【インタビュー】doa、11thアルバム
『ISLAND』完成「描いたのは心の休憩
時間」

doaが7月4日、約2年半ぶり11枚目のオリジナルアルバム『ISLAND』をリリースする。アルバムのテーマは“大人の夏休み”。仕事や家事、育児や勉強に追われて自分自身の時間を得ることが難しい大人世代へ向けた全12曲は、ストレス発散、リフレッシュできるような壮快にして痛快なナンバーが目白押しだ。
サウンドはdoa十八番の乾いた西海岸サウンドを基調としたものだが、フィドルやペダルスティール、ギターバンジョーなどの音色がそこかしこに散りばめられて、楽曲の彩りと表情をより豊かなものにした。もちろん円熟味を増した徳永暁人(Vo&B)、大田紳一郎(Vo&G)、吉本大樹(Vo)のボーカルワークが、このアルバムを強く美しいものにしていることは間違いない。作詞作曲、ボーカル、サウンド&プレイ面からじっくりと話を訊いた1万字のロングインタビューをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■僕らのこだわりがつまった
■笑いの絶えないレコーディングでした

──『ISLAND』の制作は、いつ頃から始まったのでしょう?

徳永:僕は作品のリリースに関係なく普段から曲を作っていて、曲ができると2人にデモを渡して、歌詞を書いてほしいとお願いするという感じなんです。制作期間を設けたりするんじゃなくて、少しずつ少しずつ曲が溜まっていって、いいのが揃ったからアルバムを作ろうかという(笑)。今回もそれは変わらなかったです。

──ということは、『ISLAND』のテーマになっている“大人の夏休み”というキーワードも後から出てきたのでしょうか?

徳永:そう。「島とか行きたいね。ハワイとかいいよね」という話をよくしているんですよ。それで、「“ISLAND”というタイトルのアルバムを作っちゃえば、撮影でいかざるを得ないんじゃないの」って曲作りをしている途中でそういう話で盛りあがって(笑)、そこから“大人の夏休み”という言葉も出てきたんです。ただ、“島だ!”“夏休みだ!”といっても、いわゆるリゾート感を押し出すんじゃなくて、日常の中にある癒しだったり、気持ちがあがることだったりを“心の休憩時間”として描いたアルバムになっています。

吉本:だからリゾート・アルバムではないですね。僕らのアーティスト写真撮影も「ハワイでやろう」と言っていたけど、結局、現実的なところで淡路島になったんです(笑)。

徳永:淡路島も島じゃないですか。本州と道路でつながっているけど(笑)。

大田:淡路島でも全然いいんですけど、ハワイをイメージしていたので、“近っ!”ていう(笑)。

──そうだったんですね(笑)。とはいえ、『ISLAND』は上質なアルバムですし、楽曲がバラエティーに富んでいることも魅力的です。

吉本:個人的に一番思い入れが強いのは「HERO」ですね。この曲は3年くらい前に作った『FIA-F4選手権』のオフィシャル・テーマソングなんですよ。『FIA-F4選手権』というのはモータースポーツの甲子園的な位置づけで、そこで結果を出してプロとしての第一歩を踏みだすことができるか、諦めるかというわかれ目。そこに人生のすべてを懸けて戦っている若者たちがいるんです。そのテーマソング「HERO」は、楽曲自体も気に入っているので、ぜひ聴いてほしいです。

徳永:『FIA-F4選手権』のテーマソングのお話をいただいた頃、バイクに乗っていたらメロディーとテンポ感が浮かんできたんです。バイクを路肩に駐めて、メロディーを録っておいたスマホのボイスメモをもとにデモを作りました。バイクに乗っているときに降ってきた曲なので、疾走感が表現できているんじゃないかな。
──たしかに、「HERO」を聴いたときにアップテンポの曲ではないのに、車で疾走している情景が浮かんできました。ということは、歌詞も『FIA-F4選手権』を踏まえて書かれたのでしょうか?

