RUKA×樹威 10代の頃同じバンドに在
籍していた二人が当時の曲をプレイす
る『同窓会』の前に訊きたいこと

RUKA(NIGHTMARE、LSN:Dr)が名前表記をかつての“瑠華”として、盟友・樹威(GOTCHAROCKA、ex.ヴィドール:Vo)を迎え、二人が10代の頃に在籍していたLuinspearの楽曲を中心にプレイする異色のライブイベントを9月20、21日の2日間、東京・高田馬場AREAで開催する。イベントのタイトルは、ずばり『同窓会』。10代の頃、一緒にバンドを組んでいた仲間が、いまも同じミュージシャンとしてステージに立ち続けていること、さらにはその仲間と再度当時の音楽をステージで奏でられること自体、奇跡のようなことだと真剣に語るRUKA。彼が初めて曲を作り、その後のソングライターとしての人生に多大な影響を与えた樹威とともに、2000年代に仙台のV系バンドが台頭していくきっかけとなった伝説のバンド、Luinspearについて大いに語る。
■なぜ『同窓会』をやろうと思ったのか?
――お二人は今年4月に、LSN主催のツーマンライブ『“TWO-FACE”vol.3「RE:UNION」』でLSN✕GOTCHAROCKAとして対バンされていましたよね?
RUKA:そうですね。GOTCHAROCKAにそのオファーをしたときから、実は今回のイベントの話も出てたんですよ。
樹威:それが去年(2017年)だったかな?
RUKA:きっかけはね、2015年にCD出したでしょ?
――樹威さんをボーカルに迎えた「ALPHA/LSN-REUNION-」が収録された、The LEGENDARY SIX NINE(現LSN)のSPLIT EP「ALPHA/PARTY」のことですね。
RUKA:あれを出して、『PARTY』と題したイベントでLuinspearの曲をやったんですけど、それが楽しくて。ワーキャーっていう楽しさじゃなくて“あの曲をいまやるとこうなるんだ”っていう楽しさがあって。そこでやってない曲をまた聴きたくなっちゃったんですよね(笑)。あのときは「同窓会」っていう曲以外はシングル曲をやって。「Isis…」と「Luvis」っていう、当時死ぬほどやってきた曲で、「Luvis」に至っては樹威が前のバンドからやってた曲だから、本当に何百回も歌ってる曲なのね。で、俺はそれ以外にどうしてもいまやりたい曲があって。これ原稿に書いてもきっと誰も知らないと思うんだけど、「マーメイドイヴ」という曲があって、これが、Luinspearで初めてできたオリジナルなんですね。樹威は作った当初からこの曲を何度もマイナーチェンジしてて、聴くたびに違ってたんですよ。
樹威:ふははっ(笑)。そうだね。
RUKA:それをもう1回聴きたくて。ならばちゃんとワンマンをやらないとと思って。それで、まずはその前にGOTCHAROCKAと対バンをしようということで、この間やったんです。
――つまり、対バンする前から今回の『同窓会』のことは構想にあった訳ですね?
RUKA:そうそう。
――で、『同窓会』は二人のワンマンだし、気が済むまでLuinspearの楽曲をやろうと。
RUKA :うん。来る人は大変だろうけどね(笑)。音源もなければYouTubeにもほとんど上がってないから予習できないっていう。リリースした音源は計3種類あるんだけど、ちゃんと作品として発表してない曲もいっぱいあるんですよ。だから、2DAYSにして正解だったなと思って。曲も歌詞も残ってないんだから、こんなの2回観ないと分かんないと思う。
樹威:ネットに上がってる音源もあるんだけど、本当に昔のだから聴いて欲しくないもん(笑)。こっちからは薦められない。
――じゃあどうやって曲を思い出してるんですか?
RUKA:それが大変なんだよ。樹威が昔撮った8ミリの映像しか残ってないから。そこから音源だけ抜いてもらって聴いてるんだけど、聴けたもんじゃない。いろんな意味で。危うく演奏が止まりそうになったりして(苦笑)。
樹威:うはははははっ(笑)。
RUKA:たぶんね、新曲を初披露してるときなんですよ。そこで“あれ、次なんだっけ?”って俺に迷いが出て音が止まりそうになってるの(笑)。そういうのがあったり、お客さんの声援で音がかき消されてたり。自分でも当時叩いたフレーズは聴かないと思い出せないから、聴こえないものはいまアレンジを変えたりしてますね。
樹威:いま音源を聴くと、音楽的な知識がまだ甘くて。歌詞とかね、本当にイヤですよ(笑)。
RUKA:歌詞が一番イヤかもね。
樹威:うん。“なにをいってるんだ?”みたいな感じで、文章も病んでるし(苦笑)。
RUKA:だってそういう時期だもんね。10代って多感な時期じゃないですか。
樹威:はははっ(笑)。
