カルト歌謡カルタ【み】プッシーズ「
見えた見えたよ」

いつまでも人々の心の片隅に残り続ける珍曲や迷曲たち。売れることを考えて作られたとは思えない破天荒な作品に、その時代の心の豊かさと歌謡界の度量の大きさを感じる。いまこそ、その真髄を継承すべく、魔法のカルタで拡散!

「見えた見えたよ」

1971年発表
歌:プッシーズ
作詞:星野哲郎
作曲・編曲:山路進一

プッシーズというグループ名に女性4人のボーカルユニットという、何とも過激なエロティシズムを感じさせる。彼女らが歌う「見えた見えたよ」は、まさに“セクシー歌謡”である。

セクシー歌謡は、「♪やめて」とため息交じりに表現し、その妖艶さからNHKで放送禁止になった辺見マリの「経験」(1970年 作詞:安井かずみ 作曲:村井邦彦 編曲:川口真)や、「♪いやいや指を だめだめ噛んじゃ」と歌い出す朝丘雪路の「スキャンドール」(1968年 作詞:阿久悠 作曲・編曲:小杉仁三)など刺激的な楽曲が多数ある。昭和40年代はセクシー歌謡の一大ムーブメントが巻き起こった時代と言える。第11回日本レコード大賞・大衆賞受賞曲「三百六十五歩のマーチ」(1968年 歌唱:水前寺清子 作曲:米山正夫 編曲:小杉仁三)はじめ数々の演歌・歌謡曲を手掛けた戦後歌謡界を代表する作詞家・星野哲郎までもが、そのムーブメントに乗って歌詞を提供しているから驚きだ。

「見えた見えたよ」は、「♪見えた見えたよ 物干台に」と、覗き見ながら彼女の合図を待つ男性の歌詞から始まる。「♪赤は危ない 近寄らないで 今来ちゃだめよと あの娘のサイン」、「♪黄はもうちょい 暫く待って 母ちゃま折れたよ 親父も折れた」、「♪青はOK すぐ来ておくれ ノックは要らない あの娘のこころ」と、彼女の合図の内容を色で分けて表現している。最後の男女の行為を思わせる歌詞は、「♪ひとつにとけあう影法師 雀が真似して チュンチュク チュンチュクチュン」と、可愛らしく表現。意味深なエロさを見せつつも、どこかほのぼのとした楽曲に感じさせるところが見事である。

解説・イラスト:はらめがね

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