大田:そう。テーマソングになることが決まっていたので、僕目線でレースを描きました。「あまりにも世界が近すぎて自分では書けないから、書いてもらえないか」と吉本君からも言われて。

吉本:『FIA-F4選手権』は僕も通過してきたところで、挑む気持ちもよくわかっているし、脱落していった人もたくさん見てきたんですよ。だから僕が書くとストレートすぎたり、重い歌詞になってしまう。大田さんの目線で描くことで、レースのことを歌っていながら、もっと大きな意味でリスナーの背中を押す曲になったから。

──なるほど。

吉本:あと、面白いところでいうと「SATURDAY NIGHT FEVER」ですね(笑)。これは、doaにしかできない曲かなと思います。

──「SATURDAY NIGHT FEVER」は、すごくインパクトがありますね。ダンス・チューンでいながら翳りを帯びた曲調や、大阪ノリの歌詞などが相まって、独特の世界になっています。

吉本:いまどき“サタデーナイトフィーバー”ですから(笑)。

大田:パリピになりきれない男の歌なんだよね(笑)。

吉本:そう。だからクラブじゃなくてディスコチックという(笑)。この曲もいろんなアイディアがあって、何回も作り直したし、いろんなネタをぶち込みました。サビ前のブレイクでドラが鳴ったり(笑)。

徳永:なぜ、この曲でドラなんだという(笑)。

大田:ドラの種類はいろいろ試したよね(笑)?

徳永:10種類くらい用意して、どれが一番ウケるか聴き比べたんです(笑)。あと、セリフも入っているし。

吉本:女性スタッフに、「ちょっとブースに入って、“もうええやん”って言ってくれます?」と。あれが活かされることになるとは思っていなかった(笑)。

徳永:それに、もともとの歌詞の出だしは“温麺”だったんですよ。ただ、「温麺だと優しすぎないか?」と。

大田:もっと大阪寄りにしようということで、たこ焼きにしてみたんです。ところが、「その後に“一味をかけて”という言葉が出てくるから、たこ焼きだとおかしい」と徳永さんの物言いがついて、「だったら、どて焼きがいいんじゃないか」ということで(笑)。

徳永:僕らのこだわりがつまった曲です(笑)。

吉本:笑いの絶えないレコーディングでした(笑)。
■ペダル・スティールやギターバンジョー
■そういうところでも独自のものに

──大田さんの印象深い曲は?

大田:2曲目の「HOME SWEET HOME」です。1年前くらいから地元の愛媛県宇和島市で、ラジオ番組をやっているんですけど、この曲はそのきっかけにもなっていて。というのは、僕は自分が書いた歌詞が現実になったことが何度かあるから、地元でも仕事がしたいという想いを詞に乗せてみようと思ったんです。その後、地元に帰ったら、そのラジオの話が決まったという。

──おおっ、すごいですね! それに、「HOME SWEET HOME」の歌詞は故郷がある人の誰もが共感すると思います。

徳永:ですよね。

吉本:いや、僕は共感できません。

──えっ、なぜでしょう?

吉本:“卒業して何年経つだろう”という言葉が出てくるじゃないですか。僕は学校の卒業というものを経験したことがないんですよ。小学校6年生のときにオーストラリアに行ったんですけど、オーストラリアは1年生から12年生まであって、10年生までが義務教育なんですね。10年生が日本でいう中3なんですが、10年生の途中で学校をクビになりまして(笑)。1年遅れて学校に行っていて、その時点で日本の義務教育期間は終わっていたので、そこでもう学校は辞めてしまったんです。オーストラリアに小学校の卒業式というのはないから、卒業ということを経験したことがない。だから、この曲には共感できない(笑)。

徳永:それは、かなり特殊な例だから(笑)。

吉本:ははは。冗談だって(笑)。

徳永:この曲は帰省の曲ですけど、それも大人の夏休みじゃないですか。大田さんが歌詞を書いたのはアルバムのテーマが決まる前だったけど、テーマにフィットした曲になったのも良かったなと思います。

大田:実際に帰らなくても、故郷を思うだけで心が癒されるしね。あとは、「愛LAND」も「HERO」も僕が歌詞を書かせてもらっていて、そこに対する思い入れがありますね。「愛LAND」は、タイトルを「ISLAND」にするか「愛LAND」にするか、すごく迷ったんですよ。でも、僕の中で「ISLAND」はちょっと違ったんです。かといって、「愛ランド」だと「ふたりの愛ランド」みたいになってしまうし。

