【詳細レポート】<LUNATIC FEST.20
18>初日、「LUNA SEA、最高!」「み
んな、最高!!」

6月23日および24日に幕張メッセで<LUNATIC FEST. 2018>が行なわれた。これはLUNA SEA主宰によるフェスで、2015年に第1回目が開催されている。その1回目では、インディーズ時代から現在までにLUNA SEAと深く関わりのあるバンド達を招集。それはLUNA SEAのファミリートゥリーとも呼べるラインナップでもあった。2回目となる今回は、LUNA SEAのメンバーが純粋に今、観たいアーティストや、対バンしてみたかったバンド達を招いたという。結果、でかいキャパでワンマンも成功させてきたツワモノばかりが集まった、とも言えるだろう。
当日はWOWOWによる生中継もあり、会場に行けなかった多くのファンも<LUNATIC FEST. 2018>を楽しんだはず。ここでは特に印象的だったシーンやコラボを中心に振り返ってみよう。

LUNACY
午前11時過ぎ、MOTHER STAGEに現れたのはLUNACY。当時を彷彿とする黒を基調にしたコスチューム姿に、ファンの興奮は高まるばかり。SUGIZOがギターのノイズをギュイーンと響かせ、さらに煽る。次の瞬間、鋭角的リフで始まったのが「SHADE」だ。懐かしさを遥かに上回る生々しいエネルギー、衝動の渦巻くバンドサウンドが炸裂する。続く「SYMPTOM」でさらに攻撃的に決め、RYUICHIが「今日は思いっきり楽しんで帰ってくれよ!」と短くあいさつ。

直後、Jがベース・リフを刻みながら突入したのは「NIGHTMARE」だった。ベースにリズムで加わる真矢、次にINORANとSUGIZO。ゴシック要素も飲み込んだダークネスでドラマティックな音が構築され、その音世界の中心で歌うRYUICHI。メンバーのストイックな佇まいはファンの視線を奪い、曲はファンの心をかき乱していった。そしてエンディングは、各パートのフレーズが順に消え、最後に残るのはベースフレーズ。初期から神経質なまでにこだわったアンサンブルや構成力など、LUNACYの真骨頂を改めて示した。

coldrain
「暴れていこうか!」と威勢よく始まったのはcoldrain。気合いを入れてくれるサウンド、メロディ、スクリームが縦横無尽に飛び交う。フロアではクラウドサーフやジャンプでファンも飛び交う。

「胸を張って言います。連続出演です。主催者と集まったメンツを考えたら、あなた達は、ただただ楽しむだけ」とMasato。フェスの経験値も相当あるcoldrainだからこそ、フロアの全員を引き連れながら、しかし高い熱量のライブで圧倒した。

女王蜂
ファンキーなリズムでファンを踊らせながらライブを始めたのは女王蜂。腰にくるグルーヴと、アヴちゃん(Vo)の毒々しさと可愛らしさを使い分けた歌で、ファンを酔わせる。

中盤、「スペシャルゲストをお呼びしてます。Jちゃん!」と紹介されて、ステージに走り出てきたのは、もちろん、J。「もっと声、出せるか!」と煽りながらTシャツを脱ぐと、なんと、“狂気”Tシャツを下に着ていた。沸き上がる歓声のなか、<THE GREAT ROCK'N'ROLL SEKIGAHARA 2017>(2017年4月開催フェス)で披露されたコラボレーションバンド“J王蜂”として「デスコ」をプレイ。祭りナンバーとも呼べるノリのいい曲だが、Jのベースが加わってゴリゴリの迫力ナンバーへ豹変。笑顔と激しいプレイでコラボを楽しむJでもあった。

The BONEZ
次のThe BONEZは、ヤンチャなラウド系と認識されているバンドだろう。もちろん間違ってはいない。しかしメンバーは20代をとっくに過ぎた。人間的な経験を重ねながら、描くメロディもメッセージも大きく成長させてきたバンドでもある。しなやかにグルーヴするバンドサウンドを放ちながら、開放感あるメロディと共に前向きなメッセージを叩きつけていった。

