【インタビュー】感覚ピエロ、47都道
府県ツアー終了直後の楽屋で「日々、
自分たちを高めていく」

感覚ピエロが2018年3月から開催してきた自身2度目の47都道府県ツアー<KKP TOUR またイかせてもらいます!!47都道府県全国津々ムラ×2!! デリバリー感覚ピエロ!!~チェンジだなんて言わせない~>が、7月28日に地元・大阪なんばHatchで幕を閉じた。Zepp Tokyoを含む数本のワンマン公演のほか、このタイミングだからこそ共演したいバンドを迎えた対バン公演を含む今回のツアーは、2015年に開催した1度目の<47(ヨンナナ)ツアー>とは全く意味合いが違うものになったようだ。
西日本豪雨で中止になった京都MUSEおよび神戸 太陽と虎の振替公演は残っているが、ひとまず無事ツアーファイナルを終えたメンバーに、ライブ終演直後のなんばHatchの楽屋にてインタビューを行なった。多くの経験を積んだツアーだったが、その眼差しは、今秋開催するZeppツアーと来秋の開催が発表された幕張メッセ公演を見据え、すでにバンドの“これから”に向かっていた。

   ◆   ◆   ◆

■僕らの想いとしては
■音楽が都市部だけのものであってほしくない

──まず、なんばHatchのファイナル公演(7月28日)を終えた直後の感想から聞かせてください。

横山直弘:47都道府県ツアーをまわってきて、日本全国で僕らのことが大好きだって言ってくれる人たちと一緒に音楽をやってきた集大成だったので。それに相応しい1日になったんじゃないかと思います。あとは、アンコールの最後に、「拝啓、いつかの君へ」を演ったんですけど、「みんなで歌ってくれ!」って言ったら、すごくちゃんと歌ってくれたことが嬉しかった。いつも「拝啓、いつかの君へ」をやるときには、みんなが歌ってくれる絵を思い浮かべていて、今日はもう頭からケツまでずっと声が聞こえてたので。今日の俺たちのライブが本当に届いたんだなって思いました。
▲横山直弘(Vo&G)

──たしかに今日の大合唱は、ツアーの序盤で見させてもらったZepp Tokyo公演とは比べものにならないぐらい大きかったです。

横山:ですよね。で、そのあとに「来年の春に幕張メッセをやります」って映像で発表したときに、「ワー!」っていう歓声があがって。それを聞いたときも“待っててくれてるんだ。このままついて来てくれるんだ”と思って、ウルッときちゃいました。

秋月琢登:ちゃんと一緒に喜んでくれてることに鳥肌が立ちましたね。バンド内で、「次はZeppツアーをするか」とか「来年の秋には幕張メッセでやるか」っていうのは簡単に言えるんですけど、改めて集まってくれたリスナーに対して、「これが俺らの目標だから、よろしくね」って言えたのは、ひとつ大きい宣言かなと思ってます。

──滝口くんとは西尾くんはどうでしたか?

滝口大樹:いい意味で、いつもどおりできましたね。

横山:ふふふ(笑)。

秋月:何、笑っとるん?

横山:いつもどおり音が鳴らなかったなと思って(笑)。

──ああ(笑)。たまに滝口くんのベースの音が出なくなるっていうのが、感覚ピエロの“トラブルあるある”になってますからね(笑)。

滝口:嫌味言うなあ、こんなときに(笑)。

西尾健太:まあ、ケンカすなや(笑)。

滝口:ま、そういう意味でも、いつもどおりできて良かったのかな(笑)。

西尾:僕はめっちゃ緊張しました。1ブロック目とかは本当に何をやってるかわからなかったですもん、自分で(笑)。たぶん前回の47都道府県ツアーとは違ってて、1ヵ所ずつ背負ってきたものがあったから、それに潰されそうになってたんです。でも、途中からめちゃくちゃ楽しくなりました。

──MCでは見たことがないぐらい西尾くんがたくさん喋ってましたね。

秋月:「俺、今日は喋るわ」言うてたもんな(笑)。

滝口:よう喋ってた。

西尾:ヤバかったな。言葉が出る出る。

──ちょうど結成5周年の日でもありましたけど、感慨深いものはありましたか?

秋月:それがあんまりなくて。意外とサラリとしてたというか。“俺らを祝ってよ!”みたいな感じじゃなくて、次に開催する秋のZeppツアーとか、来年の幕張メッセ公演を発表したことを、みんなが喜んでくれたことのほうがぐっときましたね。

西尾:そうだね。
▲秋月琢登(G)

──では、47都道府県ツアーを無事にやり終えた感想は?

秋月:もうやりません!

──あははは、大変でしたか?

