『はねバド!』OPテーマ アニソンシ
ンガー・YURiKAインタビュー「自分が
好きなものをとことん好きでいたい」

『リトルウィッチアカデミア』、『宝石の国』とアニメテーマソングを次々と担当しているアニソンシンガー・YURiKA。そんな彼女の待望の4枚目のシングル「ふたりの羽根」もTVアニメ『はねバド!』OPテーマになっている。そして8月26日には念願の「Animelo Summer Live 2018“OK!”」にも出演と、YURiKAを取り巻く環境は劇的に変わりつつある。今回は音楽との出会いから、最新シングル「ふたりの羽根」について、そして今後の活動について訊いた。
アニソンシンガーを志したきっかけは「創聖のアクエリオン」
――もともとの音楽との出会いはどのような形だったのでしょうか?
3歳の頃からピアノを習っていたんですけど、座ってやらなきゃいけないというのがすごく子どものときに苦痛で。それだったら田んぼで歌っているほうが楽しくて(笑)。
――でも歌うことや音楽は好きだったんですね。
そうですね、その頃、私は松浦亜弥さんが大好きだったんですけど、幼稚園の卒園文集には歌手になるって書いていて。小6の時に「創聖のアクエリオン」を聴いて、歌手というよりアニメの歌を歌う人になろうという決意をして、という感じですね。CMで「1万年と2000年前から愛してる」というフレーズを聞いて、「1万年と2000年前っていつ!?」って思っちゃって。そのワンスレーズでドカンと衝撃を受けて、ああアニメの歌なんだ、アニメすごいなと思って、そこからアニソンシンガーを志しました。
――最初はアイドル好きだったんですね。
アイドルは好きなんですけど、アイドルになりたいというよりかは、キラキラした女の子というか、目標に向かって夢を叶えていく姿というかそういう人が最初から好きだったんだと思うな。
――でも、アニソンシンガーを志すきっかけが作品ではなく曲なんですね。
私はそうでしたね、2007年くらいって『アクエリオン』の曲がCMで流行ったタイミングで、ちょっと一般の人もアニソンを聴き始めたというか、『けいおん!』の曲がミュージックステーションのランキングで出てきたとか。私でいうと『マクロスF』もあったりした時期だったので。だって小6の時「もってけ!セーラーふく」歌いながら帰りましたもの(笑)。
――その辺で作品も見始めたと。
そうですね。私は「創聖のアクエリオン」という曲を聴いて、アニメの歌なんだ、どういうアニメなんだろう、といってそこから色々広がっていった感じです。まさに『ハルヒ』だったり『けいおん!』だったり『マクロスF』だったり。なんていうんですかね、歌もののアニメじゃないですけど、作品と歌が近いような、単純に楽曲数が多いアニメみたいな。『けいおん!』もバンドだから曲もあるし『マクロスF』なんてシェリルもランカもみんな歌っていくから、単純に触れる曲が多かったんじゃないかなと思います。
――その中でも印象に残っている作品はありますか?
リアルタイムでというよりかは、時代は関係ないのがアニメとかアニソンの魅力かなと思っているので、追っかけで見たりとか。でもやっぱりその当時で言うと『マクロスF』は大きかったですかね。絶対みんな「射手座 午後九時Don't be late」や「星間飛行」を歌ってる、みたいな。
撮影:福岡諒祠