徳永:懐かしい(笑)。

大田:“チャゲさん!”っていうね(笑)。なので、「愛LAND」にしました。内容は、人生を孤独な航海になぞらえて、そういう中で“君=愛LAND”と出会えてよかったということを歌っています。「愛LAND」は曲もすごくよくて、名曲だと思います。

──同感です。今までのdoaにはなかった新境地の曲ですし。

徳永:この曲はコードが2つか3つしか出てこないんですけど、ドリーミーな感じ。だから、新しく感じるんだと思います。それこそ「島へいきたいね」という話になって作ったんですよ(笑)。ミュージックビデオ撮影で島に行けそうな曲というイメージで作りました(笑)。

大田:行けたよね、淡路島だったけど(笑)。

徳永:現実は厳しかった(笑)。元々はサポート仕事で地方に行ったときに「愛LAND」のメロディーが浮かんできたんです。僕は、地方に行ったときは、よく午前中に散歩をするんですよ。知らない街を歩いたり、海や川に行ったり。そういう中で、この曲のメロディーを思いついて、またスマホに“ダダッダダッヘイッ!ヘーイ!”とか入れて(笑)。そういえば、もうそのときから“アイランド”と歌っていました。この曲もコーラス満載で、僕ら3人じゃないとできない曲かな。
──同感です。それに、ペダル・スティールがドリーミーな雰囲気を醸し出しているのもdoaらしいですね。

徳永:ペダル・スティールはまったく弾けないのに好きで買って、練習を重ねてやっとここまで。

大田:だいぶ名手になってきているよね。

徳永:だんだんね(笑)。ちょっとずつコツがわかってきたんだ。ペダル・スティールは難しいんですよ。ギターと違って足で音程を変えるから、足がつりそうになるんです。それに、靴を履かないとうまく踏めないので、家の中で練習するときもブーツを履いています。

吉本:それは、気持ちから入る的なこと?

徳永:ブーツみたいに底が固くて、平らな靴じゃないとダメ。底が柔らかいスニーカーだと音程が安定しないんだよ、2個とか3個のペダルをベタッと同時に踏まないといけなかったりするから。

大田:民族楽器は奥が深いね。

徳永:本当に。僕の中で特に印象が強い曲は「シェイブアイス」で、これはちょっぴり冷たい女性をカキ氷に例えた曲です。もともとは、スタッフに「シェイブアイスって知っていますか?」と聞かれたことがあって、よくよく聞いたら、流行りのオシャレなカキ氷のことで、“やべぇな、俺知らないぞ”と。でも、そのときに「シェイブアイス」というタイトルで、ちょっぴり冷たいオシャレな女性をシェイブアイスに例えた曲を書きたいなと思ったんですよ。でも、知らないままではどうにもならないから、実際に食べにいったら、もうビックリしましたよ。ふつうのカキ氷と食感が全然違うんですね。生クリームみたいな感じで、“なんじゃ、これ?”って(笑)。野郎が1人でデカいシェイブアイスを食べて、その感想をメモっているという(笑)。

大田:本当に1人でいったの?

徳永:そこはツッコまなくていいから(笑)。

大田:だって、キモいじゃないですか(笑)。

徳永:音楽のためだから、いいんだよ(笑)。でもね、食べにいったのが冬だったから、店に僕以外誰もいなくて。しかも食べながら、なんかメモっているわけでしょう。たしかに、ちょっと怪しい人だと思われたかもしれない(笑)。「シェイブアイス」は、そういう実体験で得たものをもとにして書いた曲です。

──リアリティー重視ですね(笑)。「シェイブアイス」は歌詞に加えて、楽曲も魅力的です。この曲は“カントリーをやろう”ではなくて、いいメロディーの素材をカントリー・テイストで仕上げていますよね。こういうアプローチは、カントリーに対する造詣が深くないとできない気がします。