秋月:(メンバーに)ぶっちゃけどう?

横山:うーん……1回目の47都道府県ツアーと今回とは意味が全然違いましたからね。

秋月:ちゃうよね。

西尾:まあ大変でしたけど、前回と違って1本1本大事にできたかなと思いますね。

秋月:前回は武者修行みたいな感じだったからな。

滝口:今回は2周目なので、「ただいま」って言える箇所が全国にあることが“すごい幸せやな”と思ってました。ライブ中に「前回も来てくれた人?」って聞くと、意外とけっこうな人数がいて。それだけでも“ああ、来てよかったな”って思うし。

秋月:無名のときから自分らで積み上げてきたものがあって、ちゃんと47ヵ所お客さんが入ってくれてたんですよ。ソールドアウトの会場もあれば、足りてない会場もあったんですけど。俺らを見に来てくれてるっていう、その“行動”が嬉しいというか。

横山:そういうなかで、ようやく地に足が着いたツアーだったなと思ってますね。僕らの想いとしては、音楽が都市部だけのものであってほしくないんです。47都道府県ツアーをまわって、いろいろな都市で感覚ピエロの音楽を待っていてくれて、会場ごとに違う反応があって。でも、それぞれが感覚ピエロっていうバンドのことを好きでいてくれる。今回のツアーでは俺らが5年間積み上げてきたものを、ちゃんと一緒に楽しもうっていう状況が作れたと思うんです。それを全会場でできたことに価値があったと思いますね。

秋月:もうちょっと俺らの規模が大きくなったら、また各会場をより大きいところにして、47都道府県ツアーができたら嬉しいですよね。

横山:次に47都道府県ツアーをやるときは、全部ワンマンで。

秋月:それ、したいよね。

横山:それで最後に「全部ソールドアウトしたね」って言いたい。

秋月:それができたら、次はさいたまスーパアリーナやな。
■演奏しながら“あ、死ぬかも”
■って思ったのは初めて

──どんどん目標が出来てきますね。各地の対バンで印象に残った公演はありますか?

横山:いろいろありましたけど……まず、和歌山CLUB GATE(6月30日)でヤバT(ヤバイTシャツ屋さん)とやったときに、空調が壊れてて。終わったらフロアが水びたしなんですよ。あれはスゴい経験でした。“あ、ライブって死にそうになるんだ”って(笑)。

秋月:演奏しながら、“あ、死ぬかも”って思ったのは初めてよな。

滝口:しかも、始まる前にベースの音が出なくて……下手のブレーカーが落ちてたんですよ。
▲滝口大樹(B)

──そこでも滝口くんの音が出なかったっていう。

秋月:上手のブレーカーは落ちないんですよね。持ってるよな、滝口は(全員笑)。

滝口:BRADIO (5月31日 福島・郡山#9/6月1日 宮城・仙台CLUB JUNK BOX)が横山の誕生日を祝ってくれたこともあったよね。

横山:僕の誕生日が5月30日なんですけど。

滝口:その翌日が福島CLUB #9で。横山が楽屋にいないときに、「サプライズでケーキを買ってきたから」って言ってくれて。あれは嬉しいかったですね。

横山:あとは西川口Live House Hearts(3月10日)かなあ。プププランド

秋月:解散やもんな。

横山:いま思うと、最後のタイミングで僕らのツアーを選んでくれて。いままで一緒にやってきたバンドだから、このツアーで一緒にやれてよかったなって思いましたね。

──個人的に横山くんの姿で忘れられないのは、
したときのことで。終演後にメンバーは楽屋で雑談してたんだけど、横山くんだけひとり、フロアでしんみりしてたじゃないですか。あれは悔しかったんだよね。

横山:ああ……そうですね。あのときは僕らが後ろの出順だから、なんとか形になったけど、あの順序が逆だったら、完璧に食われてるライブだと思ったんですよね。だから、すごく悔しかったんです。さすがアルカラ先輩だなと思って。

──うん、キャリアの長いバンドも多く迎えたツアーだったからこそ、そういう場面もたくさんあっただろうし。悔しさも含めて得るものが多いツアーだったんでしょうね。

秋月:ワンマンでは味わえない感覚ですよね。

──西尾くんはどうですか? 印象に残ってる対バン。

西尾:僕は空想委員会かなあ(4月4日 岩手・盛岡CHANGE WAVE/4月5日 青森Quarter)。

横山:そうだよね。

西尾:僕、「歌え」ってステージに上げられたんですよ。

──空想委員会のステージに(笑)。

秋月:もともと空想の曲が好きなんよな?