途中、「奇跡を見たくないですか。見たこともないもの、見たくないですか!」と、JESSE(Vo,G)がJを呼び込む。「Hey,You」では、まるで正式メンバーのごとく絡んだり、コーラスも叫ぶJ。エンディングでは「The BONEZ!!」とJはエネルギッシュに賛えた。その後、愛情と感謝のこもったラウドナンバー「SUNTOWN」では、フロアに降り、ファンの肩車の上でJESSEが歌う場面も。次々に寄ってくるクラウドサーファーと気持ちを確かめ合うようにハイタッチも交わし、ラストナンバーに続いたときには、でかいコーラスが自然に起こる。ヤンチャぶりこそ変わらないが、包容力あるメロディと共に感動も作り出すThe BONEZだった。

ACE OF SPADES
<LUNATIC FEST. 2018>のため、約2年ぶりに一時的復活を遂げたのはACE OF SPADES。宮上元克(Dr)の強靭なリズムに、TOKIEのうねったベースラインが絡む。そしてGLAYとは異なるギターアプローチで迫るのはHISASHIだ。道産子らしい粘っこくて力強いリフが新鮮でもある。洋楽的な匂いも強いバンドサウンドや楽曲だが、そこにポップ感を注ぎ込むのがEXILEのTAKAHIRO(Vo)。キャッチーな歌いまわしで華やかさも散りばめる。

「Louder」ではINORANが加わり、HISASHIと向い合せでリフを弾きまくりだ。ここでしか実現しないツインギターに、ファンはもちろん、それ以上に当人達が嬉しそう。さらに盛り上がりながらステージは突き進んだ。

back number
back numberは、その甘くメロウなナンバーで広く支持されているバンドだ。このステージでも「青い春」をはじめ、包み込むようなナンバーを披露。また持ち時間の限られたフェスにも関わらず、バラード「クリスマスソング」を組み込むなど、ある意味、挑戦的な姿勢も見え隠れする。

それに小島和也(B)のライブ・パフォームがいつも以上にアクティヴ。それもそのはず、前回はお客さんとして観に来ていたという生粋のSLAVEであるからだ。清水依与吏もメンバーを代表して「出られて本当に光栄でしたし、本当に嬉しかったっす」と感謝。そして再び優しい歌声でファンを酔わせていった。

GLIM SPANKY
サイケデリックなフレーズと重々しいグルーヴを撒き散らしながらライブを始めたのはGLIM SPANKY。多くのミュージシャンからリスペクトされる若きバンドだが、このステージでは多くのロックファンを掴み取ることになった。ロックの原始的熱さや衝動をたっぷり放ちながら、気持ちを震わせる感情的な歌が貫かれる。そしてプレイもテクニックもセンスも桁違い。

「2年前、突然、SUGIZOさんがライブハウスに観に来てくれて」とLUNA SEAとの繋がりを話す松尾レミ(Vo,G)。そうなればここでも“突然”は起こるってもの。煽るような手つきでSUGIZOが乱入し、一緒にプレイするのは「愚か者たち」。グルーヴに身を任せ、ソロフレーズも弾きまくるSUGIZO。それを受けて亀本寛貴(G)も白熱のプレイを展開。「年代違っても、共通の好きな音楽があって、音でセッションできるのがロックの最高なとこ。みんなも、メンバーの一員だからね」と松尾。ラストは初期から大切に演奏し続けるブルース「大人になったら」で、最初から最後までロック好きを思いっきり痺れさせるステージを展開した。

▼SID
続くSIDは、Shinji(G)の奏でるアコギ・フレーズをバックに、マオが優しく歌い上げる「青」からライブをスタート。軽快なアップテンポ・ナンバーの「V.I.P」で、会場を一体感に包み込む。

