(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.,

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【映画コラム】男たちが間抜けに見え
るところが肝心な『オーシャンズ8』

 緻密な計画を基に、それぞれのメンバーが得意技を駆使して強盗を行う犯罪チーム、オーシャンズの活躍を描いたシリーズをリブートした『オーシャンズ8』が公開された。
 今回は、リーダーのダニー(ジョージ・クルーニー)の妹デビー(サンドラ・ブロック)が新チームを結成し、総額1億5千万ドルの宝石を狙う。メンバーは全て女性で、対する男たちがみんな間抜けに見えるところが肝心。女性が強くなった今の時代に、出るべくして出てきた映画という感じもする。
 ドイツ育ちのブロックが、時に流ちょうなドイツ語を操りながら、貫禄十分のケイト・ブランシェットと共に、怪優ヘレナ・ボナム=カーター、黒人のリアーナなどのメンバーを率いる。ターゲットはアン・ハサウェイ演じるハリウッド女優だ。こうした個性的なメンバーが集う、集団劇としての面白さは過去のシリーズを踏襲している。“つなぎ役”として、過去のシリーズでルーベン役を演じたエリオット・グールドがちらりと顔を見せるのも、ファンにとってはうれしいところだろう。
 また、メンバーの人数は、オリジナルの『オーシャンと十一人の仲間』(60)から始まっているのだが、11人ではどうしても個々のメンバーの描写や役柄に凸凹ができる。『七人の侍』(54)を監督した黒澤明は「集団を描くには7人がちょうどいい」と語っていたが、その意味では、今回のメンバーは7人で理想的。では、なぜタイトルが「~8」なのかは見てのお楽しみだ。本作の監督・脚本のゲイリー・ロスも「メンバーが、11人ではなく、8人で済んだことがラッキーだった」と語っている。
 ところで、これまでの『オーシャンズ11』(01)『オーシャンズ12』(05)『オーシャンズ13』(07)はスティーブン・ソダーバーグが監督をしてきたが、今回は『ビッグ』(88)や『デーヴ』(93)の脚本を書き、『シービスケット』(03)を監督したロスが担当した。ロスの作風は、ハートウォーム物やアメリカンドリームをコミカルに描くものが多かったが、女性主人公のサバイバルを描いた『ハンガー・ゲーム』(12)からハードなものへと変化した。今回は、その両方の要素が生かされたとも言えるだろう。
 また“女性たちが主役の映画”ということで、今回はオリビア・ミルチが共同で脚本を書いている。それ故、この映画では、女性の視点や考え方、興味の対象などを、如実に反映することができたのではないだろうか。ロスが女性と共同で脚本を書いたのは、『ビッグ』のアン・スピルバーグ以来のことだという。それだけにミルチは「映画業界には、私たちのような男女のコラボレーションや、パートナーシップが、もっと必要だと思う」と語る。
 メンバーのチームワーク、舞台となる豪華なメットガラ(世界最大のファッションの祭典)、女優たちが着こなす華麗なファッション、ニューヨークの風景、ちょっとしたどんでん返し…など、いろいろな楽しみ方ができる映画になっている。(田中雄二)

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