じっとして観ていられない! 観た者
すべてを笑顔にする『ジャージー・ボ
ーイズ』チームWHITE ゲネプロレポー

2018年9月6日(木)、東京・日比谷シアタークリエにて『ジャージー・ボーイズ』ゲネプロ(総通し稽古)が行われた。この日はチームWHITE(中川晃教中河内雅貴、海宝直人、福井晶一)が登場し、本公演さながらの舞台を披露した。その模様をレポートしよう。
ステージ左右には大小さまざまなTVモニターが積み上げられ、これから始まるザ・フォーシーズンズの物語と彼らが生きた時代を映し出そうとしていた。
ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』ゲネプロより
ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』ゲネプロより
ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』ゲネプロより
ニュージャージーの片田舎で、天使の歌声を持つフランキー・ヴァリ(中川)が、成功を夢見る兄貴分のトニー・デヴィート(中河内)とニック・マッシ(福井)のバンドグループに迎えられる。鳴かず飛ばずの日々が続く中、作曲の才能あふれるボブ・ゴーディオ(海宝)が加わり、過酷な下積み生活を経て、ついにボブの楽曲と4人のハーモニーが認められ、彼らのバンド=ザ・フォーシーズンズはスターダムに。だが、輝かしい活動の裏には多額の借金、グループ内の不仲、フランキーとメアリー(綿引さやか)の夫婦生活の破綻など、様々な問題を抱えていた。積み重なった問題はやがて大きな亀裂となり、グループを引き裂いていく。
成功と挫折…その先で彼らが見たものとは―。
ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』ゲネプロより
ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』ゲネプロより
『ジャージー・ボーイズ』の魅力は、劇中に使用される数多くの楽曲とそれを生バンドの演奏の中、歌い上げる4人のハイクオリティな歌唱力にあるだろう。低音を支える福井、中音域をイキイキと彩る中河内と海宝、そして神がかり的なハイトーンで楽曲に光を与える中川。それぞれが高い力量を持っているだけでなくこの4人が魅せる美しいハーモニーがさらに楽曲の力を倍にしていくのだ。それはまるで“耳供養”と言えるくらい、身体のどこかに残ってしまった様々な世俗の「雑音」が、この数時間ですべて浄化されるようでもあった。
4人は日本版初演時にも出演したメンバー。このゲネプロでも非常に安定感をみせていたが、その一方でさらに攻めていこう、もっともっと良い作品を作りたい、という姿勢も感じさせていた。
ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』ゲネプロより
ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』ゲネプロより
ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』ゲネプロより
ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』ゲネプロより
と、つい歌の話に終始してしまいがちな本作だが、そこにザ・フォーシーズンズの栄光と波乱の物語が描かれているからこそ、極上の音楽がさらに輝きを増すことを忘れてはいけない。作り込まれたストーリーと適切に配置された極上の音楽。この二つがバランスよく両立した稀有なミュージカルだからこそ、観る者の心を揺さぶり拍手を贈りたくなるのだ。
通常の芝居のゲネプロでは、上演中も終演後も取材陣などの「観客」は比較的静かで、冷静に芝居を観て、劇場を後にする。が『ジャージー・ボーイズ』は違った。上演中に拍手や歓声、指笛もなり響き、最後はスタンディングオベーションでキャストたちと共に盛り上がっていた姿が印象的だった。かくいう自分もカメラを構えている事が耐えられないくらい、興奮と感動を感じていたのだ。
劇場を後にする彼らの顔はこの上もなく笑顔にあふれており、今回の『ジャージー・ボーイズ』も、きっと多くの観客の心を掴んで離さない名作となる予感がした。
取材・文・撮影=こむらさき

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