【インタビュー】「フラワーステップ」はeddaが描くダークでファンタジックな世界

【インタビュー】「フラワーステップ」はeddaが描くダークでファンタジックな世界

【インタビュー】「フラワーステップ
」はeddaが描くダークでファンタジッ
クな世界

身体に花が生えてしまう病気を抱えた主人公

──最新シングル『フラワーステップ』が、ドラマ「探偵が早すぎる」の主題歌として起用中。今回の話をいただいたとき、eddaさんはどんな風に楽曲のイメージを想像しました?
edda:お話をいただいたときにご提案いただいたのが、「ヒロインとして登場する広瀬アリスさん演じる十川一華ちゃんの心情を現せる内容にしてください」ということでした。だから最初は、ドラマの世界観も考え、自分なりのストーリーを作りました。
「探偵が早すぎる」は、一華ちゃんが莫大な遺産を相続したことから、顔のわからない親戚の人たちから命を狙われちゃうお話なんですけど。突然命を狙われるというシリアスさを持ちながら、ドラマ自体はちょっとコメディなニュアンスもあるので、そのお話の道筋を把握しつつも、最終的には、わたしなりに描きたい物語を投影しました。

──気になるのが、「フラワーステップ」という言葉なんです。これは、どういう意味なのでしょうか?
edda:『フラワーステップ』に描いた物語は、身体に花が生えてしまう病気を抱えた主人公が、大好きな君という存在へ会いに行くお話です。
その病気にはおそらく正式名称があると思うんですけど、それをちょっと不謹慎な言い回しで、あだ名のように「フラワーステップ」と別名で呼称しています。

──『フラワーステップ』には、その人の身体を花がどんどん浸食してゆく様も描き出されていますよね。
edda:身体中すべてが花に覆われてしまったら人間ではなくなってしまう。そんなイメージで物語を作っています。

──何故そういう物語が生まれたのか、その発想が驚きです。
edda:身体に植物が生えているアートが好きで、「何時か、そういう物語を作りたい」と思っていました。
ドラマのヒロインの弱さや可憐さを、わたしの書きたかった物語とリンクさせて、『フラワーステップ』という物語が生まれました。

──『フラワーステップ』は、とても軽快な曲調なのも特徴的だと感じました。
edda:最初に「疾走感のある楽曲で」というお話だったので、心地好いテンポ感を持った楽曲にしました。
アレンジャーの方と「こういう楽器を入れたい」など打ち合わせをしたうえで、わたしの求めた形にアレンジをしていただきました。

──途中、三拍子にテンポチェンジしてゆく場面は、聞いててホント心地好かったです。
edda:あそこは、最初から狙いを持って作ったところでした。

締切がないと楽曲制作の出来ない性格なんです。
──eddaさんは、コンスタントに作品をリリースし続けています。それだけ、創作意欲も沸き続けてるということでしょうか?
edda:実は私、創作意欲の少ないほうじゃないかと思ってて。「曲を作ってください」と言われたらすぐに作れるんですけど、自主的に曲を作ってストックしていくことをあまりしない性格なんです。
でも、日頃から頭の中に「こういうお話を歌にしたいな」という構想があればメモもしています。そういうストックの中から、「今回は、このお話を広げようかな」という感じで、曲を作っています。

──何時でも作れてしまうのが、eddaさんの強みですよね。
edda:今のところはすべて、楽曲の締切には間に合わせています(笑)。わたし、締切がないと楽曲制作が出来ない性格で試験勉強や受験勉強もそうでした。その癖がいまだに抜けないのか、具体的な締切を言われないと、曲制作のプランを組めないんです。
──たとえ一ヶ月後が締切だと言われても…。
edda:その締切の一週間前から、動き始めます(笑)。ただその前の時期も、なんとなく頭の中では曲のことを思い続けてはいるんですけど…。

鏡に映った自分を好きになっちゃった子のお話。
──C/Wに関しては自由に作った形?
edda:完全にそうでした。

──『ミラージュ』は、ラブソング風に思えますが、じつは…。
edda:『ミラージュ』は、鏡に映った自分のことを自分だと認識出来ずに好きになっちゃった子のお話です。
どこか「世にも奇妙な物語」風と言いますか、ファンタジックなショートホラー的な感覚で作りました。

──どこかシニカルな視点で物語を描き出すように、そこへチクッと胸に刺さる嬉しい刺激を覚えますからね。
edda:『ミラージュ』は最後の種明かしまで聞かないと、ただのラブソングに聞こえてしまうような作りになっています。

──『フラワーステップ』も『ミラージュ』も、どこか奇妙な物語性を持っていますからね。
edda:そうなんです。『フラワーステップ』も『ミラージュ』も、ファンタジーでありながらも、ちょっとダークな部分がある。だけど、それをいかに音で明るく表現してゆくか。
ダークファンタジーな物語って、音がひょうきんなほど物語に奥行きができると思っているので、eddaの楽曲には、ただただ暗い曲はないと思います。

