【インタビュー】Plastic Tree「新しい一歩を踏み出す良いきっかけに」ゲームの世界に寄り添った新作

【インタビュー】Plastic Tree「新しい一歩を踏み出す良いきっかけに」ゲームの世界に寄り添った新作

【インタビュー】Plastic Tree「新し
い一歩を踏み出す良いきっかけに」ゲ
ームの世界に寄り添った新作

『インサイドアウト』は夜と朝が変わるようなお話し
『Collar×Malice盤』
――『インサイドアウト』は、PlayStation(R)Vitaゲーム『Collar×Malice -Unlimited-』の主題歌、『灯火』はエンディングテーマとして書き下ろされたと思いますが、作品の世界観にかなり寄せて描かれましたか?
有村竜太朗:そうですね。以前も『Collar×Malice』の曲を担当させて頂いているのですが、制作サイドから「また一緒にやりませんか?」というお声をかけていただいたので、企画ありきで僕たちも参加させて頂きました。

――通算38枚目のシングル『サイレントノイズ』から『Collar×Malice -Unlimited-』の主題歌を務められていますが、今作は前作とはまた一味違ったものにしようと考えられたのでしょうか。
有村竜太朗:制作サイドの方から「前回の作品と少し違う要素がありまして」という内容を受けてから書いたので、違う要素を盛り込んで書きました。
――タイトルの『インサイドアウト』は裏返しやひっくり返すという意味だと思いますが、こちらが示しているものは、どのような事になるのでしょうか?
有村竜太朗:作品の中にいくつかのテーマがあったのですが、その中の一つに夜明けとか夜から朝に変わっていく様がありまして。
曲が先に出来たのですが、この曲を聴いた上でテーマと合うなって感じたんです。それで歌詞を考えたときに、サビのピークの部分で「インサイドアウト」って言ったらカッコ良いな、ハマりが良いなって思いました。
夜が朝に変わるという点も、一日が裏返しになり、また新しく始まるというイメージがありましたので、それが言葉とハマったと思いました。

――有村さんは、何かのタイアップがあり、物語の世界に寄せて書く書き方と、自分で生み出して書く書き方だとどちらの方がやりやすいでしょうか?
有村竜太朗:同じぐらいですね。どっちがやりやすいとかはあまりなくて。タイアップの話も有難いなって思って楽しくやらせてもらっているんですが、基本的に自分が書きそうな事しか歌詞に出来ないです。タイアップとかではこういうものを作りたいですという部分と自分との接点を探していって、その接点が合えば自分の事のように書きます。
曲先が多いので、曲によって書きます。心情風景だったり、ドラマだったり、自分の感情だったりを投影してみたり。曲ありきかもしれないですね。

――『インサイドアウト』の作曲で、特にこだわられた部分を教えてください。
長谷川正:曲としては求められていたイメージが、前作の『サイレントノイズ』と比べてもう少し解放感のある感じといいますか、明るいような曲が良いなって思っていて。
ちょうど『doorAdore』っていうバンドとしては色々な音をギュッと詰め込んだ作品の後だったので、こういう軽やかな曲をフラットな気持ちで作ってみるのも良いのかな?って思っていて。ちょうどゲームの方から求められているイメージと、フラットに軽い気持ちで作りたいという部分が合わさった部分で、凄く良かったなって思っています。

――曲が生まれる瞬間ってどういう時なのでしょうか?
長谷川正:普段から思い付いた事はメモ的に、携帯にメロディーで録音したり、家でギター弾いてるときとかの音を断片的に録っておいたりするんですが、意外と作ろうと思って作らないと出来ないですね。

――何かを体験して、それを音に表そうとするやり方はされますか?
長谷川正:たまにあります。映画を見たりや、自分の経験を音楽に置き換えたらどんな曲になるだろう?って。あんまり分析しながら作る事はないですね。何もない所からの場合もあるし、なんでこういう曲って自分でもわからない事もあるし。そういうきっかけがあって出来るときもあるので、まちまちですね。

