【動画あり】上野耕平(Sax)「こう
いうフェスが欲しかった!」~『STA
ND UP! CLASSIC FESTIVAL 2018』<W
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<What's “スタクラ フェス”?> Artist Close-Up 上野耕平

2018年9月23日(日・祝)秋分の日、『イープラス Presents STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2018』(略称 “スタクラフェス” )が、横浜赤レンガ倉庫の特設会場にて開催される。会場には3つの野外ステージ「HARBOR STAGE」「GRASS STAGE」「Sunday Brunch Classic Stage(無料鑑賞)」が設けられ、気鋭の演奏家たちにより、クラシックのよく知られた名曲からオペラ、ミュージカルの名曲、さらにはアニメの音楽まで、多種多様なプログラムが朝から晩まで繰り広げられる。クラシックといっても決して堅苦しいものにはせず、屋外で潮風を感じながら、食べたり飲んだり、時には寝そべりながら、多様な音楽を気軽に楽しめる趣向という。また児童の入場も許される。
この新しいタイプの野外クラシック音楽フェスの中で「It's 吹奏楽!~ブラスで聴くスタジオジブリの音楽~」(HARBOR stage 10:30-11:20)、そして、「Passion Classic 三浦一馬 with フレンズ」(GRASS stage 15:20-15:50)、さらに「Classic Revolution!新進気鋭の若手アーティストとオーケストラの饗演」(HARBOR stage 18:30-20:30)の計3つものプログラムに出演するのが上野耕平(うえのこうへい)だ。
2011年、第28回日本管打楽器コンクールのサクソフォン部門において史上最年少で第1位ならびに特別大賞を受賞。2014年には第6回アドルフ・サックス国際コンクールにおいて、第2位を受賞。The Rev Saxophone Quartet、ぱんだウインドオーケストラのコンサートマスターも務めながら、常に新たなプログラムにも挑戦し、サクソフォンの可能性を最大限に伝えてきた注目のアーティストである。そんな彼に、スタクラフェスについて話を聞いた。
──スタクラフェスの話を聞いた時、このイベントにどのような印象を持ちましたか。
「こういうのが欲しかった!」と思いました。昔からベルリンフィルの野外コンサートなどを観ていて、なんて素晴らしい文化なんだろう、と思っていたのですが、日本にはそういうものがずっとなくて。その最初の機会に自分が出られることになって、本当に嬉しいです。本当に楽しみです。
──その中で上野さんは、まずフェスの幕開けとなる「it'吹奏楽~ブラスで聴くスタジオジブリの音楽~」に出演されます。ここで、スタジオジブリの有名楽曲を演奏する「ぱんだウィンドオーケストラ」は、上野さんがコンサートマスターを務めていらっしゃるんですね。
「ぱんだウィンドオーケストラ」は僕の藝大時代の同級生で創設した吹奏楽団で、「吹奏楽の魅力をもっと広げよう!深めよう!」という思いで立ち上げたものです。それが卒業後も続いて、藝大出身以外の色々なメンバーも加わって活動しています。
吹奏楽って音楽の入り口になりやすいんです。ピアノやヴァイオリンの場合ですと、幼少の頃から音楽を学び親しむ環境や機会に恵れている方が多いのですが、そうではない人が音楽に入るきっかけになるのは吹奏楽が圧倒的に多いです。それは、中学校の部活にたいがい吹奏楽部があるからです。
──確かに中学、高校の部活動で吹奏楽部に入って、先輩に一から楽器の吹き方を習ったという話は大変多く耳にします。
僕自身もそうなんです。今回のような野外のイベントだと、ファミリーで来られる子どもさんたちも多いでしょうから、そういう子たちが僕らの演奏を聴いて「中学校に入ったら吹奏楽部に入りたい!」と言ってもらえたら最高だなって思います。
──お子さんが、大好きなジブリの音楽を通じて夢が広がる素敵な機会を経験することになることでしょうね。続いてGRASS STAGEの「Passion Classic三浦一馬withフレンズ」で、バンドネオンと共に演奏されるという、これもまた魅力的な企画です。
三浦一馬さんは僕が惚れ込んだプレイヤーの一人です。本当に素晴らしいな!と思っていて。共演を熱望していたので、今回ピアソラの作品をご一緒させていただけるのは最高ですね! 他にも金子三勇士さんや伊藤悠貴さんなど共演したいと願っていた方々と、野外の開放的な雰囲気の中で一緒に演奏できることになり、「どんな音楽が生まれるのか?」に僕自身もとてもワクワクします。
僕は三浦さんからのリクエストでピアソラの「孤独の歳月」を吹きます。バリトン・サクソフォンをフィーチャーしている、とても良い曲なんです。このバリトンの音色がまたたまらないんです。そして、ピアソラといえばやはり「リベルタンゴ」で、これをラストに全員でセッションしますが、僕はアルト・サックスを吹きます。今回僕はテナーと合わせて3本のサクソフォンを持っていくことになりますので、サクソフォンだけでも色々楽しんでいただけます。「リベルタンゴ」はもしかすると一番暑い時間帯の演奏になるかも知れませんが、その暑さに負けないくらい熱いステージをお届けできるかと思います。何より芝生で聴くラテン音楽って最高ですよね。
