うらたぬき 歌、ダンス、朗読……“
貪欲な世界”でとことん楽しませたバ
ースデーライブをレポート

Uratanuki Birthday Live~Greedy World~

2018.8.9 Zepp DiverCity
ユニット・浦島坂田船ではリーダーを務め、声優・浦田わたるとしても活動するなど多芸多才ぶりを発揮しているうらたぬきが、誕生日である8月9日にZepp DiverCityにて『Uratanuki Birthday Live~Greedy World~』を開催。ソロでは初のZepp DiverCity公演となったわけだが、タイトル通りの“貪欲な世界”で目も耳もとことん楽しませてくれた。
荘厳なSEの中、両サイドが蜘蛛の巣で不気味に飾られたステージ上段に、玉座に腰かけたうらたぬきがせり上がりで登場。彼のイメージカラーである緑のペンライトがフロア一面に揺れる中、1曲目は最新アルバム『Greedy World』のオープニングを飾る「セクトの誅罰」だ。黒を基調に差し色の緑が映える魔王感たっぷりな衣装をまとったうらたぬき、足を組んだまま片肘をついて歌うその姿は、実に不敵。2番ではゆっくりと立ち上がり、階段を降りてステージへ。裏地が緑の黒いマントをひるがえしながらダンサー2人とともに華麗に舞えば、こたぬき (うらたぬきファンの呼称)の大歓声が上がる。
うらたぬき
よりゴシックな色と影をまとう「My Shadow」では、暗く重厚な世界観の中、歌とダンスで悲痛な愛を描くうらたぬき。いっぽう、コールしたりペンライトを振ったり、観客の高揚は止まらない。
「某夏ツアー(『浦島坂田船 5th Anniversary ~熱▽CHU▽宙▽俺SUMMERと、宇CHU▽旅行▽~』)があるおかげで、振付大変だったよ(笑)」と言いつつ、「すごいね、みなさんと近い! みなさんのこと、お持ち帰りしてもいいんですかね?」と、観客が思わず嬉しい悲鳴を上げてしまう言葉も。歌でダンスでトークで、観客の心をいきなりギュギュっと掴んでしまうのがうらたぬきである。
観客の“アッパッパー”コールが大きく響いた「オキシトシンの奴隷たち」。イントロで観客の歓喜の声に包まれた「ヒバナ」、「リバーシブル・キャンペーン」とエモすぎる2曲が続けば、フロアの熱もどんどん高まっていく。
かと思うと、「みんなの声を聴こうと思って片方のイヤモニを外したらどこかにいっちゃった」と、バンドメンバーのたいちょうにぶら下がったイヤモニを探すお手伝いをしてもらううらたぬき。その姿は、なんともお茶目だ。
うらたぬき
「実はわたし、小心者でして……言えない言葉があります」と前置きして歌ったのは、「愛してるが言えない」。さらりとまとった和情緒、切なさをたたえた歌声が胸の奥深くまでじんわりと沁みて、涙がこぼれそうになる。そして、「曲中では言えなかったので、今言わせてもらいます。愛してるぞ!」とダメ押し。歌声で心揺さぶられて、堂々告白もされて、観客はなんて果報者なんだ!
再びステージ上段の玉座に腰かけ、「お姉さんたちには躾が必要ですね」とドSな笑みを浮かべたのは、「ハイヒール・プリンセス(ver.うらたぬき)」。ライブならでは、<こたぬきなのにこんなことも出来ないんですか?><おまえは俺がいないとダメでしょうけど>と歌詞をアレンジしながら、最後に<お前が馬になるんだよ>と言い放てば、さらにこたぬきは歓喜に沸く。
うらたぬき
魔王らしく黒く長い爪が生えた左手を器用に使いながらページをめくった朗読では、「おまえを独り占めにしたい」「忘れられない夜にしてやるよ」「絶対におまえを離さない」「もっとドキドキさせてやる」「俺様以外のものによそ見してるんじゃねぇ」「今夜は帰さないからな」と、キラーワードを連発。しかも、イケメンボイス。そりゃあ、骨抜きにされてしまう。
中盤では、“歳を重ねても臆病にならず、攻めの姿勢を見せるためのチャレンジ”として、「OBK-1グランプリ」=お化け屋敷チャレンジ動画を上映。古民家を丸ごと使用した新感覚ミッションクリア型恐怖屋敷“畏怖 咽び家”へSumやカメラマンと共に挑むうらたぬきは、Sumの腕を掴みながら恐る恐る歩いたり、仲間に裏切られちゃったり。ミッションクリアは果たせなかったものの、家に潜む殺人鬼に「こら、たぬき!」と設定に合わせた恫喝をしてもらえるなんて、さすがだ(笑)。
うらたぬき

うらたぬき

「こっちを向いて」では、前半の魔王衣装と打って変わり、ジーンズのカジュアルポップな衣装で登場。フォーキーで温かな楽曲にぴったりな、温かく柔らかな歌声。フロアを見渡して手を振りながら、ひとりひとりの観客に届くように歌う姿に、なんだかグっときてしまったのは筆者だけだろうか。
ハッピーソング「シアワセは台本の外から」では、うらたぬきが軽やかジャンプしたり、ステージを右に左に動いたり。「お友達ではいられない」では、恋するドキドキを歌声だけでなく仕草でも表現。「僕のためにこんなに集まってくれて、本当に幸せです。マジで嬉しいわ!」と感激して、「これやるといつも(浦島坂田船の)年下組に怒られるけど、今日はやらせて!(笑)」と、客席にWAVEを巻き起こす場面も。
アッパーでエキセントリックなダンスチューン「ダンスロボットダンス」でますます一体感を高め、「めちゃめちゃ楽しい!」と満面笑顔のうらたぬき。
さらに、この公演後に動画投稿した「Pink」は、「なかなかエロいので気をつけてくださいね」という予告通りのかなり刺激的なナンバー。腰使いでもドキっとさせる挑発的なダンス、ラストの吐息にしても、色気がダダ漏れだ。
うらたぬき
うらたぬき
疾走感あふれる骨太ロックな「テオ」では、観客がたくましく“テオ”コールをする中、ハイトーン&ロングトーンで圧倒。ガラっと異なる顔を次々見せて、まるでカメレオンのようではないか。「最後の曲は、すごく好きな曲です。よければ、サビで一緒に歌ってください」という言葉に導かれたのは、「Life goes on」。力強いシンガロングは、多幸感に満ちていた。
アンコールでは、バンドメンバーの主導で観客がバースデーソングを大合唱すると、豪華なバースデーケーキが登場。「いやぁ、嬉しいです。ありがとうございます!」と、ケーキを一口どころかパクパク(笑)。
ラストは、うらたぬきの振付指南で気持ちもひとつになった「ディアミライ」。貪欲に突き進むうらたぬきと、彼の彩り豊かな表現を求めるファン。ますます深まった愛と絆は、この先も決して揺るがないだろう。

文=杉江優花 撮影=小松陽祐(ODD JOB)
※▽は白抜きハートマーク

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