――今作は、未来への希望を歌ったサウンドが印象的ですね。
長谷川正:そうですね。今回は先に向かって開けている感じの曲になればと思って作りました。
歌詞が思いついたエピソード
――「未来と過去が混ざったようなグラデーション」という歌詞は、どういった瞬間に思い付かれたものなのでしょうか?
有村竜太朗:僕、夜型生活者なので歌詞を書くときに外を見ていたらこんな感じだったんじゃないですかね(笑)外を見るのも好きだし、空を見るのも好きだし。
ちょうど夜明けの曲を書かないとって思ったときに、夜明けが見えたので空のグラデーション凄いな~書いちゃえ!みたいな感じです(笑)

――あえて「未来」と「過去」という組み合わせで綴るのがさすがです!
有村竜太朗:夜と朝が変わるようなお話しだったので、夜が過去になれば朝が未来になるよねって思って、ちょうど混ざる感じを書いたんです。今ここに世界にある事ってすごいなって感じました。

――「あい言葉」というフレーズをなぜひらがなで書かれたかが気になりました。
有村竜太朗:恋愛の愛にも取れるし。「合言葉」の合にしちゃうと合言葉っていう意味だけになっちゃうんですけど、ひらがなにすることで愛の言葉としてもとれるし、会いたい言葉にもとれるし。
個人的な趣味なんですけど、両方とれるような言葉にしたいなーって思うんです。そういうときは、めんどくさいんでひらがなにしてます(笑)

――「風の中 何問いかけたの?」は主人公の目線なんでしょうか。
有村竜太朗:そうですね。主人公の目線です。メロディーのイメージが主人公の視点で始まってそうだなって思って。その人がポツんといる感じがしたので、視覚的に書きました。

――こういった歌詞を書くときのテンションは、上がっている状態なのですか。
有村竜太朗:上がってはないですね。尋常じゃないくらい集中しています(笑)。僕集中力ないんですけど、歌詞書きだけは凄く集中するんです。歌詞書き嫌だな~とは思います(笑)。それは入り込むまでが嫌だなって思う感覚でして。入り込むと上がるも嫌だも何も考えなくなるので、正解を見つける作業ですね。
言葉って無限にあるし、色んな人の正解があるし、自分だけの正解が必ずあると思うんです。
――正解を見つけるという事は、パズル的な感覚だったりしますか?
有村竜太朗:パズル的な感覚の時もあります。ほとんど発掘みたいな時もありますし。

――アーティストの方は悩んでいる方が、良い歌詞を書けるという話をよく耳にするのですが、お二人はそういうタイプだったりしますか…?
有村竜太朗:うーん。大体、ナーバスになっている要素って自分のどこかには必ずあるので。100%ナーバス要素がないねっていう時がないので、いつでも悩んでいる部分はあると思います。逆に落ち込みすぎていても歌詞は書けないので。やる気が出なくなります(笑)人によると思いますね。

――長谷川さんはいかがですか?
長谷川正:良いものが出来るかどうかはわかりませんが、書きたい事は増えるかもしれないですね。何か作ることで消化するというか、吐き出す事が歌詞といいますか。チクショーって思ったときのきっかけにはなると思います。

『インサイドアウト』でお気に入りのフレーズ

――『インサイドアウト』の中からお気に入りのフレーズを教えてください!
有村竜太朗:僕はタイトルでもある「インサイドアウト」が好きです。とても思い入れがあります。満員電車の中でサビのメロディーをずっと歌っていて、なんとなく夜か朝に変わる歌だよなーって思っていて。「インサイドアウト」だ!って考えたんですよ。
「インサイドアウト」っていう言葉自体もあまり使わないので、思いついたときに携帯にメモしようと思ったんですが、携帯が出せない程の満員電車で。ずっと口で「インサイドアウト、インサイドアウト、インサイドアウト」で言いながら覚えていました(笑)タイトルにもなっているので、そういう思い入れがあります。

――長谷川さんはいかがですか?
長谷川正:僕は「誰かの夢の続きを残して 夜が朝に変わるの」っていう表現が素晴らしいなって思っていて。希望も含みつつ、切なさもあるなって思います。

