神泉系バンド「フレンズ」が起こす、
バンドマジックの秘訣。

1st フルアルバムにして名盤『コン・パ
ーチ!』はどのようにしてできたのか?

神泉系バンド「フレンズ」が、名曲揃いの1stフルアルバム『コン・パーチ!』を8月1日にリリース!あらためて「よろしくお願いします!」の意味を込めた本作。アルバムの全容と、各曲で起きたというバンドマジックについて、メンバーに話をうかがいました。

Text_Kenta Baba


いま、フレンズがやりたいことのすべて
を込めたアルバム

――最初に、今作の仕上がりについてみなさんの手応えを伺いたいです。出来上がったものをあらためて眺めてみて、どんな作品になりましたか?

ひろせひろせ(以下、ひろせ) : キーボード兼メロディ担当のひろせ的な観点でいうと、今回は「メンバーひとりひとりの顔がしっかり見えるものをつくる」ことを目指していたので、そこには近づけたかなとおもいます。

おかもとえみ(以下、おかもと): : そうだね、その結果いろんな新しい引き出しが開いて、よりバラエティに富んだものが出来上がりました。全部バラバラな曲なんだけど、不思議な統一感があるような。

――音源をリッスンさせてもらい、まさに同じことを思いました。

おかもと : ほんとですか!ベリーハッピーです。
フレンズ / 1st full album「コン・パーチ!」スペシャルトレイラー

――三浦さんはいかがですか?

三浦太郎(以下、三浦) : フレンズ史上、といってもこれが1stフルアルバムですけど、いちばん気に入っているアルバムですね。

――おお

三浦 : フレンズに加入して2年半、自分のギタリストとしての引き出しの無さに常に打ちひしがれつつ、今回もいろんな壁にぶち当たったのですが、やり残したことは無いと思えるほど出し切ることができた実感があります。

――みなさん総じて満足度が高いですね。

長島涼平(以下、長島): : あとは、フレンズのエネルギーが外向けになったと思います。自分たちが楽しむスタンスは当初から貫きつつ、いろんなフェスやライブを経ることで、もっと多くの人に楽しんでもらいたいって気持ちが全員高まっていて、自然とそのエネルギーが音源にパッケージされたと思いますね。

――SEKIGUCHIさんはいかがですか?

SEKIGUCHI LOUIE(以下、SEKIGUCHI) : 去年出した9曲入りの『ベビー誕生!』は「僕たちはこういうことができます」という自己紹介的なアルバムでした。今作はそこからさらに「僕たちはこういうことがやりたいです」という意思表示も込めたものができたかなって思います。

顔が見える曲作りは、飲み会で仲が良い
友達同士をつなげるような感覚。

フレンズ「常夏ヴァカンス」

――ひろせさんが言った「メンバーひとりひとりの顔がしっかり見えるものをつくる」ために何か工夫をしたポイントなどはありますか?

ひろせ : 自分がもともと、飲み会とかを積極的に企画するタイプで、その力が活かされているのかなと思います。

――飲み会、ですか。

ひろせ : たとえばすごい仲良い友達のAさんとBさんがいて、その二人はまだ会ったことがない。でもきっとその二人は気が合うはずで、出会うときっとおもしろいことが起きるな〜なんてことを考えるのが好きで。実際に飲みの場をセッティングする、ってことをよくやっているんです。逆に、この人とこの人はそれぞれ面白いけどあんまり気が合わないだろうな、とかって考えたり。
MC,Key担当のひろせひろせ。フレンズ楽曲のほとんどの作曲を手がけている

――スナックのママ的な能力でしょうか。

ひろせ : あ、それに近いかもしれない(笑)。たとえば、涼平さんが曲をつくった「Fisherman」は、歌詞を年長組の3人(三浦・長島・SEKIGUCHI)が書いたんです。誰の、どんな部分を曲の中で掛け合わせるとおもしろいかな?と考えるのは「飲み会で仲が良い友人同士を出会わせる」感覚とほとんど一緒なんです。

メンバーが選ぶ、あの曲のあそこが最高
だ!6選。

その1.全メンバー絶賛の「またねFOREV
ER」

――今作で、メンバー同士の新たな一面を発見した部分はありますか?

