SHIN×歌広場 淳(ゴールデンボンバ
ー)“ターニングポイント”をテーマ
に紐解く人生観と“好き”の大切さ

「僕の恩人です」――。ソロになって初のSPICEのインタビューで、現事務所に入るきっかけを作ってくれたゴールデンボンバーの歌広場 淳(Ba)についてそう語っていたSHIN。今回は、SHINがViViDの前の前に在籍していたバンド時代から「若くて、メイクしなくてもカッコよくて、歌も上手」という理由でSHINに注目し、以来、ずっと彼のファンだったという歌広場 淳を迎えて、お互いの人生のターニングポイントをテーマに語ってもらった。いま自分の将来について悩んでいる人、やりたいことが見つからないという人、必見です!!

>>SHIN:SPICE初登場インタビューはこちら
――改めてこうして同じ事務所になってみると、お互いの関係って変わるものなんですか?
歌広場:本当に不思議な気持ちです。
SHIN:そうなんですか?
歌広場:事務所に入るまでは「入りなよ、みんなも喜ぶよ。僕も嬉しいし」って、すごいはしゃいでたんですけど。自分きっかけとはいえ、自分が好きな人が同じ事務所にいると、変な感じなんです(照笑)。そこはSHIN君も感じていると思います。“あれ、事務所に入る前と後で歌さん変わったな”って。
SHIN:あぁ~、僕もそれはありますよ。ViViD時代に何度かお食事とかも一緒に行かせていただいてましたけど、僕もその頃とは距離感が明らかに変わりました。だって、僕にとっては本当に恩人なので、歌広場さんは。最近は仕事で一緒になることもあるんですけど、バンド時代と違って、自分はいま“素”でしゃべっているんですね。僕はバンド時代、“王子様”とかいわれることにすごい違和感があって。“なに王子様って。全然王子様じゃないんだけど”って思ってたんですよ。そんな僕に対して歌広場さんは、「素でしゃべってるところが面白い!」といってくれるので励みになりますよね。それで、自分の身近にいるそのボンバーさんがこうしてGOING MY WAYでのぼりつめたので、僕もGOING MY WAYで行けばいいんだって。そこもすごく励みになります、僕としては。
――SHINさんがこの事務所に入るきっかけをつくったのが歌広場さんなんですよね?
SHIN:ええ。じゃあ自分のターニングポイントの話からさせていただきますね。ViViDのときは、周りの力や運、時代の流れも相まって、ずっと全力疾走してて周りが見えていなくて、自分のこともよく分かってなくて、子供のままどんどんバンドが大きくなっていった感覚があったんですね。それで、ViViDを解散して一人になったとき、これまでできなかったことをやろうと決めて、初めてそこで自分とじっくりと向き合ったんです。バンド解散後に“僕はなにがやりたいんだ?”って今後の自分の人生を考えたとき、音楽はやりたいと思った。だとしたら、いまの自分には曲がない、じゃあどんな曲が好きなんだ? というところで、いまのハードロック、ギターロックにたどり着いたんです。
――自分とちゃんと向き合ってみたら、SHINさんがやりたい音楽は今のスタイルだったと気付いた訳ですね。
SHIN:そうなんです。で、それをやるにはギターが弾けなきゃダメじゃんと思って、じゃあギターを練習して曲を作っていこうと。プラス、それとは別に何かを続けてみようと考えて、表舞台に立つ日を見据えて、毎日体づくりのトレーニングをして。そういう日々が続くなかで、いろんな会社と話はしてたんですけど、様々な事情でダメになりまして。気付いたら、バンドを解散してかれこれ2年近く経っていて。でも、その頃ようやく自分が納得がいく曲が作れるようになってきてたので、“散るなら潔く散ってやろう”と覚悟を決めて、EX THEATER ROPPONGIのワンマンを決めたんです。それを決めたとき、いままで知り合った方々全員に連絡をしまして。そのなかで連絡した方から「歌広場さんがSHIN君はいまどうしてるのか知りたがってたよ」という話を聞いて、久しぶりに連絡をさせて頂いたんですよ。ライブにはお仕事で来られないといわれたんですが、「いま会社とか探していらっしゃいますか?」と聞いて下さって。僕、それまでの2年間はひたすら引きこもって、曲作り、ギターの練習、トレーニングだけをやってたような人間だから。人間的には自ら破滅へと向かっていく傾向があるので、それをコントロールしてくれるスタッフさんなり事務所、会社をずっと探していたので「探してます」と伝えたら、いまの会社の会長さんを紹介して下さって。そこから現在の事務所に入ることが決まって、ソロがスタートしたんです。だから、本当に歌広場さんには感謝してもしきれないし、足を向けて寝られない。どこに住んでるかは知らないですけど(笑)。そんな僕の人生の超絶大事なターニングポイントを作ってくれた方なんです。
SHIN×歌広場 淳(ゴールデンボンバー) 撮影=岩間辰徳
僕の人生の超絶大事なターニングポイントを作ってくれた方なんです。本当にありがたかった。いまの僕があるのは歌広場さんのお陰です。
――歌広場さんは、久々にSHINさんから連絡がきたとき、なぜそこで「会社を探していらっしゃいますか?」という言葉をかけられたんですか?
