【インタビュー】 城南海「奄美の風景や暮らしを受け取って」西郷隆盛の2番目の妻の想いを綴る

【インタビュー】 城南海「奄美の風景や暮らしを受け取って」西郷隆盛の2番目の妻の想いを綴る

【インタビュー】 城南海「奄美の風
景や暮らしを受け取って」西郷隆盛の
2番目の妻の想いを綴る

地元・奄美大島の魅力
──城南海さんはUtaTen初登場という事なので、ご出身でもある奄美大島のおすすめスポットや魅力を教えてください!
城南海:観光大使をやらせてもらっているのですが、奄美は自然が豊かな島なので、海も山も綺麗なんです。中でも私の好きな場所は、マングローブです。海と山が一体になっているのですが、そこをカヌーで漕ぎながら探検するんですよ。父親が観光ガイドをやっていて、案内もしているので、奄美に帰る度に乗せてもらっています。水面を飛んでいるようで凄く癒されるんです。マイナスイオンに包まれているような感じもしますね。

──水面下は綺麗に見えるんでしょうか。
城南海:マングローブは下が泥なので、濁っていたりもしますね。綺麗に見える所もあるんですけど、茶色い所が多いかな。山と海が一緒になっていて、オヒルルギの木っていうのがいっぱい生えていています。そこにはカニとかがいっぱいいて、命が沢山あるような場所ですね。

──とても自然豊かな場所なんですね!マングローブは泳げる海なんですか?
城南海:そこは泳げないんですけど、海に行くと泳げます!でも私、泳げないんです…(笑)

──泳げないんですか!奄美大島の方は泳げるイメージがありました(笑)
城南海:意外と島の人って泳げない人が多いんですよ。海は近くにあるんですけど、泳ぎに行くっていうよりかは、夕日を見に行ったり、水に浸かったり、魚と戯れたりする場所ですね。あんまりバシャバシャと泳いでいる人、いないですね。

──奄美大島の人は、穏やかな方が多そうですね。
城南海:そうですね。みんな一回会ったら家族!みたいな、友達以上のように接してくる感じがあります。来る者拒まずだし、人との距離が近いので、常に関わりあいながら生活している所があります。年上の人に対しては、お兄ちゃん、お姉ちゃんって呼び方をしたりもするので、家族みたいです。

──人柄が良い方ばかりなんですね。事件とかもなさそうな…。
城南海:子供のとき、パトカーを見た記憶がないです(笑)事故はたまにありますね。道が狭いので、調子に乗って車でスピード出しちゃうと事故っちゃう…。

──では、奄美大島のおススメ料理を教えてください!
城南海:鶏飯っていう郷土料理が奄美では一番有名なんですが、それは実家に帰ると必ず食べますね。

──鶏飯はどういった料理なんでしょうか?
城南海:お茶漬けみたいな感じなんですが、ご飯の上に鶏をさいたものや、錦糸卵、しいたけの佃煮、刻みのり、パパイアの漬物、あと香りづけにタンカンの皮を刻んだものを散らして、鶏がらスープをかけて食べます。場所によって味が違うので、色んな所に行って食べますね。

──美味しそうですね!
城南海:美味しいですよ!沖縄とまたちょっと違うので。
この歌を歌える事が大変光栄でした
『西郷どん紀行~奄美大島・沖永良部島編~』
──今作『西郷どん紀行~奄美大島・沖永良部島編~』が、「西郷どん」の劇中歌と大河紀行のテーマの音楽に起用されましたが、大抜擢された事に関してどんな心境を感じましたか?
城南海:大河ドラマという大作ですし、その中で西郷さんの2番目の奥さんでもある愛加那さんの出身、奄美の事も取り上げてくださったんです。奄美出身者としては、この歌を歌える事が大変光栄でしたね。すごく嬉しかったです。