──フェスのクライマックスとなる「Classic Revolution!新進気鋭の若手アーティストとオーケストラの饗演」ではどんな曲が聴けるのでしょうか。
ここでは、ビゼーのオペラ「カルメン」をもとに編曲された「カルメン・ファンタジー for サクソフォン」のオーケストラ版を演奏します。僕が山中惇史さんに委嘱して作っていただいた曲で、今年の1月に群馬交響楽団さんと共に初演をおこないました。今回、それをさらにブラッシュアップしたものを披露いたします。「カルメン」って本当に素晴らしいメロディーがたくさんあって、誰もが親しめて楽しめるクラシックの代表格ではないかと思うんです。それをサクソフォンで聴いていただくというのが個人的にはすごく嬉しいことなんです。
──「この曲知ってる!」と思う方がきっと沢山いらっしゃるはずです。
そうなんです。しかもビゼーはサクソフォンを使ってくれた作曲家でもあるんですね。といっても「カルメン」には出てこないのですが、「アルルの女」では、オーケストラの中にサクソフォンが全編に渡って登場するんです。そのビゼーとサクソフォンとオーケストラのコラボという本当に楽しみな企画が実現しますので、聴いていただければ絶対に好きになってもらえると思います。
──屋外での演奏経験はありますか?
何回もあります。酷寒の真冬にも、灼熱の真夏にも演奏していますし、雨に降られたことも、虫にまとわりつかれたことだってあります(笑)。色々な経験がありますが、それでも外で吹くのは開放感があって楽しいですね。ホールとはまた違ったお客様との一体感があり、皆で一緒に楽しめる空間ができると思います。サクソフォンの場合、基本的には外でも全然大丈夫な楽器なので、いつも通りのいつも使っている楽器を持っていきます。
──潮風などは楽器に大丈夫なのですか。
全然OKです。いざとなれば修理すればいいし、最終的には買い換えればいいんで(笑)。
──素晴らしい度量の持ち主。ところで今回このフェスで、演奏者/オーディエンスの立場を超えて楽しんでみたいことは何かありますか?
ビールを片手に寝っ転がりながら演奏を聴きたいなぁ……でも、そんな時間はないかな。第一「Classic Revolution!」が最後にあるからビール飲んじゃいけないですね(笑)。ただ、寝っ転がることくらいならどこかでできるかも知れませんね。
──ご自身の出演される枠以外で気になるプログラムはありますか?
「世界まるごとクラシック~みんなおいでよ、赤レンガ~」は気になりますね。青島広志先生は本当に面白く、クラシック音楽を親しみやすく楽ませてくれますよね。でも時間内に終わるかな? 先生は話し出すと止まらないですよ?(笑)
──そんな時は、総合司会の松下奈緒さんが取り仕切ってくださるのでは?
あぁ、なるほど(笑)。
──会場の赤レンガ倉庫や横浜界隈でおススメのスポットやお店などはありますか?
桜木町から赤レンガ倉庫まで、かつての鉄道の線路、廃線跡を歩くといいですよ。桜木町は鉄道発祥の地なんです。新橋から桜木町まで走ったのが、日本初の営業用の鉄道なので。
──鉄道もお好きなんですか。ご自身でも色々と乗られているんですか?
大好きです! たくさん乗っています。乗ること自体が楽しい。
──いわゆる「乗りテツ」ですね?
そうです、そうです。桜木町にはまだレールや鉄橋が残っているところがあるんですよ。土手を歩きながら、昔ここに蒸気機関車が走っていたんだな、と想像して歩くだけで、もうすごく楽しい! ですから、鉄道と音楽が両方好きな方だったら、桜木町駅から赤レンガ倉庫まで歩いて来てくださると、一日がフルに楽しめると思います。
──鉄道愛好者には駅の発車ベルの音楽にこだわっている方もたくさんいるとか。鉄道と音楽を両方好きな人は結構いそうですね。それでは、最後に読者の方々にメッセージをお願いします。
クラシックは敷居が高い、とよく言われるのですが、その敷居を下げるというのではなくて、その敷居を乗り越えるというか、一歩踏み出す勇気を与えてくれる、そんな素敵なフェスティバルだと僕は思っています。
本物を気軽に楽しめるイベントなので、家で寝っ転がりながら自分の好きなクラシックのCDを聴いている経験を、生の演奏で楽しめてしまいます。それに……普通は、クラシックを聴きにコンサートホールに行くのに半袖半ズボンにサンダルで、という訳にはいかないでしょう? 何を着ていったらいいんだろう、ってまず考えてしまうけれども、このフェスならサンダルを突っ掛けて来ていただいても大丈夫なんです。
気軽に最高の音楽が聴ける機会なので、是非、色々な方に聴きに来ていただきたいと思います。これだけのプログラムがあれば、どんな方にでも何かしらお気に入りの曲を見つけていただけると思います。僕たちも何か一つでも心に残ってもらえるように、全力で演奏しますので、楽しみにしていてください!
【動画】上野耕平さんよりメッセージ

取材・文=橘凉香  撮影=岩間辰徳

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