歌広場:まず僕自身が、“SHIN君はバンド解散後どうしているんだろう?”というのが気になってたからですね。以前、僕はSHIN君にインタビューをしたことがありまして。そのとき、一言でいうと“変わった人だなぁ”と思ったんですね。
SHIN:はははは(笑)。
歌広場:歌や写真では分からない魅力があったんです。そこがすごくいいなと思ったんですよ、僕は。SHIN君はかっこいいし歌も上手なんだけど、話してみると“なんだコイツ?”っていうのがあったんです(笑顔)。それで、前よりもさらに気になる存在になってたところでバンドが解散して。さっきSHIN君がいってた共通の知り合いと話していたときに、「事務所決まってないならウチでやってもらえばいいのに」って自分でいってて。“ああー、それだよ!”って思って。ウチの会社の会長とかも興味があったようで。
――SHINさんに対して?
歌広場:ええ。会社としては、このまま彼を埋もれたままにしておくのはもったいないと思ったと思うんです。僕個人としては、なんでもいいから早くSHIN君のステージを観たい。単純にそれだけだったんです。
SHIN:(笑顔で)ありがとうございますっ!
歌広場:彼の歌をまた聴きたい。ファンとして彼の歌が好きだから。僕がそのためにできることなんてないんですけど。僕はゴールデンボンバーというバンドをやっていて、やりたいことは決まっているのにそこにたどり着くまでの道は難しいというのを多々経験してきたんですね。どういうことかというと、例えば「ゴールデンボンバーのステージで僕らは裸になりたいです」といったら、「裸ってどういうことですか?」、「いや、裸は裸ですけど」、「全裸ということですね? それはウチはダメですけど」、「ではパンツ一丁はどうですか?」、「そのパンツというのはどういう形ですか?」から始まって、向こうから何回も細かい確認が入る。
SHIN:はははははは(笑)。
歌広場:それって、さっきSHIN君がいろんな事情で会社が決まらなかったっていってたのもそうですけど、ゴールデンボンバーをやっていると、その“いろんな事情”がより分かるんですね。だから、SHIN君がまだに表に出てこないのはそういうことがあるんだろうなというのは想像に難くなかったので、ああいう言葉をかけさせてもらったんです。僕は力にはなれないけど、僕のいる事務所なら力になれるかもしれない。ゴールデンボンバー・マネーがありますので、きっと(笑)。と思って、声をかけさせてもらいました。
SHIN:本当にありがたかったです。いまの僕があるのは歌広場さんのお陰です。
SHIN×歌広場 淳(ゴールデンボンバー) 撮影=岩間辰徳
僕は力にはなれないけど、僕のいる事務所なら力になれるかもしれない。ゴールデンボンバー・マネーがありますので、きっと(笑)。
――では、そんな歌広場さんの人生のターニングポイントというと?