「素敵なイベントにお招きいただき、すごく感謝しています。LUNA SEAのメンバーにリスペクトと感謝の意味を込めて…」と、LUNA SEAのカバー「I for You」を披露するが、中盤に登場したのはRYUICHI本人。RYUICHIはマオの肩に手を置き、マオはRYUICHIの目を見つめ、そして二人で歌い上げるラブ・バラードである。その光景にファンも、どうしたらいいのかといった表情をしながら、それでもやっぱり聴き惚れる。歌い終えて「緊張したー! 最高の思い出ができました。ここからはリラックスして楽しみたい(笑)」と素直すぎる感想をこぼした。そして「嘘」をはじめ、ワンマンライブのようにハジけまくったステージで魅了していった。

DIR EN GREY
みんなが聴きたがっている曲を連発するのがフェスの攻め方のひとつかもしれない。しかしそんな価値観などクソくらえで、我道を貫いたのがDIR EN GREYだ。最新シングル曲「人間を被る」をはじめ、熱心なファンにとってはどれもがキラーチューンだが、そうでない人にとってはどれもが濃厚にして濃密な曲ばかり。最初から優しい曲などこのバンドには一切ないのが真実だが。しかしそれら楽曲をモロに受け、メンバーのライブパフォームを目の当たりにして、縛り付けられたように凝視するしかなかった。

悲しみのどん底から心が壊れ、狂気の精神状態へと振り切る京(Vo)の感情表現の凄み。完成度の高いプレイとアンサンブル。未発表新曲や大作「VINUSHKA」など、とことんまでDIR EN GREYの真髄を打ち出していった。しかし最後の一音が消えたときだ、熱狂の大歓声がメンバーに向けられた。

▼GLAY
「死ぬ気でイケよ!」とX JAPAN風にTERUが煽りながら始まったのがGLAY。さすが、でかいキャパのライブバンドとしてキャリアも実力もある彼ら。一気にファンを引き込み、そして盛り上げ、一体化させていく。ライブで鍛え上げてきたナンバーばかりで攻めるというのも、ファンにとって嬉しいところだ。しかし今日はそれで終わるわけない。前回もそうだったが、サービス精神旺盛で、このフェスを一番楽しむ気なのがGLAYだ。

ACE OF SPADESのTAKAHIROと一緒に「HOWEVER」を披露したかと思えば、「シン・ゾンビ」は途中からLUNA SEAの「FATE」へ展開させる。さらにSIDの明希と共にアグレッシヴに「SHUTTER SPEEDSのテーマ」を決め、今度は遊びに来ていたEXILEのNESMITHを強制参加までさせてしまう。トドメはSUGIZOとの「誘惑」だ。「普段、イベントはあまり出ないんですが、この<LUNATIC FEST.>には出たい」とTERU。みんなを楽しさに巻き込んでしまうワガママぶりと自由奔放さは、このフェス限定のGLAYだろう。今回も彼らは徹底的にやりつくした。

▼LUNA SEA
そしてライブはトリのLUNA SEAへと引き継がれるが、SEもなくドラムのところに現れたのは髪を赤くしてスリムになった真矢……ではなかった。BULL ZEICHEN 88の淳士だ。彼が真矢の弟子だったことを知っているファンも多いだろう。その淳士がサウンドチェック代わりにドラムソロを披露。チェックのためだから全タイコとシンバルを駆使してのテクニカルフレーズだ。それに加えてリズムとフィルでコール&レスポンスまで起こす。エンターテイナーぶりに拍手は鳴り止まなかった。