徳永:ギターチューニングのバンジョーを買ったんですよ、最近。弾いていたら楽しくなって、「シェイブアイス」はこれを使ったアレンジにしようと思ったんです。だから、言われたとおり“カントリーありき”で作った曲ではない。そういうところで独自のものになっているかなとは思います。

──たしかにそうですね。

徳永:あとは、「シアワセ」も気に入っています。この曲は僕が歌詞を書いてリード・ボーカルも取って。夏休みといっても学生じゃないから、大人は1ヶ月半とか休めないじゃないですか。忙しい日々の中で、“そういえば、今日は休みだったな”という日に、自分ではない誰かを見て幸せを感じることがあると思うんですよ。若い頃にイメージしていたものではない幸せに気づく瞬間が。そういうことも“大人の夏休み”の中のひとつの出来事かなと思って書きました。

吉本:それは、大人やね。

徳永:そうでしょう(笑)。で、「シアワセ」は一見明るいアコースティック調の曲のようでいて、実は哀しい曲なんですよ。もし哀しいことがあったとしても、少しのことで救われたりするということを歌いたいなと思ったんです。
■バイクは作曲家のみなさんにオススメ
■景色を見たりするほうがイメージが膨らむ

──胸に染みる1曲に仕上がっています。他にも注目すべき曲はたくさんあって、たとえばブルースを基調にした「オンリーユー」もアルバムのいいフックになっています。

徳永:これは、結構本格的なブルースをやってみようかというところから入りました。ただ、ブルースをそのままやっても意味がないので、フィドル (バイオリン)をフィーチャーしましたね。

大田:僕が歌詞を書いたんですけど、歌詞をみんなに送るときに、なんて言われるかなと思いました。こんなふざけた感じの歌詞でいいのかなと。そうしたらね、2人ともなにも言わないんですよ。

徳永&吉本:いや、この歌詞はいいよ。

大田:本当に? ブルース調なのにフィドルとかも入っていたりして、「オンリーユー」は曲がカッコいいじゃないですか。なのに、こんな歌詞で本当にいいのかなと、なにも言われないままレコーディングに入って、そのまま作業が進んでいった(笑)。だから、ずっと不思議な感じがしていました。

吉本:大人な歌詞だし、大人じゃないとこういう曲は歌えない。

徳永:フィドルの不安定さみたいなものが、意外とこの曲の歌詞にハマっているし。そういう意味でも、いいんじゃないかなと思うよ。

──すごく楽しめました。あと、アルバムの後半に「BURNIN’ BURNIN’」や「MAYDAY」といった’70sハードロック感を押し出した曲が入っていることも印象的です。

徳永:狙ったわけではなくて自然と出てきました。「BURNIN’ BURNIN’」は「HERO」と同じように、バイクに乗っていたらメロディーとビートのイメージが浮かんできたんです。たぶん、ステッペン・ウルフみたいな気分になっていたんでしょうね。スマホに録るときは、ビートパターンも入れるんですよ、“♪ズズッタンツクズッズタン バ~ニン バ~ニン”みたいな(笑)。「MAYDAY」とかもそうだけど、この曲のテンポ感は机に向かっていたら絶対に出てこないと思いますね。

──バイクで走ることが曲をつくるうえで重要な役割を果たしているんですね。

徳永:そう。バイクで走るのは作曲家のみなさんにオススメです(笑)。僕の場合、家でピアノをポロポロ弾いたりしていても、なかなかいい曲はできない。それよりも外に出て景色を見たりするほうが、全然イメージが膨らむんです。

吉本:“バイクも作曲に必要なツールだ”って税理士に言ったほうがいいんじゃないですか(笑)。そうすればバイク代が経費になるから(笑)。

徳永:たしかに俺にとっては重要なアイテムだな(笑)。

──税理士さんに言ってみましょうよ(笑)。大田さんと吉本さんは「BURNIN’ BURNIN’」や「MAYDAY」には、どんな印象を持たれていますか。

大田:2曲ともそうですけど、エレキギターとアコギが同じことをしていて、同じくらいの音量で鳴っているんですよ。それがdoaの味。ただ、「MAYDAY」は思いきりアコギを弾かないと、エレキギターと肩を並べるところまでいかないんです。それに、「BURNIN’ BURNIN’」は最初は僕が歌う予定だったんですけど、このリフを弾きながら歌えないよというところから始まって(笑)。

吉本:ええっ、ラクしているのか(笑)?