──奄美では、西郷さんはやはり有名なんでしょうか?
城南海:私、鹿児島にも住んでいるんですが、上野にある銅像みたいなのが、鹿児島にもあって。みんな西郷さんが大好きだし、歴史好きな方は必ず鹿児島にいらっしゃるんですよ。そういった情景を見ながら過ごしていたので、「すごい人なんだな」って思って育っていましたね。

──歌詞を作られるときに、島の方々に愛加那さんをお聞きしたそうですね。
城南海:はい。私も奄美に住んでいても、「西郷さんが奄美に住んでいたらしいよ」とか、「奥さんがいたらしいよ」くらいの話しか知らなくて。だから書く前に、西郷さんと愛加那さんの事を、地元の人に聞かせて頂きました。皆さん口をそろえておっしゃるのは、あまり資料が残っていないので、ちょっとした情報の中から想像して話をするしかないって言っていて。ただ事実としてあるのは、西郷さんと愛加那さんが暮らしていたのは約3年間。西郷さんが愛加那さんにお家を残して、二人お子さんが生まれて。3年間過ごした後は、西郷さんは、離れて薩摩に戻って。それを見送った愛加那さんがいて、またお子さんも薩摩に送るんですよね。だから、その生涯を考えると、その3年間以外は、一人でどんな気持ちで過ごしていたのかな?って皆さんおっしゃるんです。でもその3年間がすごい幸せだったからこそ、その後も西郷さんを思いながら生きていったんだろうねっていう事を加えて説明してくださいました。愛加那さんが、西郷さんを見送るときの気持ちと、離れた後の気持ちっていうのを一曲ずつ書きました。

──3年間だけという日々は、とても悲しいものではありますよね。
城南海:そうですね。でも島の人からしたら、薩摩の人はいずれは戻っていくって思いながら、迎え入れているので。しょうがない所はあったと思うんですけど、それでも奥さんでもあり、子供もいたから一緒にいたかっただろうと思います。

──島の方のお話しを聞いて、印象に残った内容はありますか?
城南海:西郷さんが残した短歌があって。3人の方に西郷さんのお話しを聞いたんですけど、その中で1人の方が、島を離れるときに西郷さんが書いた短歌にまつわるお話しをしてくださったんです。「この歌(短歌)から何を感じる?」って言われたんですが、その短歌には島を離れる未練じゃなくて、薩摩に出ていくワクワクの方が歌詞に表れていて。西郷さんは、愛加那さんも奄美の事も大事だけど、薩摩を動かしていくために、そういう気持ちで出ていったんだなって残した歌でした。

──そのような短歌が残っていらっしゃるんですね。
城南海:私も知らなかったんです。調べている方がいらしたので、それで教えて頂きました。
歌詞でこだわったフレーズ

──『西郷どん紀行~奄美大島・沖永良部島編~』は、西郷さんを見送る逞しい女性像が描かれていますね。歌詞でこだわった箇所を教えてください。
城南海:島の女性っていうのは、本当に逞しくて強く美しい神様のような存在が奄美の女性なんですよね。そして女性が姉妹神(ウナリガミ)となって見守っているから、男性の皆さんは安心して、航海に出たりとか海に出ていけるんですよ。そういう島の文化とか、信仰っていうものを、ルーツにしっかりと送り出す歌詞を書きたくて。こういう歌詞になりました。

──これは全て奄美方言なんでしょうか?
城南海:そうですね。奄美の西郷さんたちが暮らした地域の言葉です。方言もいっぱいあるんですけど、愛加那さんが使っていた言葉を教えてもらいながら書いていきました。

──歌詞を書くときは、やはり苦戦されましたよね。
城南海:苦戦しました。でも歌詞を書き始めたら1日で書けたんですけど、それまでも下調べの時間は費やしたりしましたね。書き始めたらスラスラって出てきたんですけど、まず始めに歌詞を標準語で書いて、それを龍郷集落の唄者っていうシマ唄を歌う人に、「この歌詞を方言で表現したいんですけど」って電話で相談して、やりとりしながら書いていきました。そういう協力がなかったら書けなかった歌詞だと思うので、本当にありがたいです。

