TSURU(STANCE PUNKS)× コザック前
田(ガガガSP)のマブダチ対談~「弱
音も見せれるから繋がれてる」自身主
催フェスを控えた二人にきく

9月22日(土)名古屋にてSTANCE PUNKS主催の『火の玉宣言フェスティバル』、9月29日(土)神戸にてガガガSP主催の『長田大行進曲2018』が開催される。そこで同じ時代を戦う戦友として、そして気持ちを分かち合える親友として、互いの主催フェスに出演し、エールを送り合っているのが、両フェスの主催者であるTSURU(STANCE PUNKS)とコザック前田(ガガガSP)。『火の玉宣言フェスティバル』を控えて、下北沢SHELTERで開催された“スペシャルマッチ”でのツーマンライブを終えたばかりの二人に話を聞いた。
――9月に名古屋で『火の玉宣言フェスティバル』、神戸で『長田大行進曲2018』を控えたお二人。まず、開催を直前にしての現在の気持ちは?
TSURU:いまだに「本当に出来んのかな?」と思ってます(笑)。ライブハウスみたいに自分たちだけが動いてるわけじゃなくて、見えないところも一杯ありますからね。
前田:ウチは野外で過去3回やってて。いままでは2DAYS✕3回=6日間、全部晴れてきたんですけど、今年は初めてステージに屋根を付けることになりそうで。そういうことをすると、雨が降りそうな気がするんです(笑)。「前田くん、晴れ男だから!」と言われてて、今までは大丈夫やと思ってたんですけど、今回は雨降りそうな気がしてしゃあないんです。
TSURU:天気はあるよね。どうせ降るなら、小雨じゃなくてもはやドカッと降って欲しい(笑)。
――これまで何度かフェスを主催してきた先輩として、前田くんからTSURUくんに心構え的なところでのアドバイスってあります?
前田:ガガガSP主催といっても、特別なことはあまりなくて。もう賽は投げられたから、あとは当日、楽しむだけですよね。
TSURU:俺も取材だから、不安そうなことを言ってみようと思ったけど、本当は何も考えてなくて(笑)。ボヤッと当日を迎えて「あ~、楽しかった」で終わると思います。
前田:TSURUさん、ホンマは何年か前から「フェスやりたい」っていう構想があったんですよね? 具体的な場所の話もしてたし。
TSURU:そう。フェスにしか来ん人っていっぱいいるから、「俺らがやったろか?」と思って。あと、ウチのファンは逆にライブハウスが好きな人がいっぱいいるから。そのどっちにも来てもらって、融合したら面白いなと思って。あと俺自身もフェスがあんまり得意じゃなくて。お客さん遠いし、苦手意識があったんだけど、だったら自分たちでやりやすい環境を作ればいいんだと思ったんだよね。でも、去年の「長田大行進曲」は初めて野外のライブで炸裂出来て、「フェスやりたいな」って気持ちがより強くなったのもありますね。
前田:去年はホンマ、すごいライブでしたからね。ウチのフェスは空港が近くて、昼間は綺麗な山や海が見えて、夜になると山の方に夜景が見えるっていう、ロケーションの良さもあって。爆音を聞きながらええ景色を見て、「神戸って良いところやな」と思ってもらえたらええなと思って。
おじいちゃんになって引退したら、中日ドラゴンズ見ながら余生を過ごそうかな
TSURU(STANCE PUNKS)
――フェスを開催するにあたって、やっぱり地元愛というのは大きい?
前田:地元愛というか、もう39年ずっと住んでるんで。なにかしてもしなくても結局、そういうところに行き着くんですよね。ずっと住んでると良くしてもらった反面、嫌やなと思って反発したくなる時期もあって。
――親みたいなもんですよね(笑)。ずっと一緒にいるとウザく感じたり。
前田:そうそう。せやから異常に嫌な時期もありましたし、「神戸におって良かったな」と思う時期もあって。今は年も重ねて、神戸にすごく感謝してる時期ですね。
TSURU:俺は離れてるからこその望郷の念みたいなのがあるかな? おじいちゃんになって引退したら、中日ドラゴンズ見ながら余生を過ごそうかなと思ったりもしますからね。
――あと、名古屋のライブハウスが協力してくれてるところでの地元感もあるし。
TSURU:そう。俺らは“SOUND GARDEN”っていう、もともとあったフェスと組んでやってるから、出るバンドが多様なんですよ。俺たちも知らないアーティストも出てるから、その化学反応も面白いと思うし。イベンターを介さずにライブハウスに「ちょっと手伝って」ってやってる手作り感もあるし、そこはすごく良いところですね。
――去年の『長田大行進曲』は地元バンドも出演しながら、同じ時代を戦ってきた戦友たちが集結して。誰かが旗を振らなきゃ、ああいう機会もなかったと思います。
前田:去年は20周年ってことでみんな集まってくれて、本当にありがたかったですね。あとは当時見てた子たちがいま地元でバンドをやってて、「ずっと出たかった」とか「神戸でバンドやりたかった」と言ってくれるのも嬉しいんです。この間は六甲山で「長田大行進曲」を見て、仙台から神戸に移り住んで来て、バンドやってるって子の話を聞いて。
TSURU:東京飛び越えて、神戸に来たんだ。アホだなぁ!(笑)
前田:いや、アホですよ。でも、「そんなヤツおらんで!」と言いながら嬉しかったです。
どこに戻りたかったかって言うたら、ライブハウスですからね
コザック前田(ガガガSP)× TSURU(STANCE PUNKS)
――あと今日、ライブを見ていても、現在の2バンドの関係性もすごく良いですよね?
