【ライブレポート】ASH DA HERO、<
ACOUSTIC NIGHT>で「生歌だからこそ
伝わる大迫力の演奏と歌がある」

ASH DA HEROが、自身にとって2度目となるアコースティックライブ<ACOUSTIC NIGHT 2018>を8月31日(金)に渋谷duo MUSIC EXCHANGEで行なった。
もともと歌唱力や表現力に定評のあるASH DA HERO。通常のライブでは激しいバンドサウンドと共にボーカルを轟かせているが、アコースティックサウンドとなれば、歌の力はより鮮明に伝わってくるはず。それを堪能するために集まったファンの数は、座席付きチケットを瞬時にソールドアウトさせ、さらに多くの立ち見も出るほどだった。

期待の高まるステージは、クラシカルなピアノと共に始まった。その調べにバイオリンの旋律が融合し、ドラムやアコースティックギターが彩りを加えるように響いていく。当たり前だが、いつものライブとはだいぶ趣は違う。しかし包み込んでくれる音楽に、多くのファンはすでに心地よさを味わっていた。
その音楽と客席に溢れる穏やかな空気を浴びながら、静かにゆっくりとステージに現れたのはASH DA HERO。ステージのセンターで彼がマイクスタンドに向かうと、音楽がピタリと止み、ソロで歌い始めたのは「ALIVE」。ほんの1小節だけで如実に分かる歌のうまさ。繊細な歌いまわしから、グラデーションのように力強さを増し、言葉のひとつずつが心に響いてくる。アコースティック・ライブゆえ、歓声こそ上げようとしないが、客席に感動が広がっていった。気持ちを惹きつけて離さないASH DA HEROの歌、鳥肌も立ちまくりだ。さすがである。

アコースティックというと、バラード的なアプローチやアレンジになることが多い。しかしアコースティックといえども“静”に終始しないのがASH DA HERO。「One Hundred Years Later」に続いて、ブラックミュージックやファンク要素も混ざり込んだリズムが刻まれると、ASH DA HEROは自分用のフロアタムやタンバリンを鳴らして、バンドメンバーとジャムセッションを楽しむ。それに自然に煽られてファンもハンドクラップでジャムに加わっていく。温かい一体感と共に始まった「BRAND NEW WORLD」は、アコースティックながら確実にロックの躍動感も放つ。客席のムズムズした雰囲気を察知してか、途中で「ちょっと立ってみます?」とASH DA HEROが呼びかけると、待ってましたとばかりに一斉に立ち上がって、全身で曲を楽しむファンの姿があった。
またアコースティックギターでキレのあるカッティングをASH DA HEROが刻みつつファンキーに決める曲もあれば、ジャムの勢いでジョン・デンバーの「Country Roads」を歓迎ソングとして即興で歌う場面、さらにブルースハープも吹いたり、レゲエでも楽しませたりと、自由奔放である。幅広い音楽を愛し、自分のルーツにもしているASH DA HEROだが、それが露わになっているライブだろう。

「アコースティックナイト=アコースティックライブをイメージするかもしれないけど、アコースティックとは生楽器という意味なんです。こうやってマイク使っているけど、なるべく生歌で歌いたいと思ってます。だからこそ伝わる大迫力の演奏と歌があると思って。今夜はASH DA HEROの音楽をたっぷり味わってほしいなと思います。ちょっと音をもらえる?」──ASH DA HERO

そう言って、ピアノで声の音程を合わせていくASH DA HEROとバンドのメンバー。息も合わせたところで、全員のコーラスハーモニーが聖歌のように綺麗に響きながら始まったのは、なんと「HERO」だった。いつものライブではサークルモッシュも起こるほどの激烈ナンバーだが、アコースティックでは美しさとエモーショナルさが同居した姿に。ASH DA HEROは自身の歌で、ダイナミズムやスケール感も描き出していく。
「今日は楽器の音がいつもみたいにうるさくないから、伸び伸びと歌えるんですよ(笑)」とASH DA HERO。ピアノをバックにボズ・スキャッグスの「We're all alone」やエレファントカシマシの「今宵の月のように」も披露するなど、シンガーとしての底力も実力も存分に発揮する。

そして「いつかの街で」から突入したライブ後半のこと。愛知県から東京に出てきてからの6年間の出来事や経験、そのときどきに抱えていた自分への苛立ち、そうしたものがフィードバックされた曲達が繰り広げられる。いつものライブなら激しいサウンドで魂の叫びのように歌うASH DA HEROだが、アコースティックサウンドと共に噛みしめるように歌う。それは当時の葛藤をリアルに映し出してもいった。
しかし曲が「STAY FREE」へ入ったとき、自身を鼓舞させるメッセージが歌となって会場に轟き、ファンの魂も熱くさせていく。そしてラストナンバー「THIS IS LOVE」では、愛情に溢れた歌に、ファンは自然にコーラスで加わる。こうして生まれた幸せな一体感が、全員の表情を輝かせていった。また最後の曲「BABY GOOD NIGHT」でも、客席から歌声が起こり、それを力強く抱きしめるようにして歌うASH DA HERO。それは、自らヒーローと名乗る頼りがいある男の姿でもあった。

ASH DA HEROは9月24日から全国7ヵ所を廻る全国ツアー<ASH DA HERO LIVE TOUR 2018 "HERO'S PARADE”>を開催する。

取材・文◎長谷川幸信
撮影◎前田俊太郎

■<ASH DA HERO LIVE TOUR 2018「HERO'S PARADE」>
09月24日(月) 埼玉・西川口Hearts 開場17:30 / 開演18:00
10月05日(金) 愛知・名古屋ElectricLadyLand 開場18:30 / 開演19:00
10月14日(日) 大阪・OSAKA MUSE 開場17:30 / 開演18:00
11月03日(土) 北海道・DUCE SAPPORO 開場17:30 / 開演18:00
11月09日(金) 宮城・SENDAI CLUB JUNK BOX 開場18:30 / 開演19:00
11月16日(金) 福岡・福岡DRUM SON 開場18:30 / 開演19:00
11月27日(火) 東京・Shibuya TSUTAYA O-EAST 開場18:00 / 開演19:00

■関連リンク

BARKS

BARKSは2001年から15年以上にわたり旬の音楽情報を届けてきた日本最大級の音楽情報サイトです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着