Key作品との出会いは「時を刻む唄」

――YURiKAさんがお好きな『CLANNAD』も2007年ですが、なんで鍵っ子(ゲームブランドKeyの熱心なファンの総称)になったんでしょうか?
正直、2007年はさすがにkeyは知らなくて、それでいうと小6からアニソンシンガーになりたい、でもなり方が分からないし、絶対アニメのタイアップがいいですってものがあるから狭くて。
――声優になろう、ではなく、あくまでアニソンシンガーなんですね。
声優さんが歌うアニソンももちろんそのジャンルにしかないものも魅力があるし、否定するつもりは一切ないんですけど、私はやっぱりアニメの歌を歌うアーティストになりたかったんです。私去年がデビューだったので、10年もがき続けてやっと去年デビューだったんですけど、そういうもがいていた時期というか自分で自主活動みたいなものをしていた時に、当時応援してくれていた人たちが、YURiKAちゃんに歌ってほしい歌があるんだけどと、色んな人が「時を刻む唄」を教えてくれて。
――TVアニメ『CLANNAD ~AFTER STORY~』主題歌ですね。
そんなにみんな言うんだったら聴いてみるよと聴いたら、まず曲でやばい! 綺麗! なにこれ! ってなって。でも2番の歌詞とか、3人分の朝ごはんとかあるじゃないですか。3人分って誰だと思って。『CLANNAD』もあと最後のギギギってオルゴールの音とか、『CLANNAD』ってループ時間軸の設定があるからその音があるんですけど、アニメを見てないとあの音って何の意味があるんだろうって分からないから、これは作品を見て歌わないと失礼だと思って、『CLANNAD』を全部一気に見て、ゲームもやって、作品見たからこそ分かる歌詞の本当の意味とか音の意味とか、というのにあらためて気付かせてくれたんです。そこからもう鍵っ子ですね。『KANON』から最新作『Summer Pockets』、『Rewrite』『Charlotte』『AIR』『リトルバスターズ!』『Angel Beats!』。『リトルバスターズ!』は私沙耶が一番、「Saya's Song」聴いたら泣きますから本当に!
――リアルタイムのファン的にはkeyと共にLeafという人気ブランドもあって、葉鍵とか言ってましたよね。
Leafも好きなんですよ私。『WHITE ALBUM2』の小木曽雪菜が一番好きなんです。あと『君の望む永遠』も好きなんですけど……私すごい趣味が偏っているので、まず近くに美少女ゲームやってる女子なんていないんですよ。これってちょっとスタッフさんでも年上の男性とめちゃくちゃ話が合うみたいなのがあったので。そういうので言うと本当にみんなが通ってきたものを通ってなかったりするので。『ONE PIECE』とか『NARUTO』を見たことないんですよ。『銀魂』は見て大好きなんですけど……別に『ONE PIECE』嫌いなわけじゃなくて、アニソン好きアニメ好きって一概に言ってもジャンルがあるんだと分かってほしいと思いますね!
――先日、山梨で行われた野外イベント『Re:animation12』でも、DJが流していた曲で熱狂されているのを見て、本当に好きなんだなと思いました。
「青空」をかけて更に「時を刻む唄」で、わかってる!と思いました。もちろん乙女ジャンルも好きなんですけど、アニメというより恋愛シミュレーションゲームが好きなので。アニメも原作がゲームのものがやっぱり好きなんですよね。ゲームってそのシナリオがなったらその人主人公になれるじゃないですか。
――他にこれはという作品はあるんですか?
私のなかで三大ヒロインっていうのがいるんですけど、古河渚(CLANNAD)、小木曽雪菜(WHITE ALBUM2)、涼宮遙(君が望む永遠)なんですよね。『君望』は、でも茜が一番好きなんですけど、遙の妹なんですよ。『君望』は曲も良くて、もともと栗林みな実さんのファンで、「Rumbling Hearts」がすごい好きで、そこからゲームもやらなきゃとやったんですけど、本当に好きですね。
――ゲームとして見るならならどういうものが好きですか?
ストーリーがしっかりしているものですかね、あとゲームの音楽が好きというのも結構あるんですよね。アニメ以上にゲームってやっぱりキャラクター一人ひとりに寄り添えると私は勝手に思っているので、それでのイメージソングだとか、『Summer Pockets』の楽曲を歌わせていただいていますけど、歌詞がなくてもサントラでも要所要所に感じられるので、やっぱりゲームが好きなんだと思います。

撮影:福岡諒祠
――その『Summer Pockets』で、遂にKeyの楽曲に関わりましたが、いかがでしたか。
いやもうウソみたいだと思いました! 最初サプライズで聞いて。会議室に呼ばれて打ち合わせがありますと。普段打ち合わせなんて電話でしてるのに、なんだろうと思って行ったらこのお話を聞かされて。私はずっとKeyが好きだと言っていたし、毎日『CLANNAD』のことTwitterとかでも書いていたので、まさかみたいな。ゲームももちろんクリアしてレコードも100パーセントになってCGも全部100パーセントにしたんですけど、クリックしながら涙を流しましたね、本当に、夢みたいですね。
――アニソンシンガーになって早くに夢が叶ったかたちですね。
そうですね。アニサマ出演もずっと夢だと言っていたので。
――その『Animelo Summer Live 2018 “OK!』初出場も決まりましたが。
今年ちょっとおかしいんですよね(笑)。でもずっと目標にしていたというか、アニソン好きな人でアニサマ知らない人なんていないと思うし、やっぱりアニソンが歌いたくてアニソンシンガーになったので、さっきも言ったんですけど、アニソンシンガーじゃないと歌えない歌もあると思うので、アニメの歌を専門に歌う人にしか出せないものもあると思うので、それを存分に出していきたいなと思います。
――アニソンアーティストを取り巻く環境も厳しくなっていますが、アーティストも作品数も多いなかで残るものも限られてきそうです。そのへんに関して思われることはありますか?
確かに私もなるべく観るようにしてもやっぱり追いきれない本数で、歌も同じようにたくさんあって、まだ2年目だけどどんどん新しい人が出てきているのももちろん分かっているし。お客さん側だったというかその目線は忘れたくないんです。
――いちファンであったときの自分ですね。
さっき『CLANNAD』後追いと言いましたが、やっぱり時代が関係ないのがアニメとかアニソンだと思うんです。リアルタイムにしかない楽しさも絶対あるし、『CLANNAD』なんかはリアルタイムで一緒に応援したかったっていう、ちょっと後悔みたいなものもあったりするんですよ。だからこそ今見てない人にお前ら何年か後見ておけよみたいな気持ちというか、何年か後に、リアルタイムで追いかけておけばよかった!って言わせてやるからな!みたいな気持ちはちょっとありますね(笑)。
――曲に関しても作品に寄り添うものですしね。
そうですね。私はアニメと一緒にいたいというのが一番なので、『はねバド!』の「ふたりの羽根」歌いながらバトミントンやったりとか、色々作品とOPの映像と同じ動きをしたりとか、振り付けとは違いますが、そういう動きもライブに入れているんです。作品が好きだったら曲も切り離せないものだと思っているので。
――厳しい業界だとは思いますが、そういう思いを持ってくれているアーティストは1アニメファンとしては嬉しいですね。
結局は勝ち抜いていかなきゃいけないので。だけど本当に今年の夏、アニサマも『サマポケ』も、自分で掴んだというよりかは用意してもらった色んな人が背中を押してくれて立たせてくれたという気持ちでいるので、全部思い出一回で終わらせたくないんです。アニサマは目標は100回連続出場なので。
――100回!
一回出られたからよかったねでは絶対終わらせたくないんです。Keyの何年か後に次の最新作にも関われることを目標にしないといけないと思うので、一回できたら良かったとは思わないようにしています。
――アニサマもkeyも関わることになって、改めて次の目標はありますか。
絶対やりたいっていうとさいたまスーパーアリーナでワンマンをやりたいとか! まあでっかく言っていくタイプなので(笑)。でも、自分が好きなものをとことん好きでいたいですね。まんべんなくこなすよりかは一個秀でたほうが好きというか合ってる気はしてます。

