【対談】風弥 -Kazami- (DaizyStrip
per) × みのり(まなみのりさ)、異彩
の3者がチャリティー曲「ちぃたん☆
の気持ち」で以心伝心
風弥とみのりの対談では、チャリティー企画の意図、両者とちぃたん☆の関係、楽曲レコーディング秘話、そして結成11周年を迎えた両所属グループの現在と未来について話を訊いた。“新たな可能性を引き出してもらった”と互いが語る以心伝心のストーリーは、ちぃたん☆を加えた3者の“動物愛”を導火線としたものでもある。このチャリティソングをきっかけとして、「動物を愛する思いに、たくさんの方々からの賛同をいただけることを切に願っています」とは発起人でもある風弥の言葉だ。
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■飼い主にとってもペットにとっても
■辛い状況に対して何かできないか?──風弥
──チャリティソング「ちぃたん☆の気持ち」は被災動物たちの保護や救出活動を支援するため、その収益が特別非営利活動法人『SORAアニマルシェルター』に支援金として寄付されることが公表されています。まず、企画意図から教えてください。
風弥:7年前の2011年3月11日に起こった東日本大震災は、死者/行方不明者、合わせて18000人を超える大災害となりました。この地震発生による原発事故は重大なものとなって今も傷跡が残ったまま。DaizyStripperの夕霧(Vo)が福島出身ということもあって、やはり僕らは東北に特別な思いがあるんです。
風弥:“世界に誇るヴィジュアル系アーティストが今、できること”をテーマに、青く輝く美しい地球を彩る日本に戻ってほしいという希望を込めて、チャリティー団体を立ち上げました。原発事故に伴う避難区域の設定により、避難を余儀なくされた方や、津波被害によって学校が流されて、勉強ができなくなった子供たちに対する支援を目的としたものです。僕らに近いヴィジュアル系バンドの賛同者とレコーディングをして、CDを作って、ライブをして、その収益を東北の小学校に寄付させていただきました。
──DaizyStripperとしては被災地への支援を当時から継続的に行っているという。
風弥:メンバーの出身地でもあるし、僕らにとってもただ事ではないので、やっぱり何かをしたいっていう気持ちがあるんです。DaizyStripperの「HOME」の歌詞は夕霧が書いたんですけど、これは失ってしまった実家のことを思った歌で。『HOME』というアルバム自体にそういう曲が多くて、歌詞の中にも地元への思いが滲み出ていると思います。
──当時は、震災被害を前にして音楽の無力さを感じるアーティストもいたし、積極的に被災地へ行ってボランティア活動をするアーティストや、大きな復興支援ライブを行うアーティストもいた。音楽で何ができるのか、みんながそれぞれ考えていました。
みのり:震災地に私たちのファンの方々も結構いらっしゃったので、その時の状況や、その後の生活をうかがったりして。自分たちに何ができるんだろう?っていうことはずっと考えていたんです。災害から離れた場所でも、歌とか音楽で力になれればということは、その時も今も思っていて。具体的に大きな何かをしたっていうのはないんですけど、離れた人にも届くようにライブをしたいっていう気持ちがあって、いつもそう思っています。
風弥:都内近郊でDaizyStripperのミュージックビデオの撮影をしていました。まさに、その撮影中に警報が鳴って、照明や機材がガシャンガシャン揺れたし、僕らは回るステージの上で撮影をしていたので、本当に何がなんだかわからないという感じでしたね。テレビを点けたら大変なことになっていて、でも、スマホを見ても確かな情報が何も入ってこないような、そんな状況でした。
みのり:私は地元の広島にいたので、その時の揺れを経験することはなかったんです。だけど、テレビのニュースをずっと見ているうちに被害がすごいことを知って。離れたところで大変なことが起きているのを知って、とにかく家でびっくりしていましたね。
風弥:震災の後、“BLUE PLANET JAPAN”の活動で現地に行ったり、その後もDaizyStripperのツアーで常磐自動車道を何度も通るんです。今も人が住めない場所や、立ち入り禁止の区域があるし、常磐自動車道には放射線測定器が設置してあるんですが、被災地に近づくにつれて示す数値が上がっていく。そういう中で、酪農とかペット達はどうしているんだろう?というのはずっと思っていたんです。
──それが、今回のチャリティソング「ちぃたん☆の気持ち」制作につながっていくわけですね。
風弥:はい。よくよく調べてみると、東京電力第一原子力発電所の事故が発生して、その犠牲になったのは人だけじゃなくて、そこで暮らしていたペットや家畜。つまり、犬や猫とかの動物たちにも被害がおよんでいた。どういうことかというと、原発事故のために避難した安全な場所へは、環境的にペットを一緒に連れて行くことができなかったんです。離れ離れで暮らさなければいけない上、被災地に置いていかなければいけないという現実がある。
みのり:そういう状況は私も情報として知っていました。
風弥:事故前のペットは僕たち人間と暮らしていたので、充分な食べ物を得ることができていましたけど、飼い主がいなくなると食事もままならない生活を送らざるを得なくなった。さらに、人間がいなくなった土地では、タヌキやキツネ、カラスといった元々の野生動物が行動範囲を広げて、それもペットの脅威となったんです。そういう話を聞くにつけ、飼い主にとってもペットにとっても辛い状況に対して何かできないか?と、今回、支援活動をスタートしたカタチです。
──具体的には、どのように今回のチャリティーソング制作が進んでいったんでしょうか?