大田:いや、ラクとかじゃなくて、物理的に無理なんだって(笑)。それで、吉本くんに歌ってもらうことにしたんです。

吉本:こういう曲調は大田さんの大好物なんですよね。それを僕が歌うということがまず面白いんだけど、テイストが全然変わるというのがあって。大田さんが「BURNIN’ BURNIN’」を歌うとすごくカッコいいけど、優しさが残る感じになる。こういう曲を自分が歌うならどう感じがいいかなって結構考えましたね。録りのときは、か細くならないことを意識しました。
──吉本さんが歌われたことも「BURNIN’ BURNIN’」の新しさを感じさせる要因になっています。歌の話が出ましたので、今作を作るにあたって、それぞれボーカルの面で大事にしたことも話していただけますか。

徳永:3人で歌うときは基本的に僕がロー・パート担当で、リード・ボーカルとしてはバラード的なものを歌うことが多いんですね。そういう中でいつも心掛けているのは、上手く歌いすぎているように聴こえさせないことです。変に声を張り上げたり、伸びやかすぎる発声をするんじゃなくて、今こうやって喋っているような感じ、隣にいる人に喋っているような感じで歌う。それはデビュー当時から心掛けています。今回は「シアワセ」と「You belong to me」で僕がリード・ボーカルを取っているんですけど、「シアワセ」は一度録った曲なんです。だけど、ちゃんとしすぎていて、むしろ厚かましいように聴こえてしまったので、全部録り直したのが今のバージョンです。そういうサジ加減が、すごく難しい曲ではありましたね。

──ややぶっきら棒でいながら温かみがあって、爽やかという絶妙の表情を味わえます。

徳永:その表情をつくるのに時間がかかりました。1行目が“久しぶりにいい天気だね”という歌詞なんですけど、久しぶりにいい天気ということは、それまでがすごく曇った日常……ひょっとすると哀しい出来事が続いていたのかもしれない、ということをリスナーに伝えないといけない。笑顔で“久しぶりにいい天気だね”と歌ってしまうと、曲の色が変わってしまうんです。どこかに出かけるのが億劫で、昼まで寝てしまって……気づいたら久しぶりのいい天気で、「この間、いきたいと言っていたのは、どこだっけ?」と話しかけるようなテンションに持っていくのに、すごく時間がかかった。今回はそれが強く印象に残っています。

吉本:僕の中で、特に印象が強いのは「Everybody今この時を輝いて」かな。サビの“♪エ~ヴリィ~バァ~ディ~”という歌うところが、すごく気持ちいいんです(笑)。たぶん、徳永さんは“♪バァ~ディ~”というところが、こういうふうになるだろうなとわかって作っているんですよね。だから、すごくいいところを引っぱり出してくれた曲。

──「Everybody今この時を輝いて」は聴いたあと、サビ・パートがずっと頭の中でリピートして困りました(笑)。「エンヤコラ」のブルージーな吉本さんのボーカルにも耳を惹かれました。

吉本:「エンヤコラ」はタイトルからしてパンチが効いているという(笑)。ただ、曲タイトルはいろいろ変わったんです。この曲を最初に聴いたとき、バイクでどこかに出かけるようなイメージを受けて、“Ride”という言葉が浮かんだんですね。それで、“Ride”という言葉が入った英語のタイトルだったんですけど、家族だったり、友人だったりに対する応援ソングになっていって、途中で「エンヤコラ」というタイトルに変わったんです。なんかね、「これは結局、どういう曲なんだろう」という話になって、「エンヤコラみたいな曲じゃないか」…みたいなことになり(笑)。

徳永:みんなで話しているときに、突然“エンヤコラ”という言葉が出てきた……というノリだったよね(笑)?

吉本:うん。徳永さんと大田さんが書いた歌詞は周りに意見させないのに、僕の歌詞はバンバン変えてくるんですよ(笑)。もう好き放題変える。

大田:好き放題ってことは、ないよね(笑)?