──奄美大島の方言って、ふんわりしていて可愛らしい感じがします!
城南海:(笑)「ち」とか、「ど」とかを使うので、可愛らしいってよく言われます。

──今作の歌い方でこだわった部分を教えてください。
城南海:「愛加那さんになりきって歌ってください」と言われたので、 私が愛加那さんだと思って、そこから溢れ出てくる感情をそのまま歌にしました。島の女性としての力強さも出ていると思うし、姉妹神(ウナリガミ)として優しく包み込む歌声も出ていると思います。

もし愛加那さんの立場だったら…。
──もし城さんが、愛加那さんのような立場になったら、どうなさいますか?
城南海:今の時代に生きているから、子供が二人いて大好きな旦那さんが帰ってしまうっていうのは寂しいなって思いますけど、当時の島の人の気持ちを考えると、薩摩の圧政下にあった訳だし。島にいるとき限定の奥さんっていうアンゴという制度があって、その中で生きているから、薩摩を背負っている人を引き留める事は出来ないのかな?って思います。今の時代だったら「嫌だ!」っていうけど(笑)

──城さんの歌詞には、奄美大島の美しさがふんだんに詰まった言い回しをされますね。
城南海:(笑)自然と共に生きているので、海、山、大地、風の声とかそういったものが、そこに神様が宿っているって、島の人は想っているのです。そういう所も風景として見えたらいいなっていう想いを込めて書きました。              

──姉妹神(ウナリガミ)は、女性の神様として、島では有名なんですか?
城南海:そうですね。姉妹神信仰っていうものがあるんですけど、女性が神様になって、男性を守っているっていう。白い鳥になってそこに止まっているのは、姉妹神ですよとか、そういう言い表し方をしますね。

──UtaTenは歌詞サイトなので、城さんがお気に入りのフレーズを教えてください。
城南海:「わんや姉妹神ちなてぃ なんば守りゅん(私は姉妹神となり あなたを守る
)」が好きですね。島の女性の姿を現しているので、ここに惹かれます。

──城さん自身、いつも歌詞を書かれるときって何かをイメージして書かれる事が多いんですか?
城南海:そうですね。まず最初に、景色がちゃんと見えるように情景から書いていくようにしていきます。

──作曲は、『西郷どん』の音楽を作られている富貴晴美さん、さらにジャズピア二スト山下洋輔さんとのコラボ曲にもなっています。どのようにディスカッションしていったのでしょうか?
     
城南海:レコーディングに関しては、ジャズピアノの山下洋輔さんとのコラボレーションでもあったので、二人で一発録りをしました。私も初めての経験で、緊張もしていたんですけど、どういう風に歌っても山下さんが包み込んでくれるから、愛加那さんの気持ちになって、歌いました。お互いのアプローチも聴いていたので、化学反応が起きていったと思います。      
西郷さんを想っている女心が出ていますね

──カップリングの『愛加那』は、『西郷どん紀行~奄美大島・沖永良部島編~』の真逆で、西郷さんを愛おしいと思う切ない女心が反映されていますね。
城南海:『愛加那』の方を先に作詞したんですけど、愛加那さんの当時の暮らしや気持ちを想像していったら、西郷さんと離れた後、どういった気持ちだったんだろう?って思ったんです。西郷さんが残してくれた素敵な珊瑚の石垣に囲まれた家で、大島紬を織りながら、想っていたんだろうなって。この『西郷どん紀行~奄美大島・沖永良部島編~』とは対照的ですけど、西郷さんを想っている女心が出ていますね。