――長谷川さんから見て、有村さんの詩的表現はどのように感じていますか?
長谷川正:凄く言葉の使い方とか、表現したいものがよくわかるというか。好きな言葉遣いが似ているなって思っています。一つの事を表現するときにこういう事を言うっていう所がありますね。人によってそういう事が違ったりすると思うので。具体的にこの箇所とは言えないんですが、言葉の掴みかたというか、イメージの掴み方が上手いです。

――歌詞ってストックがないと書けないものだと思うのですが、自分自身の言葉などはどこから集められるのでしょうか。
長谷川正:人によって違うとは思うんですが、このメロディーにはこういう言い回しだろうとか、メロディー優先で考えちゃう事が多いです。意味とかもいいやーって(笑)このメロディーにこの言葉をつけたら綺麗だろうなって考えたり。ストックは、その人が見たり聴いたりしたものが全てだと思います。

『インサイドアウト』初回限定盤A
――『インサイドアウト』を制作する上で、ここが苦戦したなという点などがありましたらお聞かせください。
有村竜太朗:実は結構順調で(笑)俺は歌詞書きかなって思います。今回は『Collar×Malice』のコラボという事もあったので、それ自体は自分たちの持っている世界観と被っている要素もあり、やりやすい部分もありました。
やはり決定しているお話しの中に入る事なので、向こうが考えている所に寄り添いたいなっていう気持ちがあったので、普通に曲を作るよりも一つ工程があったかと思います。いつも苦労するのは歌詞なんですよ。人の曲でも自分の時も歌詞に時間がかかります。

――歌詞を書く事を苦戦されたときは、どのように足掻いていかれますか?
有村竜太朗:いやーもう向き合うしかないですね(笑)嫌になりすぎたら、お酒を飲みにいきます(笑)

――有村さん、お酒お好きなんですね!強い方ですか?
有村竜太朗:お酒好きですね。強くはないですね。

――長谷川さんはどうですか?
長谷川正:飲めるときは飲みますね。
有村竜太朗:うちのメンバー、結構飲むんですよ。下戸はいないです。

――お酒飲まれるのが意外でした(笑)
長谷川正:みんなガブガブですよ(笑)
『灯火』はバッドエンドをイメージ

――カップリングの『灯火』は、作詞作曲を長谷川さんが担当されていますね。同曲のイメージした所は、『Collar×Malice』のエンディングテーマという部分でしょうか。
長谷川正:そうですね。エンディングテーマを意識しました。先方からゲームのエンディングが2パターンあると聞かされていたんですよ。所謂バッドエンドとハッピーエンドというものです。
この曲はバッドエンドの方でして、先方が求めていたイメージもそういうネガティブなものだったんです。喜怒哀楽の中の哀しいみたいな。自分の中でこういうメロディーに対しては、こういう言葉を乗せたらいいかな?って感じで作っていきました。

――『灯火』はとてもドラマ性がありますよね。
長谷川正:そこは凄く考えました。シアトリカルなものと言いますか、演劇チックな方が良いのかなって。先に曲は出来て、アレンジをギターのアキラと考えていたんですけど、アキラがピアノやストリングスだったり、クラシックな要素を入れてきていまして。それを聴いたときに、自分の中で演劇性がある曲を作るべきだなって思っていて。
最初から悲しい曲というテーマがあったので、音楽もサウンドトラック的に考えていた所もあったし。歌詞もこういうメロディーだったら悲しみの表現があるのかなーって考えていました。

――「ハレルヤ」という歌詞のあとに来る間奏は、ピアノのそっとした音色とストリングスの音色だけで、楽曲の持つ表情が見えるなと思いました。
長谷川正:俺も最初、あの部分にびっくりしました(笑)ストーリーが見えますよね。

――有村さんから見て、長谷川さんの作詞・作曲に対してどのような印象がありますか?
有村竜太朗:良い歌詞だなと思いましたし曲に合っているなって。綺麗な歌詞ですよね。

――歌詞に「青い鳥になったら」とありますが、なぜ青い鳥なのでしょうか。
長谷川正:救われたら良いなという気持ちを込めて青い鳥にしました。絶望したーってだけだと寂しいなって思ったので、歌詞の節々にちょっと希望も持てるような感じも入れたいなと。そういう青い鳥という言葉を入れたり。「灯火」という言葉自体も、小さな希望を表現しています。