徳永:最小限だよね(笑)。

吉本:ええっ、最小限(笑)? でも、“エンヤコラ”というタイトルはキャッチーですよね。この歌のブルージーさに関しては、僕のところにデモが届いた段階でほとんど完成していたんですよ。徳永さんの仮歌詞は英語だけど、ちゃんとした仮歌とコーラス・ラインも入れてくるから、求めているものもそこに入っている。それに合わせて歌っていくことになるから、「エンヤコラ」の歌がブルージーなのも、そういうことだったんだと思います。

大田:僕は今回、「オンリーユー」でリード・ボーカルを取っているんですけど、歌は結構苦労しました。吉本君のコーラスがいい感じできていたので、それを踏まえて2回くらい録り直したんですけど、曲調や歌詞的にしっかり歌うのはどうなのかというのもあって。ライブでやるときは、音源とはまた違う、もっと楽しい感じで歌える曲でもありますね。
■夏にツアーをするのは久しぶり
■より気持ちもあがるんじゃないかな

──では、ギターやベースのサウンド&プレイについても話していただけますか。

大田:ギターは難しい曲が多かったです。「愛LAND」のリズムパターンに合わせるギターとか「SATURDAY NIGHT FEVER」の腕がちぎれそうなアコギのストロークとか。「SATURDAY NIGHT FEVER」は、“ジャンジャンジャン ジャカジャカジャン”と弾いているんですけど、それがキツくて、ライブでやったらたぶん腕がちぎれる(笑)。ライブのときは、ちょっと手を抜いてもいいかな(笑)?

徳永:絶対ダメ(笑)。

吉本:それはあかんでしょう(笑)。

大田:……がんばります(笑)。

──がんばってください(笑)。先ほど話が出たように今回もアコギをフィーチャーした曲が多いですし、6弦のアコギと12弦のアコギを一緒に鳴らしていることも特徴になっています。

徳永:ウエストコーストなら12弦ギターだろうということで。あと、「You belong to me」とか「エンヤコラ」では、マンドリンも弾きましたね。アコギとかピアノは音が伸びてしまうけど、マンドリンとかウクレレは音が伸びずに“ポロンッ”と鳴るじゃないですか。そうすると隙間ができるんですよ、音楽の中に。例えていうと、ピアノとかアコギは生玉子みたいなもので、ご飯にかけると玉子ご飯になる。マンドリンだと、白いご飯にフリカケをかけたような感じなんですよね。ご飯とフリカケの両方を味わえる。ずっとピアノだと、玉子ご飯になるんです。

大田:……すごい例えだな(笑)。

徳永:えっ、そう? だから、心の隙間とか、まばらに木が立っている砂漠みたいな“間”を表現するには、マンドリンの音色が合うんです。

──「オンリーユー」のフィドル (バイオリン)もそうですが、“こういう曲調だから、こういう楽器を”という捉え方ではなくて、イメージを表現するための楽器の選択をされているんですね。

徳永:そう。たとえば同じ雲でも、うろこ雲と、入道雲と、すじ雲は違うじゃないですか。僕の中では、ペダル・スティールは、すじ雲なんですよ。ペダル・スティールが合う曲だから使おうではなくて、すじ雲を表現したいときに使う。

吉本:面白い。でも、きっと次からマンドリンがきたら、“あっ、フリカケきた!”と思うわ(笑)。「今度の曲、意外とフリカケ入ってるやん」みたいな(笑)。

徳永:「これはボトルネック?」「いや、すじ雲でいく」とかね(笑)。
──キテますね(笑)。徳永さん、ベースのサウンドやプレイに関してはいかがでしょう?

徳永:今回は難しい曲と、めちゃくちゃ簡単な曲と両極端という感じです。たとえば「愛LAND」は、全編白玉だけなんですよ。全音符を“ブゥーン”と弾くだけという。この間この曲のミュージックビデオを撮ったんですけど、「はい、弾いてください」と言われても“ブゥーン”だけだから、あとは踊りました(笑)。

大田:この曲のベースではどんな雲を表現したの(笑)?

