アルルカン・暁/lynch.葉月 撮影・川島彩水

アルルカン・暁/lynch.葉月 撮影・川島彩水

【V系】アルルカン vs lynch.の真剣
勝負! 対バン「laughing in the dar
k」がみせた感動の一夜【ライブレポ
ート】

6月10日にTSUTAYA O-EASTにて開催された、アルルカンlynch.の2マンライブ「laughing in the dark」の模様をレポートします。

6月10日東京・TSUTAYA O-EASTにて、アルルカンとlynch.の2マンライブ「laughing in the dark」が開催された。
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かねてから、自身らのルーツにlynch.の名前を挙げていたアルルカンにとっては待望の共演となる。また、今年幕張メッセでのワンマン公演を成功させ、「LUNATIC FEST. 2018」出演など、さらに飛躍を遂げようとしているlynch.にとっても、イキの良い後輩からの挑戦状は刺激的なものであることは間違いない。
バンド側だけでなく、フロアは双方のバンドTシャツをまとった観客たちで、2Fエリアまでギッシリと埋め尽くされ(なおどちらのバンドTシャツも”黒い”)、このイベントのファンの方にも心地よい緊張感が充満し、”戦闘準備完了!”といった雰囲気だ。
lynch.先陣を切ったのはlynch.。
SEの流れ、オーディエンスからは手拍子で迎えられる中、玲央(G)、晁直(Dr)、明徳(B)、悠介(G)が登場。そして徐々にせり上がってくるバンドのバックドロップ。最後に葉月(Vo)がステージ中央にあらわれ、「lynch.です! よろしくお願いします!」と挨拶。
1曲目は『EVOKE』でスタート。サビではオーディエンスとのワンマンさながらの熱唱を見せつけ、「ようこそ! 処刑台へ! 暴れる準備はできてるな?」という葉月の声から『GALLOWS』、そして『I'm sick, b'cuz luv u.』、『THE OUTRAGE SEXUALITY』と怒涛のハードナンバーを繰り広げていく。
MCでは、まずアルルカンへのお礼の言葉を述べ、「(アルルカンのメンバーは)ものすごいlynch.が好きみたいですね。嬉しいです、本当にありがとうございます」と感謝を重ねる葉月。
続いて、「アルルカンのファンは”ダメ人間”と言うんですか?」と始まり、暁(アルルカン・Vo)と祥平(アルルカン・B)による、このイベントへの意気込みのツイートを読み上げる。そしてそこで使われている”ダメ人間”という呼称に「”ダメ人間”って……、女性にはもっと優しくしないとダメですよ?」とコメントし、会場を和ませる。
アルルカンとlynch.のファン双方を煽りながら「ここにいる全員が盛り上がれる曲を!」と、アルルカン『リビドー』のカバーを披露。これはどちらのファンも盛り上がらざるを得ない。O-EAST中がぐわんぐわん揺れる。
貴方達はダメなんかじゃない!
続いて放たれたのは『GREED』。リビドー(性的欲望)からGREED(貪欲)というのもニクい流れだ。アウトロは明徳の見せ場ともいえるベースソロ、そこに背中合わせになる悠介。
「全員頭振るのは好きですよね?」と『INVINCIBLE』へ。
そして『melt』や『AMBIVALENT IDEAL』という狂気、そして憂い、切なさのあるメロディが際立つ楽曲が続き、「皆さん、今日は暴れに来たんですよね?」という葉月の言葉から、『MIRRORS』でフロアに再びヘドバンが広がっていく。
「ダメ人間の皆さん! 貴方達はダメなんかじゃない!」から、おなじみの「だから、ヤらせてもらえませんか?」と始まった『pulse_』では双方のファンによる「ヤリタイヤリタイ」の大合唱が響き渡る。
「僕は、非常に憧れの強い人間で、先輩を追いかけて今もやっているんですけど、アルルカンみたいに、僕たちのことを”ルーツ”と言ってくれる人は、これまでいなかったんで、すごく嬉しかったです! ここまで来たアルルカン、これからの俺たちと、皆のために歌います!」という葉月の言葉から、ラストは『ADORE』で締めくくられた。
アルルカン幕がゆっくり開くと、逆光に照らされたアルルカンのメンバーがそこにいた。「後攻、アルルカンです」と挨拶する暁(Vo)。
初っ端の『exist』から気合いは充分。暁の狂気を帯びた高らかな笑い声から『in the dark』では時にヘドバン、時に拳をあげ、応戦していくオーディエンスたち。「お手を拝借!」と暁が手拍子を求め、『omit』を投下。サビ前に「行くぞ東京!」と祥平(B)が叫ぶと、フロアではそれに応えるようにタオルが舞う。
フロアの声を確認するかのように、両手を耳に近づける來堵(G)。間髪いれずに『墓穴』を叩きつけ、堕門(Dr)のシンバルを合図に『NEGA ABILITY』へ。緑のライトに照らされた不穏な雰囲気の中、「君を愛して……」とか細い声で歌う暁。
