天月-あまつき- 等身大のヒーローが
初の武道館で見せた明るい未来

Loveletter from Moon

2018.8.23 日本武道館
天月-あまつき-(以下 天月)が、『Loveletter from Moon』と題し、8月23日に初の日本武道館ワンマン公演を開催。真っ直ぐな歌声と想い、カラフルな表現欲求に心動かされたライブの模様をお伝えする。
「みんな聞こえてる? みんなの前で話すのは初めてだなぁ、今日は来てくれてありがとう。一緒に歌って踊って楽しむぞー! 天月、頑張れよ!」
天月考案のキャラクター・正宗くんのまさかのアナウンス(声優の雨宮天が声を担当)が期待感を高めてくれた上で、まるでファンタジー映画のようなオープニングムービーへ。天月演じる謎の青年から手渡された本の扉を少年が開いて、いよいよ胸躍る歌の世界へと出発だ。
1曲目は高揚感たっぷりな「アストロスト」。ステージ上段中央にゆっくりと高く伸びていくタワー型リフト、その上にナポレオンジャケットをまとった天月の姿が! 昂るままに「今夜、君の世界を変えに来た!」と天月が叫び間奏で笑顔を見せれば、彼のイメージカラーである赤いサイリウムが揺れる客席から大歓声が上がる。
天月-あまつき-
疾走感あふれるライブチューン「DiVE!!」では、天月がステージ上段から降りてオーディエンスの近くへ。<越えて行けるさ そうだろ、武道館!>と力強く歌う天月に応え、全力でコールするオーディエンス。初の日本武道館公演にして、どちらも遠慮なしに高まっているではないか。
女子も男子も、常連さんもはじめましてさんも楽しめるいつも通りの声出しをしたあとは、“踊ってみた”のカリスマであり国内外で活躍するめろちん率いるダンサーチームが登場。「ヒロイックシンドローム」「Mr.Fake」「マリオネットラヴァーズ」と、ウィスパーボイスやハイトーンなど多彩に織り交ぜて、アグレッシブにぐいぐいオーディエンスを巻き込んでいく。
ステージ中央から伸びた花道の先にあるセンターステージで、鍵盤の奏でだけをバックに歌い出したのは「ホシアイ」。メジャーデビュー前から大切に歌い続けている歌だけに、オーディエンスはクラップしたり大合唱したり。間奏で天月が胸いっぱいな表情で口にした「武道館でみんなと一緒に歌える日を待っていました!」という言葉にも、グっときてしまう。また、自らを削りながら生きる切なさをたたえた「ガラクタモンスター」では、エレキギターを弾きながら歌った天月。彼のチャレンジ精神は、とどまることを知らない。
天月-あまつき-
「数年前の僕にとって、武道館は夢のまた夢だった場所。叶えたというよりは叶えてもらったと、僕は思っていて。僕のことを昔から応援してくれている強い想いも、最近知ってくれた温かい想いも、つなげていきたいです」
そんな言葉から、アコースティックギターを弾きながら歌う「ツナゲル」へ。各地の災害で苦しむ人々のため、自分なりに力になりたいという想いから生まれた曲だ。天月の発案で色とりどりの輝きを放つサイリウムは、虹のようにも、希望の光のようにも見えた。
一転、「Sing! Swim! Swing!」ではキャップを合わせたカジュアルコーデで総勢10名のダンサーと軽やかにパフォーマンスし、みんなをズッコけさせながらも「あぁもうッ……スキ!」と笑顔で宣言。オーディエンスも一緒になって歌って踊って、気づけばとんでもない一体感が生まれている。“ズッキュン”コールが巻き起こる中、手でハートマークを作ったり、チアのポンポンを振ったり、<超 好き!>と笑顔で歌ったりとオーディエンスをキュン死させた「月曜日の憂鬱」。ポンポンを持ったまま、ダンサーチームとの千手観音ダンスやイモムシダンスで沸かせた「かいしんのいちげき!」。シャボン玉が舞う中、センターステージでとことんハッピーを届けた「きっと愛って」。本格的なダンスに挑戦したのは初めてのことだったが、華やかに魅せるその姿に、エンターテイナーとしてのさらなる覚醒も感じた。
天月-あまつき-
鮮やかな映像が彩った「僕のことなら忘れてくれていいよ」、いくつもの白いバルーンがステージを飾った「Flight Light ~星くずとBoeing~」では、天月らしいファンタジックな世界観を堪能。彼のやりたいことを詰め込んだステージは、目にも耳にもなんて感動的なのだろうか。
これまでたくさんのライブを重ねてきた経験値があればこそ、機材トラブルも機転を利かせたトークでなんなく乗り越え、先日亡くしたばかりの愛猫を想いながら、「命も曲も心の中で生き続けると信じているし、だからこそ僕は歌い続けようと思います」と決意も新たにピアノを弾き語りし始めたのは、7月に動画公開した「キミトボク」。自伝的であり、ファンへの愛と感謝と誓いを込めた歌は、本当に美しく響いた。
本編ラストは、ハート型のカードが会場上部からはらはらと舞い落ちた「君が僕の心に魔法をかけた」。歌で人を幸せにできる、それこそが天月の魔法。自信も作詞・作曲に積極的に参加した3rdアルバム『それはきっと恋でした。』の制作、その作品を軸にしたこの日のライブで、天月というアーティストの可能性は驚くほど花開いたと思う。
天月-あまつき-
アンコールでは、オーディエンスそれぞれが時に支えられ、時に力をもらった楽曲たちをスペシャルメドレーで届けてくれた天月。人からは順風満帆に見えても、劣等感や葛藤を抱え、挫折も味わってここまで来たのだろう。涙に声を詰まらせながら想いを吐露する場面もありながら、応援してくれている人たち、スタッフ、友人への感謝を何度も口にした彼は、「好きなもの見つけられてよかったね。だって、今日も歌ってて楽しかった!」と過去の自分へ笑顔でメッセージ。大好きな歌を純粋な心で歌い続け、自分に関わるすべての人へ自分なりの恩返しをしたいと願う彼は、この先もっともっとたくさんの人に愛さていくだろう。
そして。「君が僕の世界を変えてくれたんだから、今度は僕の番!」と、オーディエンスに手を差し伸べて歌ったのは「Hello,My story」。感極まって歌えない天月を、大合唱で支えたのはオーディエンスだ。一緒なら、“迷いや不安も”きっと乗り越えていける。等身大のヒーローが切り拓く未来は、明るい。

文=杉江優花 撮影=川崎龍弥(isai)

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