WANIMAドームワンマン かつてのロッ
クキッズが見る夢の続き
WANIMA エビバデファイナル、メットラ
イフドームで開催!
Photography_瀧本JON… 行秀、岸田哲平
Text_Sotaro Yamada
WANIMA史上最大規模となったドーム公演
この日WANIMAが動員したのは約3万5千人(2日合計約7万人、ツアー合計約20万人)。メットライフドーム史上初めての試みとしてアリーナ席をスタンディングにするなど、ドームのキャパシティを最大限に活用し、WANIMAはワンマンライブとしてはキャリア最大のオーディエンスを呼び込んだ。
半野外ドームという特殊な場所での演出
そんな特別なステージだからこそ、WANIMAのライブではおなじみのあのゲストも、いつにも増して気合いが入っている。今回は持ちネタの他に、DA PUMP『U.S.A.』のモノマネを披露。この新作にオーディエンスは大いに沸く。毎回高い完成度で仕上げてくるこのネタに3万5千人が爆笑するという光景には、プロのお笑い芸人も嫉妬してしまうだろう。『Everybody!! Tour Final』のトレイラー映像によると、FUJIの体重は888kgということになっているが、もしかしたらFUJIの「中の人」は、複数のモノマネ芸人たちなのかもしれない。
3万5千人の大ウェーブ
『ともに』から始まった後半戦は、『ヒューマン』『Hey Lady』などの人気曲を連発。『オドルヨル』では会場内に3万5千人の大ウェーブが発生し、『サブマリン』ではステージにいくつもの火柱が吹き上がった。本編ラストは『WANIMA 18祭(フェス)』をきっかけに生まれ、CMにも起用されたことも相まって、今や彼らの新たなアンセムとなった『シグナル』、そしてアルバムの収録順と同じく『Everybody!!』で本編は終わりを迎えた。最後までアリーナ席では激しいモッシュが起きていた。
WANIMAとみんなの平成最後の夏
本編後のVTRでは、KO-SHINの「エビバデ、エビバデ言いよるけど、何とも仲良くなっとらんくない? 俺らだけやん、仲良くしとるの。もっといろんなもんと仲良くなろうよ。!このままじゃアンコールなんて出来んやろー!!」という魂の叫び(?)にしたがい、「エビバデ!!友達チャレンジ!!」が開催。痛みと仲良くなるために3人が足ツボマッサージをされながら似顔絵を描いたり、ボールと仲良くなるために千本ノックをしたりする映像は、オーディエンスの笑いを大いに誘った。
ふたたび3人が現れてアンコールが「開催」されると、1曲目は『花火』でスタート。ドーム天井に投影された花火の映像や、夏の終わりを感じさせる歌詞もあいまって、会場には次第に「WANIMAとみんなの平成最後の夏」感が漂い始めた。2曲目は恒例のリクエストコーナー。アリーナ席に降りたKENTAが選んだ1名のオーディエンスにより『TRACE』がリクエストされると、拍手と歓声が起きた。そして最後は『これだけは』。3万5千人のオーディエンスとWANIMAによる「戦い続ける日々に幸あれ」というエールの送り合いは、ツアーファイナルにふさわしいエンディングとなった。いつものようにKENTAが「日本でいちばんWANIMAが好き。WANIMAでしたー!」という締め言葉を放つと、特大キャノン砲から銀テープが発射され、派手に始まった『Everybody!! Tour Final』は派手にフィナーレを迎えることになった。
その後、メンバーによるサインボールの投げ入れが行われ、11月28日に2nd DVD/Blu-ray『Everybody!! TOUR FINAL』がリリースされること、さらには11月から『1CANCE NIGHT TOUR 2018→2019』が開催されることがアナウンスされた。DVD/Blu-rayはこの日(8月26日)の公演本編の模様と特典映像を収録した映像作品。ぜひ、本レポートと照らし合わせて楽しんでもらいたい。また『1CANCE NIGHT TOUR 2018→2019』は、主要都市でのライブになかなか来ることができないファンのためにWANIMAがみずから会いに行くことを目的に開催されるツアー。老若男女さまざまな人に楽しめるよう、全席指定のホール公演と、WANIMAのメンバーが大好きなライブハウス公演を加えた全国27公演を予定している。
WANIMA、あるいはかつてのロックキッズ
が見る夢の続き
WANIMAのライブには、大きく2つの特徴があるように思われる。ひとつは、本レポート序盤に記した通り、単なる音楽ライブにとどまらず、総合エンターテインメントとしての側面があること。
開演前からのお祭り騒ぎは夏のイベントとして立派に成立しているし、となると、WANIMAの夏のライバルは他のミュージシャンではなく、花火大会や海やお祭りといったイベントになる。また、水や炎を使った演出やMC中に鳴る風鈴の音、スイカ割りのパフォーマンスなど、視覚や聴覚で音楽以外の楽しみを提供しているため、音楽にそれほど熱心ではない人でも楽しめる。「あんまり知らないけど、友だちや恋人に連れて来られたから」というテンションでもじゅうぶんに楽しめることは大きな魅力のひとつだ。
そしてもうひとつは、キッズ世代以外にも、実は30代以上のオーディエンスが多いということ。
WANIMAはこれまでにも、1000人の18歳世代とつくりあげた『WANIMA 18祭(フェス)』を開催するなど、キッズ世代から強烈に支持されてきた。しかしもう一方でWANIMAを強烈に支持しているのは、思春期にパンクロックを熱狂的に聴いてきた30代以上の世代なのだ。
1990年代後半、日本では、パンクロックが大きなムーブメントを起こしていた。当時のロックキッズたちが、20年後のいま、WANIMAを通してあの頃の夢の続きを見ている――現在のWANIMAの熱狂ぶりを見ていると、そんなロマンティックな仮説にもリアリティがうまれてくる。
「日本でいちばんWANIMAが好き」という
言葉の重さ
そのヒントは、KENTAがライブの締めに必ず口にする言葉にあるような気がする。すなわち、「日本でいちばんWANIMAが好き。WANIMAでしたー!」。
この言葉は、「開催します!」と同じくらいWANIMAファンにとっておなじみの言葉なわけだが、実は非常に重みのある言葉かもしれない。なぜなら、「日本でいちばん自分が自分のことを好きだ」と言うことは、簡単なことではないからだ。
自分を心から肯定できなければ、他人を肯定することもできない。WANIMAが多くの人に支持される理由は、シンプルだが、こういうところにあるのではないだろうか。
誰もが本当は自分を心から好きになりたいのだ。
セットリスト[DAY2]
1_OLE!!
2_BIG UP
3_Japanese Pride
4_やってみよう
5_THANX
6_Drive
7_CHEEKY
8_いいから
9_SLOW
10_りんどう
11_ここから(アコースティック)
12_ともに
13_雨あがり
14_ヒューマン
15_Hey Lady
16_オドルヨル
17_サブマリン
18_シグナル
19_Everybody!!
EN1_花火
EN2_TRACE
EN3_これだけは
WANIMA 公式サイト
WANIMAドームワンマン かつてのロックキッズが見る夢の続きはミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。
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ミーティア
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