風弥:「被災地の動物たちを支援したい」ことをスタッフに話したところ、賛同してくれる人が集まって、チャリティーとして楽曲を配信をしようと。配信方法とかはスタッフに託して、僕はまず楽曲作りを始めました。曲を作っていく中で、女性ボーカルがいいなと思って、賛同者の一人、みのりさんに歌ってもらうことになったんです。
風弥:いいえ。ただ、まなみのりさのスタッフとは古くからの知り合いで、高校生の時、一緒に音楽をやっていた仲間なんですよ。しばらく連絡をとってなかったんですが、何かのきっかけで彼から連絡がきて、いろんな音楽の話をしているうちに、まなみのりさの話になった。
みのり:はい。私もDaizyStripperのことは知っていましたけど、実はお会いするのは、今日が「初めまして」なんです(笑)。
──そうとは思えないくらいボーカルとトラックの波長が合った音源です。
風弥&みのり:そうですね(笑)。
■単に動物の歌ではないと感じた──みのり
──楽曲の具体的な話の前に、まずテーマについてお訊きしますが、今回のチャリティソング「ちぃたん☆の気持ち」は、カワウソのちぃたん☆を題材としたものですね。
風弥:“動物たちを支援したい”という想いからスタートしたチャリティーソングですから、ペットに関わる歌を作りたいと思ったんですね。SNSにペットの写真を上げる人ってたくさん居るじゃないですか。なぜそういう写真を上げるかっていうと、みんなを笑顔にするから。僕らが音楽をやっている目的も同じなんです。僕は、ちぃたん☆の動画をTwitter上でよく見ていていたんですけど、僕と同じように動物を愛している数十万人のフォロワーさんが笑顔になっているんだろうなって。そう考えると、ちぃたん☆の可愛らしさはもちろん、笑顔にするということに親近感が湧きました。ちぃたん☆と一緒に支援活動がしたかったし、世の中に僕たちの活動を知ってもらいたかった。だから、ちぃたん☆ありきの発想で楽曲制作を進めたんです。みのりさんのスタッフに話を聞いてみると、みのりさん自身もカワウソがお好きだと。
風弥:そういう偶然の一致もあって、ちぃたん☆とみのりさんにご協力をいただくことができました。たとえば、ちぃたん☆もみのりさんも、すごく元気でパワフルというか、活力がある。それって人を幸せにしてくれると思うんです。楽曲はミディアムテンポですけど、そういう部分を描きたかった。
──歌詞は震災復興や動物支援をテーマとしたものではなく、ペット目線で飼い主への想いが描かれています。
みのり:そうなんですよね。それに初めて歌詞を見た時、ただ単に動物の歌ではないと感じたんです。もちろん“動物の気持ち”なんだけど、人にもたとえられるような気がして。そもそもカワウソのちぃたん☆の曲だと思っていたから、もっと明るい曲を想像していたんです。でも、聴いてみたらバラードで、良い意味で予想と違うすごく素敵な曲だと思いました。
風弥:動物は喋れないからどういう言葉を伝えたいのかわからないけど、僕がちぃたん☆を見て感じることは、絶対メンヘラだなということで。
みのり:メンヘラですか!? ああ、でもわかります。
みのり:うんうん。私、ペットを飼っているんですけど、デモ音源を聴いた時に“私のペットもこう感じてるのかな?”って思って。そう考えたら、もっと可愛がってあげたいと思ったし、私の周りのスタッフやファンの方々は「この曲を聴いてペットとの絆が深まった」と言ってくれてます。
風弥:そうそう。犬とか猫とかを飼っている人は、ペットと会話をすると思うんですよ。一人アフレコじゃないですけど、“本当はこう話しているんじゃないかな?”って動物の気持ちを汲み取りながら愛していると思う。歌詞に描いたペットと飼い主のやりとりって、みんなやっていることなんですよね。たとえば、飼い主が仕事に行ってしまえば、ペットは何時間も待っている。寂しいはずなんですよ。それを想像すると、被災地のペットは本当に辛い思いをしているんだなって。
風弥:今は飼っていないんですけど、前にハムスターとモルモットを飼ってました。もちろん喋れないし、ハムスターとかモルモットは一人で勝手に遊ぶじゃないですか。でも、僕は毎日楽しかった。亡くなった時、僕や家族に「楽しかったよ」と言ってくれてたんじゃないかなと。そういうことを考えながら書きました。
──その時の気持ちを思い起こして曲を作ったら、あの穏やかで優しいメロディーラインが完成したという?
