韓国の4人組ロックバンド・NELL、チ
ケット即完の東京公演『NELL’S SEA
SON 2018<THE COLORS>』をレポート

韓国の4人組ロックバンド・NELL(ネル)が、7月20日に東京・渋谷 WWW で単独ライブ『NELL’ S SEASON 2018』を開催した。
NELL は、2001 年にデビュー。キム・ジョンワン(Vo&G)、イ・ジェギョン(G)、イ・ジョンフン(B)、チョン・ジェウォン(Dr)の 4 人からなり、哀愁あふれたジョンワンの歌声と抒情的な歌詞、浮遊感のあるサウンドで人気が高く、韓国のロックフェスではヘッドライナーを務めるなど、ライブバンドとして確固たる地位を築いている。
昨年、ツアーで来韓した COLDPLAY のクリス・マーティンが絶賛したことでも話題となった。また、ソンギュ(INFINITE)、テヨン(少女時代)、Wanna One など人気アイドルに楽曲提供を行うなど、幅広い層に支持を受けている。『NELL’ S SEASON』は、韓国で長きにわたり開催している彼らのブランド・コンサートで、日本で『NELL’ S SEASON』のタイトルの付いたライブが行われたのは初となる。
NELL
日本でも“知る人ぞ知る”存在で、チケットは即日完売。満員のファンの前に登場したジョンワンは、「ハロー」と挨拶し、悲しみの中にも優しさがにじみ出る佳曲「멀어지다 (Drifting Apart)」から、ライブは静かにスタート。「지구가 태양을 네 번 (Four times around the sun)」、「습관적 아이러니 (Habitual Irony)」と、前半はNELLらしい抒情的でスローな曲が並んだ。
NELL
最新アルバム『C』からの「Dream Catcher」、「One of Those Days」ではフロアからクラップが聴こえ、十分に温まったところで NELL のキラーチューンともいえる「기억을 걷는시간(Time walking on memories)」を投入。ジョンワンもこの曲ではギターを置いて、ボーカルに集中する。彼の美声に酔いしれ左右に揺れるオーディエンスに韓国語で「歌える?」と問いかけると、会場から大合唱が湧きおこった。
たどたどしいながら日本語でジョンワンが「次の曲は、日本でインスピレーションを受けて作った曲です。1 曲は歌詞を、もう1曲はメロディを、ここ東京で作りました。
気に入ってもらえるとうれしいです」と紹介したのは、「Sing for me」と「Tokyo」。軽やかなこの 2 曲では、リズムに合わせて手拍子が聴こえた。
NELL
疾走感のある「Fantasy」から「Ocean of Light」までは、アップテンポのポップチューンで駆け抜ける。抒情的な曲も NELL らしいが、こういうアップテンポな曲にも NELL独自のグルーヴがある。フロアもジョンワンの声に合わせて一緒に歌い、一体感も加速して、ラストはピアノの音色が美しいバラード曲「Let the hope shine」でしっとりと締めくくった。
アンコールで再びステージに登場すると、ドラムのジェウォンが「最後まで楽しんで! 今日はありがとう」と日本語で感謝を述べると、「Green Nocturne」がスタート。ジョンワンのハイトーンに、フロアもじっくりと声を傾ける。「Home」が終わると、ギターのジェギョンが勉強中の日本語で、「皆さんのおかげで楽しかったです。早く会いたいです。今、新作を制作しています」と言うと、会場から歓喜の声が上がり、最後は「Words You shouldn’ t believe」という NELL らしさあふれる3曲でアンコールを締めくくった。
NELL
韓国での『NELL’ S SEASON』は、大きな会場で、凝ったセットや照明を駆使してNELLの音楽世界を表現している。今回はWWWという小さなライブハウスであったが、照明の感じはかなり本国に近い仕上がりだった。ライブでは、キーボードやギターのサポートメンバーを入れる場合もあるが、今回はシンプルにメンバー4人だけの構成。セットリストもヒット曲を網羅した、ベスト盤的な内容。このライブをもって本格的な日本活動を開始する、NELLの基本形を日本のファンに見せてくれた。
<THE COLORS>というタイトル通り、NELLというバンドのカラーがじっくり堪能できるライブだった。

文=YUKARI SAKAMOTO

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