プロフェッショナル DJの流儀〜DJに
なるために必要なコト【DJ SONE編】

数多くのDJスクールが乱立する昨今。DJとしてのいろはを学んだものの……。クラブ&ダンスミュージックが大好き! DJになりたいけどどうすればいいのか……。そんな悩める人たちに向けた新企画。現役バリバリの一線級DJたちに、デビューに至るまでの経緯からDJに必要な要素、そしてプレイ中の心得などたっぷりインタビュー!

今回フィーチャーしたのは、2007年から活動を開始し、いまや全国のクラブで大活躍中のDJ SONE。ここ最近では一週間に5日以上もブースに立つほどの人気っぷり。さらには、ZEDD(ゼッド)やNicky Romeroニッキー・ロメロ)、Jonas Blue(ジョナス・ブルー)らと共演し、「EDC JAPAN」をはじめ様々なフェスにも出演。今最も勢いのあるDJのひとり、DJ SONEが自身の経験を赤裸裸に語る貴重なインタビュー。DJ志望者は必読!
【DJ SONEのDJの必須条件3か条】
・人付き合い&アピール(営業)力が大事
・DJは個人プレイじゃない、一晩かけて作るチームワークが重要
・大きな夢も一歩から、厳しい現実に負けない強い意志を持て

サイケデリックな高校生時代…

——DJになろうと思ったのはいつ? どんなきっかけで?
DJ SONE:「もともと姉がトランス好きで、自宅では日々トランスを聴かされていたんです。その影響もあってか、17歳のころに渋谷のサークルに所属し、昼間の時間帯にクラブを貸し切り、イベントをやっていました。そこでDJを見て、かっこいいと思ったのがきっかけですね。そのとき見たのはサイケデリックトランスでした」

——DJになるために最初にしたことは?
DJ SONE:「まずは先輩に教わりましたね。僕自身ハマりやすい性格なので、すぐにDJしか見えなくなって。先輩の家で練習し、1ヵ月で曲を繋ぐことができるようになり、その後に機材を買って……最初に揃えたのはパイオニアのCDJ100SとVestaxの2チャンネルミキサーとスピーカー、当時15万〜20万ぐらいだったと思います。高校生でお金がなかったので両親にプレゼンして、必ず返すからとお金を借りた記憶があります。機材を買ってからは学校帰りに毎日6時間ぐらい練習していましたね」
——最初にプレイしたクラブは? そのときはどんな曲をかけました?
DJ SONE:「高2の夏に教わり始め、11月に所属していたサークルのイベントでプレイしたのが最初です。すごく身内的なイベントで、お客さんは200人ぐらい。場所は新宿にあったM’sでした。そこでかけたのは……Astrix(アストリックス)の“Adventure Mode”やShanti(シャンティー)の“Alter Ego”とか。当時は今のようにレコードプールなどもなく、どこで曲を集めればいいのかわからなくて……。曲を掘るのは苦労しました」

Astrix- Adventure Mode (The way to Playground, Brazil)

DJとしての転機はエレクトロとの出会い

——その後はどのようにしてキャリアアップしていったんですか?
DJ SONE:「先輩繋がりで新宿のclub FUSIONでDJをするようになり、その他いろいろなパーティーに出るようになって。21歳のときに(※)TCPTのYOSHIMASAさんと出会い、彼がM’sでやっていたパーティーがメインフロアがサイケ、サブフロアがエレクトロで、そこで初めてエレクトロのDJをしたんです。そして、YOSHIMASAさんに誘われて渋谷Club Asiaでもプレイするようになって」

(※)国内のクラブイベント情報サイト

——当時はどんなことを求められてました?
DJ SONE:「やっぱり集客ですよね。それが一番でした。僕は集客するためにスキルを高めようと思い、結果的にプレイスタイルも変化していって。当時はサイケが2割、エレクトロが8割でしたけど、22歳のときに初めて新木場ageHaのISLANDに出演し、そこでエレクトロが10割になりました。そのころ僕は学生で、24歳で大学を卒業して……」

——就職は?
DJ SONE:「しませんでした。両親には25歳までにDJとして結果が残せず、先がなければ辞めると宣言して。そこからさらにスキルアップと集客に没頭し、結果的に24歳でageHaのARENAに出演することができて。そのときには親を呼んで、ブースにもあがってもらって……そしたら母親が泣いていましたね」

——息子の勇姿に喜んだんですね……で、その後は?
DJ SONE:「もう閉店してしまいましたが、agePaというクラブのレジデントをやらせて頂いたり、『RAVE VISION』というパーティーに出演したりして、25歳のときにageHaとレジデント契約をしました。当時はディスコ箱と呼ばれるクラブはちょっと敬遠していたんですが、ATOMのDJ HOSAKAさんと出会い、ミックスCDの話をいただいて、そのリリースパーティーをATOMでやって多くの人と出会い、その後ATOMやCLUB CAMELOTでもDJをさせてもらえるようになりました。このほかにもいろいろなことがあったんですけどね……ざっくり言うとそんな感じです(笑)」

——DJ活動の中で分岐点になったのは?
DJ SONE:「23歳のときにエレクトロへと移行したときですね。それで活動の場だけでなく、プレイスタイルも広がったと思います」