風弥:そうかもしれないですね。この曲は、ありがとうって気持ちなんです。曲の中ではテンポも変わったりするんですけど、描いたイメージは飼い主と一日中遊んで、“あー、今日も一日楽しかった”って寝る。そんな何気ない日の回想ですね。
みのり:そういう感じ、オケ音源の段階で出てました。
■引き出してもらった感じです──みのり
──みのりさんには事前にそういう楽曲のイメージを伝えたり?
風弥:あえて伝えなかったんです。スタッフを介して、みのりさんにお渡しした音源は、ほぼピアノとメロディーのみ。仮歌も入れてない状態だったんですけど、歌ってもらったボーカルトラックを聴いた時に「これ!」っていう感触があって。
みのり:ふふふ。嬉しいです(笑)。
風弥:言葉にするのが難しいんですけど……、耳元で“こうなんだよ”って言っているような歌い方。決して歌声が遠くではない。普段、部屋で飼い主とペットが居て、体が触れているような距離感。そういう歌声だったから“これはきっとみんな共感してくれるんじゃないかな”と思いました。これ、言っていいのかな?……実はiPhoneのボイスレコーダーで録った歌なんですよ。
みのり:はい。自分の部屋で、iPhoneに向かって録音しました。
みのり:普段レコーディングって、スタジオのボーカルブースで録音するじゃないですか。そういう時ってやっぱり、いろいろなスタッフの方々もいらっしゃるし、緊張感があって歌声が硬くなったりするんです。でも、今回は自分の部屋で一人で録ったので、めっちゃリラックスできました。だからこそ、おっしゃってくださったみたいに、寄り添う感じで、体温のわかるくらいの距離感で歌っている感じが表現できたのかなと思います。
──それって、風弥さんの狙いですか?
風弥:僕も普段曲作りの時に、夕霧の家でiPhoneに仮歌を入れてもらうことがあるんですよ。それをそのまま作品として出したりすることもたまにある。だから、何か特別な機材を使ったわけでなく。むしろそういう環境だったからこそ、心に近い感じが録れたんだと思います。
──ご自宅で歌われたということは、ディレクションもご自身で行ったということだと思うのですが、どういう歌にしようと?