──「愛(かな)しゃん愛(かな)しゃん」は愛しいという意味なのでしょうか?
城南海:「愛しゃんちゅ」っていうのが、愛しい人っていう意味です。本当は愛しゃん愛しゃんではなく、別の歌詞が載っていたのですが、レコーディングの際に富貴さんが「同じ言葉を繰り返してみたらどうですか?」っていうアイデアを下さったので、最後につけていた「愛しゃんちゅ」っていうのを、繰り返して愛しゃんっていう言葉に変えましたね。

──『愛加那』の中から、お気に入りのフレーズを教えてください。
城南海:「なんとぅぬ日々ば胸に染むぃてぃ(あなたとの日々を胸に染めて)」が好きです。西郷さんとは離れたけど、一緒に過ごした3年間をずっと思い出しながら暮らしていったんだろうなって思って。島では心に刻むっていうのを、胸に染めるっていうんですよ。島らしさと愛加那さんらしさが出ている所だと思います。

──標準語とまた違った綺麗さが、込められている言葉ですね。
城南海:そうですね。奄美っていう所は、元々日本が使っていた万葉集とかで使われていた古語が沢山残っている島なんです。だから美しい言葉が残っている事が多いですね。

──そういった美しい言葉の環境で育つと、ご自身の楽曲作りにも良い影響を与えてくれそうだと感じました。
城南海:言葉の美しさは、歌うときも、書くときも大事にしています。
実はお酒が強い…!?
──声のケアとかはされているんでしょうか?
城南海:しますね。塩分と糖分が入っている飲み物を飲んだりもしています。吸入器とかもしますし、マヌカハニーをなめたりもするし。でも基本的な事ばかりです。手洗いうがいとか…(笑)

──奄美ならではのボイスケア方法はあったりしないのでしょうか?
城南海:え、ない(笑) お酒で消毒ぐらいですかね(笑)島の人はみんな飲みますよ!私もお酒強いですし…。

──想像つかないですね(笑)
城南海:しまんちゅなんで!(笑)調子のってお酒飲むと記憶が飛んでしまうこともあります。

──最後に、今作で一番訴えかけたかった想いと、UtaTenにメッセージをお願いします。
城南海:大河の曲という事で、愛加那さんという一人の女性であり、当時の奄美の女性がいたということ、そして奄美の歴史を伝えられたらいいなっていうのが一番にありました。愛加那さんの気持ちの中から、奄美の風景や暮らしを受け取ってもらえたら、島出身の私としてはありがたいです。UtaTenさんは、いつも拝見させて頂いてて、自分の歌詞も検索させて頂いているんです。(笑)
そこで取り上げて頂けるのは嬉しいですし、今作は歌詞もかなり頑張って作ったので、ぜひ歌詞に注目して見て頂きたいです。『西郷どん』も沢山の音楽が入っているので、そちらも楽しんでもらえると幸いです。また、6月30日からツアーもスタートするもで、お近くにきた際にはぜひ遊びにきてください。
TEXT:橋本美波
PHOTO:愛香
プレゼント応募について
Twitterで応募するとサイン入りチェキをUtaTenをご覧の方に抽選でプレゼント!!

【応募方法について】
(1)UtaTenのTwitterアカウント(@utaten)をフォローをします。
(既にフォローしていただいている方はそのままで!)
(2)UtaTenのページにあるこの記事上下のツイートボタンからツイート。
※入力されている内容は消さないようにご注意ください!(追記はOK!)
(3)応募完了となります。応募締め切り後、当選者の方にDMにて当選の旨をご連絡致します。
※応募完了後であっても、該当のTweetの削除、UtaTenのフォローを外した場合、その時点で応募対象外となります。
Follow @utaten
Tweet
【応募締め切り】
7/8 21:00まで
【当選の通知方法】
締め切り後に抽選を行い、当選者には@utatenからDMにてご連絡いたします。
※ご自身のTwitterアカウントのDM設定をご確認ください!!

UtaTen

歌詞検索・音楽情報メディアUtaTen

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着