TSURU:常に悪口の言い合いですけどね(笑)。でも、ガガガとライブやる時は「今日、ライブだ!」っていうよりは、友達ん家に遊びに行く感覚に近くて。『火の玉宣言フェスティバル』に向けて色んなバンドと対バンしたんですけど、ガガガだけ回数多いですからね。一緒にやりたいから、ちょいちょい呼ぶみたいな。
前田:今日なんかもSHELTERでツーマンとか、スタパンでやれるのが嬉しいですよね。昨日だってフェスに出演してたのに車かっ飛ばして下北に来て、「楽しいな」と思えるのはスタパンだからですよね。
――今日、前田くんがMCで「フェスもええけど、やっぱりライブハウスが楽しい」って言ってたのも本音だと思いました。
前田:フェスがアカンって言うてるんじゃないですけど、ステージに立ってる喜びを感じられるのはライブハウスですよね。去年、入院してて退院してから、どこに戻りたかったかって言うたら、ライブハウスですからね。僕だけやなくて、来てくれてるお客さんがライブハウスを大事にしてくれて、ここが居場所やと思ってくれるのも何より嬉しいし。
――前田くんがMCでTSURUくんの話して、「STAY YOUNG」をカバーしたのは見てました?
TSURU:それまでは見てたのに、そのタイミングでちょうどウンコしに行っちゃてさ、さっき動画で見ました(笑)。「なんで俺がウンコしてるタイミングでやるんだよ!」って。
前田:え、俺たちのせい? 曲順も決まってるからしゃあないでしょう(笑)。でも、「STAY YOUNG」はリハでもやらずに内緒でやったんです。前にスタパンもウチらの「青春時代」をやってくれたことがあって、あれも嬉しかったからやろうかなと思って。
――MCでは前田くんが入院する時、TSURUくんが「バンドに戻ってこれなくてもダチだから」って言ってくれたのが嬉しかったって話してましたよ。
TSURU:そういう恥ずかしい話はやめましょうよ(笑)。でも、前ちゃんはバンドやってたから繋がったし、バンドの仲間なんですけど、それを越えたダチですから。年も近くて、同じような頭のおかしさで、同じような悩みを抱えながら戦ってきて。同じ時代を一緒に生きてきたって感じが俺はすごく強いんで、感謝もしてるし、いてくれて嬉しいし。
神戸のバンドが集まって、会議が行われたんです
コザック前田(ガガガSP)
――そういえば、STANCE PUNKSがガガガSPと初対バンした時、『ガガガSP登場』を出したばかりの前田くんにTSURUくんが面識もないのに電話をしてきたって話は本当ですか?
