テレビアニメ『まんが日本昔ばなし』(1975年~1994年/TBS系)の語り手で広い世代に親しまれた常田富士男が、2018年7月18日に脳内出血のため死去した。

黒澤明監督作品の『天国と地獄』(1963年)、『赤ひげ』(1965年)、山田洋次監督作品の『馬鹿が戦車でやって来る』(1964年)、市川崑監督作品の『悪魔の手毬唄』(1977年)など、日本映画を代表する作品に多数出演。テレビドラマでも、時代劇からサスペンスやコメディまで幅広いジャンルで活躍した。

ショートコントで構成された伝説的バラエティ番組『巨泉×前武ゲバゲバ90分!』(1969年~1970年/日本テレビ)にも出演し、お茶の間の人気者となった。

アニメの声優としても、『天空の城ラピュタ』(1986年)のポムじいさんや、『銀河鉄道の夜』(1986年)の灯台守りなど、確かな実績を残している。1986年に、『第4回日本アニメ大賞』声優部門特別演技賞を受賞。

一般にはあまり知られていないが、歌手としても歌謡史に足跡を刻んだ。代表曲は、1970年発売の「私のビートルズ」(作詞:吉岡オサム 作曲:神津善行)。常田の特異な歌い回しと意味不明な歌詞が聴く者の度肝を抜く。サイケデリックロックの潮流も感じられる演奏もカッコ良く、一度聴くとクセになる。カルト歌謡マニアにとってはお宝のような一枚。

独創的な個性を表しつつ、様々なジャンルでさりげなく最高のパフォーマンスを発揮する、唯一無二の表現者であった。

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