みのり:私、いつもは踊りながら歌う曲がほとんどなので“声を張る”感じだったというか。今まであまりバラードを歌ったことがなかったんです。なので、こういう歌い方をしたのも今回が初めてで。
風弥:そうなんだ? でも、率直にみのりさんの歌声、いいなと思いましたよ。
みのり:ありがとうございます(笑)。歌詞とかメロディーの感じに合うように、伝えるように、ということを意識しながら歌ったんですね。
風弥:まなみのりさの楽曲も事前にいろいろと聴かせてもらっていたので、上手いっていうのは当たり前のことですけど、みのりさんの声って3Dというかね。あんまり3Dの表現ができる人っていないんですよ。歌っている表情が見える。“今、笑っている。今、泣いている”──それが声で伝わってくるんです。
みのり:そこの歌詞は、飼い主にイタズラとかしている感じなので、それまでの柔らかい感じとちょっとだけ表情を変えたんですけど。結構挑戦した部分でもあります。
──最後のほうのファルセットやフェイクはR&B的なニュアンスもあります。
みのり:はい。多分、今まで歌ったなかでも音程が一番高いです。“うわうわ、ヤバイ!高い!”と思いながらも出来たので、“あれ? 私、こんな音域も歌えるんだ”って(笑)。
風弥:いやいや。“普段からいろんな歌を歌ってるんだな”って、僕はあのトラックを聴いて思ったくらいだったから。
──「ちぃたん☆の気持ち」という曲に、ボーカリストみのりさんの新たな一面が引き出されたと言ってもよさそうですね。
みのり:そうですそうです。歌ったことのないようなバラードだし、出したことのないような音域だったので、全部挑戦(笑)。この曲を歌って事務所の社長から「新しい発見ができた」と言われたんで、本当に引き出してもらった感じです。
風弥:やっぱり声に導かれるメロデイーってあるんです。その人の持つ雰囲気とか声のイメージとか人柄とか、そういうものにインスピレーションを受けて旋律やテンポ感が出てくる。
──風弥さんにとっても、みのりさんに引き出された楽曲だという。
風弥:それは間違いないです。基本的に、僕の部屋で弾いたピアノそのままだし、みのりさんの部屋で歌った歌もそのまま。だから、何か特別なことって一切ないんですけど、そこから新しいものが生まれたのは嬉しいですね。
──直接話すのは今日が初めてだというのに、その前から見事なコンビネーションが生まれていたんですね(笑)。
風弥:僕自身もそう思っていて。普段、ほかの人に楽曲を提供することもあるんですが、一回も会わないで完成させるってことは基本的にないんです。今回初めての経験なんですけど、初対面という感じがしないんですよ。楽曲制作作業上、全部しっくりきちゃったから、勝手に、以前から知っている人になってる(笑)。
みのり:うんうん。その感じが音に表れていたら嬉しいですね。
風弥:もう音でわかり合っている。それが、この曲の魅力のひとつになったかな。
ちぃたん☆の歌を作っていただきました。ありがとうございます! 動物を飼われている全ての飼い主さんに贈りたい素敵な歌なので聞いてください???? 「ちぃたん☆の気持ち」 作曲:風弥~Kazami~:@kazami_Daizy 歌:みのり:@mamiri_minori pic.twitter.com/IwR7obtq2q
— カワウソちぃたん☆???? (@love_otter_love) 2018年1月18日
風弥:はい、ちぃたん☆の鳴き声です(笑)。あの“キュルルル”って鳴き声に、この歌詞のストーリーが全て入っているんじゃないかと。ちぃたん☆全面協力です(笑)。
──動画にもちぃたん☆が参加してますね。
風弥:はい。かわいいですよね。そういえば、ちぃたん☆に会いました?
みのり:まだです。
風弥:じゃあ今度、会いに行きましょう。
──いいですね(笑)。3者の音が合わさって、チャリティソング「ちぃたん☆の気持ち」が完成したわけですけど、この先、おふたりの発展系コラボにも期待が高まります。まなみのりさは生バンドとのセッション経験もあるんですよね?
みのり:はい、やったことがあります。アコースティックライブとかもするので、やっぱり生の楽器と一緒にやるのは全然違いますよね。楽しい。
風弥:僕も「ちぃたん☆の気持ち」を作ってみて、これだけ素晴らしい歌だと“あれ? 俺の曲いいな”となるわけですよ(笑)。みのりさんだったり、まなみのりさだったり、コラボレーションさせていただけたらという気持ちはすごく強いです。
みのり:新しい自分を引き出してくださった方なので、是非お願いします。
■直接福島へ届けに行けたら──風弥
風弥:みのりさんが音楽を始めたきっかけを訊いてもいいですか?
みのり:小学3年生の時にアクターズスクール広島に入ってからです。そこからずーっと。もう長いんですよ。今年、11周年を迎えました。
風弥:DaizyStripperも今年11周年。活動歴が一緒ですね!
みのり:えー、そうなんですね!? 11年以上続けているグループってあんまりいなくて。えっ!すごい。メンバー変わってます?
風弥:変わってない。
みのり:まなみのりさも変わってないんです。でも、それって珍しいらしいんです。途中、メンバーチェンジをしながら続けているアイドルグループは結構あるんですけど、それでも10年以上続けているグループはあまりなくて。メンバーチェンジなしで続けているグループは本当に少ないらしいんです。
みのり:喧嘩とかそういう時期を越えた感じがします(笑)。
風弥:あーあ、一緒だ(笑)。
みのり:結成11年だけど、アクターズスクール広島で小学校の頃から出会って、高校の時に結成して11年なので、家族よりも一緒にいる時間が長いですし、お互いが何を考えているかが言わなくてもわかるようになっているんですよね。もちろん活動に対する言い合いとかもあるけど、喧嘩にはならないです。なります?喧嘩?
