カルト歌謡カルタ【さ】新沼謙治「左
官職人 こね太郎」

いつまでも人々の心の片隅に残り続ける珍曲や迷曲たち。売れることを考えて作られたとは思えない破天荒な作品に、その時代の心の豊かさと歌謡界の度量の大きさを感じる。いまこそ、その真髄を継承すべく、魔法のカルタで拡散!

「左官職人 こね太郎」

2004年発表
歌:新沼謙治
作詞:新沼謙治
作曲:新沼謙治
編曲:宮崎慎二

2004年に発売した新沼謙治の49枚目のシングル曲「飛行機雲」(作詩:木下龍太郎 作曲:宇崎竜童 編曲:宮崎慎二)のカップリング曲。新沼謙治が中学卒業後、1976年「おもいで岬」(作詞:阿久悠 作曲:川口真 編曲:あかのたちお)で歌手デビューするまでの約3年間、左官職人として働いた実体験をもとに自身が作詞・作曲した作品である。“左官職人”を題材に取り上げた斬新さと、“こね太郎”というコミカルなネーミングが印象的。「♪腰に手ぬぐい ぶらさげて 砂とセメント 掻き混ぜて 鏝(コテ)を片手に 壁を塗る」、「♪工事現場を 宿にすりゃ 継ぎ接ぎだらけの 貸し布団 寝言 歯ぎしり 高いびき これじゃ朝まで身が持たぬ」と、左官職人の仕事内容と生活が色濃く表現されている歌詞は経験者ならでは。「♪練って 練って また練って こねて こねて またこねりゃ~」音頭調の曲に乗ったサビは、過酷な現場の中でも明るさと楽しさを感じさせる。この曲はじわじわと話題を呼び、2005年に発売された新沼謙治歌手生活30周年記念アルバム『限りなき未来へ』に収録され、同年同名のアルバム『新沼謙治全曲集 左官職人 こね太郎』が発売されるなど、新沼謙治の代表作の一つとなっている。

編曲を担当した作曲家・編曲家の宮崎慎二は、主にテレビ・劇場版アニメ『ポケットモンスター』シリーズ、劇場版アニメ『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』シリーズの音楽プロデューサーとして活躍している。新沼謙治は2014年、「株式会社地域活性化総合研究所」代表取締役に就任。2011年の東日本大震災で被災した故郷・岩手県大船渡市で、まちづくりのために精力的に活動している。

解説・イラスト:はらめがね

全日本歌謡情報センター

歌謡曲・演歌に特化したエンタメ情報サイト

新着