back numberが教えてくれた、人を愛
するということ

大人気バンドback number。目の前の事
を全力で歩んできたからこそ繋がった今

着実に一歩ずつライブ活動を積み重ね、デビューから7年目にして、3都市を巡る初のドームツアーを奔走中のback number
8月22日には、映画【銀魂2 掟は破るためにこそある】主題歌「大不正解」をリリースし、恋愛ソングのback numberという姿はまるで無い、殺気が迸ったカッコいいロッカーの姿でファンを魅了しています。

人気実力ともにロックバンドのトップまでたどり着きながらも自惚れず、さらなる高みを目指すback numberが、清水依与吏が、何故こんなにも人気者になったのでしょう?
その理由を紐解いていこうと思います。

back numberってどんなバンド?

Best album『アンコール』
まず最初に、 back numberについておさらいしたいと思います。
back numberは、清水依与吏(Vo.Gu.)が中心となり、2004年地元群馬で結成されました。その後、元メンバーが脱退をし、サポートメンバーであった小島和也(Ba.Cho.)が正式加入。その翌年に栗原寿(Dr.)ともう1人のメンバーが加入し、いっときは4ピースバンドとして活動していました。しかし、そのもう1人のメンバーが抜けることになってしまい、2007年に現メンバーとなります。

“back number” というバンド名について、清水依与吏はこう説明しています。

「振られた自分は元カノからしたら過去の男、つまり型遅れ」「取り残された人、悲しみを背負った人というニュアンスの中に、彼らを見返してやるという反骨精神も込めた。生きていく上で辛いこともあるけれど、明日を今日よりも良くしたいという気持ちで歌っている」 朝日ぐんま シリーズ人-Peaple 2013年5月24日付

少し前の自分と向き合うには、過去を上書きせずにそのまま残しておく必要があると思います。 ”明日を今日より良くする“ 為に昨日を歌う。それこそがback numberの真髄と言えるでしょう。
「花束」MV
2011年4月6日にシングル「はなびら」でメジャーデビューを果たし、その約2ヶ月後にリリースした「花束」は、インディーズ時代の曲に多くみられたネガティブ思考を取っ払い、真っ直ぐな愛の告白をポジティブに歌った新境地。“人生のすべてを歌に“という思いに一歩近づいたこの曲は、多くの人の耳に届けられ、恋愛ソング好きの若い男女を中心に当時から今に至るまで、ずっと愛され続けるback numberの代表曲です。
以降、瞬く間に国民的バンドへと発展し、ついこないだまでロック好きの間でしか知り得なかったback numberの曲が、バンドを聴かない友人までもが知る程有名になっていた事に驚いたのを今でも覚えています。

では、冒頭で皆さんに投げかけた、 ”何故back numberがこんなにも人気者になったのか?“ という問いに対する理由を、清水依与吏の歌詞表現を元に紐解いていきましょう。

back number清水依与吏のリアリティ溢
れる歌詞表現(1)恋愛編

【高嶺の花子さん】

清水依与吏が綴る恋愛をテーマにした歌詞に登場する人物像は、自信なさげなダメ男ばかり。実体験を軸にした頭の中で繰り広げられるストーリーは、片思いや失恋が大半を占めます。
この「高嶺の花子さん」は文字通り、過去に出逢っている格上の女性を思い出し、忘れることの出来ない恋心を抱く男子が主人公。丸腰状態で敗北宣言をし、挙げ句の果てには、

君の恋人になる人は モデルみたいな人なんだろう そいつはきっと君よりも年上で 焼けた肌がよく似合う洋楽好きな人だ

と被害妄想に走ってしまう始末。
誰が聴いても情景が浮かびやすく、似たような経験や心境に悩まされたことのある人からすれば、自分と重ね合わせる歌詞に親近感を持ちやすいのだと思います。この一人称が私になれば女子だって当てはめる事ができますよね。

