【インタビュー】SHE IS SUMMER これまでとこれから、2つの姿が投影されたミニアルバム『hair salon』が完成

【インタビュー】SHE IS SUMMER これまでとこれから、2つの姿が投影されたミニアルバム『hair salon』が完成

【インタビュー】SHE IS SUMMER これ
までとこれから、2つの姿が投影され
たミニアルバム『hair salon』が完成

その楽曲を最大限に生かす曲作りを
ミニアルバム『hair salon』初回限定盤
――MICOさん、「月に一度ヘアサロンに行って髪を整えて気分をスッキリさせるように、日常の中でも自分の行動をトリミングしながら、私は今日も日本の東京という街の中で丁寧に暮らそうと奮闘しています」とコメントされています。MICOさんって、毎月ヘアサロンに行かれる方なんですか?
MICO:いきます!わたし、髪の毛が短いから、2ヶ月美容院へ行かないだけで「あー、期間が空いちゃったなぁ」という感じになるんですよね。

――そんな余談話から始めましたが、1stミニアルバム『hair salon』、プロデュースを手がけたのが片寄明人さんなんですね。
MICO:そうなんです。「全体を通じてプロデュースをお願いするのは初めてで、当初はアレンジやMIXなど曲作りの作業をお願いするつもりが、どの人に楽曲を依頼しようか」というところから携わっていただいた曲もあるんです。収録した楽曲によっていろんな関わり方をしていただきました。

――MICOさん自身、「この人と一緒に曲を作りたい」という方もいたわけですよね。
MICO:はい。単純に好きなアーティストの方と一緒に作りたい、以前からそうですが、出会った方のご縁も大切にしています。今回の作品には、はじめまして、という方よりももう一回一度お願いした方が多いように、その出会いを大切に育てあげた面もありました。
――1stミニアルバム『hair salon』には6曲収録しています。あらかじめ一つの流れを考えながら作った面もあったのでしょうか?
MICO:これまでに作ってきたEPやフルアルバムに関しては流れやテーマ性を強く意識してきましたけど、『hair salon』に関してはテーマ性、というよりは「その楽曲を最大限に生かす曲作りを」ということで1曲1曲を大切に仕上げました。
一生懸命に音楽を作っている人がここにはいます
――『hair salon』の特色の一つが、前半部に心の内側を描き、後半部には明るく弾けた曲調をと、2つの面を投影していること。
MICO:前半部がSHE IS SUMMERとしての新しい挑戦なら、後半部へは、これまでにSHE IS SUMMERが築きあげてきた音楽性を表現しています。

――表現者である以上、新しい試みもしていきたかったわけですね。
MICO:そうなんです。ここ半年くらいずっと変わらずに持ち続けている気持ちもありながら、同時に、自分の気持ちが如実に変化していることに気がつきました。面白いのが、わたしが普段考えていることや、している行動に変化が現れると、それが歌詞や音へも自然に投影されてゆくんですよね。その要因の一つが、作家さんたちが普段のわたしのことをよく見てくれているからなのかも知れません。
だからこそわたしは、自分の好きな物事に対していつも真摯でいなきゃと思っていて。今回の『hair salon』は、「今までのわたし」と「変わっていったわたし」の軌道が映し出された作品にもなりました。

――その変化、本人はとくに意識することなく、気がついたら変わっていた自分がいた形なのでしょうか?
MICO:そうですね、意識という表現が合っているのかも難しいところですけど。SHE IS SUMMERの初期の頃は、作品を作り込む形で制作をしていたんですけど。ここ最近は、「一人の人間が、ここで、こんな風に生きながら頑張っています」というように、わたしの人生をそのまま発信している気がします。今回の『hair salon』というミニアルバムに関しても、「『hair salon』という作品を作りますよ」という意識ではなく、「一生懸命に音楽を作っている人がここにはいますよ」という中で生まれた曲たちをまとめあげた発信の仕方だったのかなと思います。

――歌詞も、生まれた楽曲からインスパイアされた想いをもとに書いた形なのでしょうか?
MICO:そうなりました。最初のデモを聴いたとき、そこから自分が感じたことのある気持ちが浮かび上がるたびに、その想いを自分なりに紐解きながら歌詞を書きました。同時に、今回は片寄さんとご一緒することから、「音の気持ち良さを引き出せる歌詞にしたい」なとも思いました。

――音の気持ち良さを引き出せる…ですか?
MICO:はい。作詞をするうえで心がけている「わたしなりの考え方」という軸を生かしたうえで、ただただ想いを主張するのではなく、歌さえも楽器の一つとして心地好く響くように、言葉の響き方の心地好さを意識して歌詞を書きました。それが、この作品を通して新たに生まれたSHE IS SUMMERなりの歌詞の表現スタイルにもなりましたね。

ふたたびつらい日々が待ってたとしても
――収録した6曲の歌詞、けっして物語性を持って書いたわけではないですよね。
MICO:今回の作品に関しては、1曲ごとの世界観へ向かっていったように、全体の流れを意識して歌詞を書くことはなかったです。そう感じました?