風弥:うちらも喧嘩をする時期は超えたな。超えられない時期に分裂しちゃうバンドが多いけど、それを超えると多少の言い合いがあったところでね。崩壊なんかしないし、もうわかっているから、“それよりも、次、何しようか?”って。
みのり:うんうん、わかります。でも、同じメンバーで10年以上続けてくると“いつまで続けられんだろう?”って不安に思うときもあります?
風弥:あるある。だからと言って、止まるわけにはいかない。そういう風に時が過ぎて行くのかな?って思う。
みのり:そうなんですよ! えーすごい! 同じです(笑)。
風弥:まさに一緒だったんですね。メンバーと長くいると……情なのかわからないですけど、家族とも兄弟ともまた違った特別な存在になっていくというか。
みのり:そうですね。他のメンバーが入れ替わるとか全然想像できなくて。多分、メンバーが新たに入るとか変わるとかになったら、グループをもうやめるだろうなって。それぐらい今のメンバーじゃないと無理ってなってる。だけど、アイドルシーンも世代交代みたいなのがあるから、10年以上続けてると昔から一緒にやってきたグループの解散とかをたくさんみてきて。その中で自分たちは残ってて、でも新しい人たちはどんどん出てきてっていう、なんかその……。
みのり:そうなんです。不安にもなるし、でも続けらているってことが、自分が思っているよりもすごいことなんだなって。うふふふふふ。やっぱり同じですね。
風弥:うんうん。これ、10年超えないとわからないよね。5年じゃわからない。10年を迎える前にみんな潰れてしまうから。
──それって何なんでしょうね。良い部分も悪い部分も、メンバーの全てを受け入れられるようになるんですか?
みのり:そうかもしれません。まなみのりさも1年前に活動休止をして。そこで、“やめるか続けるか”──今までで一番大きな決断の時期を迎えたんです。ちょうど10年だったから。めっちゃ迷って、みんなで話し合ったけど、結局、“続ける”って。なので、今、ここに戻っているんですね。
──壁や山を乗り越えた先に、一体感というものが生まれるんでしょうね。
みのり:あります、本当に。そのときに3人のうち1人でも“やめようかな?”って言葉が出てたら終わってたと思うんです。でも、誰もそれを言わなかった。だから今、続けることが出来てるので。
風弥:うちらは7〜8年目が一番大変な時期で、喧嘩もするような険悪な状態が続いたんですよ。“明日解散するんじゃないのかな?”って思う日が何日も何ヶ月も。でも、そこなんだよね。そこで、分裂寸前の時期が過ぎ去ると、“スーパーてやんでい状態”になる(笑)。わかる?
みのり:ふふふ、なんとなくわかります(笑)。その時期を乗り越えてからは、今、楽しいなってなってます。
風弥:僕もそう、今が楽しい。10年超えてからのDaizyStripperが楽しい。やっぱり楽しんでないとね。
──ステージに立つ人はそうでないと、客席に見透かされちゃいますからね。
みのり:うんうん。本当にそうなんです。
風弥:『SORAアニマルシェルター』は震災後、被災した猫や犬を救出し、保護している法人です。僕たちの企画意図に賛同いただけて、支援についても快諾していただけた。この音源配信による収益金などすべてを開示して、直接福島へ届けに行けたらいいなと思ってます。
──今年7月に発生した西日本豪雨災害は未だ大きな傷跡を残していて、みのりさんの地元・広島も被害を受けました。
みのり:そうなんです。今、広島と東京を拠点に活動しているんですけど、東京にいる間はライブごとに募金活動をして、また広島に帰ってるんですね。そういう活動を続けつつ、広島でチャリティーライブをすることを決めました。
風弥:DaizyStripperもツアーで広島へ行くことがあるんですけど、まなみのりさというアーティストは広島ですごく影響力があって、街全体が応援していることを感じるんですね。地元の象徴である彼女たちに、「ちぃたん☆の気持ち」でもいいし、まなみのりさの曲で、中国地方や日本全体を元気にしてもらいたい。そして、今回の動物を愛する思いに、たくさんの方々からの賛同をいただけることを切に願っています。
取材・文◎梶原靖夫(BARKS)
撮影◎Kuro
作曲:風弥 -Kazami- (DaizyStripper)
歌:みのり(まなみのりさ)
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