッドルーム
<PUSHIM×韻シスト>
1.TO THE NEXT
2.Dreamin’
3.Don’t stop

<韻踏合組合×韻シストBAND>
1.一網打尽
2.ポップコーン

<韻踏合組合>
1.王手
2.マスターピース
3.リアルゴールド
4.RHYME OR DIE
5.ファイトマネー
6.ヤバスギルスキル10
7ビートモクソモネェカラキキナ
8.MCバトル
9.揃い踏み
10.前人未踏
11.百戦
12.FOR THE RAPPER

<韻シスト>
1.On & On
2.PARTY SIX
3.Rapper’s Delight(韻シスト×AFRA)
4.Old school -lovin(韻シスト×AFRA)
5.Touching The Sky(韻シスト×ルンヒャン)
6.不機嫌なガール(韻シスト×ルンヒャン)
7.踊るtonight
8.Don’t worry
9.Don’t leave me

<Magnum Records(RUDEBWOY FACE、RUEED、AKANE、KILLANAMI)>
1.BABYLON BWOY(RUEED)
2.WARRIOR(RUDEBWOY FACE)
3.BoSS RuN DeM(AKANE)
4.おまたせ(RUEED)
5.EMPEROR SELASSI-I(RUDEBWOY FACE)
6.Shoot to Kill(RUDEBWOY FACE,RUEED,AKANE)
7.RUDEGYAL(AKANE)
8.BIG LOVE-KINGSTON JAMAICAメドレー(RUDEBWOY FACE)
9.PON DI CORNER(RUEED)
10.UNO FI MOVE(RUDEBWOY FACE)
11.M.O.V.E(AKANE)
12.ブレないDEEJAY(RUEED)
13.MATERMIND(RUEED)
14.BEDROOM(AKANE,RUDEBWOY FACE)
15.RUDEBWOY DON’T CRY(RUDEBWOY FACE,RUEED)
16.Slow Wine(AKANE)
17.夜なんて(RUEED)
18.Magnum Lyrics(RUDEBWOY FACE,RUEED,AKANE)
19.ASOBITAI(RUDEBWOY FACE,RUEED,AKANE feat.PUSHIM)
20.COMAGAIN(AKANE,RUDEBOWY FACE,RUEED feat.PUSHIM)

<PAPA B>
1.Intro
2.片手にマイク
3.Zero Zero Zero
4.Zoot Suits
5.LIVE UP&RISE~いざゆきなメドレー
6.O-HI-GE-GA-NA-I
7.Wi Fi
8.雨のバンドネオン feat.PUSHIM
9.Money Can’t Buy feat.PUSHIM/CHINO
10.Tora Tora Tora

<PUSHIM>
1.In My Village
2.FOREVER
3.Light Up Your Fire
4.このルートじゃなくてもゴールはある
5.ナナメにキメるSTYLE
6.THE FREEDOM ROCK
7.Feel It
8.I pray
9.夕陽

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