DJ SONEが語るDJに最も必要なモノとは

——DJにとって最も必要なものとは? センス? スキル? 日々の努力?
DJ SONE:「まずは“人付き合い”だと思います。もちろんスキルも必要ですが、何が一番かと言えば人間関係。DJも相手にするのは人ですし。正直な話、僕はコネも実力のうちだと思ってます。いかに良い人間関係を構築できるか。あとは、あくまでアーティストではなくクラブ DJとしての視点ですが、DJって個人プレイだと思われがちですがチームワークも重要なんですよ。それは一晩かけていかにお客さんを楽しませるかという意味で。みんながひとりよがりのプレイをしていたら、そのパーティーは成立しない。パーティーはその日出演するDJみんなで作っていくもの。だから、自分以外のDJはみんなライバルという意識だけではなく、仲間として、縦や横の繋がりを大切にするべきだと思いますね」

——では、DJとして活動していくため備えておくべきものは?
DJ SONE:「スタミナですかね(笑)。DJは体力が必要です。あとは、ラクして稼げるというイメージがあるかもしれませんが、実際にDJだけで食べていけるのは1割程度。なので、現実に負けない強い意志も必要ですね。DJとしてデビューするためには集客の問題など、超えないといけない壁もたくさんありますが、それを好きという気持ちだけで乗り越えられるかどうか……そこで辞めていく人間の方が多いと思うので」

——自分の武器、他のDJに負けないことは?
DJ SONE:「もちろんスキルには自信がありますし、お客さんを楽しませることも負けないと思っています。ただ、自分の特徴としてはアピール力かなと。プレイでSONEという人間をいかに伝えるか。アピールすることとブランディングは別だと思うんですが、やっぱり自分からきっかけを作らないと何事もダメですよね。例えば、SNSにDJのブッキングはコチラ……なんて書いている人もいますが、それだけだとブッキングはされない。自分から動かないと。僕はどこにも所属していないフリーランスで、マネージャーもいないので自分で売り込みもできるようになりました。今では営業をかけるタイミングもある程度わかるようになったというか、自分のタイミングがわかるようになったし」

——それはDJだけでなく、あらゆる仕事に通用しそうですね。
DJ SONE:「そうかもしれませんね。ただ、前提として基本というか、基盤は必要ですけど。それがないと仕事は来ないと思います。あとはクラブに足を運ぶこと。最近では平日もクラブは営業していますし、僕自身積極的に出るようにしてます。その他だと……肝臓が強いことですかね(笑)。これは持って生まれたものですが、良かったなと」

——プレイ中に最も意識していることは?
DJ SONE:「僕はビジュアルがいい方ではないので(笑)、いかに自分のグルーヴが作れるか。自分のスキルを駆使してフロアの流れを作ることですね。そのグルーヴも、自分の中で完結させない、パーティーは一晩かけて作るものなので。自己完結させてしまうのはダメ。僕は今、週に5〜6回DJをしていますが、どの現場でもその日来たお客さんを楽しませないと次はないと思っているし、とにかくお客さんを楽しませる。毎日現場は状況が違うので、同じセットを組むことは二度とないですし、そのためにも常にあらゆる準備をしています」

夢は生涯現役、DJを目指す人へのアドバ
イス

——今まで最高のパーティーは?
DJ SONE:「やっぱり、初めてageHaのARENAでプレイしたときですね。ずっと立ちたかった舞台ですし。友だちが100人ぐらい来てくれて、なかには泣いている人もいて……」

——最高のパーティーを作る上で、必要な要素とはなんだと思いますか? お客さん? DJ? 会場の雰囲気?
DJ SONE:「まずはDJが楽しそうにしていること。それはプレイ中以外でも。出演する側が楽しんでいれば、その空気は伝わると思うんです。プレイしているときはもちろん、フロアやバーで飲んでいるときも、お客さんの前にいるときの姿が大事だと思いますね」

——今注目しているジャンルやアーティストは?
DJ SONE:「アーティストで言えば、Jonas Blue(ジョナス・ブルー)。彼のようなポップライクなハウスに注目しています。あとはCID(シッド)ですかね。音楽的な傾向としては、今後はベースハウスよりも明るく、フューチャーハウスよりもディープな、そのふたつの中間をいくようなTchami(チャミ)のようなサウンドが来るかなと思ってます」

Jonas Blue – Mama ft. William Singe
CID, Bahary & The Flying Lizards – Money (Official Audio)
——DJとして目指しているもの、夢は?
DJ SONE:「一生現役でいることですね。ずっとDJブースに立っていたい。やっぱり現場が大好きなので(笑)。ただ、最近はマネジメントの仕事にも興味を覚え、若手の育成やコンサルなどもやってみたいなと思ってます。その他の夢としては……イビサでプレイすること。イビサのハウスは別格だと思うので」

——最後に今後DJ目指す人たちにアドバイスを。
DJ SONE:「DJを志すにあたっては、「ULTRA」に出たい、世界をまわりたいなど、大きな夢があるかもしれませんが、もう少し身近な夢というか目標を持って活動するといいと思います。その積み重ねが大きな夢に繋がると思いますし。そして、諦めないことですね。この世界は努力すれば必ず何かが返ってくると思います。あとは人にウソをつかないこと。これは全てにおいて言えることですけどね(笑)。そうすれば結果が付いてきて、必ずチャンスが巡ってくると思います」


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