DORIAN CONCEPT

DORIAN CONCEPT

【ソニックマニアライブリポート】D
ORIAN CONCEPT

2014年にリリースされたDorian Conceptのセカンドアルバム『Joined Ends』。彼の評価を決定づけた作品だが、その4年後に彼の新たな到達点として発表されたのが『The Nature of Imitation』。本作により彼はFlying Lotusのレーベル<Brainfeeder>とサインを交わしたわけだ。そして今夜、彼はソニックマニア屈指のエッジーな舞台、「Brainfeeder Night」に出演した。
  結論から言って、この契約は大正解であったと思う。『Joined Ends』で彼が見せたのは、クラシカルな音楽に対する造詣の深さ、ジャズ的な感覚を持つIDM、テン年代初頭に隆盛した日本的エレクトロニカへの共振等々である。『Draft Culture』などは確かにライブ的なグルーヴがあったが、それでもアルバム全体を俯瞰すると“ベッドルームで鳴る音楽”だ。その流れを踏襲しつつ、彼が『The Nature of Imitation』を引っさげて向かった先は“フロア”であった。もちろんここで言うフロアとは、人々がダンスに興じるクラブライクな空間を指す。
 『Dishwater』から『E13』への繋ぎで徐々に温め、『Pedestrians』でアクセルを一気に踏み込む。そしてたたみかけるように『Draft Culture』へと移行した。フロアからは歓声が上がり、隣のステージで演奏するClean Bandit顔負けのダンサブルな空間を演出していた。先述のベッドルーム・サウンドから大きく飛躍し、2018年の彼はフロアを動的に操るアーティストとなったのだ。その極めつけは『J Buyers』。音源で聴いた段階で躍動を感じるサウンドであったが、ライブでの破壊力は桁違いである。クラブミュージックのアイデアとはまた違う音の重ね方で、次々に音のレイヤーを作り出してゆく。ジャズ的なインプロビゼーション(=即興演奏)。まったく予測がつかない展開であった。最後は『The Space』で締め、エンディングまでフロアの空気は沸騰していた。
 
ソニックマニア 2018。まだほんの始まりに過ぎないが、ひょっとすると今夜のベストアクトかもしれない。勢い余ってそう言ってしまいたくなるぐらい、Dorian Conceptのライブは圧倒的にエネルギッシュであった。

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