撮影:福岡諒祠
――同じ事務所の大原ゆい子さんとご一緒することが多いですが、大原さんはどういう存在でしょうか。
一番最初に会ったのが多分2年前の夏になるんですかね。ちょうど『リトルウィッチアカデミア』の1クール目のOPとEDになって、最初はちょっと遠慮もあったんですけど、一緒にいる時間が多くて、同じ作品のOP・EDを一緒にやらせていただいたり、先日の『Re:animation12』とかステージは違くても同じイベントに出せていただいたりもあるんですけど。なんだろう、逆にどう思われてるのかなと思います(笑)。
――ご自身のなかでライバルとか、そういう意識は?
いや、ゆい子さんはやっぱりシンガーソングライターで、私はアニソン・ゲーソンしか興味がない。私はそこしかなくて今そこにいるけど、ゆい子さんはゆい子さんの世界があると思うんです。あとは私が「アニソンシンガーです!」と言っているように、多分シンガーソングライターということに誇りを持ってやっていると思うので、そこはライバルと思わなくちゃいけないのかもしれないですけど、根本的なところは違うのかなと思ってますね。
――あまり意識されてはいないと。
私には絶対できないことをしていらっしゃるし、逆に私だからこそのアニソンへの知識とか今まで10年間思ってきたこととか、私にしかないものもあると思うので、そこをゆい子さんみたいにしたいとは思わないしできないというのは思ってますね。だからライバルって意識はあまりなく、これがもし私みたいにアニソンしか興味がないです、アニソン絶対歌いたいですみたいな子とよくご一緒するのだったら、良い意味でライバル関係みたいになると思うんですけど(笑)。
――『はねバド!』はそういう意味ではふたりのマッチングがはまった作品ですね。
『はねバド!』は今回そうですけど、私でいうとゲームが好きとか、あとハガキ職人だったとか、ゆい子さんも野球が好きだったり。同じところはあるけどまたそれぞれのフィールドみたいなものが少しずつできているような気もしますね。
――アニソンシンガーの海外展開もどんどん増えていますが、行きたい国などはありますか?
こんなこと言ったらあれなんですけど……あんまり日本から離れたくない!(笑) 自分の家以外で眠れなくて……国内ですらあまり寝れないんですよ。それを直してから行きたい。やっぱり海外で応援してくれて、SNSで海外からメッセージをもらえたりとか、わざわざ来てくれる人もいるので、ぜひ行きたいなと思います!
――いや、これだけ好きをアピールしてもらったら、次はKeyの新作のOPを担当してもらいたいですね。
『Summer Pockets』やってくださいよ。本当にやったほうがいいですよ! 私ビジュアルアーツさんからサンプルもらえるのに自分で買いましたもの! これはお金で返さないとと思って。無料配布のうちわとか並びましたもの!
――マインドが本当にユーザーに近い(笑)。
その感覚も忘れたくないので、未だにラジオも匿名で送ったりしてますし、自分のラジオにメールを送ってますし、それは読まれたらネタバラシするんですけど(笑)。 そういう気持ちは忘れたくないですね!
インタビュー・文:加東岳史 撮影:福岡諒祠

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