KEYTALK さらなる変貌を遂げそうな
ツアーの折り返し地点、川崎で観た進
化と成長

Rainbow road Tour 2018 ~おれ、熊本で2番目に速いから~

2018.6.21 CLUB CITTA 川崎
KEYTALKが今年3月にリリースした通算5枚目のアルバム『Rainbow』を携えて、全国19ヵ所で開催している『Rainbow road Tour 2018 ~おれ、熊本で2番目に速いから~』が、いよいよ後半戦へと突入した。初日、マイナビBLITZ赤坂公演から、旺盛なチャレンジ精神と尽きないアイディアを全力投入して完成させたアルバム『Rainbow』の幅広い楽曲を、4人の鍛え上げられた演奏力で見事に体現してきた彼らだったが、ツアーも後半戦に差し掛かり、ますますその内容は進化を遂げている。今回のツアーは7月14日にボーカル寺中友将(Vo/Gt)の故郷・熊本市民会館でファイナルを迎える。その場所へと辿り着くまでには、さらに変貌を遂げていそうな気配もあるが、ここではツアーの折り返し地点となった神奈川・川崎クラブチッタ2日目の模様を、ネタバレを極力抑えてレポートする。
KEYTALK 撮影=後藤壮太郎 / 白石達也
KEYTALK 撮影=後藤壮太郎 / 白石達也
キャパシティ1,300人ほどの川崎クラブチッタに足を踏み入れると、完全に『Rainbow』仕様のセットが組まれていた。昨年は横浜アリーナでの単独ワンマンも成功させたKEYTALKだが、言うなれば、あのスケール感をライブハウスで再現するような演出とでも言おうか。「Rainbow road Tour、盛り上がっていきますよー!」と寺中がライブの始まりを力強く告げると、その瞬間を待ち望んでいたフロアから大きな歓声が起こる。小野武正(Gt/Cho)が涼しい顔をしながら、さらりと弾いてみせる手数の多いギターリフ、表情豊かなリズムでバンドの屋台骨を担う八木優樹(Dr/Cho)のドラム、そして、KEYTALKの大きな武器であるキャッチーなメロディをスピーディに紡いでゆく巨匠(寺中のこと)と首藤義勝(Vo/Ba)のツインボーカル。KEYTALKの核心はインディーズ時代から1ミリもブレないが、今回のアルバムで加わったニューアンセム「ロトカ・ヴォルテラ」のロマンチックで情熱的な世界観などは、とても新鮮な聴き心地だ。頭上を縦横無人に走るレーザー光線、吹き上げる炎やスモークの演出も、個性豊かな楽曲とリンクしながらライブの興奮を一層掻き立てる。
KEYTALK 撮影=後藤壮太郎 / 白石達也
セットリストは『Rainbow』の楽曲が中心だ。「ロトカ・ヴォルテラ」や「黄昏シンフォニー」のようなダイナミックな曲がバンドの入り口にあるとしたら、そこから一歩足を踏み入れた先には、よりディープでコアなKEYTALKの世界が広がっている。各パートの演奏が挑み合うようにぶつかり合う骨太でエッジの効いた「ミッドナイトハイウェイ」はKEYTALKのアグレッシヴな一面を強調する、巨匠の作詞作曲ナンバー。一方、大人っぽい雰囲気を漂わせたミディアムテンポの楽曲など、KEYTALKの代名詞ともいえるツインボーカルを封印した曲もある。新たな挑戦を取り入れ、様々な音色が溶け合う楽曲たちは、それぞれに全く違う景色を見せてくれる。そして、それを可能にするのは、稀代のメロディメイカー義勝を筆頭に、メンバー全員が作詞作曲をできるバンドだからだ。そんなバンドの武器も『Rainbow』という作品で、ますます磨きがかかっている。
KEYTALK 撮影=後藤壮太郎 / 白石達也
KEYTALK 撮影=後藤壮太郎 / 白石達也
ひとたび演奏がはじまれば、新世代のロックシーンを牽引するバンドの風格ともいうべき、堂々たるパフォーマンスでフロアを一体にするKEYTALKだが、MCでは仲の良いメンバー同士がゲラゲラ笑いながら繰り広げる等身大のトークでも楽しませてくれる。義勝が『スラムダンク』に登場するキャラクター“仙道さん”のマネをしたかと思えば、巨匠が『クッキングパパ』の顔マネをして、高級魚「のどぐろ」に扮した八木をさばくという、ツアー中に熟成させたネタを披露して笑いを誘う場面も。音楽を奏でることも、ステージに立つことも、ロックバンドであることも、全てを心から楽しんでいるような4人の雰囲気がとてもいい。そんな4人が作り出す“楽しい”の輪が大勢の人を巻き込み、いまやライブハウスのみならず、お茶の間にまでその人気を拡大しつつあるのがKEYTALKだ。イントロが鳴った瞬間に全身の血が湧きたつような昂揚感を生み出す真骨頂のダンスロックナンバー「MONSTER DANCE」のほか、テレビやフェスでお馴染みのアンセムも盛り込んだライブの終わりには、「(川崎公演の)2日間でパワーをもらいました。これで最後の熊本まで走り切れると思います!」と、巨匠がツアー後半への意気込みを語ってライブは幕を閉じた。
KEYTALK 撮影=後藤壮太郎 / 白石達也
巨匠の故郷に錦を飾るツアーファイナルまで全速力で走り切ったあと、さらに秋には初の幕張メッセでのワンマンライブ『ド真ん中で頑張マッセ~shall we dance?~ 』も控えているKEYTALK。タイトルのとおり、広大なメッセのフロアに360度を客席で囲むセンターステージを置くというかたちで大舞台に挑む。さらに、10月からは全国4都市をまわる初のホールワンマン「KEYTALK ホールツアー2018 〜あなたの心へ100ヤード 目指せホールインワン〜」も決定した。ライブのたびに驚くほどのスピードで進化と成長を重ねる彼らのステージは、決して私たちを飽きさせることはない。
取材・文=秦 理恵 撮影=後藤壮太郎 / 白石達也
KEYTALK 撮影=後藤壮太郎 / 白石達也

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