――「繋がったまま沈んでいけたらな」という表現をされていますが、これは愛する人と沈んでいく=死を迎えにいくという事なのでしょうか。
長谷川正:死でもあるし、何かが終わる感じを意識して書きました。やっぱりエンディングでもありますし(笑)

――歌詞を書く上で、ここだけは譲れない部分はありますか?
長谷川正:僕は言葉選びに関してこだわりを持っていますけど、歌詞を書いてみても僕が歌うわけではないので、感情的な言い回しだったりという点は変えています。
前回のアルバムのときも、僕が歌詞を書いていますが、実際に竜ちゃんが歌うときに「こういう風な歌詞の方が良いんじゃない?」ってなって二人で考えたりもします。歌う人ならではの言葉の選び方が大きいです。僕の場合は楽器のフレーズを考える感じで進めるので。

――有村さんはいかがですか?
有村竜太朗:譲れない所はないですね(笑)歌詞は個人的なものなので。自分の中でも歌詞の事をわかっていない所があって。思いつきで書くときもあるし、なんでこんな言葉で悩まなければいけない時もありますし。
正解も個人個人にあると思うので、歌詞は難しい事だと思うんです。表現しようと思った歌詞と、そこに至ってなくて書いた歌詞とかはモノが違うと思うし、比べてはいけないものだなって。歌詞書きって好きな作業じゃないけど、自分にしかできないものだなって思うので、これから邁進していこうと思います。
『灯火』でお気に入りのフレーズ

――では『灯火』からもお気に入りのフレーズを教えてください!
有村竜太朗:僕は「逃げ出せない哀しみならどこまでも側にいるよ」です。正君っぽい言葉だなーって(笑)性格がとても出ていますね。
長谷川正:(笑)

――ちなみに長谷川さんの性格ってどういう感じなのでしょうか?
有村竜太朗:優しいんじゃないですか(笑)面倒見が良いというか、話が聞き上手で自然体な感じです。

――長谷川さんは包み込んで守ってくれるようなタイプだったり…?
有村竜太朗:守ってくれるタイプではないです(笑)なんか側にいてくれる感じなんです。

――メンバー内で有村さんを支えてくれるポジションの方はどなたになりますか。
有村竜太朗:正君じゃないですか?僕も支えますけど(笑)メンバーは持ちつ持たれつなので、役割分担もありますし。個人個人というよりは、バンドを動かすためにみんなで補っていると思います。

――長谷川さんのお気に入りのフレーズを教えてください。

初回限定盤B『インサイドアウト』
長谷川正:一番言いたかった事は「巡る星いつか僕ら泡になって忘れてゆくの」です。ここは悲しみとの向き合い方というか、そういうものが一つテーマとしてあって。そういうものに対して、僕は時間が解決してくれるのを待つしかないという人間なんです。時間が経てば嫌な事もどうにかなるって楽観的な考え方がありますし。
泡になってゆくという事は極端なんですが、死んでしまうという事なんです。重い言い回しにはなっていますが、悲しい事とも付き合っていこうよっていう楽観的な部分があります。

――最後に『インサイドアウト』はお二人にとってどんな一枚になりましたでしょうか?
有村竜太朗:前回『doorAdore』というアルバムを作ってみて、割とバンドの集大成となる作品で、楽曲制作に関してもやりきった感じがあったんです。このお話しが来るまで新曲を作ろうという意識がなかったんですけど、やりきった後に間髪入れずにバンドとしてニュートラルな視点で作れたものは、これからのバンドに新しい一歩を踏み出す良いきっかけになりました。
バンドにとっても大事な曲になると思うので、今までPlastic Treeを知らなかった人に聴いてもらえたら嬉しいです。
長谷川正:今のPlastic Treeのバンドとしての勢いが、詰まっているのでそれが伝われば嬉しいですね。『インサイドアウト』でPlastic Treeを初めて知ってくれた方がいたら、『doorAdore』とか遡って曲を聴いて欲しいです。自分たちのバンドっぽさでもあり、新鮮な感じの曲が出来たので、そこを楽しんで頂きたいです。
TEXT&PHOTO橋本美波
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