滝口:健ちゃん(西尾健太)が曲をリクエストしたんですよ。

西尾:そう、前日に「めっちゃ好きなんです」って言ったんです。そしたら、「何が好きなん?」って聞かれて、「「波動砲ガールフレンド」です」って言ったら、「明日ステージに上げるから歌って」って言われて。初めてドラム以外でステージにあがりましたね。

滝口:あれはレア感もあったよね。
▲西尾健太(Dr)

西尾:あの日、俺らのBGMがなくなったよな。

横山:そうだ。僕らが転換してるときに無音になっちゃって。間がもたないっていうときに、委員長(三浦隆一[Vo/G])が弾き語りをやってくれたんです。

滝口:アコギ1本持って。

秋月:本当にメンバーみんな良い兄ちゃんで、めっちゃ好きになりましたね。

──秋月くんは印象に残ってる対バンはありました?

秋月:ヒトリエ(6月23日 岐阜CLUB ROOTS/6月24日 三重・松阪M'AXA)は面白かったですね。みんな本当に上手い。いちプレイヤーとして心底すごいなって思ったのは、ダントツでした。

滝口:珍しく秋月がギターキッズみたいになってましたよ。リハーサルでエフェクターボードを覗き込んでるのを初めて見てビックリした。

秋月:久々に“機材、何を使ってはるのやろ?”とか思いましたもん。最初は“仲良くなれないかもしれない”と思ってたんですけど、喋ってみたら、リクエストした曲もやってくれたりして。ちょっと俺らと似てるのかなと思いましたね。社交的でもムードメイカーでもないけど、ほんまに仲がいい人と喋る人みたいな。この機会に仲が良くなってよかったです。

──今回は同じ相手と2日間対バンした箇所が多かったのも良かったですよね。バンドのツイッターでも、それぞれのバンドといい関係を築けてるのが伝わってきてて。

秋月:やっぱり打ち上げで仲良くなれるんですよね。
もそうでしたし。

──もともと友達の少ないバンドだったのに、すっかり仲間が増えたことも意義深いですけど。改めて全都道府県をまわったことに、どんな意味があったと思いますか?

横山:このツアーが始まったとき、西尾氏がよく「みんなでファミリーになって、仲間を作っていこうや」って言ってたんです。もちろん僕らはお客さんが楽しんでもらえる空間を作るためにやるんですけど、それだけじゃなくて。ふだん行けないところとか、あまりバンドが来る機会のない地方に足を運んで、「俺たちは仲間だぜ」ってちゃんと言えたのは、今回のツアーが47本あった意味のひとつですね。

──わかりました。このツアーを終えて、来秋の幕張メッセに向けて、感覚ピエロの5周年イヤーが始まります。この先の感覚ピエロには何を期待してもらいたいですか?

横山:今日のライブで最後に流した映像にも、「快進撃がはじまる」っていう言葉を書いたんですけど、これからも進化し続けたいです。たとえば、幕張メッセもなんばHatchも、すでに数多のアーティストが通過してきた場所に間違いないんです。でも、そこで、「感覚ピエロはオンリーワンのエンターテイメントである」っていう景色を見せたいっていうのは、もう心のなかで決めてるから。47都道府県ツアーで見せた感覚ピエロのエンターテイメントよりも、もっと進化したものを見せるし、その間にはリリースもあるだろうし、秋にはZeppツアーもあるので、ひたすら階段を昇っていくことしか考えてないですね。日々自分たちを高めていく。そういう5周年イヤーになるんじゃないかと思います。

取材・文◎秦理絵
撮影◎ヤマダマサヒロ
■<感覚ピエロ ありあまるフィクション ONE-MAN TOUR 2018 / AW 〜Road to MAKUHARI〜>
10月26日(金) 東京・Zepp Tokyo
10月28日(日) 香川・高松DIME
11月03日(土) 兵庫・ART HOUSE
11月04日(日) 三重・松阪M'AXA
11月16日(金) 愛知・Zepp Nagoya
11月17日(土) 長野・ライブハウスJ
11月24日(土) 大阪・Zepp Osaka Bayside
12月07日(金) 東京・Zepp DiverCity Tokyo
12月09日(日) 北海道・Zepp Sapporo
▼チケット
・Zepp公演:スタンディング ¥4,500円(税込) ※整理番号順の入場となります。※別途ドリンク代(各地による)
・Zepp公演:2F指定席 ¥5,000円(税込) ※別途ドリンク代(各地による)
・その他公演:スタンディング ¥4,000円(税込) ※整理番号順の入場となります。※別途ドリンク代(各地による)
一般発売:2018年9月29日(土)10時〜
http://r.y-tickets.jp/kkp2018aw


■サブスクリプション限定アルバム『1826』
各サブスクリプションサービスにて配信中
https://jiji.lnk.to/kankakupiero_1826

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