ミラーボールの光が空間全体に照射され、せつないメロディが印象的な『白死蝶』が披露される。
以前ウレぴあ総研でのインタビューにて、奈緒(G)はlynch.ら、名古屋を拠点におくバンドたちの特徴として“激しさとせつなさ”を挙げていた。アルルカン自身がこの“激しさとせつなさ”を、しっかりと血肉にし、オリジナリティある表現へ昇華していることを、改めて認識させられた。
「今日、ここを選んでくれた皆さん、出演を快諾してくれたlynch.に本当に感謝します」と暁。「……ですが、絶対に人の過去のツイートを朗読したりしないでください! 絶対やぞ!」と先ほどのlynch.のMCに対しての抗議(笑)に、フロアからは思わず笑いが起こる。
まさかこんな日が来るとは…
「今日、貰えるものは全部貰いに来ました。今日ここにいる全員、欲しかったものを手に入れて、心を満たして、また明日を……迎えられますように」という言葉から『lullaby』へ。
そこから一転し、アッパーチューン『暁』では楽器隊はステージ前方に駆け寄り、フロアを煽る。そして声を荒げ自身の名を冠した曲を歌い上げる暁。『影法師』、『私と”理解”』と内省的な楽曲が続いていく。
「もっともっと騒ぎませんか? ツーマン決まった時は嬉しかったです。でも、lynch.のスケジュールを見ると、ツーマンが他にも沢山ありました。僕らはそのツーマンシリーズのひとつです! 僕はやきもちを焼いています。(笑うオーディエンスに対して)そりゃそうやろ!
おこがましいかもしれませんが、6月のツーマンの中でアルルカンとのツーマンが一番良かったな、って思ってもらいたいと思っています」と暁が語ると、拍手で迎えられた。
「調子乗ってますかね? そんなことないです。好きだからこそ、カッコいいところ見せたい生き物だと思うんですよ、僕たちは! さっき一発(『pulse_』)ヤってんだろ! 恥ずかしがってんじゃねえ!」と、アルルカンのライブでは定番の”暴れ曲”『像』と『ダメ人間』を立て続けに繰り広げ、最後は堂々とした『Eclipse』で本編は幕を閉じた。
アンコールの声に応え、再びステージに登場したアルルカン。
まず奈緒がマイクをとり「まさかこんな日が来るとは夢にも思わなかった。とにかく感動しています、ありがとうございます」と挨拶。10年くらい前に初めてlynch.を見て衝撃を受け、「こんなカッコいいバンドをやりたくて、アルルカンを組んだんです」と、途中から喉をつまらせながら語る奈緒。
lynch.に関するエピソードを語りつつ、「頑張っていたら、いつか共演する事もできると思っていたら、こんな素敵なツーマンという、本当にバンドやってて良かったな。この場を借りて、皆に感謝です。ありがとうございます」と述べると、大きな、暖かい拍手に包まれる。
そして奈緒がゲストを呼び込むと、「泣けるぜ! 馬鹿野郎!」と葉月がさっそうと登場。「アルルカンがスタジオで初めて合わせた曲」としてlynch.の『pulse_』を披露。
「大事なセリフは奈緒くんにお願いします!」と葉月が振ると、「渋谷! セックスしようぜ!」と叫ぶ奈緒。アルルカンのファンも、lynch.ファンも一体となって「ヤリタイヤリタイ」と絶叫し、この日一番といえる盛り上がりを見せた。
「もう1曲やらせてもらっていいですか? こうやってひとつの時間にいられることが嬉しいです。またどこかで」と暁。そして最後の最後は渾身の『puzzle』を放ち、最後にステージを後にする際、メロイックサインを掲げ「lynch.最高!」と満面の笑みを浮かべる來堵、やりきった顔つきで「本当にありがとうございました! ……以上です!」と頭を下げる奈緒が印象的であった。
サウンドやスピリッツ、目に見えないものでも、脈々と受け継がれるということを確認できた一夜であった。後輩の想いをしっかりと受け止め、リスペクトを欠かさなかったlynch.、憧れだけで終わらせず、しっかりと爪痕を残したアルルカン。どちらのバンドとそのファンにとっても、大切な夜になったことは間違いない。
セットリストlynch.
01.EVOKE
02.GALLOWS
03.I'm sick,b'cuz luv u.
04.THE OUTRAGE SEXUALITY
05.リビドー ※アルルカンカバー
06.GEREED
07.INVINCIBLE
08.melt
09.AMBIVALENT IDEAL
10.MIRRORS
11.ALL THIS I’LL GIVE YOU
12.CREATURE
13. pulse_
14.ADORE
アルルカン
01.exist
02.in the dark
03.omit
04.墓穴
05.NEGA ABILITY
06.白死蝶
07.lullaby
08.暁
09.影法師
10.「私」と"理解"
11.像
12.ダメ人間
13.Eclipse
En1. pulse_ ※lynch.カバー
En2. puzzle

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