――これは、完全に個人的な感想ですけど。『CALL ME IN YOUR SUMMER』に登場する倦怠期を迎えたカップルの女の子が、『会いに行かなくちゃ』などの日々の経験を通し心にすれ違いを覚え、『未知を探す』で、少しの後悔も背負いつつ、一つの恋の終わりを迎えます。でも、『エンドロールの先を歩く』で新しい恋に出会い、『生活』で日々に幸せを覚えながらも、何時しかその恋にも倦怠感を覚え始めたことから、『女の子の告白』で、わたしはわたしらしく生きると宣言してゆく。そんな風にもとらえられたんですよね。
MICO:あー、ホントそうだぁ。勝手にストーリーが出来てました(笑)。『女の子の告白』は、ミニアルバム『hair salon』の制作に入る前から生まれていたので、けっして6曲の流れを意識して作っていたわけではありませんでした。特に『女の子の告白』は、わたしの想いではなく、ファンの方々からいただくお手紙に対しての、わたしなりの返事であり、メッセージを込めた歌なので。
と言うのも、わたしが恋愛ソングをよく歌っているからか、ファンの方から恋愛相談のお手紙をいただくことが多いんですよね。本当なら一つ一つにお返事を書きたいところですが、そこは難しいこともあり、みんなへ向けてのお返事変わりの楽曲として書いたのが『女の子の告白』なんです。

――この歌には、そういう背景があったんですね。これも個人的な感想にはなりますが、『エンドロールの先を歩く』のような明るく開放的に弾けた楽曲を聞いてたら、心がウキウキと弾む感覚を覚えました。あの曲は、気持ちを幸せな色に染めてくれる歌だなぁと、聞くたびに感じます。
MICO:その言葉は嬉しいです。わたし自身も、ここまでハッピーエンドな歌詞を書いたのは初めてでした。たとえ、それまでの日々にどんなつらいことがあっても、「この一日を幸せに満ちたまま過ごせて良かったな」と思う日だって、人にはあると思います。そういう日くらいは、それまでのつらいことや、たとえその先に、ふたたびつらい日々が待ってたとしても、「その喜びだけを噛みしめる日があってもいいんじゃないかな」と思い、この歌詞を書きました。
忘れることはあっても、無くなることはない
――『CALL ME IN YOUR SUMMER』に投影したアンニュイな楽曲の表情も、嬉しい意外性でした。
MICO:これまでのSHE IS SUMMERの世界観にはなかった音楽性を、頭3曲には投影しています。前半部の3曲は、普段のわたしが好きで聞いている音楽性にとても近いもの。わたし自身の音楽的な趣味趣向へ極力寄り添う楽曲を制作したかったことから、片寄さんともいろいろ話し合いながら、前半部の曲たちを作りました。そのうえで、これまでのSHE IS SUMMERらしい楽曲を、後半3曲に並べた形を取っています。

――作品を客観的な視点でとらえてくれる片寄さんのような存在がいると、作品にも違いや広がりが出てくるものなんでしょうね。
MICO:それはあると思います。実際に、ヴォーカルディレクション面でも、今回は片寄さんにお願いをしたところ、わたしの視点とは異なる形で録れたことから、歌声の聞こえ方も違った新鮮さを持つことが出来ました。それって、自分で「これがいい」と思って選ぶ写真と、他の人が「これがいい」と思って選ぶわたしの写真に違いがあるのと同じこと。そうやって、幅広い視点でSHE IS SUMMERをとらえられたことで、自分の好みだけではない視点で、よりSHE IS SUMMERの良いところを引き出せてもらえたなと感じています。
別の言い方をするなら、「わたしの好み」もあるけど、「わたし自身はそこまで好みではないけど、でも、いい表現だからこそ、それも生かしていける」。そんな風にSHE IS SUMMERの良さを広げる視野が『hair salon』を通して広がりを持てたなとも感じています。

――MICOさん自身が、その変化を楽しんでいた形なのでしょうか?
MICO:今回、変化を楽しんだというよりも、わたし自身はずーっと変化し続けていますし、その変化を楽しんできました。むしろ、変化し続けることが、SHE IS SUMMERという存在の形を作っいるなと思っています。今回はとてもわかりやすく目に入る変化をしたことから、そうとらえられるのかなって。だから「変化を楽しんでる」というよりは、「変化に大きな角度がついた」と言ったほうが今回は正しいと思います。

