『大人のロック!』2013[秋]号 Vol.33[雑誌](日経BP社)

『大人のロック!』2013[秋]号 Vol.33[雑誌](日経BP社)

ロック好きはハゲでデブの中高年とい
う事実

レコード会社も中高年をターゲットに

「ロックが若者の音楽だったのは過去のことで現在、その市場を支えているのは間違えなく中高年である」というコラムが『東京新聞』に掲載された。「人生を季節にたとえれば、二十歳代は盛夏だろうが、日差しの強い季節を取り返したくて中高年はあの音楽と手を切れない」「楽器店でギターを買おうか悩んでいるのも若者ではなく中高年だ」と続く。なんとも哀しい内容だ。
「青春を取り戻すために聴いてるんじゃない」「大人になれないオッサン」「いい音楽を聴きたいだけ」「ロックは死んだ」など意見はさまざまだ。

 もともとロックのルーツは1950年代あたりのブルースやカントリーにあったが、様々なジャンルの音楽性を取り入れて継承されてきた。社会的な活動や思想とは切り離せなくて、反体制など若者の反抗心をシンボライズするものでもあった。
 しかし、そんなロックという音楽に群がっているのは中高年だという事実……。
 グラフィックデザイナーの山口明氏が嘆く。「CD屋でディープパープルやローリングストーンズのロックコーナーに行っても、ハゲでデブのくたびれた背広を着たオッサンしかいない。全然ロックじゃない」
 1970~80年代のロックを聴いていた世代も、いまでは結婚して子供もいる一家の主であることも多いだろう。家では奥さんの尻に敷かれ、会社では上司に怒られる日々。そんな家と会社を往復する退屈な日常から逃避できるのが、かつて自分が若かった頃に熱狂したロックバンドなのかもしれない。そこへデジタルリマスター、紙ジャケ、未発表音源が発売される度に、同じアーティストの同じCDを買い直してしまう。レコード会社も昔のロックの名盤をあの手この手で売ろうとして、そのターゲットは完全に中高年だ。

 筆者のまわりの40歳前後の音楽好きに聞いてみたら、最近聴いている音楽はヴァン・ヘイレン、ボン・ジョヴィ、ポリス…と往年のバンドばかりだった。先のコラムにあるとおり、「2万円近い」チケットを買って再結成コンサートに出掛けている。ちなみに音楽をiTunesなどでダウンロードして買うのはほんの一握り。「やっぱりカタチ(CDのジャケット)が欲しい」とのことだった。
 聴いているのが中高年だろうが若者だろうが、ロックという音楽が支持されているのは素晴らしいことだ。ジャニーズやAKBに席巻された今の音楽業界に比べると、当時のロックがあまりにも眩しすぎただけかもしれない。

(文・編集部)

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