業界人の間でも、現実味のある歌詞に心を動かされた人は数知れず、日本を代表する映画監督・行定勲氏までもが、 back numberの楽曲からインスピレーションを受け、同タイトルの短編映像作品【世田谷ラブストーリー】を製作されています。
相手に対して、 “好きです” と伝える事は出来なくても、 ”愛しています“ と伝えることが出来るのがback numberの恋愛観。自意識過剰な部分に翻弄されながらも、真っ直ぐに人を想うピュアな気持ちに心を動かされるのです。

back number清水依与吏のリアリティ溢
れる歌詞表現(2)日常編

【SISTER】

back numberは、恋愛ソングだけを歌っているわけではありません。ライブの定番曲「青い春」のように、若き世代がもがき苦しむ青春時代にフォーカスした曲もあります。その中でも、筆者がおすすめしたい曲でもある「SISTER」をあげて紐解いていきましょう。
back number史上、もっとも爽やかで疾走感があるこの曲は、目の前にある試練に立ち向かう主人公を陰ながらに後押しをする応援ソング。主人公と同じ立場に立って、傷つき、苦しみ、 “大丈夫” “負けないで” と言い聞かせる”頑張る君”の為に歌った曲。側から見た、説得力の無い応援ソングと違い、君の頭の中までを読み解く思い遣りがあり、情が熱い人間臭さが多くの人の心を掴んでいるのだと思います。

back number清水依与吏のリアリティ溢
れる歌詞表現(3)タイアップ編

【クリスマスソング】

これまでは、back number色はこういうものだ!と説明してしてきました。ここからは、外部からオファーされ書き下ろしたタイアップソングから紐解きます。
タイアップとは、ドラマや映画の為に制作された曲のことで、その作品のストーリーやイメージを軸に作らなければならなく、アーティストの技量が問われる難しい仕事ですが、back numberは数多くのビッグタイトルの作品に華を添えてきました。
「クリスマスソング」は、2015年に放送されたフジテレビ系列【5→9〜私に恋したお坊さん〜】の主題歌で、「ヒロイン」に次ぐ、冬の定番曲です。
報われない複雑な恋愛模様が描かれたドラマの内容に、back numberの真骨頂と言っても過言ではない、片思いがテーマとなったこの曲がピッタリとハマっています。

back numberのリリースする時期が冬が多いのは、意図的なものではなく、何だかんだ積み重なり、冬になってしまうということらしいです。結果的に人恋しくなる季節になると聴きたくなってしまう人は少なくないのではないでしょうか。

【瞬き】

今までになかった恋愛観をみせる「瞬き」は、映画【8年越しの花嫁】の主題歌。前作「ハッピーエンド」に続く切ないバラード。当たり前だったことは、当たり前ではなかったことに気づかされ、いつ失うかわからない状態が長く続きながらも大切な人を想う純愛ソングです。自分が守らないといけないのに、いつのまにか相手に守られているというところにback numberらしさを感じます。

【大不正解】

打って変わって、恋愛ではなく友情を描いた、初のアニメ作品タイアップとなる新曲「大不正解」。絶賛公開中の映画【銀魂2 掟は破るためにこそある】の主題歌としてお馴染みですよね。元々、銀魂の大ファンであった清水依与吏が、映画と一対一で勝負を挑みながら、バンドとしても新しい試みに挑み、ロックバンドという真の姿をエネルギッシュに体現しているのです。幼少時代から知っている友人でもあり、戦友でもあるという複雑な人間関係を、このような言葉を使って描いています。

噛み付き合い 剥ぎ取り合って 互いを見付けて来たんだろう 補い合うのなんざご免なんだ さぁ好きに踊ろうぜ

さすが、銀魂ファンならではの表現です。筆者も前作の実写版を観たのですが、熱い想いを抱きながらも、天邪鬼でひねくれている登場人物に、back numberが重なり合い、良い化学反応が起きていると思います。是非とも映画館で体感したいですね。


冒頭に皆さんに投げかけた、 ”back numberが、清水依与吏が、何故こんなにも人気者になったのでしょう?“ ということについて、歌詞にスポットを当てて紐解いてきました。
人間臭く、誰しもが情景を浮かべることができるリアリティと、不器用でありながらも一途に人を愛し、思い続ける歌詞に親近感がわくからだと考えます。
今回は触れてこなかったですが、心を動かす卓逸したメロディも理由の1つ。余談になりますが、そのメロディセンスに嫉妬しているのがクリープハイプの尾崎世界観。同い年、同じレーベルの戦友であるふたりは、互いに、 ”お前のメロディが腹立つ“ (尾崎)、 ”お前の歌詞が腹立つ“ (清水)と認め合い、いがみ合っていたというエピソードがあります。違う山に登りながらも高め合う、いい関係性が築かれているのでしょう。

back numberはドームツアー中で、残すは10月の大阪2DAYS公演のみとなっています。チケットは全公演完売されていますが、このドームツアーを通して更に大きくなっていくback numberの今後が楽しみです。


back number info
back number staff Twitter

back numberが教えてくれた、人を愛するということはミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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