前田:それは本当です(笑)。知らん番号からいきなり電話がかかってきて、「STANCE PUNKSのTSURUですけど。今度、神戸に行くんでイベント組んでください」って一方的に言われて。「えらいことになった、パンクバンドが東京から乗り込んでくる」って、神戸のバンドが集まって、会議が行われたんです。
TSURU:無茶なハードコアの先輩みたいだよね(笑)。
前田:でも、それがキッカケで下北屋根裏に呼んでもらって、東京で初めて満員のライブハウスでライブやらせてもらったり、東京の知り合いもどんどん増えていって。あの頃、有象無象でバンドがうようよいて、大変なことになってましたよね。
TSURU:当時のライブとか、今考えるとなかなかなメンツだったし、面白かったよね。
――それから20年近い付き合いになって、お互いのフェスに呼び合う関係になるとはね。
前田:考えてもないですからね、20年後のことなんて。その時のことしか考えてなかった。
TSURU:あんまり変わんないしね、ちょっと昔より腰が痛いくらいで(笑)。
――ライブでも昔の曲を現在の気持ちで歌えているのも、すごく良いです。
TSURU:昔の曲って、いま歌うと新曲みたいな感覚になるよね? 自分の歌って感覚はあるけど、ある時から違う歌になってたみたいな感じがあって。
前田:感覚はそうなりますよね。生み出した時の初々しい気持ちとは違う気持ちになってるけど、自然と新鮮な気持ちで臨めたりして。だからこそ、今も歌えるんやと思いますね。あと、歌や演奏は上手くなってくるし、やれることは増えるんですけど、昔やってたことに加筆していくのは少し怖いですね。これまで聴いてきた曲と変わっちゃいますからね。鯛焼き屋みたいなもんで、店の内装や皮が変わっても、あんこだけは変えたらアカンと思ってるんです。久々に来た人もあんこが変わってなければ、「変わってないな」って見てくれるじゃないですか? あんこ自体を変えなきゃいけないと思った時期もあったけど、今はそれを越えて「変えたらアカン」と思う時期になってますね。
TSURU:「昔の曲、もうやらんとこうかな?」と思う時期もあるよね。でも、これやらんと盛り上がらないみたいな気持ちもあって。よく“一周回って”って言うけど、俺らなんか4周くらい回ってるもん。迷走しっぱなし(笑)。
――TSURUくんはMCで「伝えたいことや歌詞が出てこなくなることなんて、しょっちゅうある」って言ってたけど、それがあるからこそ今があるわけで。
前田:歌詞はどんどん出てこなくなりますよ! ここ近年、ヤマモっちゃん(山本聡)と旦那(桑原康伸)に任せっきりですからね。「俺は歌のレベルを上げることに専念するから」言うて、レベルなんてひとつも上がってない(笑)。
TSURU:でも、ガガガはいつもアルバム出して偉いよね。ウチら、ちっとも出さないから。いま、やっとアルバム完成したんですけど、3年ぶりですから。その前は6年ぶりで、9年で2枚しか出してないから(笑)。今回は珍しく頑張りましたけどね。
ただのお天気屋ですから(笑)
コザック前田(ガガガSP)× TSURU(STANCE PUNKS)
――そうやってお互いに刺激を与えあえてるのが、またいいですね。ダチの前ではカッコいいところを見せたいって気持ちにもなるでしょう?
TSURU:でも俺ら、わりとお互いに弱音吐くよね? 傷の舐め合いするよね(笑)。
前田:するする。でも、弱さも見せれるから、プライベートでも繋がれてると思うし。
TSURU:俺も弱音吐くもんね? 「あいつ、こんなだからぶん殴ってやろうと思うんだけど」とか(笑)。でも、そんなのも親身になって聞いてくれるから話してるし、そういうキャラじゃないと思われてると思うけど、意外と繊細ですから(笑)。
――初めてのフェスで困ったことや分からないことがあっても、気軽に聞けるし。
TSURU:そうッスね。でも、フェス面白そうだな。ボーッとしてたら当日になってて、すぐに終わっちゃうと思うから、なんとかしなきゃいけないと思うけど。気付いたら終わってて「あ~、面白かった」で終わってると思うけど、それでいいのかな? とも思うし。
――あとは終わった後、どう思うかですよね。「また来年もやりたい!」と思うか?
TSURU:いや、それはないでしょう! やんないんじゃないですか?
前田:僕は「今年しかやらない!」って去年、ラジオで言いまくって。それをツッコまれるから、「気が変わった」って言ってますけどね。ただのお天気屋ですから(笑)
――最後にお互いのフェスに出演するってところで、お互いのフェスに期待することは?
前田:僕はスタパンがフェスをやること自体が楽しみやし、最近はアンテナ張るのも楽しみなんで、初めてみるアーティストのライブも楽しみやし。朝イチから行って、色んなバンド見て、雰囲気を感じてステージに上がりたいなと思ってます。そう言って、出番が一番最初やったら、自分が雰囲気作らなきゃいけなくなりますけど(笑)。
TSURU:俺も前ちゃんたちが呼んでくれるから遊びに行くだけで、いつもと変わらないです。ステージに登ってる時以外はぼけーっとしてるから、ステージ以外はへらへらして楽しんで、ステージに上がったらパンクロックを炸裂するよ!
コザック前田(ガガガSP)× TSURU(STANCE PUNKS)
取材・文=フジジュン  撮影=菊池貴裕

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