徳永:いや、雲ではない。青空とか水平線とかだね。“ドォーン!”とした感じ(笑)。そんな「愛LAND」がありつつ「エンヤコラ」は簡単なようで、実はずっとフレーズを弾きながら歌わないといけないので、意外と難しいぞという。あとは、「SATURDAY NIGHT FEVER」は結構凝ったフレーズを弾いていて難しい。なんかね、ライブのことを考えないで作っているから、自分で自分の首を絞めているんですよ(笑)。

──とりあえずライブのことは考えないというスタンスも、doaの作品の魅力を高めていることがわかります。ライブといえば、7月16日から全国ツアーが始まります。『ISLAND』が良質な作品に仕上がったこともあって楽しみです。

吉本:僕のレース・スケジュールとの兼ね合いで、doaは冬にツアーをすることが多くて、夏にツアーをするのは久しぶりなんですよ。だから、今年のツアーはまた違った感触になるだろうし、より気持ちもあがるんじゃないかな。各地の皆さんと一緒に、2018年の夏のいい思い出を作ることを楽しみにしています。

大田:今回は久しぶりにいろいろなところをまわるので本当に楽しみです。北海道にも行くんですよ。夏の北海道とか、最高じゃないですか(笑)。滞在期間は短いけど、夏の北海道をしっかり味わいたいですね。もちろん、他の場所も楽しみで、毎回いいライブになるように個人練習をしっかりやろうと思っています(笑)。

徳永:3人で歌う魅力は音源よりもライブのほうが断然伝わるんですよ。ぜひそれを体感しにきてほしいですね。お客さんにも歌ってほしいし、思いきり歌うことで、その場にいるみんなと一つになれるといいな。あとは、夏のツアーなので、シェイブアイスを食べてライブに来ていただければと思います(笑)。

取材・文◎村上孝之

■11th オリジナルアルバム『ISLAND』
2018年7月4日(水)発売
GZCA-5282 3,000円(+税)
01. 愛LAND
02. HOME SWEET HOME
03. SATURDAY NIGHT FEVER
04. HERO
05. シアワセ
06. エンヤコラ
07. シェイブアイス
08. オンリーユー
09. You belong to me
10. BURNIN' BURNIN'
11. MAYDAY
12. Everybody 今この時を輝いて


■全国ツアー<doa LIVE Tour 2018 -ISLAND->

7月16日(月祝) 広島県・広島クラブクアトロ
開場16:00 開演16:30
7月21日(土) 愛知県・ダイアモンドホール
開場16:00 開演16:30
7月28日(土) 大阪府・Umeda CLUB QUATTRO
開場15:30 開演16:00
7月29日(日) 北海道・札幌 Space Art Studio
開場15:30 開演16:00
8月11日(土祝) 千葉県・千葉LOOK
開場16:00 開演16:30
8月14日(火) 東京都・新宿ReNY
開場18:00 開演18:30
9月17日(月祝) 福島県・いわきPIT
開場16:00 開演16:30
9月18日(火) 神奈川県・新横浜 NEW SIDE BEACH!!
開場18:00 開演18:30
9月24日(月祝) 福岡・Gats's7
開場16:00 開演16:30
▼チケット
前売 6,000円(税込/全自由(整理番号付)/ドリンク代別)
当日券 6,500円(税込/全自由(整理番号付)/ドリンク代別)
※全公演におきまして、6歳未満の方のご入場はできません。
※開場・開演時間は変更となる場合がございます。
一般発売:2018年6月23日(土)より各プレイガイドにて


■イベント<OTODAMA SEA STUDIO 2018 supported by POCARI SWEAT 〜地元の集い 2018〜>

8月12日(日) OTODAMA SEA STUDIO (神奈川県三浦市・三浦海岸)
OPEN14:00 / START14:45
▼出演
doa / WEAVER / クレイ勇輝 / つるの剛士 / ミノタウロス (OPENING ACT : ロザリーナ) ※出演順ではございません
▼チケット
前売 4,200円 / 当日 4,700円(税込/全自由[整理番号付])
※入場時、別途ドリンク代600円必要
※4歳以上はチケット必要
(問)OTODAMA運営事務局 03-6421-7735

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