The Songbards、バレーボウイズ、ハ
ンブレッダーズ、Rude-α、次代を担
うアーティストが激突『次ロッ研 pr
esents「第二回研究発表会」』レポー

次ロッ研 presents「第二回研究発表会」

2018.7.3 WWW
ソニー・ミュージックエンタテインメント内に発足したレーベル&マネジメント「次世代ロック研究開発室」。文字通り、これからの時代を担うアーティストを世に送り出すことを目的とした同プロジェクトが、2回目の主催イベントを開催した。その名は『次ロッ研 presents「第二回研究発表会」』。
The Songbards
次ロッ研とは何たるかを説明し、所属アーティストについて紹介するVTRのあと、トップバッター・The Songbardsのライブがスタート。上野皓平(Vo.Gt.)のアカペラで始まる1曲目「青の旅」、<そんな大きなカバンいらないよ/歌を一つ覚えていけばいい>という冒頭のフレーズは“bard”(=吟遊詩人)を名に持つこのバンドのことを象徴しているようだった。柴田淳史(Ba.Vo.)による跳ねるビートを主体とした軽快なバンドサウンドに温かで澄んだ歌声が重なり、ノスタルジックで長閑なメロディラインを描き出す。特に岩田栄秀(Dr.Vo)はオーディエンスのこともよく見ながら気持ち良さそうにプレイしていたが、他3人含め、キメどころを鳴らしながら自分たちがまず最初にニヤッと楽しんでいる感じが微笑ましい。バンドすることが大好きな4人組なのだということがよく伝わってきた。「ハングオーバー」では松原有志(Gt.Vo.)がメインボーカルをとっていたほか、「太陽の憂鬱」では4人のハーモニーを美しく響かせる場面も。イギリス・リバプールでのBeatle weekでのライブも控えているというThe Songbards。全員が唄えるこのバンドのアプローチは今後どんどん幅広くなっていきそうな予感だ。
バレーボウイズ
続いては、バレーボウイズの登場――なのだが、初めて観た身としては正直困惑してしまった。ギターが3人いる(うち1人はアコギ)から基本的に音がでかいし、武田啓希(Dr)とサポートベーシストを除く5名が唄う驚きの編成だし、みんな腹式呼吸で声量が凄まじい。センターに立つ前田流星(Vo)は目をひん剥きながら唄っているし、赤のワンピースで踊り狂うオオムラツヅミ(Vo)はとにかくよく動く。枠に囚われないステージに呆気にとられながらも、身体がリズムにノッていることに気づいた頃にはもう遅い。既に彼らの世界に呑み込まれているのだ。「ラスト1曲やります、人間大好き!」と最後の曲のタイトルがコールされた時、確かに彼らの音楽は人間賛歌のようだと思った。まとまりや調和とは離れたところにいる歪な集団ではあるが、個々のきらめきが好き勝手に輝いている様子はこの上なく眩しい。全員ほぼシャウトにちかい状態で<飯食って風呂入って!>というフレーズを繰り返し、終了。
メンバー同士向かい合い、ジャーンと鳴らして一音入魂。「終わらない青春を歌いにきました!」とムツムロ アキラ(Vo&Gt)が宣誓し、ハンブレッダーズのライブが始まった。「自分が本当に感じたことでしか曲を作れない」「だから今は恋愛の曲が多い」というムツムロによる歌詞は、泥臭さも冴えない日々も皮肉混じりの視点さえも曝け出したもの。あの子を好きになったところでそこからハッピーな物語が始まるとは限らない。エレファントカシマシや銀杏BOYS、ELLEGARDENに憧れてバンドを始めたところで、ドラマのような人生が約束されるとは限らない。泣きのギターに疾走感溢れるリズム隊、淀みのない歌声による瑞々しい4ピースサウンドは、それでも恋をし、バンドをやる彼らの等身大の姿、だからこその輝きを映し出していく。ラストに演奏された曲の名は“逃避行”ではなく「逃飛行」。<ロックンロールは/魔法なんかじゃないけど/なんだかちょびっと/ワクワクするんだ>というフレーズに、このバンドのすべてが詰まっているように思えた。
Rude-α
トリを務めたのは、沖縄出身のラッパー・Rude-α。サポートバンドがセッションするなか現れた彼は、ペットボトルの水を手に持ったままお立ち台にヒョイと上り、「楽しもうぜ!」と投げかけた。芯のある声は聞き取りやすく、オーディエンスの顔一つひとつを確認するような視線の運び方からは“伝えたい”という意思が伝わってくる。「ビックリしたよね? こんなイケイケなのが出てきて(笑)」などラフな言葉を繰り出しながら、ポジティブなパワーを振りまくRude-α。そのうえバンドメンバーがめちゃくちゃ楽しそうである。一緒に音楽を鳴らす仲間をも面白がらせることができる、ということはいち音楽家としてかなり重要な要素。昨年からバンド編成でライブを始めたそうだが、太陽のように明るいキャラクターが持ち味の彼にとってはこのやり方が合っていたのではないだろうか。亡き祖父への想いを託したポエトリーリーディング「Happiness」、「俺の目標って武道館でライブすることなんすよ!」(“夢”ではなく“目標”なのがまた良い)とオフマイクで伝えたあとの「Train」で終了。まっすぐな若者による情熱溢れるライブに、清々しい気持ちにさせられた。
取材・文=蜂須賀ちなみ 撮影=Hiroyuki Dozono

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