18時50分、会場にSE「月光」が響き始める。広がる歓声と、ミラーボールに反射する青い光の粒。幻想的なムードで包み込みながら、ライブは「Hold You Down」で始まった。5月まで全国ツアー中だったLUNA SEA。その手応えをそのまま持ち込んだのが、この日のステージかもしれない。メンバーは、時折、笑顔も見せながらライブを楽しみ、それでもプレイや歌でファンを狂わせていく。
「リハーサルからシビれまして、燃え上がりまして。昨日、リハ終わったら喉が枯れていました」とRYUICHI。笑い話のように語ったが、それぐらい全精力を傾けて立ち向かわなきゃいけないのが、彼らにとっての音楽でありライブだ。どれもがファンにはよく知られた曲ばかりだが、メンバーが放ってくるものはこの瞬間でしか味わえないもの。ゾクゾクと興奮させられるし、鼓動だって速くなっていく。ライブ後半からのキラーチューンの連発に、会場にいる誰もがSLAVEとなり、興奮した声をあげながら身を委ねるしかなかった。

▼LUNA SEA_SESSION
「メチャメチャ熱いヤツらが出てくれたんで、最後はセッションでしょう」とRYUICHI。その言葉を受けて、アンコールでは本日の出演バンドのメンバーらが続々と再登場した。「オマエらの声、聴かせてくれ!」と始まったのは「BELIEVE」。ステージのあちこちでミュージシャン達が絡み、プレイや歌でハモる。最初は淳士がドラムを叩いていたと思えば、途中から真矢にチェンジという、師弟ならではの抜群のコンビネーション技も。また出演バンドを代表するように、GLAYのTERUがメンバーに向かって「LUNA SEA、最高!」と感謝の言葉を叫ぶ。それを受け、INORANはフロアのファンに「みんな、最高!!」と高らかに叫んだ。こうして見どころと聴きどころしかない<LUNATIC FEST.2018>の1日目は、歓喜のなかでエンディングを迎えた。

取材・文◎長谷川幸信

■<LUNATIC FEST. 2018>初日 / 2018年6月23日(土)@千葉・幕張メッセSETLIST

【LUNACY】
01. SHADE
02. SYMPTOM
03. NIGHTMARE
【coldrain】
01. TO BE ALIVE
02. ENVY
03. 24-7
04. GONE
05. NO ESCAPE
06. THE REVERATION
【女王蜂】
01. 金星
02. ヴィーナス
03. 売春
04. デスコ
05. HALF
06. 告げ口
【The BONEZ】
01. Until you wake up
02. Bird〜people with wrings〜
03. Rude Boy
04. Hey, You
05. SUNTOWN
06. Thread & Needle
【ACE OF SPADES】
01. WILD TRIBE
02. TIME FILES
03. Looking for
04. Louder
05. SIN
06. JUST LIKE HEAVEN
【back number】
01. 青い春
02. MOTTO
03. クリスマスソング
04. 瞬き
05. SISTER
06. 高嶺の花子さん
【GLIM SPANKY】
01. アイスタンドアローン
02. END ROLL
03. 怒りをくれよ
04. 闇に目を凝らせば
05. 愚か者たち
06. 大人になったら
【SID】
01. 青
02. V.I.P
03. I for You
04. 嘘
05. 夏恋
06. one way
07. 眩暈
【DIR EN GREY】
01. 人間を被る
02. Sustain the untruth
03. THE FINAL
04. audience KILLER LOOP
05. 新曲
06. 孤独に死す、故に孤独。
07. VINUSHKA
08. 詩踏み
【GLAY】
01. サバイバル
02. coyote,colored darkness
03. VERB
04. HOWEVER
5. BELOVED
06. シン・ゾンビ
07. COME ON!!
08. SHUTTER SPEEDSのテーマ
09. 彼女の"Modern・・・
10. 誘惑
11. XYZ
【LUNA SEA】
01. Hold You Down
02. TONIGHT
03. Dejavu
04. JESUS
05. Rouge
06. gravity
07. 闇火
08. I for You
09. DESIRE
10. TIME IS DEAD
11. ROSIER
12. WISH
encore
en1. BELIEVE(Session)


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