――『同窓会』ではRUKAさんがLuinspear時代に書いた曲も?
RUKA:やろうと思ってます。1曲だけですけど。
――「さくら~絶望の悲愁華~」ですよね?
RUKA:はい。いまの俺の感じが微塵もない曲でしょ?
――ええ、そう感じました。
――なるほど。
樹威:この曲も、最初はテンポはバラードじゃなかったよね?
RUKA:そうだね。それが突然バラードになったの。Luinspearの最初のシングル(「lsis… ~愛園に微睡む魅惑の華~」)は、俺のこの曲と、樹威の曲(「Secret Veil~天命なる花嫁~」)と、ギター(Camus)の曲(「Isis…」)の3曲入ってたんですけど。バンドって不思議なもので、曲を作る人が3人いたら3曲ともバラバラになるんですよね。
――ギターの方が手がけた曲は、構成も組曲のようにかっちりしていて、クラシカルな曲調という印象を受けましたけど。
樹威:そういうテイストが得意で、そういう性格でもありました。音楽的な知識も豊富で。
RUKA:すごく理論的でした。
■Luinspearとはどんなバンドだったのか?
樹威×RUKA 撮影=横井明彦
――そもそも、お二人が一緒にバンドをやるようになったきっかけは?
RUKA:高校は別々だから、その頃は会ったことがなくて。先にバンドを始めてた樹威を、共通の友人が紹介してくれて、ですね。
――お互いの第一印象はどうだったんですか?
樹威:髪は金髪で、ピアスはもう開いてて、パンキッシュなイメージでしたね。「どうも」って挨拶したら「(不機嫌な声で)ああ……」って感じだったかな。
RUKA:(笑)人見知りですから。
樹威:だから“俺、あんま好かれてないのかな”と思ったんですよ。そんな態度だったから。そうしたら、会った次の次の日に電話がかかってきて「あ、樹威?」っていわれたから、“ええーっ!”て驚いて(笑)。急にフレンドリーな感じになってたんです。
RUKA:それにはちゃんと理由があって。紹介してくれた友達が面白い子で。樹威は俺からしたら良い高校に行ってたから、優等生でちょっととっつきにくいイメージがあったんですよ、会う前は。でも、その友達の子が樹威の面白いところをどんどん前情報として教えてくれて。そこで勝手に心の距離が縮まっていって。実際に会うと最初は人見知りするんだけど、心の中ではその前段階から仲良くなってるから、電話だと平気なんです。
樹威:だから、電話ではフレンドリーにきてくれて。当時、紹介してくれた子と僕がバンドをやってたんですけど、二人で辞めて。RUKAを誘ってなにかやれたらいいねって話でバンドを組んだんだと思う。俺の記憶のなかでは。
――Luinspearのバンドコンセプトは?
RUKA:シンセとかの同期をガッツリ入れようというのは話してましたね。当時そういう音をしっかりやってるバンドはあまりいなかったので。
樹威:あと、仙台って東京のバンドと比べると地味だったから、見た目は派手にしようというのもありましたね。
――すぐに人気は出たんですか?
RUKA:いや、苦労しましたよ(苦笑)。
樹威:でも一発目のライブは人が集まったんですよ、なにもしてないのに。そこからは自信を失っていくんですけど。
RUKA:いま考えると、やってることが早すぎたね。技量もないのに難しいことをやってたから、音のまとまりもなかった。いま聴くと訳わかんないですよ。
樹威:なんでこんな転調したんだろう? とかね。
RUKA:構成も、これはいったい何メロなんだろう? とか。
樹威:Fメロとかあったからね。
RUKA:そうそうそう。ややこしかったな(笑)。
樹威:キーもAとBとサビで違ったりね。
RUKA:当時の僕らには難しすぎましたね。やってることが。
樹威:でも俺は、キーがどんどん変わることでボーカリストとして鍛えられた。
RUKA:へー、そうなんだ。
――その当時から樹威さんは、透明感のあるハイトーンで抜けのある声で歌ってらっしゃったんですか?
RUKA:そう。歌は昔からよかったよ。
――RUKAさんのドラムはどうでしたか?
RUKA:あー、ダメだ……(苦笑)。
樹威:上手かったですよ。ロートタムとか使ってて。
RUKA:ああ、昔はね。下手ギターはギターシンセ使ってたりとか。飛び道具的な楽器の使い方をしてたよね、それぞれが。僕がロートタム使ってたのは、高橋まことさんの影響だけど。
――RUKAさんのドラムのバックボーンに高橋まことさんがいたとは。
RUKA:俺のルーツはリンドバーグ、BOOWY、THE BLUE HEARTSですから。初めてコピーした曲はBOOWYの「NO.NEW YORK」だし。
――そうだったんですね。
