今日はプリンス『パープル・レイン』
リリース記念日 当時の専属エンジニ
アが制作秘話を語る

本日6月25日は、プリンスのアルバム『パープル・レイン』が全米で発売された記念日。
1984年のリリース当時、プリンスの専属エンジニアだった、スーザン・ロジャースがアルバム『パープル・レイン』の制作秘話を語ったインタビューが到着した。
なお、9月21日に発売となるアルバム『ピアノ&ア・マイクロフォン 1983』は、このアルバム『パープル・レイン』とほぼ同時期の貴重な音源だと考えられ、プリンスが大ブレイクする一歩手前の姿をとらえたものだといえる。是非チェックして欲しい。
スーザン・ロジャース
――​まず、あなたがプリンスにエンジニアとして雇われたのは、1983年の8月と聞いています。8月3日にライブハウス、FIRST AVENUEで行われたライヴでは、アルバム『パープル・レイン』に収録される重要な曲がライヴ・レコーディングされていますが、その場には立ち会っていたのですか?
スーザン:いえ、私はちょうどプリンスの仕事をすることが決まって、まだロサンゼルスに住んでいたの。契約書をチェックしたり、ミネソタに引っ越す手配をしていて、ミネアポリスに着いたのはあのライヴの直後だったわ。着いてからすぐにプリンスと一緒にライヴ録音されたテープの作業に取りかかったけれど、残念ながらライヴは見ていないのよ。
――​以前インタビューであなたは、プリンスの自宅のマスターベッドルームの向かいには小さなベッドルームがあって、そこで彼は『パープル・レイン』の一部を制作したとありますが、そこで『パープル・レイン』のどのような曲が制作されましたか?
スーザン:「ビートに抱かれて(When Doves Cry)」はロサンゼルスのサンセット・サウンドで作ったから、あの曲じゃないことは確かよ。私が雇われた時点で「ダーリン・ニッキー」はすでにレコーディングされていたんだけど、あの曲はその部屋で作ったものだった。あとは「ダイ・フォー・ユー」、 「ベイビー・アイム・ア・スター」、「パープル・レイン」のベーシック・トラックもその部屋で作って仕上げた曲よ。「レッツ・ゴー・クレイジー」はセント・ルイス・パークにあるウェアハウスでレコーディングしたわ。プリンスの家の小さなスタジオではレコーディングしたり、オーバーダブの作業をしたりしていて、「ダーリン・ニッキー」のようにプリンスが一人で演奏しているような曲もその部屋でレコーディングしていたのよ。
――​では、基本的にはこの部屋はプリンスだけでベーシックなものを作り、その後ウェアハウスでバンドと一緒にレコーディングして、仕上げるというプロセスだったのでしょうか?
スーザン:彼は一人で何でも出来たから、その自宅の小さなベッドルームにエレクトリック・ドラムをセッティングして、楽器を次々と持ち込んでレコーディングしていたの。「レッツ・ゴー・クレイジー」のようにバンドと一緒にやるような曲に関してはウェアハウスでレコーディングしていたわ。ベッドルームにもウェアハウスにもレコーディング・コンソールがあったから両方でレコーディングできたの。あと、彼はサンセット・サウンドも大好きだったので1984年になるとLAのサンセット・サウンドに行って、「テイク・ミー・ウィズ・ユー」と「ビートに抱かれて(When Doves Cry)」をレコーディングしたのよ。
――​プリンスのアルバム『パープル・レイン』は1984年6月25日に発売されました。以前のインタビューでプリンスは成功を確信していたと言っていますが、彼がどんな風だったか、教えてくれませんか?
スーザン:すごくハッピーで、ご機嫌だったわ。その前年の冬は長くて、寒くて、ずっと天気が悪かったから、夏になる頃にはみんながハッピーで明るくなっていたのよ。当時、プリンスはとても前向きで、私たちはみんな彼のことを心から信頼していた。素晴らしいリーダーだったし、とてもクリアなヴィジョンを持っていたの。そのヴィジョンをみんなが信じて働いていたわ。未来に希望を持ってね。でも、今でもハッキリ覚えているのは、アルバム・カヴァーを見たときのことよ。ウェアハウスにアルバムが届いて、他のクルーと一緒にそれを見た瞬間、「あら?これって花?しおれた花?これってどういういう意味?プリンスがこれを気に入らなかったらどうするの?大きなツアーも決まっているのに」って心配になったの。でもすべてが上手く行って、素晴らしい結果に終わったというわけ。
――​とてもエキサイティングな時期でしたね。
スーザン:そうなの。結果がわからない時ほどエキサイティングなのよね。アルバムをリリースするのって子供が産まれた時のようなもので、「この子は健康だと思うけど、100%大丈夫かしら?」なんて思うじゃない?そしてアルバムがリリースされるとアルバム評でいろいろなことが書かれる。この子は難しい子供かもしれない、悪い子になるかもしれないなんてことをね。でも実際に子供を見ると、自分が期待したような子に見えるの。むしろ期待したより良い子に育っているように感じる。そして子供が学校に行くように、アルバムを送り出すの。子供を生んで育てるのとアルバムを作ってリリースするのってちょっと似ているわ。

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