『皇帝ミハエル・シューマッハの軌跡』[大型本](ブックマン社 ()/著:ZEITGEIST MEDIA、翻訳:原田京子

『皇帝ミハエル・シューマッハの軌跡』[大型本](ブックマン社 ()/著:ZEITGEIST MEDIA、翻訳:原田京子

事故で意識不明のシューマッハ、冷酷
非道の現役時代!

歴史に残る2つの悪質事故

 元F1ドライバーのミハエル・シューマッハが、スキー事故で意識不明で昏睡状態だという。
 ミハエル・シューマッハといえば、21年の競技生活で通算91勝で、ドライバーズタイトルを7度獲得した、歴代ドライバーのなかでは間違えなくナンバーワンだ。しかし、現役時代の彼は「F1サイボーグ」と呼ばれるくらい冷酷で、勝ちにこだわり過ぎるあまり、かなり悪評の高いF1ドライバーだったのだ。
 シューマッハの悪行といえば、まず思い出されるのが1997年の出来事だ。この年はジャック・ヴィルヌーヴとの優勝争いが最終戦ヨーロッパGPまでもつれこんだ。シューマッハがヴィルヌーヴより先にフィニッシュするか、両者ともポイントなしなら優勝という接戦だった。
 いざレースが始まると、どうにも調子が出ないシューマッハをヴィルヌーヴが追いかけるという手に汗握る展開。ところが48周目に両マシンが並んだところで、シューマッハが取った行為は“突撃”だった。突然ハンドルを切ってヴィルヌーヴにマシンをぶつけて、両車リタイアを狙ったのだ。しかし衝突したあとはシューマッハだけコースアウトし、走れないほどの損傷がなかったヴィルヌーヴは最後まで走りきって優勝を手にした。シューマッハの悪質で危険な作戦は失敗に終わった。
 よもや殺人という危険行為にFIA(国際自動車連盟)は問題視し、この年のドライバーズポイントを剥奪。当時のシューマッハは「無実」を主張していたが、引退後に「故意だった」と認める発言もしている。

他のドライバーからも総スカン

 故意と思われる接触事故は1994年にもあった。この年はデーモン・ヒルと優勝争いをしていたが、シューマッハが1ポイントリードで迎えた最終戦での出来事。コースアウトしてしまったシューマッハは、損傷したまま強引にコースに戻り、ヒルにマシンをぶつけたのだ。これで両車リタイアとなり、優勝はシューマッハの手に渡った。
 のちに97年の接触事故を見たヒルは「94年も故意だとわかった」と怒りのコメントを残している。
 その後もえげつない幅寄せやブロックは頻繁にやっていてペナルティも多いため、当然ほかのドライバーからの評判も悪い。
 2005年から2年連続で優勝しているフェルナンド・アロンソは「F1史上もっともスポーツ精神に反するドライバー」と辛辣だ。日本でも人気のあるジャン・アレジも「追い抜こうとすると接触することになる」と危険なドライビングを非難している。批判しないのはミカ・ハッキネンくらいかもしれない。
 F1の世界ではライバルと仲良くしていたら、シューマッハのような偉大な成績を残すことは出来ないのかもしれない。それはともかく、シューマッハが早く回復して再び元気な姿を見せてくれることを祈っています。

(文・編集部)

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