RUKA:でね、いま当時の自分のドラムを聴いてると、下手なのは下手なんだけど、やっぱ“その人の音”っていうのがあるんだなって。スネアが俺の音だった。自分の音だなってすぐ分かったのは面白かったな。
――以前、RUKAさんに歌詞を書き出した理由ついて質問したときに、自分の曲に樹威さんが乗せてくれた歌詞に衝撃を受けたからだと話してらっしゃったんですけど。
RUKA:そうですね。俺の周りで歌詞を書く人に初めて出会ったのが樹威だったからね。その人が、俺が初めて作った曲に歌詞とメロをのせてくれた訳だから。その衝撃は大きいですよ。その後、自分がメロや歌詞を書いていくにあたって、影響はすごく受けたと思います。
樹威:俺も、いまだにどこが自分の基盤かっていったら、Luinspearの頃で。曲の構成の仕方とか当時のメンバーが奏でた妙な音階とか、ずっと残ってますね。自分のなかに。
■RUKAは昔から終演後すぐにステージから姿を消していたのか?
RUKA 撮影=横井明彦
――なるほど。これは訊いてみたかったことなんですけど。当時からRUKAさんは終演後、すぐにステージから姿を消していたんですか?
樹威:みんな基本そうでしたよ。
RUKA:すぐ帰ってたよね。だから、あれは俺にとって普通のことなの。
――その習慣を続けてるだけなんですね。
RUKA:でもさ、10代の頃にこうして出会って、いまだにバンドやってるヤツって。
樹威:いないよね。どんどん辞めちゃって。
RUKA:この二人がいまもやってること自体が奇跡で、すごいことなんですよ! これは、細胞一つ分も想像してなかった結果ですね。しかも、この二人では今回が初のAREAワンマンなんですよ。
樹威:仙台ではワンマンをやってたから、“いつか東京でもやろう”っていってたら解散しちゃったんで。
RUKA:それがね、2018年に叶う訳だから。
樹威:感慨深いものがありますね。実は僕、Luinspearが終わったあと、音楽を作るのが楽しいんだったらそれだけでもいいかなと思った時期があって、普通に仕事をしてたんですよ、仙台で。それをやってたときに、1回だけLuinspearが復活したことがあって。
RUKA:俺はもうNIGHTMAREをやってる頃でね。で、上手ギターを咲人に弾いてもらったんだっけ?
樹威:そう。そのときに、ステージに出ていったら“うわー!!”って喜んでくれた人たちがいたことにびっくりして。それで俺ももう1回やろうかなと思って。「俺、東京でバンドやるわ」ってRUKA にも打ち上げでいって、東京に出たんです。あれがなかったらずっと仙台で働いてたかもしれない。そういうことを経てだから、いつかまた一緒にやれるかもなっていうのは、俺は思ってたんですよ。
RUKA:人間って周期がある気がしてて。俺がいますごく思うのは、出会った頃の周期に一番近い気がするな。
――そういう意味では、ちょうどいいタイミングで『同窓会』ができる訳ですね。
RUKA:うん。そうだね。
■知らない曲だらけでも楽しめるのか?
樹威 撮影=横井明彦
――『同窓会』はどんなライブにしたいですか?
樹威:当時よりはうまくできるとは思います。
RUKA:俺の目標は完走するのみ。演奏を止めずに(笑)。
――お互いの現バンドの曲は聴けたりするんでしょうか?
RUKA:俺が作って樹威が歌った曲はやりたいなと思ってます。知ってる曲はあまりないかないかもしれないけど、昔の曲も“いい曲”ばっかです。
――では、最後にファンの皆さんに向けて一言ずつお願いします。
RUKA:来てもらうからにはみんなに楽しんで欲しいんですよ、俺だって。でも、どうしたら楽しんでもらえるのかが分からない(笑)。
樹威:昔を再現して喜ばせようとしてもね(苦笑)。
RUKA:曲を知らない人だらけですから、本当に。今回の出演者は樹威&瑠華で、俺の名前はNIGHTMAREのときの“瑠樺”よりも前の表記にしてるんですけど。そうしたら、みんなに「字、間違ってますよ」っていわれまくって。本当に当時を知らない人ばかりなんだなと。そういう体で接しなきゃいけないんだなと痛感したので。だから、ただ単に曲だけやっても本当に分かんないだろうから、MCは多めにして、当時はこんなだったとか伝えたり、楽しんでもらえる努力はします。楽しみです。
樹威:結構バンドの知り合いからは「観たい」っていわれていて。ギャ男にはたまらないと思うので(笑)、バンドマンにも来て欲しいですね。ファンのみなさんには、昔のノリといまのノリは違うので、昔は手扇子と“なんでここで?”っていうタイミングでヘドバンしてたんですけど、いまのノリで楽しんでくれたらと思ってます。

取材・文=東條祥恵 撮影=横井明彦

樹威×RUKA 撮影=横井明彦

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

新着