【動画あり】三浦一馬(バンドネオン
)「ピアソラは一生の目標」~『STA
ND UP! CLASSIC FESTIVAL 2018』<W
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<What's “スタクラ フェス”?> Artist Close-Up 三浦一馬

2018年9月23日(日・祝)秋分の日、『イープラス Presents STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2018』(略称 “スタクラフェス” )が、横浜赤レンガ倉庫の特設会場にて開催される。会場には3つの野外ステージ「HARBOR STAGE」「GRASS STAGE」「Sunday Brunch Classic Stage(無料鑑賞ステージ)」が設けられ、気鋭の演奏家たちにより、クラシックのよく知られた名曲からオペラ、ミュージカルの名曲、さらにはアニメの音楽まで、多種多様なプログラムが朝から晩まで繰り広げられる。クラシックといっても決して堅苦しいものにはせず、屋外で潮風を感じながら、食べたり飲んだり、時には寝そべりながら、多様な音楽を気軽に楽しめる趣向という。また児童の入場もOKだ。
この新しいタイプの野外クラシック音楽フェスの中で「Passion Classic 三浦一馬 with フレンズ」(GRASS stage 15:20-15:50)に出演する若手実力派バンドネオン奏者の三浦一馬(みうらかずま)に、このほど話を聞くことができた。
10歳の時からバンドネオンを始めた三浦は、2006年に別府アルゲリッチ音楽祭でバンドネオン界の最高峰ネストル・マルコーニに出会い、現在に至るまで師事。2008年、国際ピアソラ・コンクールで日本人初、史上最年少で準優勝し、その後、マルタ・アルゲリッチやユーリー・バシュメットらと共演するなど華麗な活躍を続けている。「Passion Classic 三浦一馬 with フレンズ」では、上野耕平(サックス)、伊藤悠貴(チェロ)、金子三勇士(ピアノ)、岩城直也(ピアノ・編曲)、STAND UP! ORCHESTRAら、今回のために特別に集まったアーティストたちと共に、タンゴ発祥の国アルゼンチンに生まれた作曲家アストル・ピアソラの名曲を演奏する(※追記:このステージにDEPAPEPEの三浦拓也の共演も決定)。
──最初にスタクラフェスの話を聞いた時、どんなイメージを抱きましたか?
「これは面白いことになるだろう!」と、まず素直に感じました。こういう野外フェスティバルはクラシック以外のジャンル、特に「ロック・フェス」などではよく用いられてきた形式ですが、クラシックだってこういう形のものがあってもいいんじゃないか、と僕はずっと思っていました。
ヨーロッパなどでは各地で午前中から夜中まで開催するクラシック野外音楽イベントがたくさんあります。有料エリアが設置されている場合もありますが、野外だと遠くまで音楽が届きますから、もう境はあってないようなもので、誰もが一流の演奏を聴けてしまうんです。僕もそういうフェスティバルで幾度となく色々な素晴らしい音楽を聴いてきました。だから、この話を聞いた時、ヨーロッパの石畳の広場で特設ステージが出来ている光景が真っ先に脳内リンクできて、ワクワクしたものです。
──三浦さんご自身は、屋外での演奏経験はおありなのですか?
それほど多くはないですが、5回以上は経験しています。札幌のよさこい祭りに出演した時には、ステージの両端に高さ10メートル以上の櫓(やぐら)が建てられ、その上で弾いたこともあります。
──10メートル! それは怖いですね!
下を見ないように、落ちることを考えないように、と必死でした(笑)。でも今回はそれほど高いところで弾くことはなさそうですから大丈夫かなと(笑)。
──演奏の感覚は屋内と野外では、やはり異なるものですか?
いつもの楽器でいつものレパートリーを弾いているはずなのに、受ける感覚は全然違いますね。ホールでの演奏は内に秘めた情熱を持って突き進む感じですが、野外での演奏は細かいことを気にするよりも「とにかくこの場を楽しもう」という気持ちになれます。音の返りがありませんから、多少慣れの必要な部分もありますが、それよりも、開放的な気分にさせられることが心地いいです。
──「Passion Classic」では、「リベルタンゴ」「ブエノスアイレスの冬」等々、アストル・ピアソラの名曲を演奏されると伺っています。三浦さんにとってピアソラとはどのような存在ですか?