歌広場:僕がゴールデンボンバーに出会ったことですね。僕はヴィジュアル系が好きなバンギャ男だったんですけど。池袋のライブハウスでゴールデンボンバーを観たときに……自分の人生が変わったんです。チケットを買ったときは、他のバンドは英語なのにゴールデンボンバーだけカタカナだったので、その奇のてらい方がむかつくなと思ってたんですね。でも僕、ステージに彼らが出てき瞬間、一瞬で好きになったんですよ。家に帰って、ホームページとか検索しながら“なんで好きになったんだろう?”と思ったとき、この人たちって誰かを笑わせるために嫌なことをすごくやってるんだって思ったんです。実際に僕はゴールデンボンバーに入ってから分かったんですけど。僕らは「楽器弾いてないのに、そんなことやって意味あんの?」ってものすっごいいわれてきたんです。人から「そんなことやって意味あんの?」といわれるようなことを一生懸命にやってる人は、自分の周りには誰もいなかった。だから感動したんだと分かったんです。楽器を弾いてないから、変なことやるから面白いとかではなく、人が嫌がることをこんなにひたむきに一生懸命やって人を笑わせてる。そのことに僕はとても感動したんですよ。それで、ゴールデンボンバーに出会ったことがターニングポイントなんです。ゴールデンボンバーに出会って以降、僕は考え方が本当に変わったので。
――歌広場さんの人生観まで変えてしまった出会いだったと。
歌広場:そうです。ゴールデンボンバーは本当に楽器弾けなくて。僕も楽器弾く気はまったくないんですけど(笑)。SHIN君が「ギターを必死で練習した」っていった後にこんなこというのもあれですけど。
SHIN:いやいやいや(笑)。
歌広場:そんな僕がゴールデンボンバーを観て思ったのは、僕は楽器も何もできない、この人たちも何もできない、なのにこんなに人を楽しませているというところに感動したんです。それで“これならいますぐ僕でもできるぞ! 今日から生き方を変えよう”と思ったんです。
――おぉー!
歌広場:要は、楽器が弾けなくてもとにかくステージに立っちゃって、音楽流して暴れればいいんだってこと。なんでこんな簡単なことにいままで気付かなかったんだろうって。それまで大学生だった僕は“なんかやりたいんだけど何をやっていいのか分からない”っていうことにとことん悩んでたんです。そこでゴールデンボンバーを観て、映画の『ロッキー』を観たときのような勇気をもらえたんです。
SHIN:『ロッキー』のいくつですか?
歌広場:1です。
SHIN:いいっすねー!!
歌広場:『ロッキー』を観ると男は熱くなるっていいますけど。
SHIN:なりますね(断言)。
歌広場:ロッキーは、超えられない壁っていうのはあるかもしれないし、現実っていうものはすごく大変なんだけど、戦うことはやめなくていい。自分の好きなことをとことんやればいいってことに気づくんですね。
SHIN:おぉー。さすが、深いですね。
歌広場:それを、僕はゴールデンボンバーを初めて観たときに思ったんですよ。楽器なんて弾けなくていい、楽器を弾けないヤツがステージに立っちゃ悪いのか?って。そういう、当たり前のことに気付いたんです。
SHIN:そうだったんですね。実際僕も事務所に入るまではゴールデンボンバー=面白いバンドっていう表面しか見えてなかったんですけど。鬼龍院さんとか歌広場さんといろいろ話しているうちに、この人たちはなんてすごいんだと思いました。ボンバーさんと僕はベクトルが違うだけで、僕は自分がやりたいことを一生懸命やってるだけで、ボンバーさんはボンバーさんで自分らの美学に対して一生懸命なだけなんだというのがよく分かったんです。
歌広場 淳(ゴールデンボンバー) 撮影=岩間辰徳
この人たちも何もできない、なのにこんなに人を楽しませている。“何もできない人は何もできない訳じゃないぞ”という勇気をもらったんです。
――自分たちの美学を貫いてるところは一緒なんだと。
SHIN:ええ。僕が昔ボンバーさんと対バンさせていただいたときに「リハーサルやる意味あるんですか?」といわれているのを実際に聞いたことがあるんですよ。そのときは“よくそんなこといえるなぁ”と、聞いてて悲しくなりました。俺がそんなこといわれたらすげぇ悔しいから。
歌広場:楽器が弾けるなら弾けるほうがいいに決まってるんですよ。でも、弾けなかったらステージに立っちゃダメなのか?って話なんです。ダメかもしれないんですけど、それは誰が決めたの?って。僕はゴールデンボンバーを観たとき“何もできない人は何もできない訳じゃないぞ”という勇気をもらった。何か好きなことをやっていればいいことがあるんじゃないか。やりたいことを本当に思いきりやってるか。そういうことを考えさせられたゴールデンボンバーのライブが、僕のターニングポイントなんです。
SHIN:実際に僕も、ボンバーさんには勇気をもらってますからね。