三浦 : 「またねFOREVER」でのひろせの歌声は、新境地だよね。

長島 : たしかに。あの歌い方をするひろせを、僕らははじめてみました。すごく、いいんですよ。
フレンズ「 TITLE ROLE」(2018年冬公開 映画「ヌヌ子の聖★戦」挿入歌」

おかもと : 私のお気に入りは、「TITLE ROLE」。映画『ヌヌ子の聖★戦』の挿入歌として依頼があってつくった曲なんですけど、それが女の子の友情を描いている映画なんです。なのでフレンズではじめて、「友達」や「友情」をテーマにした曲になっていて。

――意外とフレンズで「友情」をテーマにした曲はこれまでなかったのですね。

おかもと : そうなんです。ただ、ライブに来てくれるお客さんのことを「ズッ友」と呼んだり、聴いてくれる人と友達みたいに、音楽で仲良くなれたらいいなっておもってて。みんなそれぞれ生きている中、近くにいるから大丈夫だよっていう気持ちがすごい込められたなっておもってて。「友達としてのフレンズ」らしさを出せたかなって思っています。

その6. はじめてアレンジャーが入った
「常夏ヴァカンス」

――三浦さんはいかがですか?

三浦 : 僕は「常夏ヴァカンス」ですね。いつもフレンズのレコーディングって、メンバーとエンジニアさんだけで行ってきたのですが、今回はじめてアレンジャーさんが入ったんです。メンバー以外でももうひとり楽曲に関わる人が増えて、ギターの入れ方もいつもと違うやり方で楽しかったです。

異彩を放つ2曲の誕生秘話

――おそらく『コン・パーチ!』を聴いたリスナーみんなが気になるとおもうのですが「元気D.C.T〜憧れのマチュピチュ」はどうやってできたのでしょうか?

長島 : ああ〜

――10回くらい聴いたのですが、謎は深まるばかりでした。

三浦 : そんなに聴いたんですか(笑)。

ひろせ : 去年リリースした『ベビー誕生!』の「元気D.C.T〜プロローグ〜」のいわば続編にあたるのですが、これはもともと、太郎さんにもっと歌ってほしい!という声をたくさんいただいたのがきっかけで作った曲だったんですね。
太郎さんが元気なくなっちゃったっていう歌なんですけど、ライブでも盛り上がる曲で、えみそんに相談したら続編の「脚本」が送られてきたんです。

――歌詞ではなく、「脚本」なんですね。

おかもと : 前回がプロローグで、今回は憧れのマチュピチュ編。言ってみれば、第一話なんですよ。マチュピチュという謎めいた土地っていうものに注目して、太郎くんの物語としての第一話をはじめた感じですね。
ひろせ : いろんな曲が世の中にあるじゃないですか。ひとを元気にさせる曲も、メッセージ性が強い曲もある。たぶん、はじめてだとおもうんですよね。ひとりが、元気になっていく曲。

(一同笑)

長島 : 聴いている人じゃないですからね、元気になっていくのが。
ギター担当の三浦太郎。元気D.C.Tシリーズで、どんどん元気になっていく

ひろせ : そういう意味合いで、あの曲をきいて、おもしろい、かなしい、うれしい、どんな気持ちになっても正解ですね。根っこにあるのは、「太郎さんが元気になくなっちゃう」という大きなテーマだけなんです。

SEKIGUCHI : まず、そこが大きいよね。

おかもと : 小説を読んだり、ドラマみるのと一緒で、ここから物語は、こち亀のように続いていくので。乞うご期待です。悪がまだ誰かもわかっていないので。

――最後に意味深なナレーションが入るところですね。

ひろせ : そう、「自分の目で確かめるんだ」と。そういう意味でいうとなんていうんですかね、トガッてるようで実は保守的な歌かもしれない。

長島 : ははは!

ひろせ : それぞれの解釈がありますからね。



――もう1曲「fisherman」もユニークですよね。作曲は長島さんですよね?

ひろせ : 作曲が涼平さん、いや、長島“フィッシャー”涼平さんです。

長島 : わざわざ言い直さなくていいから(笑)。
――長島さんは、釣りがお好きなんですね。

長島 : めちゃめちゃ好きですね。釣りへの愛情から生まれた曲です。

――年長組のみなさんも釣りが好きなんですか?

長島 : 僕は釣りを好きすぎて、休みさえあれば釣りにいきたいとおもっている人で、2人にもその楽しさを伝えたくて、なかば強制的に一緒に来てもらっています。

SEKIGUCHI : 涼平くんはほんとに釣りが好きだから、一緒に来てくれた人を全力で楽しませたいって気持ちがすごいんですよね。

三浦 : うん、その気持ちがめっちゃ伝わってくる(笑)。

SEKIGUCHI : ここすごい釣れるとおもうよ!とかすごい教えてくれたり。

長島 : もう自分は、釣れなくていいんですよ。行ったひとが釣ってくれたら、また行きたいなってなるじゃないですか。そしたら僕も嬉しいし。釣りに関しては何時間も喋っちゃうのでこれ以上は自粛します(笑)。

神泉系バンド「フレンズ」が起こす、バンドマジックの秘訣。はミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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