「おとぎばなしかよ」と笑い飛ばしてしまうところが気に入ってます。
──eddaさん、ぜひ『フラワーステップ』と『ミラージュ』の「歌詞のここをポイントとして聞いて欲しい」ところも教えてください。
edda:『フラワーステップ』は、タイトルの「フラワーステップ」の解釈の仕方。パッと聞き、すごく可愛いワードであり、華やかなイメージがあるんですけど、そこに隠された意味を知るとゾッとするような。言い方が悪いけど、初めて差別用語に振れた瞬間の「うわっ、何それ」という感覚と言いますか…。
だけど、その言葉によって当の本人は救われていたりもする。そこを感じて欲しいなと思います。
歌詞の一節に「「おとぎばなしかよ」って笑うかな」と出てきます。わたし、そのフレーズを気に入ってて。というのも、その言葉のやり取りを通して、君と主人公との関係性が伺えるからです。
普通、「フラワーステップ」のような病を患った子が会いに来たら「大丈夫?」となるところを、「おとぎばなしかよ」と笑い飛ばしてしまうような関係なんだろうなと感じられる。そこが気に入ってます。
『ミラージュ』は、最後の種明かしへ至る前までと種明かしされたときの物語のギャップをぜひ感じてください。

『魔法-Studio Live ver.-』はスタジオライブで収録
──『魔法-Studio Live ver.-』は、歌とピアノ、チェロとシンプルな編成のもと、スタジオライブという形で収録をしました。
edda:『魔法』は、けっこうライブでも歌っている楽曲です。一番多いのが、わたしの歌とピアノというスタイルでまだeddaのライブに触れたことのない人にも、ライブの雰囲気や空気感が伝わるんじゃないかなと思い、そのスタイルで今回収録をしました。

──チェロが入ったことで、より一層深みを持った演奏になりましたよね。
edda:そうなんです。スタジオでは、わたしとピアノの方がフリーテンポで一発録りをしました。そのテイクに合わせ、後でチェロの方が演奏を重ねてゆく形で作り上げています。

──一発録りのように、気持ちの波長をどう合わせるかも大切ですよね。
edda:たとえ同じ楽曲でも、ピアニストの方の解釈の仕方によって演奏は表情を変えていきますからね。ちょっと固めに演奏するのか、柔らかめに弾くのかによっても、わたしの発する歌声や言葉のニュアンスも変わります。互いにどう相手のことを読み取ることが大切だと思いました。
だから、今回の音源とは違うピアニストの方とライブセッションをしたら、また異なる表情を持った『魔法』が生まれるんだと思います。

想像って、余白があったほうが膨らむと思います。
──そうそう、『フラワーステップ』のMVにも振れておかなきゃですよね。
edda:今回、『フラワーステップ』のMVはプロジェクションマッピングを使って、『フラワーステップ』に描いた物語を水面に投影したんですけど、水面の揺らぎもそこへ加わることで、より面白さを感じれる映像になったと思います。YouTube上には1分程度の短いバージョンが上がっています。ぜひ「初回盤」を手にしてフルでご覧になってください。

──完成した最新シングルの『フラワーステップ』、今のeddaさんにとってどんな作品になりましたでしょうか?
edda:今回はシングル全体を通してではなく、1曲ごとに異なる方向性を持っています。それでも、とても聞きやすい1枚になっていると思います。
わたし自身、とにかく『フラワーステップ』が大好きで、この『フラワーステップ』、軽快でポップな表情の中にも、すごくグッとくる要素やエグい面など、いろんな感情をたくさん詰め込めたと思います。とくにラスサビのところの歌い方が気に入っているので、ぜひ、そこも注目して聞いてください。

──これから、eddaさんと触れ合える機会も決まっているのでしょうか?
edda:九州方面ではイベントライブの出演はありますけど、東京では現状ライブの予定は決まってないので、そのぶんインストアイベントを楽しみたい思っています。

──ファンの人たちと直接触れ合えるのは嬉しいことですよね。
edda:そうなんです。『ねごとの森のキマイラ』を発売した時期にインストアイベントを開催したんですけどたくさんの人たちが来てくれたんですね。そのときに「あー、eddaの歌を聞いてくれてるファン層はこういう人たちなんだ」というのを知れて嬉しかったです。

──ちなみにeddaさん、生み出す物語を小説にしようとは思わないのでしょうか?
edda:作り上げた物語を言い過ぎてしまいたくないんですよね。小説だと、どうしても説明が多くなりそうで。それだったら今のような形式の中で想像を膨らませていただいたほうが、わたしの表現としてはベストだと思っています。
想像って、余白があったほうが膨らむと思いますから、そういう表現を、これからもしていきたいなと思います。
Text:長澤智典

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