歌広場:“こんなヤツらがやれるんだから、俺だったらもっといけるだろう”って。絶対、ゴールデンボンバーのライブを観たらそう思うはずなんですよ、構造上。“こんな人たちでも観てるだけで元気になるんだから、あたしだって何かできるかも”って思ってもらえると思うんですね。それで、明日にでも、いますぐにでも変われる。そういう現実と戦う勇気を受け取ってもらえると思うんです。
SHIN:僕もそう思います。この事務所に入って、そういうボンバーさんの根っこの深い部分まで分かったので、いまは本当にすごいなと尊敬してます。僕はボンバーさんとは違って、やってる人がたくさんいるジャンルに飛び込んでいきましたけど。でも、こんな見た目なのにキャラとか作んないで普通にしゃべってて、そういうヤツが激烈なハードロックをやってるのって面白いんじゃないかなと思ってるんですね。そういう自分だけの美学を貫き通すべきなんだなとボンバーさんを身近で見て、さらに確信しました。僕は今いる事務所のなかでは普通だと思ってたんですけど、ここまで音数が少ないロックやってる人がいないからこそ、いい意味で浮いてるんです(笑)。
――SHINさんはあまり普通ではないと思いますけど(微笑)。
歌広場:SHIN君は外見だけでも歌声だけでも判断できない、つかみきれないところがあって。そこが面白いんですよ。この人はどんな人で、ソロではどんな言葉を獲得して歌にしていくんだろう?というところは、興味がありますね。SHIN君って、パッと見で“ああ、王子様ね”って解釈されるタイプの人だと思うんです。いい意味でも悪い意味でも。“カッコよくって歌も上手いんだから、あなたの人生イージーモードでしょ?”と勝手に解釈されちゃうじゃないですか。
SHIN:そうなんですよ~。
歌広場:それを裏切る言葉がこれからどんどん出てくるんだろうなと思うと、そこは楽しみですね。
SHIN:期待しててください。サウンドはハードロック、ギターロックですけど、僕は悲しいことがあると瞑想するような人間なんで。
歌広場:ほら、こういうところです! 不思議じゃないですか? カッコいいんだから、悲しけりゃあ女の子でも呼んで飲めばいいじゃんって思うんですよ。
――SHINさんのルックスからは、そういうほうがイメージしやすいですよね。
歌広場:そう。でも、そこで瞑想するんでしょ?
SHIN:します! 1年の最後も、電気を消して瞑想します。真っ暗な部屋のなかで。
歌広場:そういうところがSHIN君はつかみどころがなくて面白いんですよ。
SHIN 撮影=岩間辰徳
僕はやってる人がたくさんいるジャンルに飛び込みましたけど、自分だけの美学を貫き通すべきなんだと、ボンバーさんを身近で見てさらに確信しました。
――では、SHINさんから見て、歌広場さんはどんなところが魅力的ですか?
SHIN:すごく博学で、その上さらに好きなことはとことん知ってて。“好き”を突き詰めるとここまでになれるんだなというのを見てて、すごい才能だなと。“好き”のプロフェッショナルなんだと思います。いろいろ好きっていっているもの、すべてに対してガチファンが納得せざるを得ないレベルまで、マジでもの知りだから。
歌広場:そんな僕が唯一好きになれてないのが楽器なんですよ(笑)。でも、それでいいんです。それがゴールデンボンバーというバンドなので。
――そんなオチもいただいたところで、最後にいま何をやっていいのか分からないと探している方々に向けて、お二人からアドバイスをお願いします。
歌広場:すごく当たり前なことなんですけど、好きで好きで仕方ないことをやって下さい。好きなことをやってる間って、どんなに時間がかかっても辛くないじゃないですか? それをずっとやっていると、いいことがあるんですよね。僕はこの対談の前にゲームのプレス発表会に行ってたんですけど、そこで僕は登壇して、ダチョウ倶楽部さんと一緒に「ヤァー!」をやらせていただいたんです(笑)。そんな、昔の僕が想像もしてなかったことができたのは、ゲームが好きだったからです。“ゲームなんか趣味じゃん、そんなのやってても生活できないじゃん!”っていう人がいると思うんですけど、本当にゲームが好きだったら生活とかはいったん置いといて、好きなことを徹底的にやると、やっていいことが起きるんです。こんなこというと“成功者のたわ言だよ”っていわれるかもしれないですけど、あなたが三日三晩できる好きなことをやると絶対にいいことがあります。それは、僕がヴィジュアル系が好きで好きで、いろんなバンドを見てるなかで、ゴールデンボンバーと出会えたこと同じことなんです。僕にとってのゴールデンボンバーみたいに、あなたも好きなことを続けていれば絶対どこかで出会います。僕はなんの能力もないですけど、好きなことをやってたらこうなりました。いまの僕が証拠です。
SHIN:カッケー(しみじみ)。じゃあ俺からは……、一緒に悩もうぜ! 俺も超悩んでるから。それしかいえないです(笑)。
取材・文=東條祥恵 撮影=岩間辰徳
SHIN×歌広場 淳(ゴールデンボンバー) 撮影=岩間辰徳

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