――表現者である以上、変化や進化し続けていくのは当たり前のことですからね。
MICO:そうなんですよね。それはわたしに限らず、人なら誰もが変わり続けていくように、日々を過ごしていく中で変わらない人っていないと思います。むしろ、知識って日々を重ねるごと増えてくように、月日を重ねるということは「より良くなっていくこと」だともわたしは思ってて。人生って、知ってることが増えたほうが楽しいじゃないですか。知識が増えるというのは、よりいいものを選べるということ。それに、知ってることって減らないんです。忘れることはあっても、それが無くなることはない。
忘れるということは、自分には良くないことや必要のないことだから忘れるわけじゃないですか。そう思ったら、日々知識が増えるのは、日々自分を良くしていけることだとわたしには思えるように、その変化をわたしは楽しんでいます。
狐の嫁入りみたい
ミニアルバム『hair salon』通常盤
――ミニアルバム『hair salon』の前半部に投影したマイナー調の表情の数々が、とてもアンニュイさを持っていれば、そこへ心地好さを覚えます。中でも、『会いに行かなくちゃ』の持つキャッチーなのに安穏とした雰囲気が好きなんですよね。突然の夕立を受けての行動を投影した歌詞の、美しい言葉使いにも惹かれました。
MICO:『会いに行かなくちゃ』は、これまでのSHE IS SUMMERと新しいSHE IS SUMMERの両面を兼ね備えた楽曲になりました。この曲のトラックを聴いたとき、わたし「狐の嫁入りみたいだなぁ」と思ったんですよね。そこから、「空から光と雨が降っている」のようなちょっとウェットな感じの歌詞が生まれました。ただし、けっしてジメジメしているわけではない。夕立にあいながらも、何処か晴れ晴れとした感覚も、この歌には覚えていただけると思います。

――完成したミニアルバム『hair salon』、MICOさんは、どんな作品として受け止めています?
MICO:ジャケットの写真は、今までの作品の中でも一番のお気に入りです。わたし、小さい頃からロジック人間なところがあり、これまでは、その性格を拭いきれないところがありました。だけど、この作品を通して、そうじゃない人生の楽しみ方がわかるようにもなりました。そういう遊び心を持って作れた作品になったなぁと感じています。

――8月には、集団行動×SHE IS SUMMERとして東名阪を舞台に2マンツアーも行います。
MICO:一つのバンドと一緒にツアーをまわる経験は初めてのこと。予測の出来ない内容なだけに、わたし自身とても楽しみにしています。9月1日には、TSUTAYA O-Crestを舞台にわたしのバースデーライブを行ないます。この日は、仲の良いアーティストの方々をゲストに招き、一緒にSHE IS SUMMERの楽曲を歌ったりなど、企画っぽいイベントとして考えています。
この日に関しては、わたしの生誕祭という名目のもと、気心知れた仲間たちと一緒にファンのみんなへの感謝の想いを届けるスペシャルドリームナイトとしてお届けしようと思っています。
苦しいけど気持ちいい、じめっとした夏
――今後も、片寄さんと一緒に制作を行うのか、そこも気になるところです。
MICO:片寄さんが教えてくださる音楽は、わたしも好きなものばかりですし、音楽のお話はもちろん、それ以外のお話をしていても刺激的で楽しいんです。今回の作品を通し、歌詞にもディレクションをしていただき、そのやり取りにも有意義さを感じたように、先のことはまだわかりませんが、わたし自身は、今後もご一緒出来るなら是非したいなという気持ちを持っています。

――ミニアルバム『hair salon』が真夏に発売する理由もあるのか、今回は、夏を舞台にした歌も多くないですか?
MICO:SHE IS SUMMERという名前の理由もあって、よく夏をキーワードにしている存在だと勘違いされることが多いんですけど。もともとSUMMERは、映画「500日のサマー」に出てくるヒロインのサマーちゃんから取っているように、季節ではなく、人命のサマーから来ている名前なんですよね。とはいえ、前にも『君のせい』という夏ソングを作ったことはあったんですけど、今回、ここまで夏の歌を持ってきたのは初めてになります。ただし、カラッと晴れ晴れとした夏ではなく、それとは正反対な、うだるような、苦しいけど気持ちいい、そんなじめっとした夏を『CALL ME IN YOUR SUMMER』『会いに行かなくちゃ』『未知を探す』には描きました。

――MICOさん自身、夏は好きな季節?
MICO:夏は好きですね。冬に思い出す夏も、うだるような暑さも含めて、全部好きです。わたし、サウナの暑さも、夏の駐車場のうだるような暑さも両方好きなんです。

――サウナの暑さが好きなのは理解出来ますが、夏の駐車場の暑さも好きなんですか?
MICO:好きです。もちろん、「サウナは気持ちいい暑さだけど、駐車場の暑さは気持ちよくない」という感覚も理解は出来ます。そもそも、サウナも駐車場も暑いことに変わりはない。そう思えれば、どっちの暑さもわたしは好きになれますし、その暑さを楽しめますからね。本当は、苦手な冬の寒さも、そうやって克服したいんですけど。冬の寒さだけは、どーしても苦手なままです(笑)。
TEXT:長澤智典

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