あまりに大きすぎる存在で、正直、ひと言でお話するのは難しいです。僕がバンドネオンという楽器に興味を持ち、この世界に足を踏み入れるようになったきっかけは、まさに大巨匠ピアソラの音楽と出会ったことによってもたらされました。そして、今までの演奏活動で最も多く弾いてきたのもピアソラでした。僕はピアソラと共にバンドネオン人生を歩み始め、そして現在も一緒に歩き続け、さらに今後、一生懸けて目指していきたい目標がピアソラという存在なのです。
──今回「with フレンズ」として共演する顔ぶれが豪華です。サックスの上野耕平さん、チェロの伊藤悠貴さん、ピアノの金子三勇士さん、ピアノ・編曲の岩城直也さん……。彼らの印象をお聞かせください。
このフェスティバルに限らず普段の公演からそうなのですが、初めての方とご一緒する時って、まずワクワクするんです。もちろん気心が知れていて互いに尊敬しあえる関係性にも素晴らしいものがありますが、初めてお目にかかって「はじめまして」の自己紹介を音楽を通じて行う瞬間って、とても新鮮です。今回、チェロの伊藤さん、ピアノ・編曲の岩城さんとは初めてご一緒させていただきますので楽しみです。このスタクラフェスをきっかけに、今後もまたご一緒していただけたらいいなと思っています。
一方、サックスの上野さんは去年の秋、僕のコンサートにゲストとしてお招きし、数曲演奏していただきました。金子さんとは先日初めてデュオコンサートをさせていただきました。そんな音楽の仲間たちとあまり時間をおかずに再会できて演奏できるということも、これほど楽しいことはないですね。
元々僕は、小学校の頃からイベントが大好きで、自分で言うのもなんですが、何かの催しがあると率先して中心的存在になっちゃうタイプなんです。とにかく盛り上げたくなって。大人になった今でも、こういうフェスティバルがあると、イベント好き魂が疼きますね(笑)。だから、このスタクラフェスも大いに盛り上げていきますよ!
──ご自身が出演される枠以外で、気になるプログラムはありますか?
真っ先に気になったのは、「Classic Revolution!新進気鋭の若手アーティストとオーケストラの饗宴」でした。これは是非聴きたいと思います。これだけのスーパースターが集まってどんなステージになるのかな?と。スタクラフェス全体のクライマックスでもありますからね。
──ときに、会場となる赤レンガ倉庫や横浜界隈でおススメのスポットはありますか?
この辺りには思い出があるんです。というのも、僕がお客様の前で演奏した最初のステージが、実は赤レンガ倉庫だったからです。
2022年にアコーディオンが生誕200周年を迎えるのですが、そのカウントダウンライブとして、「Bellows Lovers Night」という蛇腹楽器のための祭典を毎年、アコーディオ二ストのcobaさんが開催しているんです。僕が14歳か15歳の頃、そこに呼んでいただきました。それが赤レンガ倉庫ホールでした。「バンドネオンにこんな若手がいます!」と紹介してくださって。僕は10歳からバンドネオンをやっていましたが、大勢のお客さんの前で演奏したのは、その時がほぼ初めてでした。そんなこともあって、赤レンガ倉庫への思い入れは個人的に非常に強いんです。
横浜界隈でのおススメは、横浜港大さん橋から出ている水上バスでのミニクルーズです。僕もドライブで横浜に行った時に時間があれば、ふらっと乗ることがあります。
タンゴやピアソラの音楽は、アルゼンチンのブエノスアイレスで生まれ花開いていった音楽ですが、バンドネオンという楽器は、元々ドイツで発明された楽器で、それが移民と共に新天地アルゼンチンに渡ったんです。つまり、移民たちがアルゼンチンの港に船で着いた後に、その辺りの酒場などから広がっていった訳です。横浜港のミニクルーズには、そのこととどこかでオーバーラップする感覚があって、初めての土地に降り立つ移民の気持ちが想像できるんです。まぁ、「そんな、大袈裟な」と思われるかもしれませんが(笑)。
──では、最後にお誘いのメッセージをお願いします。
これだけヴァラエティに富んだプログラムを、素敵な場所で食べたり飲んだりしながら聴ける、これはまさに至れり尽くせりのフェスティバルだと思います。仮に僕が出演者として呼ばれていなかったとしても、きっと遊びに行くと思います。
今までクラシック音楽に興味はあったけれどもコンサートホールにはなかなか足が向かなかった方ですとか、祝日で予定もないしちょっと横浜にでも遊びにいってみようかという方にも強くお勧めしたいイベントです。僕のステージだけでなく、全体を通して素晴らしいプログラムが目白押しですので、是非、肩ひじ張らずに気楽に聴きにいらしてください。お待ちしています!
【動画】三浦一馬さんよりメッセージ

取材・文=橘凉香  撮影=鈴木久美子

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